昔から、やられたらやり返さないと済まない質だった。  スカート捲りをしてきた小学時代の同級生男子にはグーパンをくれてやったし、靴に画鋲を入れてきた中学のクラスメイトにはカバンや体操服や学習道具を焼却炉に放り込んだし、トイレに連れ込んで水をかけてきた高校のクラスカースト上位女子共は彫刻刀で顔面に一生消えない傷を刻んでやったし、大学の新歓コンパで酔い潰して強姦しに来た雄猿には睾丸にボールペンを突き刺した上でのたうち回る無様な姿をSNSに無修正で拡散してやった。  だから、就職した一般にも名を知られる大企業で酷いパワハラセクハラパワハラを受けたとき、仕掛けてきた糞上司とそいつをコネ入社させた士族経営の糞役員共の個人情報や秘密をクラッキングで抜き取って全世界にばら撒き、ついでにそれを抜き取る時に見つけた反社だの政治家だのとの繋がりの証拠も載った真っ黒な帳簿やデータも全世界に公開して会社を倒産に追い込んだのも、当然の流れだった。  しかしまだ新卒1年目の小童が想像するよりも社会というのは難しいもので、その件のせいで私は表社会に居場所を失くした。その後は流れ流れて地面師詐欺グループに拾われ、今は取り柄のハッキング能力を活かして大金をせしめている。当初は嫌々ながら加入したそこも、次第に自身の居場所になりはしたが、同時に自身が今まで私に復讐されてきた輩の側に堕ちたということも理解していた。故に、いつか自分にも報復の刃が向けられるんだろうなと、金を騙し取りながら薄ぼんやりと考えていた。 「……だからって、化け物差し向けられるのは想像できなかったわ」  突如現れた謎の化け物でこちらを蹂躙した女を見上げながら、宮瀬はつぶやいたのであった。 「店売り…店売り…これも店売り」  小さな檻にそれぞれ入れられた戦利品達に対して、愛甲真優美はつぶやく。今回の依頼のターゲットとなったチームは、地面師詐欺を繰り返してきた集団だと依頼者は言っていた。下手人の所在を掴んでいるのに警察でなく自分たちに頼むあたり、被害を受けたという依頼者の方も同類の輩であろうが、ひと屋としては商品入荷ができて有り難いのでかまわなかった。  ただ、今回は期待外れであったようで、オークションに出せる程の良個体は居なさげであった。お金にはなるから構わないけれどと言いつつもため息を漏らしながら、最後の檻の前に立つ。そこで、愛甲の眦は吊り上がった。檻の中で薬を嗅がされ横たわる女、それは一目でわかるほどに才気を放っていた。女にまばゆいばかりの才の輝きを見出した愛甲は上機嫌になる。基本的に質に期待できない依頼による捕獲で大当たりの商品を引ける、この瞬間がまた堪らないのだ。 せっかくだからその顔をじっくり見てやろうとしゃがみ込み、そして目が合った。愛甲は目を見開く、嗅がせた薬の効果で意識が朦朧としているはずの女の瞳は、その奥に憎悪の炎を湛えてこちらを見据えていた。  愛甲は立ち上がり後退りすると、大きくため息を吐いた。 「店売り…それも特売品だな」  どれだけ才能があろうと、制御できなければ意味がない。もし高値で売った後に買主の下でトラブルでも起こせば、ひと屋の信用問題にもかかわる。このおどろおどろしい瞳を見れば、矯正など不可能であることも想像に難くない。総合的に考慮したうえでの裁定を下した愛甲は、つまらなそうな足取りで収容室を後にした。 ー−−−−−−−−− 「あたた、頭いてえ…」  散らかった一室にいて、黒い体が起き上がる。部屋の主のエクスブイモン、一般的な種とは違う黒いウイルス種の個体である。 「えーと、確か昨日は競シマユニモンレースで大勝ちして、そんでダークエリアの飲み屋街まで行って…」  二日酔いの頭を何とか動かして記憶を再生させるエクスブイモンであったが、そんな中で手元に何かが当たり、なんだよじゃまくせぇとそちらに目を向ける。 「すぅ……すぅ……」  そこには、黒光りする服に身を包んだ、自身と全く異なる姿の者が寝息を立てていた。 「は?…に、人間っ!?」 「ん…うるさいわね…あっ」  エクスブイモンの上げた大声で目を覚ました人間はむくりと起き上がり、そして両者の目がかち合う。何とも言えない静寂が流れたのち、エクスブイモンの方から口を開いた。 「…えーと、どちら様で?」 「覚えてないの!?…いやまぁ、貴方かなり酔っぱらっていたものね」  呆れたようにため息をつくと、なんでもなさそうに女は言った。 「私は、昨日貴方にひと屋で買われた人間よ」 ー−−−−−−−−− 「いやー、確か賭場で大勝ちして、美味いって噂のひと屋の飯屋で飲み食いしたのまでは覚えてるんだがなぁ。まさか人間を買っていたとは」 「こっちは気が気じゃなかったのよ、まったく・・・」  そんなことをグダグダしゃべりながら、二人は薄暗い路地を歩く。エクスブイモンの住処もあるここは、多くの無法者デジモンが住まうスラム街であった。リアルワールドは九龍城砦の如く無造作に増改築がなされたもはや建造目的すら忘れ去られた巨大な建物の廃墟に流れ者のデジモンが住み着き、いつの間か一つの街となっていた場所であり、飲み屋街や各ショップはもちろん、賭場に闇医者、果てはダークエリアの入り口まである混沌とした地帯である。 「せっかくタダで貰えたのにわざわざ買い替える必要あったのか?見たところ元のより性能悪いぞ、それ」 「あれを私に使わせて私が死んだとして、新しい人間を買うお金なんてないでしょう、貴方」  話しながら、二人の視線は宮瀬の右腕…そこに巻かれていた機器に注がれていた。  宮瀬に付属していたひと屋謹製のデジヴァイスは、使用者の人間の命を削るとんでもない代物であった。先んじて取扱説明書を見て眉根にしわを寄せた宮瀬はエクスブイモンを説き伏せ、まずはデジヴァイスの買い替えを敢行した。エクスブイモンの顔見知りであるプラチナスカモンが営むジャンクショップにて長く手にすることすら憚られるひと屋デジヴァイスを売り払い、代わりに購入したのが現在宮瀬の黒光りする腕に巻かれている真っ黒なバイタルブレスなのである。店主曰く、裏十闘士なる強大なデジモンが作ってばら撒いている物らしい。 「にしても本当にそれで簡単に進化できるようになるのかぁ?」 「本当は一緒に戦ったりして絆を深めてやっとできるようになるものらしいけどね。過程を省略できる代わりに正攻法で進化するよりは多少出力は落ちるみたいだから、そこはご承知おきをって所だけれど」  言いながら、宮瀬はバイタルブレスを操り何かを入力しているようであった。エクスブイモンはそんな宮瀬を、よくわからない事柄故かあくびをしながら見やる。 「見つけましたよ、黒いエクスブイモン」  そんな緊張感のない様相が流れる中、不意に周囲が暗闇に包まれた。驚いて周囲を見渡す二人の前に、赤いマントをまとった人型のデジモンが降り立った。 「どうもこんにちは、黒いエクスブイモン。昼間から人間連れとはいい御身分ですねえ」 「てめぇ……暗闇会のヴァンデモンか!」 「その通りでございます、本日はお落とし前をつけさせてもらいに参りました」  穏やかにほほ笑むヴァンデモンに憎々し気な視線を向けていたエクスブイモンであったが、突如振り返ると宮瀬の腕を引いて路地の奥へと走り出した。 「ちょっ、いきなり何だっていうのよ!?」 「いいから来い!!」  遠ざかっていく二人の背中を見ながらもヴァンデモンは穏やかな様相を崩さず、指を一度ぱちんと鳴らす。すると闇の中から幾重もの白い影一ーバケモンとソウルモンが這い出てきた。ヴァンデモンが静かに行けと命ずれば、二人の消えた先に向かって白い影の大群が飛んでいくのであった。 「………どうやら追っては来ていないようね」 「くそ、まさかこんなに早く来やがるとは…」  積み重なった荷物によってできた物陰に息をひそめながら、二人は息を整える。体を縮こまらせて苦々しげに呟くエクスブイモンに対して、宮瀬はバイタルブレスを操作しながらも険のある声音で話しかける。 「で、貴方、アイツらに何をして追われているわけ?」 「…......いや、その、ちょっと借金を」 「自業自得?」 「いや利息が法外だったんだよ!?しかもそのことは契約書にめちゃめちゃ小さくしか書いてなくてよぉ!?詐欺だよ詐欺!!」 「………この世界に法律ってあるの?」  必死に弁解するエクスブイモンに対してため息一つつき、宮瀬はバイタルブレスに目を向ける。 「それで、いったん撤退したってことは、あのキザったらしい奴は強いのかしら?」 「ああ、奴は完全体、俺は成熟期だから一つ格上よ。俺たちデジモンにとっちゃ、1段階の差ってのはかなりでかいんだよ」 「一段階、ってことは1回進化できればアイツに追いつけるってわけね」 「えっ、もうできるのか、その進化プログラムって奴!?」 「あのデジヴァイスを売り払う前にクラッキングして色々データ抜いておいたからね。急造だから租はあるかもしれないけれど」 「みいつけたぁ」  突然割って入ってきたおどろおどろしい声に驚いて振り向けば、積み荷の上から顔をのぞかせた幽霊のような化け物がこちらを睨んでいた。 「みんないたぞぉ!こっちだぁ!!」 「くそっ、もう追手が来やがったか!?」 「あと少しで完成するから!もう少しだけ持ちこたえて!!」 見つけた一匹が合図を送れば、次々と敵の増援が現れる。対するエクスブイモンは宮瀬のいる物陰をかばうように仁王立ちし、こちらに敵意を向ける追手ーーバケモンやソウルモン達を睨み返す。両者がじりじりと睨み合う中、硬直を破ったのは敵方であった。 「やっちまえぇぇ!!」  一匹の号令の下、バケモンたちは一斉にエクスブイモンに襲い掛かる。エクスブイモンはハイブロックで防御を試みるも、物量の差にはあらがえずにその体は白い波に覆い隠された。 「ブイブレスアローーー!!!」  その波を切り裂くようにVの形をした閃光が虚空を走った。バケモンたちが吹き飛ばされてできたVの字の穴から閃光に追随するかのように躍り出たエクスブイモンは、拳を振るいバケモン達を追い払う。しかし、エクスブイモンが払いのける側からバケモン達は波状攻撃のごとく纏わりつき、それをまた払いなければ復帰した者が戦列に戻る…イタチごっこの様相を呈していた戦況は、多勢に無勢、徐々にエクスブイモンが押されていく。 「チクショウ流石に数が…おわぁ!!?」 「あと少しなのに…きゃあ!!?」  白いぼろ布が凄まじい勢いで殺到し、やがて一つの塊と化す。響いていたニ人の声も、その中に埋もれて消えて行ってしまった。 「くく、他愛もないことです」  その塊の前に、嘲りの笑みを浮かべたヴァンデモンが静かに降り立つ。革靴の音を響かせながら塊に近寄り、バケモンたちに指示を出そうと口を開いた瞬間であった。 「おああああああああぁぁぁっ!!!」  地の底から響くような絶叫とともに塊は爆裂し、目前に居たヴァンデモンも吹き飛ばされ尻もちをついた。 「なんです!?いったい何が起きたのですか!?」  壁や積み荷に激突して目を回すバケモンやソウルモン達を尻目に、ヴァンデモンは慌てふためきながら周囲を見回す。やがて立ち込めた砂埃が晴れると、そんなヴァンデモンの目前に、巨大な黒い影が姿を現していた。 「なっ!?あ、貴方、そ、その姿はっ!?」 「おおおっ!!こ、これが、完全体の!進化の力ァアアッ!!!」 【エクスブイモン 進化】 【完全体 ブラックメガログラウモン】 「はぁ、なんとか間に合ったわ…」  額の汗をぬぐう宮瀬の目前にて、メカニカルな装甲を纏った黒龍ーーブラックメガログラウモンが咆えた。宮瀬が作製していたプログラムが土壇場で完成したためにエクスブイモンから進化し窮地を脱したというわけなのだが、当の本人はその得られた力に酔いしれているかのように、変じた己の肉体を眺めている。 「くっ…付け焼刃の分際でっ!!」  尻もちをつかされた屈辱に顔をゆがませながら、ヴァンデモンが爪を突き出しながらとびかかる。ブラックメガログラウモンはそれを腕部のアーマーで受け止めると、返す刀でブレードを振りぬく。ヴァンデモンはそれを軽やかに躱すもその表情は苦々しく、対するブラックメガログラウモンは喜色をさらに濃くしていく。 「いいねいいねぇ!!今まで怯えるだけだった完全体が屁でもねぇ!!最高だぜ進化ってやつはよぉ!!!」 「調子乗ってないでさっさと倒しなさいよ!?」  目の前で繰り広げられる笑い狂うブラックメガログラウモンに宮瀬が突っ込む緊張感のない光景に、ヴァンデモンの神経はさらに逆なでされる。無言で天に掲げられたヴァンデモンの腕先に赤黒いエネルギーが集まり、それは徐々に無数の蝙蝠へと変化していく。 「…ってちょっと!?なんかあのデジモンとんでもないことになってるんだけど!?」 「あんだよ人が気分よく…ゲッ!?」  どんどん膨張するエネルギー塊は、二人が気づいたころにはヴァンデモン自身すら凌駕する大きさとなっていた。今更焦りだす二人に向けて、ヴァンデモンは充血した瞳をかっ開いた。 「ワタクシをバカにするのも大概にしなさい!ナイトレイドオオオ!」  絶叫とともに蝙蝠は放たれ、それは宮瀬とブラックメガログラウモンが悲鳴を上げる間も許さずに一瞬で飲み込んだ。 「ふふふ、蝙蝠の餌になる最期とは、下賤なあなたにはちょうどいいでしょう」  その様を満足気に眺めながら、ヴァンデモンは踵を返そうとする。  瞬間、二筋の光がヴァンデモンを貫いた。 「へ?」  同時に、間抜けな声をあげるヴァンデモンの背後で、蝙蝠の塊が爆ぜ消える。爆炎の中には、宮瀬を傍らにかばうブラックメガログラウモンが立っていた。 「いぎゃああああああ!!??」  遅まきにダメージが意識に届いたヴァンデモンは、痛みにのたうち回りだした。その様を見て、ブラックメガログラウモンはニヤリと口元をゆがませる。 「どうだよ?俺様のチクビームの味はよぉ?」 「アトミックイレイザーといいなさい」  最後の最後までふざけたさまを崩さない二人に対し、対するヴァンデモンはなんとか声をこらえつつ、オヤブンの絶叫で気絶から復帰したバケモンたちに支えられながら立ち上がる。 「おお、おのれ……覚えていなさい……次こそは、絶対に……取り立てを完遂させてもらいますからね…!」 死に体になりながらも敵意を萎えさせず、部下たちに支えられながらヴァンデモンは建物の陰に消えていく。 「ぎゃはははは!!一昨日来やがれぢぁ!!」  その背中に中指を立てながら大爆笑するブラックメガログラウモンを見やりながら、宮瀬は顎に指を当てる。 (これがデジモン…凄いチカラだわ。これなら…)  そんな事を考えながら宮瀬が眉根に皺を寄せていると、徐にブラックメガログラウモンが振り向き、宮瀬に向けて拳を差し出した。 「きゃははは!ありがとうよ、お前のお陰だぜ!えっと…」 「…ああ、そう言えばまだ名乗って無かったわね、浅見谷宮瀬よ、よろしく」 「おうよ、よろしくなぁ!!」  下品かつ豪快に笑うブラックメガログラウモンに、宮瀬は思わず破顔する。やがて、2人の黒い拳がコツンと合わせらたのであった。 ー−−−−−−−−− 「はあ、流石に疲れたわ…」  日も落ちたころ、エクスブイモンの住処の部屋にて、宮瀬は床に倒れるように座り込む。その後を追うように部屋に入ったエクスブイモンが、両手に提げたビニール袋をテーブルの上に置いた。二人はその中から缶の酒と値引きシールが貼られた店屋物の焼き鳥や唐揚げを取り出していく。 「それじゃあコンビ結成と」 「完全体進化を祝して」 「「かんばーい!!」」  缶をカチンと鳴らした後、二人は豪快にそれを飲み干す。 「へえ、美味しいわねこの唐揚げ。あの惣菜屋フライヤーの油だいぶ澱んでたのに」 「素材は安物だし機材もボロな分料理の腕は確かなんだよな、あの惣菜屋のフレアリザモン」  飲み干した缶を放り投げつつ新しい缶を開け、同時に並べられたつまみをつつきながら、2人はだらだらと話し始めた。 「んく、んく、ぷはあ……それで、こうした組むわけだけど、私の力を使って何かやりたいことでもあるのかしら?」 「もぐもぐ……いや特には、お前買ったの酒の勢いだし」 「まあそりゃあそうよね……なら私、この世界でやりたいことがあるの。あんたにも利益入ると思うわよ(枝豆を鞘から出しつつ)」 「お?なんだあそりゃ?(焼鳥を頬張りながら)」 「ひと屋をつぶす」  瞬間、落下した焼き鳥の串がカランと音を立てた。火照っていた場の空気が一瞬で冷えたような感覚をエクスブイモンは感じた。その言葉を吐いた宮瀬の顔は澱んだ目を見開き無表情になっており、先ほどまで酒精に浮かされていた様を残していなかった。 「私を誘拐して売り飛ばしたこと、私に破格値をつけたこと、私にこんな恥ずかしい服を着せたこと….全部絶対に許さない、根絶やしにするのよ」 「ひ、ひと屋を…ま、マジで言ってんのか?」 「大マジよ?残念ながらアンタが大枚叩いて買った人間はこんな異常者なの」  こともなげな声音で返す宮瀬に、エクスブイモンは背筋を凍るものを感じる。所詮下町のチンピラに過ぎない自分には流石に大それ過ぎていると感じなんと返そうかと口ごもっていると、それを見かねたように宮瀬がささやいてきた。 「で、でもよお…別に俺が付き合う義理は」 「お金」 「うっ!?」 「さっきの連中だけじゃないでしょう?しかもここの家賃も滞納してるみたいじゃない」  宮瀬が指をさす先には、床に無造作に積み上げられた郵便物の山。その差出人は多岐にわたり、その山頂には堂々と『家賃請求』と書かれた紙が鎮座していた。 「だ、だからってなあ。あんなでかいところに喧嘩売るなんざ…いくら完全体になれっからって」 「ならさらにその上…究極体だったかしら?になればいいわ」 「はぁ!?おま、マジか!?」 「流石にすぐは無理かもしれないわ。けど必ず、その力を得て見せる、どんな手を使ってもね」  何の確証もない絵空事のような、しかし確固たる怨嗟のこもった瞳を湛えながらの宮瀬の宣言。それを受けて、エクスブイモンはう〜んと考え込む。 (ひと屋=めっちゃ金が動く=金がある。究極体=強い。強いからひと屋を潰せる→金は俺のモノ) 「よし乗った!!」 「サイコー!!!」  エクスブイモンの脳内で繰り広げられた小学生低学年でも立てないような式に、内心ダメもとだったために承諾されてうれしい宮瀬は気づかない。  たった二人でどうにかできる相手なのか、どうやって究極進化を得るのか、そもそも潰すって何からやればいいのか……復讐をなすならば避けては通れない数々の障壁をひとまず隅に置きながら、2人は愚連隊の結成を記念して飲み明かすのであった。