二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1777738716659.png-(133747 B)
133747 B26/05/03(日)01:18:36No.1426122227+ 03:37頃消えます
カーテンの隙間から瞼を刺す朝日が、今日はやけに眩しい。朝が気怠く感じられるのはいつものことだが、光を感じることも億劫に思えるのはそうあることではなかった。
昨晩の出来事が間違いなく尾を引いているためなのだが、気怠さの理由探しなどはどうでもいい。いま大切なことは、今日が休日で眠気に負けてしまっても咎める者がいないということだった。
「…ん…」
瞼を閉じたまま朝日から逃げるように寝返りを打つと、不意に身体が柔らかいものに当たった。それが何なのか思い当たって慌てて身体を引く前に、伸びてきた手があっさりと背中を捕まえてしまう。
「おはよう」
重い瞼をなんとか開くと、同じように半目を開けたシービーが、いつもより少し蕩けた甘い声で朝を告げてくれた。
126/05/03(日)01:18:59No.1426122334+
「…おはよう…
ごめん、起こして…すごく眠い」
「そうだねー…朝になってもずっと寝てたいって思ったのは久しぶりだよ」
自分と違って朝に強く、朝日が昇るとともに散歩に駆け出すこともしょっちゅうの彼女が、こうして一緒にだらけているのは珍しい。そうなった原因も半分は彼女のせいなのだが、安らぎを求めるように微笑みながら抱きついてくる姿はいつもの快活な表情とは違った魅力があって、振り切りたくても振り切れない。
「行かないでよ。もうちょっとだらだらしよ?」
「言われなくてもそうなってるよ」
肩口を枕にされては、動けないし動く気にもなれない。それをいいことに身体の上に寝転んだ彼女は、指先でシャツをかりかりと引っかき始めた。
首の下の、鎖骨の近く。さっきまでは何も感じなかったが、彼女に触れられた途端に虫刺されのようなもどかしい感触が走り出した。
「…くすぐったい」
「ほんと?ふふっ」
抗議したつもりだったのだが、彼女にとってはそれがうれしくてたまらないらしい。なぞられた服の下にあるものがほんのりと甘く疼く度に、彼女は満足そうに喉を鳴らした。
226/05/03(日)01:19:19No.1426122444+
昨日の夜の自分はどこかおかしかった。帰ったらすぐ寝てしまえるようにと遅くまで仕事をしていたのに、家に戻ったあとも少しも眠気が湧いてこなかった。
理由は明白だった。仕事以外の殆どを占めていた彼女との時間が、彼女が旅に出たことでなくなってしまったからだ。
行き先を告げずに唐突にふらりとどこかに行ってしまうことも珍しくない彼女にしてみれば、旅に出ると数日前に告げてきた今回の一件は上出来と言えるだろう。だが、その分だけ今回の放浪は長く、彼女が旅立ってからもう一週間が経とうとしていた。

昼間の間は仕事をしているから、自分の気持ちをはっきりと自覚することはない。だが、トレーニングのメニューを組んでも話す相手がいない空虚感は、誰もいない家に帰ると寂しさになって一気に噴き出してくる。
「…はぁ」
それを忘れようとしてとりとめのないことばかり考えている頭は、とうに正常な判断力を失っていた。
326/05/03(日)01:19:40No.1426122549+
「あ、起きた。大丈夫?」
「…ん…?」
外の風の匂いが、酒の匂いで満たされた鼻腔に心地良く沁みる。旅に出た彼女はいつも、その季節の風の匂いを纏って帰ってくるのだった。
「…帰ってきてたのか」
「さっきね。水飲める?」
「ああ。ありがとう…」
情けない姿を晒していると頭では自覚しているのだが、すっかり全身に回ったアルコールのせいで居住まいを正さなくてはという羞恥心が湧いてこない。コップを受け取るために身体を起こしたあとも、上半身はふらついたままだった。
隣に座る彼女は、珍しく心配そうに眉根を寄せていた。
426/05/03(日)01:20:15No.1426122717+
「晩酌はよくするの?」
放っておけば溢れ出しそうになる寂しさを酒で押し流そうとした自分を、そうと知らずに彼女は気遣っているのだった。
「いつもきみはしっかりしてるし、あれしろこれしろって言うつもりも権利もないけどさ。きみが身体壊しちゃったりしたら、アタシ悲しいよ」
「…心配しなくてもいいよ。普段はこんなことしないから」
ごめん、気をつけると無難に言っておけばいいところを、不貞腐れてぶっきらぼうに返してしまう。わざとらしくもう一度ソファーに身体を横たえてクッションに顔を埋めている今の自分はいったいどう見えているのだろうと頭では思いながらも、口は言わなくてもいいことばかりを喋ってしまうのだった。
「…シービーがいなくなっちゃうからだろ。そうじゃなきゃ独りで酒なんて飲まないよ。
…さみしかったんだよ」
526/05/03(日)01:20:28No.1426122771+
顔を見られたくなくてますますクッションを強く抱き込んで丸くなったのだが、次の瞬間には全身がひょいと持ち上げられて、あっさりとソファーから寝室に運ばれていた。
「…え…!?シービー…!?」
「落ちたら危ないよー。ほら、もうベッドだから」
放り投げられるようにベッドに横たえられて、顔を隠していたクッションもあっさりと取り払われてしまう。のしかかるように抱きついてきた彼女は、楽しくてたまらないと言いたげな満面の笑みを浮かべていた。
「…酒臭いだろ」
「別にいいよ。もう待てないもん」
言うが早いか、彼女の唇にあっさりと口を塞がれた。押し当てられる柔らかな感触と上唇を吸われる心地良さに酔っているうちに、すっかり彼女の身体の重みでベッドに縫い付けられて動けなくされてしまう。
626/05/03(日)01:20:47No.1426122866+
「いつも笑って出迎えてくれるじゃん。そんなにさみしかったんだったら、もっと早く言ってくれればよかったのに」
「…それで遠慮とかしてほしくないから」
自由を愛する彼女の枷になりたくなかったのは本心だが、もう半分は意地だった。いい大人が歳下の教え子を相手に、寂しくてやけ酒をするくらい夢中になっていると認めたくなかったのだ。
「一回くらいわがままになってよ。いつもアタシが甘えてばっかりだとさみしいじゃん。
きみの気持ちが聞きたい」
だが、今はもうその意地を張る理由がなくなってしまった。自分だけがこんなにも彼女を愛していて、独り相撲を取っているような気分になるのが悔しかっただけなのに。
彼女にこんなにも求められてしまったら、つまらない大人の矜持など、持ち続けるのが馬鹿らしくなってしまうではないか。
726/05/03(日)01:21:00No.1426122914+
「…好きって言いたい。シービーにも、言ってほしい」
そんなことでいいのか、と言うように、くすくすと彼女の微笑みが漏れる。ベッドの上で恋人と抱き合っているのなら、子供でももう少し色気のある頼み事をするだろう。だが、彼女と愛し合いたいという願いしか、今の蕩けた頭では思いつかない。
「ん…んっ…」
もう一度、彼女の唇が触れた。今度はしっかりと背中に手を回して抱き留めながら、彼女がそばにいることを実感する。
薄く目を開けると、彼女の瞳があった。しっとりと濡れたそれが満足そうに細められると、彼女の細い指がゆっくりと頬を撫でた。
「今日はぜんぶアタシのせいにしていいよ。どんなに恥ずかしいことでも、照れちゃうようなことでも、好きなだけ言っていいから。
だから、きみのぜんぶをちょうだい」
826/05/03(日)01:21:14No.1426122967+
「…好き。
大好き。シービー…」
彼女の頭を胸元にかき抱くと、吐息が肌を直に撫でる。彼女の鼻と唇が時折触れて、くすぐったいけれど手を離す気になれない。
「ふふふっ」
首の下に甘い痛みが走った。さっきまではなかった赤い痕を、私が付けましたと言わんばかりに彼女の舌先がちろりとひと舐めした。
「大丈夫だよ。
アタシもきみのこと大好きだから」
さっきとは打って変わって、あやすような優しい手つきで頭を撫でられる。幸せで蕩ければいいのか、愛されて胸を高鳴らせればいいのかわからないまま、彼女を離すまいとだけ思いながら、意識を手放した。
926/05/03(日)01:21:27No.1426123013+
それからは自分は酔いの回りに、彼女は旅の疲れに負けながら瞼を閉じてしまうのと、時折思い出したように起きては、熱に浮かされたように好き、愛してると言い合いながら唇を重ねるのを繰り返しているうちに朝が来ていた。脱ぎ散らかされたお互いの服がベッドの下で重なり合っているが、自分もシービーもまだ肌着は着たままだ。キスの続きをするつもりは十分にあったのだが、その度に睡魔に屈してしまったということがよくわかる。
「ふふふっ」
気怠い朝にあてられて激しく愛し合うよりもゆるゆると触れ合っているほうが心地良くなるのはわかるが、昨日つけた痕を愛おしそうにずっと撫でている彼女を見ると、酔った勢いで口にした顔から火が出そうな言葉の数々を思い出してしまう。
「本当に消えなくなっちゃうぞ」
口だけの文句をくれてやると、彼女はむしろ嬉しそうに身体を丸めてくすくすと笑った。こうも眠たいと怒るふりをするのさえ億劫で、言葉では彼女を窘めながらも手が彼女の髪を撫でるのを止める気にもならない。
「そんなことないよ。多分、明日には消えちゃう。
だからこうしてるんだよ」
1026/05/03(日)01:21:39No.1426123069+
昨日からずっと、知らないきみの顔を見ている。ほろ酔い加減で蕩けた顔。子供のように拗ねていじける顔。
そして、今は少し困ったように眉根を寄せているきみの胸に身体を預けて、波の音を聞くように目を閉じている。
「砂に文字を書くのが好きだったんだ。
たいていは波にさらわれて、すぐに消えちゃうんだけどさ。そこに書いてあったことは、アタシと海しか知らない秘密なんだよ」
きみにつけた痕も、愛してると何度も言った言葉も、形に残ることはない。
でも、さみしがりやの海のために、何度さらわれても愛を書く徒労は、きっとどこまでも楽しい。
「たくさん書きすぎて、もう何を書いたかなんて覚えてないけどさ。
きみは覚えててよ。ぜんぶ」
1126/05/03(日)01:21:53No.1426123137+
きみの手に身を委ねて、微睡みの中をどこまでも泳ぐ。本物の海に身体を浸したときと同じように、どこまで泳いでもきみのぬくもりに包まれっ放しなことが、ひどく幸せに思えてならない。
「全部なんて覚えてられないよ。
だから、言ってくれよ。何度でも」
アタシだけの、小さな海。優しくて、照れ屋で、ほんの少し潜るとさみしさが迎えてくれる、てのひらの中の海。アタシの言葉を本当は全部覚えていてくれているくせに、意地を張って忘れたなんて嘯くところが、愛おしくてたまらない。
「…ふふふっ、いいよ。言ってあげる。
でも、昨日はアタシばっかり張り切ってさみしかったなぁ」
1226/05/03(日)01:22:07No.1426123198+
季節が移ろう度に海の色が変わるように、しばらく会わないでいると、知らないきみの顔に出会えることがある。今のきみはどんな顔をしてアタシを待っているのだろうと思うと、家路に就く足取りがひどく軽い。そうして帰ったらもう一度旅に出るまで、アタシの海をたくさんの言葉で満たしておくのだ。
だが、今日の海は少し波が高いようだ。
「…じゃあ、俺も言う。
今日はもう離さないから」
まだ気怠そうな蕩けた瞳のまま、本気のまなざしを向けられて抱きしめられると、嬉しくて心臓がびっくりする。調子に乗っているとあっさり波にさらわれて、深い水底まで堕ちてしまうかもしれない。
1326/05/03(日)01:22:17No.1426123244+
溺れてしまってもいいくらい、海のことを愛している。
「…ずっとさみしかったよ。
ずっとずっと、大好きだよ」
アタシの心は、そんな一羽のかもめだった。
1426/05/03(日)01:22:49No.1426123384そうだねx2
おわり
ちょっと酔っぱらってCBに甘えたいだけの人生だった
1526/05/03(日)01:23:58No.1426123699+
スレッドを立てた人によって削除されました
やはりシービーは異性のトレーナーの方が似合う…
以下感想レス
1626/05/03(日)01:27:59No.1426124689+
自由な風みたいな女がわざわざ捕まりに来てる
1726/05/03(日)01:30:42No.1426125278+
私は水に愛を書く…ということだね
1826/05/03(日)01:32:58No.1426125771+
わかってて寂しがらせてるのあまりにも罪深い
1926/05/03(日)01:37:50No.1426126786+
多分ちょうど淋しいのを誤魔化せなくなった絶妙なタイミングで帰ってきて忘れられないくらい愛してくれるのでとても質が悪い
2026/05/03(日)01:45:01No.1426128253+
一回くらいめちゃくちゃにわからされた時があってほしい
次の日の朝はベッタベタに甘えててほしい
2126/05/03(日)01:51:18No.1426129604+
束縛嫌いなくせに身も心もマーキングしてくる…
2226/05/03(日)01:59:13No.1426131232+
CBはいくら呑んでもケロッとしてそう
シビトレにばっかり酔った勢いで恥ずかしいこと言わせてそう
2326/05/03(日)02:04:41No.1426132317+
2426/05/03(日)02:12:02No.1426133718+
タンクトップとショーパンみたいな超ラフな格好の寝ぼけCBにめちゃくちゃベタベタされたいし前の日の夜に恥ずかしい台詞言いまくったのをずっとからかわれたい
2526/05/03(日)02:19:58No.1426135216+
猫みたいにベッド占領されたい
諦めてどっか行こうとしたら後ろから捕まえられたい
2626/05/03(日)02:28:35No.1426136684+
いっぱい好き好き言うと昼頃にはやたら上機嫌になってぴょこぴょこ動いてる
かわいい
2726/05/03(日)02:52:12No.1426139423+
いい大人なのにあざとい反応ばっかりするシビトレも悪いのでは?


1777738716659.png