二次元裏@ふたば

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178516 B26/05/02(土)21:45:38No.1426045591そうだねx4 22:58頃消えます
『誕生日おめでとう』
そうカードが添えられた大きい包みがキングヘイローの前に置かれている。
4月27日、誕生日前日。彼女の母親からの贈り物であった。
Prrrrr
「はい」
『もしもし?そろそろプレゼントが届いた頃だと思うけど…』
「…誕生日は明日よ?」
『知ってるわよ。今年のプレゼントはちょっと特殊だから、当日って訳にはいかなかったの。改めて誕生日おめでとう、キング』
「…どういう風の吹き回し?」
『母親が娘の誕生日を祝うのがそんなにおかしいかしら?』
「…そうね。今のは私が悪かったわ。ごめんなさい。それと、ありがとうお母様」
『うふふ。さ、開けてみて』
「では遠慮なく」
言われるままに包みを開けていく。さて、その中身は。
126/05/02(土)21:46:03No.1426045749+
『奥手な殿方も一発差し切り!恋のレースの極意!弐!』
「…お母様?これは?」
『私が恋愛指南の本を出してるのは知っているでしょう?ありがたいことに好評でね、この度二冊目を出すことになりました』
「これのどこがプレゼントよ!?」
私の感激を返して!と電話越しに吠える。
キングの母親──かつてレースで偉大な成績を修めた競走ウマ娘。だが、自身のトレーナーを逆ぴょいして子(キング)を孕みそのままレースに出走したという逸話も持つ困ったさん。しかも、自身のトレーナーに懸想する娘が多いトレセン学園では異常なカリスマを誇る為、その困ったさん指数は留まる所を知らない。仲直りしたとはいえ素直に喜べない、キングの悩みの種であった。
『発売は明日、貴方の誕生日よ。それより先に手に取れる、特別感あるじゃない?』
「明日になれば皆の手に渡ってるなら特別感無いわよ!いや、そういう話じゃなくて!」
『前作を超える傑作、そんな本の発売日を貴方の誕生日に合わせたの』
「わーい、嬉しい!…とはならないわよ!私は…!」
226/05/02(土)21:46:29No.1426045906+
──ただ、私の為だけにプレゼントを用意してほしかった!
「…………」
『…今、何か言いかけたわね?』
「別に」
『心配しなくても、貴方だけに向けたプレゼントを用意しているわ』
「…!別に私はそこが不満だったわけじゃ…」
『そう?ならいいのだけれど』
こんな形で母親の変化を感じるのも何か釈然とはしないが嬉しくはあった。
「ち、ちなみにそのプレゼントって?」
『これを読めば貴方はトレーナーをモノに出来るわ』
キングは盛大にずっこけた。
「娘に逆ぴょいを勧める気!?」
『違うわ!逆ぴょいは最終手段よ!』
「手段としては残ってるじゃない!」
『奥の手があるのは精神的にも戦略的にも安定に繋がるわ。レースも恋も、追い込まれた土壇場で切れる札があるのはそれ以前の段階での戦術にも幅が利くようになるのよ』
326/05/02(土)21:47:10No.1426046174+
「それっぽい理屈を捏ねないで!」
『この本で貴方に伝えたいのは、それ以前の段階の戦術よ』
「それ以前の段階〜?」
一応キングも、前作には目を通している。想い人の好む服を着ろ、とか肉体接触をしろ、とか逆ぴょいは最終手段を謳っていても前段階から過激な手法を勧めてくるものであった。
『今回はズバリ、デートの手法よ!』
「一緒にお出かけなら何度もしたことあるけど」
『あら、いいじゃない。その話は今度詳しく聞くとして、それくらい進んだ関係性ならこの本はちょうどいいわ。掻い摘んで言うと…』
一、デート中は手を繋ぐべし。可能なら恋人繋ぎや腕組みも試すこと。
二、たまには甘えてみるべし。相手の負担にならない程度のおねだりすること。
三、目的は明確にすべし。あれもこれもと欲張らないのが吉。
『まずは一つ目ね。手を繋ぐことでリラックスと信頼感を相手側に伝えることが出来るわ。長く繋げば繋ぐ程、相手の心は開かれると言っても過言ではない。出来ることならいわゆる恋人繋ぎや腕組みまでしちゃうのがベストね』
426/05/02(土)21:48:03No.1426046499+
「デート中はトレーナーは手を絶対離すな、何が何でも握り締めてなさいってこと?」
『貴方が言うと何か執念のようなものを感じるわね。そこまで根性見せなくていいわよ。デートに熱血は求めてないの』
娘の諦めの悪さが変な作用をしないように予め釘を刺しておいた。
『二つ目は相手の負担にならない程度に甘えてみることね』
「一流のウマ娘に甘えなんて許されない、そう教えてくれたのはお母様でしょう?ならばデート中も甘えも妥協もせず一流の振る舞いをしてこそではないかしら?」
『教育の賜物ね。貴方のデート息苦しいわ。そうでなくて、軽いおねだりをしてみるのよ。何か小物買ってほしいとか、何処其処に寄ってみたいとか、負担にならない程度にね。そうすることで彼も信頼されてるんだという実感を得られることでしょう』
「むぅ…」
『ではこうは考えられないかしら?彼に甘えてみることが、甘えも妥協も無い一流のデートに必要な振る舞いだと』
526/05/02(土)21:48:52No.1426046812+
「なるほど、分かったわ。お願いすることが一流のデートに必要だと言うのなら、必ず、何が何でも、彼にお願いを聞いてもらうわ」
『ええ、だからデートに熱血は求めてないの』
一体誰がこんな不屈の闘志を育て上げたんだ。母は溜め息を吐いた。
『三つ目よ。目的は明確にしておくこと。あれもこれもと欲張らないことね』
「というと?」
『行った先であれも面白そう!これも行ってみたい!ってフラフラしないように。目的地ではちゃんと目的のことをしなさい』
「さっき何処其処に寄ってみたいって甘えるとか言ってなかった?」
『揚げ足取らないの。もちろんケースバイケースよ。何でも思い通りに行くデートなんてありはしないもの。アドリブを利かせてこその一流のデートよ』
「ケースバイケースで対応を変えるのが恋のレースの極意?」
『特定の状況下で機能停止する方がよっぽど恋の極意としてどうかと思うわよ?』
「…まったく、屁理屈捏ねるのは本当に上手ね。そうやって他の娘達も口車に乗せてきたの?」
『あら、貴方もちゃんと乗せてあげるわよ』
何となく面白くなくて鼻を鳴らすキング。電話越しの笑い声がこれまた面白くない。
626/05/02(土)21:49:22No.1426047019+
『話が逸れたわね。デートっていうのは好きな人との時間を楽しむものなんだから、余裕があるくらいがちょうどいいのよ。あれもこれもと詰め込んでいたら慌ただしくて楽しめないでしょう?それに、“今回は行けなかったけど次は来よっか”みたいに次回のデートに繋げることも出来るわ。貴方のことだから、彼とのお出かけに予定を詰め込み過ぎててんやわんやになったことありそうね』
「う…」
図星を突かれて押し黙る。
『“一流のデートにするのよ!何が何でも全部回り切ってやるんだから〜!“…なんてね』
「…どうしてそこまで私のこと分かるのよ」
『さぁ、どうしてかしら。取り敢えず、私からのレクチャーは終わりよ。後は本を読んで参考にしてちょうだい。それと最後に』
一呼吸置いてから、躊躇いがちに母は口を開いた。
『今のはあくまで、私からの意見よ。貴方には貴方の道がある。貴方が彼とのデートを楽しめるならそれが一番よ』
「……何よ、急に」
『何事も貴方の道を見守るって決めたのについ、ね。何か言いたくなっちゃうのよ。許してちょうだい』
「別に…怒ってはいないけど…」
726/05/02(土)21:49:42No.1426047144+
『それと、包みの中。まだ入ってるはずだから取り出してみて』
言われるまま中を漁る。何やら布生地のようなものに触れた。取り出してみると、鮮やかなエメラルドグリーンのカーディガンであった。
『言ったでしょう。貴方だけのプレゼントを用意してあるって。それ、一応私がデザインしたのよ』
「一点物、ってこと?」
『まあ、そうなるわね。良ければ着てちょうだい。少しは貴方の魅力を引き立たせてくれるといいのだけれど…』
「うふふ、ありがとうお母様。一流のプレゼントよ!」
『そ、そう。なら良かったわ』
「正直本は要らないから最初からこれ渡して欲しかったくらいよ」
『本も喜んで欲しかったのだけれど…』
「本は要らないわ」
826/05/02(土)21:49:54No.1426047213+
後日、トレーナーを誘ったデートにて。
─トレーナー、今日は一流のデートにするわよ!まずは貴方の手を何があっても離さないから覚悟なさい!
─トレーナー!私はこれが欲しいわ!分かるわね?……そう、貴方に買って欲しかったのよ!!
─急ぐわよ!次はここへ行って、その後はここにも行って、全部回って今日のデートを充実させるんだから!
キングとトレーナーは二人なりに楽しんだ。キングの笑顔は、エメラルドのカーディガンに負けないくらい鮮やかで綺麗だったとはトレーナーの談。
926/05/02(土)21:50:23No.1426047406そうだねx6
大遅刻ですがキングの誕生日を記念して書いてみたかったので書きました
1026/05/02(土)21:50:51No.1426047593+
スレッドを立てた人によって削除されました
1126/05/02(土)21:52:50No.1426048412+
お母様掛かってなくて良かったな…
1226/05/02(土)21:55:20No.1426049352そうだねx5
いい感じにしてるけど結局最終手段に逆ぴょい勧めてることには変わりなくない?
1326/05/02(土)21:56:13No.1426049698そうだねx5
逆ぴょい本かと思ったら逆ぴょい本だった
1426/05/02(土)21:58:07No.1426050464+
照れ隠しかと思ったら本も本命のプレゼントなのかよ
1526/05/02(土)22:00:06No.1426051192+
お母様はさ…
1626/05/02(土)22:01:01No.1426051522+
トレーナーは早く逆逆ぴょいしろ
1726/05/02(土)22:02:05No.1426051963+
テクニック自体は結構有用じゃない?
仕留め損ねると逆ぴょいが出てくるけど
1826/05/02(土)22:05:37No.1426053303+
そんな鬼気迫る感じで手を繋いでも逆ぴょい出来ないだろ
1926/05/02(土)22:05:44No.1426053346そうだねx2
>ありがたいことに好評でね、この度二冊目を出すことになりました
分かっちゃいるけどひどい
2026/05/02(土)22:07:46No.1426054094+
逆ぴょい本がベストセラーになるの怖すぎだろ!
2126/05/02(土)22:09:10No.1426054632+
いい感じに締めてるけど誕生日当日に二冊目が店頭に並んで学園のウマ娘が殺到するのを眺める羽目になるキング
2226/05/02(土)22:12:30No.1426056074そうだねx2
やーいキングの仕送り逆ぴょい本の印税〜!
2326/05/02(土)22:15:52No.1426057569そうだねx1
>『貴方が言うと何か執念のようなものを感じるわね。そこまで根性見せなくていいわよ。デートに熱血は求めてないの』
ダメだった
2426/05/02(土)22:18:01No.1426058550そうだねx1
>やーいキングの仕送り逆ぴょい本の印税〜!
それを言ったら殺されても文句は言えないわよ!
2526/05/02(土)22:18:03No.1426058566+
>いい感じに締めてるけど誕生日当日に二冊目が店頭に並んで学園のウマ娘が殺到するのを眺める羽目になるキング
だから一日デートする必要があったんですね
2626/05/02(土)22:21:08No.1426060009+
あぁ…ただのデートじゃなくて避難も兼ねていたのか…
2726/05/02(土)22:27:13No.1426062757+
>やーいキングの仕送り逆ぴょい本の印税〜!
スカイさん
その本は何かしら?
2826/05/02(土)22:34:41No.1426066149+
>>やーいキングの仕送り逆ぴょい本の印税〜!
>スカイさん
>その本は何かしら?
ち ちがう
これはただの恋愛指南書だよ
2926/05/02(土)22:45:24No.1426071080+
すれ違った娘と母の仲が修復されているんですよ
何が不満なんですか


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