二次元裏@ふたば

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430652 B26/07/31(金)23:22:19No.1454247408+ 00:51頃消えます
「呪いのビデオを買ってきた」
「…………はい?」
ある日の寮の共用スペースで、ライトオさんが突然そんなことを言い出してドンと机に1つのビデオカセットを置いてきたのだけれど――。

「……え、の、呪いのビデオ……?」
「ああ、呪いのビデオだ。呪いのDVDでも呪いのブルーレイでもなく、呪いのビデオだ」
「――いや、なんてもの買ってるのよアナタは!?」
表紙の無い剥き身のビデオカセット。これが、呪いのビデオだというの……!? な、なんか、どことなく禍々しい感じがするような気がして……いや、ホント何してるのよ!?

「……その、これはどこで買ったんですか」
「通販だ」「えぇ……?」
ビリーヴさんの疑問に、ライトオさんは簡潔にキッパリと答える。いや、いやいや――。
「どんなサイト行けばこんなモノ通販してるのよ!?」
「知らん、でもメールに書いてあったURLをタップしたら買えた」
「……えっと、そのメールかなり危険じゃないですか?」
126/07/31(金)23:24:13No.1454248111+
「いや、そんなことは無い。安心安全だ。ちょっとこのメールが届いた人には不幸が訪れるとか書いてあったが、このメールを知り合いに回すかこのサイトで商品を買えば回避できるという親切なメールだったぞ」
「思いっきり詐欺メールじゃない!!」
「昔流行ったというチェーンメールでもあるみたいですね。……念の為聞きますが、他の人に送ったりは?」
「? このビデオを買ったのだから必要無いだろう」
当然のことのようにそう答えるライトオさん。
……この人は、本当に。どうしてこんなにも頭が直線なのかしら……!!

「……まあ、他の人に迷惑かけて無いなら……いや、詐欺だったら個人情報とかが危ないのか?」
「安心しろ、宛先はトレセン学園にしたし支払いもコンビニ払いだ」
「…………よくコンビニ払いでいけましたね。実際に届いた辺り、あまり悪用しようとしている訳では無いのか……?」
むむ、とビリーヴさんが考え込む。わ、私は難しいことはよく分からないけど……。

「とりあえず、被害は無さそうなのね?」
「これといっては。ちゃんと呪いのビデオもこうして手元にある」
226/07/31(金)23:25:43No.1454248637+
「そう、なら良かった。……本当に良かったのかしら……?」
「本物にせよ偽物にせよ呪いのビデオが今手元にあるのは大丈夫では無いと思います」
ビリーヴさんの言葉に改めて頭を抱える。そうね、そうよね……目の前に呪いのビデオあるのがもう大問題よね……。

「……それで、この呪いのビデオはどうするつもりなんですか」
「デュランダルとビリーヴを誘って観ようと思って」
「……はぁ!? なんでわざわざ呪いのビデオなんて観なきゃいけないのよ!!」
「不幸を回避するには呪いのビデオを購入して3人以上で視聴しろともメールで書いてあった」
「やっぱりどっちみち悪質メールじゃない!!」

「観る必要があるのだから早く観るべきだ。覚悟を決めろデュランダル」
「ちょっちょ、なんで私……!? 私はイヤよ! 呪われたくないわ!」
ただでさえ怪しさ満載のビデオなのに、呪われるかもしれないのに観ようとする人なんている訳無いでしょう!?
「たぶんガセだから気にしなくて良いぞビビリンダル」「誰がビビリンダルよ!?」
「……ああ、ライトオさんも信じてた訳ではないんですね」
326/07/31(金)23:27:24No.1454249234+
「分からん。でも本物じゃない可能性は高いと思ってる」
い、意外とその辺りはちゃんとしてるのね……って、いや。じゃあなんでわざわざ観ようとしているのよ……!
「もし本物だったら面白いだろう」
真っ直ぐな瞳でそう言い放つライトオさん。この人はっ、本当にっ……!!
「でもどこで観るんですか。DVDやブルーレイならここで再生できますけど……これはビデオカセットですよ」
「確かに」
ビリーヴさんの言葉に、ライトオさんはハッとする。……って、あれ。
「……ちょっと待って、なんでビリーヴさんも観る前提で話進めてるの……?」
「……まあ、こういう時のライトオさんに何を言っても無駄ですし。それに、せっかく買ったのにそのままというのもあれですから」
「えぇ……」
 
「……くっ、ビデオの再生機器が無いのは誤算だった」
「まあ、古いものですし。……ちょっと考えると今時、動画データやブルーレイで売ってないのも不思議な話ですね」
ビリーヴさんがそう呟くと、ん? とライトオさんは不思議そうな表情を浮かべてから、当然のような顔で言い放つ。
「あったぞ、呪いのブルーレイも呪いの動画データも」「えっ」
426/07/31(金)23:28:30No.1454249607+
「呪いのDVDにCDもあったな。SDカードでも売られていた筈だ」
謎に用意された媒体の多さに頭がハテナで埋まる。えっいや、なんでそんな種類があるのよ……!?

「……その、じゃあどうしてわざわざ呪いのビデオカセットを?」
ビリーヴさんが尋ねる。……確かに、利便性とか考えたら動画データとかDVDとかで良いわね。
疑問に思って私もライトオさんを見ると、そこには心底不思議そうな表情をしたライトオさんがいて。

「――ビデオカセットが直線的だからだが?」
「……あぁ、なるほど」
「ブルーレイ? DVD? バカを言うな。曲線の出しゃばるそんな映像媒体より直線的で直角なビデオカセットの方が優れてるのは明確だろう」
「前にも似たようなこと聞いた気がしますね」
ハッキリとそう宣うライトオさんに、はぁ……と溜息をつく。そうね、ライトオさんに理由を求めたのが間違っていたわ……。

「……でも、そのお陰で物理的に観ることができないのは良かったかしら」「む」
「ライトオさんのその謎のこだわりのお陰ね。今時、ビデオの再生機器なんて持ってる人が居る訳ないもの……!」
526/07/31(金)23:30:01No.1454250142+
どうにか呪いのビデオ視聴を回避でき、ホッとしながらそう確信していると――。

「――ありますよ。僕、持っています」「本当かビリーヴ?」「……はい!?」
淡々と、ビリーヴさんが告げる。えっ、いやいや。いくらビリーヴさんでも、そんな都合よく……。

「ランニング先でよくお世話になってる3丁目の山村さんから、修理ついでに譲り受けたものがありまして」
「嘘でしょ……」「良くやったビリーヴ。それではこうしては居られない早速このビデオを再生しよう」
「部屋から持って来るので、すこし待っていてください」「分かった」

そうして、ビリーヴさんは自分の部屋に戻っていった。……嘘でしょう、まさか本当に観なきゃいけないの……!?
「諦めて私たちと呪いのビデオを観るんだ」
「嫌よ!? あっ、私予定を思い出したの! だから私はこの辺で……!!」
「安心しろ、秒で終わる。パパっと見てパパっと呪われて終わりだ」
「それ本当にお終いになるやつじゃない!??」
そうして……私たちは呪いのビデオを観ることになってしまった……。くっ、どうしてこんなことに……!!
626/07/31(金)23:31:38No.1454250792+
――――
「よし、再生するぞ」「はい」
ここは私とライトオさんの部屋。備え付けのテレビにビリーヴさんのビデオデッキを繋げ、例の呪いのビデオを入れてしまい。

「ほ、本当に観るの……?」
「なんだビビリンダル、デュラってるのか」
「逆よ!! ……いやビビって無いわよ!!」
「そうだな。誇り高き騎士であるお前は呪いなどには屈さない。そうだろうデュランダル」
「……ま、まあ、そうね。私は誇り高き騎士……呪いのビデオなどに怯えたりしないし、屈することも無いわ……!」
「そうだな。では観よう」「再生しますよ」
ポチ、とリモコンが押されて。ザザと画面にノイズが走ってから、ビデオが再生され始めた。

「……なんか、本格的ね……?」
テレビに映されていたのは、切り貼りされた古びたムービーで。
鏡の前で髪を梳く女性と、ウネウネと動く新聞の文字。何かを引きずるみたいな甲高い音に、倒れている人々……。
726/07/31(金)23:32:48No.1454251248+
「これは――」「……いつの時代に作られた映像なんでしょう。画質とかを見ても、かなり古そうに見えますが……」
「い、いや……そんなことより、ちょっと本格的過ぎてコレ大丈夫なヤツな――」
――バッ。
「――きゃあっ」
突然、画面いっぱいに映し出された大きく不気味な目……!! ちょっと、ちょっとっ……!! これ呪いとか関係なく怖すぎ無いかしら……!??

「瞬き、してますね」
「そうだな、あっ目の中に漢字? があるな」
「ちょっ、ちょっとアナタたちはどうして平気で見てられるのよ!!?」
「お前がビビリ過ぎなだけだ、デュランダル」
そう平然と言い放つライトオさんだったけど……。いや、普通に考えてこんな不気味な映像怖いに決まってるじゃないっ……!!

「あ、画面切り替わった。……井戸、ですかね」
「ちょっと、ちょっと……! まさかこの中から幽霊が出てくるなんてこと……!」
定番のシチュエーションを想像して、身体が固くなる。えっもしかして、このまま私たち、幽霊に襲われて――。
826/07/31(金)23:33:56No.1454251637+
ザザっ――。
「…………終わりましたね」
何も変わらないままの井戸の光景から、白いノイズだらけの砂嵐の画面に戻る。
ど、どうやら想像してたことにはならないで終わったみたい……。よ、良かった……。

「……ふむ。見終わったが、どう思う?」
「――いや、滅茶苦茶不気味だったのだけれど……!? まさか本当に本物じゃないでしょうね!?」
「確かに、雰囲気は凄かったですね。本格的でした。……えっと、もしこのビデオが本物の呪いのビデオだった場合、どうなるんですか?」
「えっと、――7日後に呪われて、怨霊に襲われるって書いてある」
「――怨霊!? 襲われる!?? ちょっ、なんてことしてくれたのライトオさん!!?」
本当にヤバそうな呪いじゃないっ……! なんだか本物みたいな映像だったし、これが本当に呪いのビデオだったら……!!

「……まあ、7日の猶予もありますし。最悪カフェさん辺りに頼めば、どうにかはなるんじゃないでしょうか」
「そうか、カフェか。確かに、カフェ聞けばこれが本物かも分かるかもしれないな」
「最初っからそうすれば良かったんじゃないかしら……!? なんでまず私に見せたのよ……!!」
926/07/31(金)23:37:06No.1454252676+
「頭から抜けていた。すまない」
……はぁ、でも。最悪、カフェさんならどうにかしてくれるわよね……噂はかねがね聞いてるし。それじゃあ、ひと安心……かしら。

「まあ、まだ猶予はありますし」
「……しかし、7日で呪殺とはなんともノロマだな」「……はい?」
突然、ライトオさんがまた変なことを言い出す。
「私なら53秒7で呪いに行けるぞ。呪いもその名の通りの足の遅さだな、ノロマめ」
「アナタは何にマウント取ってるのよ……!!」
「考えれば怨霊が速いというイメージは無いな、ならば私の方が速いのは当然。貴様が7日掛けてのろのろと呪いに来る間に私は7分で7回呪いに行けるぞ所詮はこの世にしがみついているだけの亡霊だな」
「畳み掛けていかないの!」
まさかの呪いのビデオに張り合おうとするライトオさんに頭を抱えてしまう。……ほんっとうに、この人は……!

「……ひとまず、片付けましょうか。まずはビデオを取り出して――あれ……?」
カチッ。カチ。
ビデオデッキの取り出しボタンを押すビリーヴさん。けれど、何度押しても反応がしないみたいで――。
1026/07/31(金)23:38:23No.1454253114+
「おかしいな……ちゃんと直した筈なのに、って……あれ?」

ガコ。
キュル、キュルキュルキュル。

ひとりでに、ビデオデッキが動いて。テレビの画面が巻き戻されていく――。

「……えっ、な、なに。何が起こってるの……?」
「故障……でしょうか」「最初まで巻き戻ったぞ」

――ザザっ。
ビデオの再生が、ひとりでに始まる。

何かを引きずる甲高い金属音に、髪を梳く女の人。もぞもぞと動く新聞の文字に、倒れる人々。
それは、さっきみたまんまの内容。けれど、けれど今この状況だからこそ、その不気味さは、より際立っていて。
1126/07/31(金)23:39:24No.1454253463+
「え、えっと……これ、なんか怖いから、止めてちょうだいビリーヴさん」
「……すみません、どうやら操作を受け付けないみたいで」「えっ」

カチッ、カチ。何度ボタンを押されても止まる気配の無いビデオ。ちょっ、ちょっとこれ……洒落にならないんじゃ――。

パっ。
画面が切り替わり、井戸の場面になる。それは、先程見た通りの、何も変わらないままの光景で。それは、この怪現象の終わりを知らせるもので。

「え、えっと……これで終わり、よね? さ、再生が終わったら、不気味だしさっさと片付けてカフェさんの所に行きましょう?」
「……そう、ですね」
「じゃあもう今の内に片付けをしよう。というか終わる前に片付けてしまおうか、そうだなその方が手っ取り早い」
そう言ってライトオさんがテレビの方に近付いて。だから私も、自然と視線が画面の方に向いたのだけれど――。

「……あれ、なんか……動いてない……?」
井戸のフチ。その一部分に、わずかだけれども白い何かが動いているような気がして。
1226/07/31(金)23:40:47No.1454253917+
――ガッ。
「ヒィっ!!」
それは、見間違いなどでは無かった。手が、井戸から這い出てきて、ガシリとそのフチを掴んで――。

「……あの、これ」「び、ビリーヴさん……? こんなの、さっきの映像には、無かったような……」
――ガシっ。

もう片方の腕が這い出て、井戸の中から真っ黒で長い髪の女が現れて。

「ぁ、あわ……っ……!! ら、ライトオさん!? 早くビデオデッキ片付けて!! 接続切っちゃって!!」「あ、ああ。これを、ブチっと――」
『ぁ゛……あ゛……ぁ゛』
「ひぃぃっ」

何処からともなく、うめき声が聴こえてきて。ライトオさんはテレビとの接続を切ったのに画面は付けっぱなままで。
井戸から完全に出た女は、ゆっくり、ゆっくりと這いずりながらこちらに近付いてきていて――。
1326/07/31(金)23:41:42No.1454254206+
「ら、ライトオさん……? ビリーヴさん……? こ、ここ、これ……もしかして――」
「……その、もしかするかもしれません」「一応、離れておくか」
ジリジリ、と部屋の扉の方へと後退してテレビから距離を取る。画面の中には、あの女が、画面のすぐそばまで近付いていて――。

『ぁあ゛……ぁあ゛ぁ゛ぁ゛あ゛』
「ひっ、ヒィ……ぁ、あぁ……! 手、伸ばしてる……」
「で、出てくるんでしょうか」「……逃げる準備だな」

ヌ……ズリッ。ズリッ。
伸ばした手が、画面を――すり抜ける。
そうして、私たちの部屋に、あれは這い出て来て――。

「〜〜〜〜っ!!!」
「……逃げましょう」「わかった」
バン。ライトオさんが扉を開け放って。そうして、私たちは脇目もふらずに駆け出した。
1426/07/31(金)23:42:49No.1454254626+
「――――ちょっとちょっと、どうしてくれるの……!?? ほ、ほほ本当に出てきちゃったじゃない!!」
「出てきたな、怨霊」
「あの、確か出てくるのはビデオを見てから7日後だったんじゃ……」
「本気を出したらこれくらいのスピードも出せるということでは無いだろうか」
「だとしたらアナタが煽ったからじゃない!! バカ!! 直線スピードバカ!!!」

『ぉ゛お゛ぉ゛あああ゛゛゛』
「いやっ、追ってきてる!?」
「フン、しかしやはり呪いは遅いな。我々の速さには到底叶わない」
『ぁあ゛あ゛あ゛ああ゛!!!』
ライトオさんがそう吐き捨てたら、あの女の怨霊は大きな声を上げてより加速して――。
1526/07/31(金)23:43:46No.1454254947+
「ちょっとライトオさん!?? なにまた煽っているのよ!! スピード出して来たじゃないっ!!」
「まだ僕らの方が速いですが……これは本気で走らないと」
「ふっ、速さ比べか。ところで最初から私たちと並んで走ってるのは珍しいなデュランダル。今日は後方に控えないのか」
「控える訳ないでしょ!!? バカじゃないの!!!??」

『ぉ゛おお゛あ゛ぁ゛あ゛!゛!』
こうして、私たちは必死に、もう本当に必死になって怨霊から逃げ、カフェさんの元へと全力で走り抜けることになるのでした。
1626/07/31(金)23:44:23No.1454255164+
おわり
夏の夜には呪いのビデオをひとつまみ
1726/07/31(金)23:50:11No.1454257158+
ちびっ子組が見たらトラウマになっちゃう
それはそうとビビリンダルには聖剣で立ち向かって欲しい
1826/08/01(土)00:09:31No.1454263639+
かわいい
1926/08/01(土)00:20:44No.1454266971+
カフェがため息ついてそう
2026/08/01(土)00:22:18No.1454267386+
可哀想


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