二次元裏@ふたば

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173860 B26/05/02(土)22:04:34No.1426052895+ 23:18頃消えます
やあよく来たね、何にもないところだが座ってくれ。
私はアグネスタキオン、ウマ娘の探求者さ。
今回作成したのは「アライザライ」という名の薬品なんだがね。
これを摂取したものはお喋りになって、普段話さないような本音を打ち明けてしまうんだ。
素直は美徳だというからねえ。寡黙な子に特に効果があるよ。
まずは試供品から始めて、研究データが集まったら学園全体に配布するつもりさ。
え? だめ? だめ!?
それは困ったね。
すでに相当数のウマ娘に出回っているのだが。
126/05/02(土)22:04:59No.1426053050+
階段を上り終えると視界が一気に広がった。
展望台からは多摩川の緩やかな流れと、府中市の夜景を一望することができる。
「来ないで」
目当てのウマ娘はすぐに見つかった。
ジャンパーを羽織ったアドマイヤベガが、深刻そうな顔で所在なく立っていた。
「来ないで。今の私はおかしくなっている。自分でも制御できないの。脳髄と声帯とが直結してしまって、目についたもの、思いついたことをすべて口に出さないと気がすまなくなっている。タキオンさんに聞いた話だと一日もすれば効果は薄れていくそうよ。来ないで。離れて」
トレーナーは長い筒のような望遠鏡を肩に抱えて、ゆっくりと近づいていった。
「トップロードさんにはひどいことをしたわ。『私のこと、そんな風に思っていたんですね……』って、泣かせてしまった。あなたにはそんな思いをさせたくない。お願い。放っておいて」
226/05/02(土)22:05:22No.1426053209+
それは聞いていた話とずいぶん違っていた。
ナリタトップロードはいつもより饒舌に喋るアドマイヤベガにいたく感銘を受けていたのだ。
「私のこと、そんな風に思っていたんですね……ッ!」
繰り出される賞賛の嵐に、トプロは感涙にむせび泣き、抱きつく寸前だったという。
「トレーナーさんもこの機会にぜひ! いっぱいお話してみてください!」
トレーナーは無言で手にした望遠鏡を組み立てて、夜空へ向けた。
アドマイヤベガも興味を示したようで怪訝そうに顔を近づけてきた。
「……これは何?」
326/05/02(土)22:05:45No.1426053350+
スマホを望遠鏡にドッキングすると、上弦の月が表示された。
「月なの? 綺麗……。あなたは怖くないの? 私はストッパーが外れて思考が垂れ流しになっている。それはむき出しの刀身を晒しているようなもの。私は自分があまり性格のいいウマ娘じゃないことはわかっているわ。時には人が眉をひそめるようなことを平気で考えてしまう。それでもそばにいるつもり?」
トレーナーは静かに頷いた。
「そう……バカなのね。ずっと思っていた。あなたはバカだって。だってそう考える以外に合理的な理由が思いつかないから。数あるウマ娘の中でどうして私を選んだの? 本当ならもっと扱いやすくて、気立てもよくて、実力もあるウマ娘が他にもいたはず」
426/05/02(土)22:06:19No.1426053584+
望遠鏡をゆっくりと動かしながら、トレーナーは土星を探していた。
やがて輪を持つ惑星が視界に入った。
「いいえ、答えなくてもいいわ。『運命だ』とそう言うんでしょう。なんなのよ、運命って……。根っからのお人好しなのか知らないけれど、そんなことで私を懐柔できるとでも思っているの? 私の過去はあなたが思うより重い。優しくすれば解決するものじゃない」
アドマイヤベガの口だけが切り離されて動いているような錯覚を覚えた。
「それなのに、あなたは素知らぬ顔で踏み込んでくる。勝手に入り込んで、勝手に正しいことを言う。そして何事もなかった顔で隣に立っている。あなただけじゃない。トップロードさんもカレンさんも」
526/05/02(土)22:06:49No.1426053759+
再び望遠鏡を動かし始めたトレーナーの操作を、アドマイヤベガはなんとなく目で追っていた。
「勘違いしないで、あなたのことは悪く思っていない。むしろ……いいえ、私はこの思いを墓の下まで持っていくつもり。決して悟られてはいけないと何度も戒めている。だって、それではあまりにも私にとって都合がよすぎる世界だから。レースで結果を残して、ライバルとの友情を築いて、妹とのわだかまりを解消して、そしてこの上さらに想い人と結ばれようとするの? 私は……私はどこまで貪欲なの? いつからこんなに欲深くなってしまったの?」
長い筒の延長線上には青白く輝く星があった。こと座α星、ベガ。
「ふわふわなのよ。ふわふわ。わかる? あなたたちが私をふわふわの中に取り込んでしまった。敵のいない世界を、否定されることのない日常を、居心地のいい空間を作り出してしまった。私は夢の中を生きている。アヤベさんはそれでいいんですよとカレンさんは言う。でも、本当にいいの?」
626/05/02(土)22:07:17No.1426053928+
アドマイヤベガは自分の肘をぎゅっとつかんだ。
「怖い……。あまりに普通になってしまった幸せが。宇宙は私を中心に回ってはいない。きっといつかしっぺ返しを食らうに違いない。あなたに裏切られるに違いない。その時私はもう立ち直れないかもしれない。私は牙を失ってしまったから。かつてのように一人では生きられないから」
「ベガは」
ぼそりと発した低音にアドマイヤベガはびくりと震えた。
ベガというのが自分ではなく、星の名前だということに気付くまでしばらくかかった。
「次世代の『北極星』と呼ばれている。今は地軸の延長線上にある星はこぐま座のポラリスだが、地球の歳差運動によって将来的にはベガがその役割を担うようになるそうだ」
「何を……言っているの?」
726/05/02(土)22:07:43No.1426054081+
「そうなったら、みんなはベガを頼りに生きるようになる。船乗りたちはベガを指針に航海するようになるかもしれない。砂漠のキャラバンが目印にするかもしれない。ベガは憧れになり、目標になる」
上空の大気は安定していて風はほとんどなかった。
「その時まで、折りに触れてベガを眺めようと思う。アヤベの心が平穏になることを祈って」
「それって、具体的にいつなの?」
「計算上は12000年後」
「そこまであなたは生きるつもりなの? いつか、私が北極星になる時を夢見ながら」
トレーナーは照れくさそうに微笑んだ。その瞳にはベガの光が映っていた。
「どこまでおせっかいなのよ、あなたは……」
826/05/02(土)22:08:14No.1426054285+
強張っていた顔がゆっくりとほどけていった。
「……離れないで」
寮に引きこもるとかもっと他にやりようはあったはずなのに、自分が選択したのは展望台だった。
無数にある星に名前があることを確認してみたかったから。
「離れないで。私のことは好きじゃなくてもいい。ただそばにいてくれればそれでいい。今日起こったことはすべて忘れて。なかったことにして。明日からはいつものように微笑んでおはようと言って。ずっと私の担当でいて。ふわふわの夢を見続けさせて。お願い。……ごめんなさい、一方的に喋ってしまって」
トレーナーは頷いた。スクリーンショット機能を使い、ベガの画像を保存した。
926/05/02(土)22:08:42No.1426054459そうだねx2
ほっ……私の目論見通りだねぇ!
このように正のフィードバックがもらえるのが科学の醍醐味だと思うよ。
カフェやスカーレット君にも渡しておこう。シャカール君も貴重なデータが取れそうだ。
これでわかっただろう。アライザライに危険性はまったくない。
おや、モルモット君、君はまだ薬が十分に抜けていないようだ。下がっていたまえ。
うん。うん。わかった。愛してるのはわかったから。ベッドに寝たまえ。
叫ばないでくれたまえ。
私はこれを学園のサーキュレーターで散布するつもりだ。
1026/05/02(土)22:10:44No.1426055308+
1126/05/02(土)22:14:23No.1426056887+
アヤベさんは頭オペラオーなのか?
1226/05/02(土)22:18:28No.1426058771+
アヤベさんの頭はふわふわとポエムで構成されている
1326/05/02(土)22:18:30No.1426058786そうだねx1
もちろんタキオンにもモルモットくんのことをどう思ってるか洗いざらい吐いてもらわないと
1426/05/02(土)22:18:42No.1426058872そうだねx3
>私はこれを学園のサーキュレーターで散布するつもりだ。
オオオ
イイイ
1526/05/02(土)22:21:04No.1426059980+
ダイイチルビーに試してみよう
1626/05/02(土)22:23:35No.1426061098+
>アヤベさんは頭オペラオーなのか?
オペラオーは養殖ものだけどアヤベさんはナチュラルボーンオペラオーだぞ
1726/05/02(土)22:25:10No.1426061808+
まあこれを吸った方がいい連中がそこそこいるのが悪いんだが
1826/05/02(土)22:25:51No.1426062099+
お姉ちゃんも吸うち
1926/05/02(土)22:32:46No.1426065312+
オペラオーが思考回路アヤベさんなんだ


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