※注意 「怪文書を読む時は部屋を明るくして出来るだけ画面から目を離して読んでくれ。また健康のため、適度な休憩を挟むのも大切だ。皆も守ってくれよな。」 「シュウ、一体誰と話してるんだ?」 「知らん。例のオジョーサマちゃんに聞いてくれ。」 ───────── 右を見ても左を見ても目に映る景色は大勢の西園寺 あああちゃんと西園寺 斎子ちゃんばかり。 ここは沢山のあああちゃんと斎子ちゃんが暮らすという『西園寺世界』…。 イレイザーへの御礼参り行脚の道すがら、キャス子ちゃんこと木末 聖煌ちゃんと大峠 佳織ちゃんが迷い込んだのはそんな不思議な世界でした。 「そう言えばキャス」 「……何?」 「あんたが連れて来た……えっと、クルモンだっけ?あれ見なくなったんだけど知らない?」 同行していた筈のクルモンが居ない事に気付いた佳織ちゃん。 何か心当たりは無いかとキャス子ちゃんに問いかけますが、頭上にハテナを浮かべて首を傾げている事からキャス子ちゃんも何も知らない様です。 「そっか〜……。あの時点ではまだ居たよね、確か…」 佳織ちゃんは今までの記憶を辿り、クルモンが何処で居なくなってしまったのかを思い返してみる事にしました。 「え〜っと、アイスを落っことしたキャスがデジモンイレイザーをやっつけるなんて言い出して…そこでクルモン拾って…日野さんがいっぱい居る世界に行って、キャスがクルモンをぶん投げたんだけど、後で相棒がこっそり回収してたのは覚えてる。 そんで日野さん達と一緒n「ゴミば〜こを飛び越〜えた先に〜ある未来〜♪」 「うるさいなぁ…もう」 どこからともなく聞こえて来た歌声で集中力を切らしてしまいそうになる佳織ちゃんでしたが、気を取り直して回想を続けます。 「デジモンイレイザーの本拠地に乗り込んで……、デカい虫に追いかけられて、半分こ怪人がいっぱい居る世界に逃げ込んで、そこでデカい虫を撒いた後は……進化したグミモンに乗って移動してたんだよ、うん。その時は間違いなく車内に居た筈…………あれ?そこが最後かも、クルモンの姿を見たの…」 声となってダダ漏れな佳織ちゃんの考え事を聞いてキャス子ちゃんはハッとしました。 グミモンが進化したギャストリーロコモンが中に人を乗せたまま退化した場合、乗客はそのままグミモンの体内に取り込まれてしまい、やがては養分にされてしまうのです。 恐らくクルモンは既にグミモンの栄養……或いはさっきグミモンが出したうん◯になってしまっているのかもしれません。 南無阿弥陀仏……。 ───────── キャス子ちゃんが大勢の勇太くん達と御礼参りに出かけていた頃…。ここ『日野勇トピア』にまた一人、お客さんがやって来ました。 「ハハハッ何ねこれ!日野くんがいっぱいたい!!」 えらく上機嫌な女の子の名前は結月 茜ちゃん。日野 勇太くんとは同じクラスのお友達です。 「お友達やなか!私は日野くんのコレやけん!」 小指を立てて必死に勇太くんとの関係をアピールして来る茜ちゃん。 どうやら勇太くんと一緒に居たい!という強い想いが茜ちゃんをこの世界へと導いたみたいです。 そんな茜ちゃんの想いはこの世界の勇太くん達にも届いたのか、難を逃r…留守番していた勇太くん達がわらわらと茜ちゃんのところへ寄って来ます。 「お、委員長じゃん」 「委員長いらっしゃ〜い」 「まぁ何も無いところだけどゆっくりしてってよ」 本来、この世界の勇太くんは茜ちゃんとは何の面識も無い筈ですが、リーディング何とかナーによる影響か、勇太くん達はみんな茜ちゃんの事をクラスメイトの委員長として認識している様でした。 大勢の勇太くんに囲まれ、茜ちゃんはとっても幸せ。ニヤニヤが止まりません。 パートナーのエレプモンもこれにはにっこり。茜ちゃんが楽しそうで何よりといった様子です。 「ところで勇太さん」 「ん?何かな?」 「あれは何?」 ふと遠くの景色を見やったエレプモンの視界に飛び込んで来たもの…。それは天を衝くほどに高く聳える巨大な銅像でした。 ───────── その頃、イレイザー狩りに勤しむキャス子ちゃんはと言うと……ある一人の男の子のもとを訪ねていました。 後ろでチョコモン、グミモン、ヌメモンの三人がピコデビモン(黒)を追いかけ回している中、交渉が進められています。 「デジモンイレイザーをやっつけるの手伝って」 「あぁ、そう言えば去年の今頃だっけ…あれからもう一年か……。良いよ、協力してあげる。」 物思いにふけりながらもイレイザー退治の依頼を快く引き受けてくれたのは宵月 灯くん。 何か困った事があればこの人の所に行けば良いとキャス子ちゃんのお母さんも太鼓判を押す頼れるお兄さんです。 「ただしその代わりに……君が大きくなったら僕とデートしてよ」 「ねぇキャス!この人、本当に大丈夫なの!?」 突然の交換条件を持ち掛けて来た灯くんに 佳織ちゃんは不安しかありません。 「何なら君でも構わないよ。三つ編みのお嬢ちゃん。」 「いいです。遠慮しときます。」 ナンパの矛先が自分に向けられた佳織ちゃんは即効でNoの返事を返しました。 それを見たキャス子ちゃん、大好きな佳織ちゃんを取られると思ったのでしょうか? 佳織ちゃんの左腕を掴んでぐいっと引っ張り、ねぇねは自分のものだという事をこれでもかというくらいに主張して来ます。 「佳織ねぇねはキャスのだから。絶対にあげない…」 「え!?ちょっとキャス!?」 腕を強引に引っ張られ、少々不安定な体勢になってしまった佳織ちゃんはキャス子ちゃんを宥めながらその腕を引き離そうと試みますが、佳織ちゃんが離れようとすればするほどキャス子ちゃんの力は強まる一方です。 「キャス!痛い痛い!」 「冗談だからね?君の大事なねぇねを取ったりなんてしないから、手を放してあげて?ねぇね痛がってるよ?」 「…!?」 灯くんも説得に加わり、ようやく腕を放したキャス子ちゃん。 痛そうに腕をさする佳織ちゃんを見てしょんぼりしてしまいます。 「……ねぇね、ごめんなさい」 「あはは、あたしは大丈夫だから…」 キャス子ちゃんは考えました。 佳織ちゃんが腕を痛そうにしているのは自分が佳織ちゃんの腕にしがみついたから、自分が佳織ちゃんの腕にしがみついたのは灯くんが佳織ちゃんをナンパしたから、灯くんが佳織ちゃんをナンパしたのはイレイザー退治のお手伝いを灯くんに頼んだから、そもそもイレイザー退治なんてしようと思い至ったのは食べようとしたアイスをデジモンイレイザーに台無しにされてしまったから……… そう、全てデジモンイレイザーの仕業だったのです。 やはりお母さんから聞いていた通り、デジモンイレイザーは度し難い極悪人でした。 悪行に悪行を重ねるイレイザーをこのまま放っておく事など出来るでしょうか?いいえ、出来る筈などありません。 「お!キャスの奴、ブチギレたぞ。こっからが見ものだぜ。」 「イレイザーもバカな奴だな。迂闊な事してキャスの逆鱗に触れちまうなんてよ」 「ん〜?そうだっけ?」 怒り心頭なキャス子ちゃんを見守るチョコモンとグミモン、そしてヌメモン。 ヌメモンだけは何か引っ掛かる様ですが、どうせ些細な事です。佳織ちゃん同様、ここまで来たらとことんまで付き合ってやると決意を新たにするのでした。 ───────── 「あれはね、ビッグユーコ神様の像だよ」 「ビッグユーコ神様?」 ビッグユーコ神……ここ日野勇トピアにて祀られている女神様で、この世界を創造し数多の勇太くんを生み出した後、神の力が宿るという伝説の宝具『イモゲンチャーバズーカ』と共に深い眠りについたと言い伝えられています。 「え〜……それ本当なの?」 「本当です!!!信じてください!!!」 勇太くんの説明を聞いてもエレプモンは半信半疑。あまりにも必死で悲痛過ぎる勇太くんの訴えもあまり効果があるとは言えません。 ですが茜ちゃんは違いました。 「私は日野くんの言う事、信じるよ。」 特に深く追求する事も無く、ただただ真っ直ぐな瞳で勇太くんの話を真に受け止めます。 さっきまで勇太さんハーレムの真っ只中に居た筈なのにいつの間に移動していたんだ、この娘は……などと頭の片隅で思うと共に、あんなバカみたいな話を信じるなんて自分のパートナーは正気なのかと不安に駆られてしまうエレプモン。 しかし茜ちゃんの真剣な眼差しを見ていると、エレプモンは彼女の言った事を受け入れざるを得ません。 「茜…本気なんだね」 「日野くんを信じて裏切られた事…今まであらんやったけん」 「そっか…じゃ、ワタシも茜が信じる勇太さんを信じる!」 「ありがとね、委員長!それにエレプモンも!」 茜ちゃん達の言葉を聞いた勇太くんはとても嬉しそう。満面の笑みを浮かべながら二人に向けてサムズアップをしてみせました。 その時、茜ちゃんの脳裏に勇太くんと出会ったばかりの頃の記憶が蘇ります。 ───三年前のその日も茜ちゃんは勇太くんからサムズアップのハンドサインを送られていました。 あまりに唐突であった為、茜ちゃんは意味が分からずぽかーんとしています。 「あはは、ごめんね急に」 微妙な反応の茜ちゃんに対して謝罪を入れつつ、勇太くんは親指を立てた自分の右手を見ながら物思いに耽る様に話を続けます。 「コレはね…古代のローマでは満足できる、納得できる行動をした人にだけ送られるサインなんだって 体育のドッジボールで戦犯扱いされてた子を庇ってた委員長、マジでかっこいいなぁって思ってさ。だから…!」 そう言って勇太くんは再度サムズアップのサインを茜ちゃんへと送りました。─── あの日の勇太くんの笑顔と今、目の前で自分に向かって親指を立てている勇太くんの笑顔とが重なり、思わず胸が熱くなる茜ちゃん。 そして少々照れの混じったはにかんだ笑顔でサムズアップを返してみせるのでした。 ───────── 一方、こちらはキャス子ちゃん&佳織ちゃん。 デジタルゲートを越え、行き着いた先はまたしても目的地となるイレイザーベースとは異なる場所でした。 今回訪れたのは魔法使いでエルフなお姉さん、トリエラさんがいっぱい住んでいる『トリエランド』。 妙な世界に迷い込むのもこれで4度目ともなれば流石に違和感を覚えるというもの。佳織ちゃんが訝しげな表情で一生懸命に考え込んでいます。 「………ねぇキャス、ちょっとデジヴァイス見せてくれない?」 「…?」 話の見えないキャス子ちゃんは不思議そうな顔をしますが、他ならぬ佳織ちゃんのお願いともなれば断る筈もありません。 言われるがまま、デジヴァイス:を佳織ちゃんに手渡しました。 「う〜〜〜ん……やっぱ見ただけじゃわかんないや」 今までデジタルゲートを経由しての移動は全てキャス子ちゃんのデジヴァイスを使用して行なっていた為、キャス子ちゃんのデジヴァイスに何か異常があるのかもとじっと観察してはみたものの、全く以て見当もつきません。 キャス子ちゃん、グミモン、ヌメモンの三人も一緒になって凝視する中、唯一チョコモンだけ目が泳いでいる事をこの時は誰一人として気付く事はありませんでした。 「(多分アレが原因だよな…)」 チョコモンの言うアレとは?時は昨日の晩にまで遡ります。 ──グミモンが進化したギャストリーロコモン(寝台車仕様)の車内にて皆が寝静まった頃、チョコモンだけは目が冴えて眠る事ができませんでした。 「全然寝れねぇ。はてさて、どうすっかな………」 しばらく考えた末に思い付いたのはビートブレイクごっこ。 眠っているキャス子ちゃんからデジヴァイスを拝借したチョコモンはそれを真上へと放り投げました。 自身も同様に跳んで、宙を舞うデジヴァイスを格好良くパクリっ。 ここまでは良かったのですが、うっかり屋さんなチョコモンは勢いあまってデジヴァイスを飲み込んでしまいました。 これはあくまで単なるごっこ遊び…。お口の中に留めておくつもりが、大きな誤算です。 「やべぇ……キャスに半殺しにされる… ………なんて焦るオレじゃねぇ!」 しかしながらチョコモンは至って冷静でした。 すぐさま成熟期のウェンディモン、完全体のベアビヲモンへと段階的に進化をします。 チョコモンの読み通り、デジヴァイスは肉体らしい肉体を持たないベアビヲモンの体内を透過し、ポトリと床に落ちました。 ベアビヲモンのその身を形成する沢山のバグにまみれて……── バレたらやっぱ半殺しだよなぁ…などという考えが頭の中を過ぎるチョコモンですが、お手軽にして最強の切り札がチョコモンにはあります。 「キャスのデジヴァイスが調子悪いのも、きっとデジモンイレイザーの仕業だぜ」 そう。デジモンイレイザーのせいにしてしまえば良いのです。 一先ずは全ての罪をイレイザーにおっかぶせて、気の済むまでイレイザーをぶちのめす…あれこれ考えるのはそれからでも遅くはありません。 チョコモンの発言に便乗してグミモンもそうだそうだと言っています。 キャス子ちゃんのイレイザーに対する怒りがより一層強くなり、佳織ちゃんがそれを宥めていたその時の事… 「君達、今デジモンイレイザーって言った?」 背後から声を掛けられました。 振り返った先に居たのはトリエラさん…即ちこの世界の住人である魔法使いのお姉さんです。 「あぁ言った言った!実はオレ達、イレイザーへの御礼参りの途中でよ〜」 とにかく話をはぐらかしたいチョコモンにとってはこれ以上無いくらいの僥倖でした。 「なるほど、ちょうど良かった。実はね…………………」 トリエラさんの話によると今日の18時、この世界にあるという『ひと屋 トリエランド支店』なる場所にデジモンイレイザーが予約していた商品を受け取りにやって来るというのです。 そして、もしイレイザーをやっつけるというのなら途轍もなく暇なので自分も是非協力させて欲しいとの事でした。 一緒にイレイザーを懲らしめる心強い味方が出来たのはこれまた僥倖です。 キャス子ちゃんは二つ返事をするかの様に頷き、トリエラさんの申し出を受け入れました。 その後は作戦会議という名目のもとトリエラさんにお茶をご馳走して貰ったり、その辺をうろついていた怪しいピチスー男をとっ捕まえてミンチにしている内に時間はあっという間に過ぎ、時計の針は17時55分を指しています。 ひと屋トリエランド支店の玄関口付近の茂みにて隠れて待機するキャス子ちゃん一行。 そろそろデジモンイレイザーがやって来る時間です。 「………」 しかしながら、待てども待てどもデジモンイレイザーはやって来ません。 トリエラさんの情報は誤りだったのでしょうか? …どうやらそうでもない様です。 しばらく待っていると、立派な髭を蓄えた白いスーツのおじさんが店内から出て来ました。 明らかに苛立った様子で辺りをキョロキョロと見回している事から誰かを待っていたであろう事が見て取れます。 「あの人、誰を探しているんだろう…やっぱりデジモンイレイザーかな?」 だったら来ないよね、多分…などと先程の出来事を思い出しながら佳織ちゃんが引き続き様子を伺っていると、マントに身を包んだ何者かが白いスーツのおじさんの前にやって来ました。 さっきまでのイライラ状態から一変、来客に対して急にへーこらし始めたおじさんの態度からもこのマントの人物がデジモンイレイザーと見て間違いなさそうです。 白スーツおじさんが店内へと約束の品を取りに戻ろうとしたその時… バッ…! マントの人物が全身を覆っていたマントを勢いよく脱ぎ捨て、その姿を露わにしました。 「えぇぇぇっ!?トリエラさん!?」 デジモンイレイザーかと思われた謎の人物の正体はなんとトリエラさんだったのです。 驚きのあまり立ち上がってしまい、茂みの中から姿を見せてしまう佳織ちゃん。ですが白スーツのおじさんも面を食らった様な表情で固まっており、佳織ちゃんには気付きません。 「はっはっはっはっは!すり替わっておいたのよ!」 「喫茶マー!!」 真実を告げられ、白いスーツのおじさんは怒り心頭なご様子。我を忘れて行き付けの喫茶店の名前を叫んでしまいます。 「ひとを売ってる屋さんキラー!トリエーラッッ!!」 格好良くポーズを決めるトリエラさん。BGMが掛かるタイミングもバッチリです。 騒ぎを聞いて駆け付けたひと屋の構成員達がぞろぞろと集まって来ますがトリエラさんは全く慌てません。 杖の先端をひと屋の人達に向けて魔法陣を展開。そして呪文を詠唱……するのかと思いきや面倒だったのか、省略して魔法名だけを高らかに叫びます。 「エクスプロージョン!!!」 次の瞬間、ひと屋トリエランド支店は大爆発を起こし、わらわらと集まって来ていたひと屋の人員もろとも跡形も無く消し飛んでしまいました。まだ中に残っていた人達も支店と運命を共にした事は言うまでもありません。 まるできのこの様な形で空へと広がった巨大な爆風がひと屋トリエランド支店の閉店を今ここに告げたのでした。 ───────── (※これはCMです) 「見てくれクロウ、デジししゃもグミ!」 「あぁ?デジししゃもグミだぁ?美味いのかよ、それ…」 いつになくはしゃいだ様子で手に持った小袋を友人の鉄塚クロウに見せびらかしているのは三上竜馬。新商品のデジししゃもグミを大層気に入っている様子だが、あまりにも珍妙過ぎる商品名にクロウの顔色は怪訝そのものだ。 「本物の子持ちししゃもさながらのプニプニ感……良い…。」 竜馬は袋からグミを一粒取り出し、親指と人差し指で摘みながらその感触を披露してみせるも肝心の味についての言及は一切しない。 「いや、だから味はどうなんだよ!?」 痺れを切らしたクロウが竜馬から小袋をひったくり、三粒ほど取り出したグミを口中へと運んだ。 「うげぇ、しょっぱ!……ただの塩味だ、これ…」 『キラキラ笑顔〜、みんなでししゃも〜♪』     声の出演 三上 竜馬   千年桜 織姫 鉄塚 クロウ  橘樹 文華 歌のお姉さん  サツキ ───────── 「日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように日野くんと結ばれますように」 ビッグユーコ神様の巨大像付近まで参拝にやって来た茜ちゃんは何やら女神様にお祈りをしている様です。 「……?」 願い事を済ませたところで右手に何か違和感を覚えた茜ちゃん。 知らぬ間にその右手には小さな赤い石が握られていました。 「何ね、これは…いつの間に……」 茜ちゃんが怪訝な面持ちで不思議な石をじっと見つめていたその時、謎のメッセージが突如脳裏を過ぎりました。 ─ヘッヘッヘ、シンパイスルコトハナイ─ 「!!?」 びっくりした茜ちゃんはキョロキョロと辺りを見回しますが、別段変わった様子はありません。 女性の様な声で囁かれた様な……確かにそんな気がしたのですが今のがビッグユーコ神様だったのでしょうか? 兎にも角にも、お祈りした効果が早速あったと茜ちゃんは前向きに捉える事にしました。 これにてここでの用事はおしまい。気を取り直し、さて勇太くん達の住む居住区に戻ろうかと思ったその矢先、目的地となる元居た場所で大きな炎が上がっているのが目につきました。 勇太くん達の身を案じた茜ちゃんは先を急ぎます。 愛する人のため、でっかいお胸をばいんばいんと揺らしながら全力疾走をする茜ちゃん。そのスピードはとんでもなく速く、エレプモンの足では追い付く事ができません。 瞬く間に距離が開いて行き、巻き起こった物凄い砂埃にむせてしまったエレプモンは置いてけぼりを食らってしまいました。 愛の力ってすげぇ…エレプモンはただただそう思うばかりでした。 Love is the strongest!愛は無敵という事実は間違いなく揺るがないのです。 一足も二足も早く戻った茜ちゃんが見たもの……それは辺り一面にひしめく真っ赤な泡の様な何かでした。 勇太くん達が暮らす街は泡に呑まれ建物は倒壊し、見るも無惨な状態です。 「…っ!?…………はっ!日野くんは!?」 激しい嫌悪感と恐怖を覚えた茜ちゃんは思わず後退ってしまいますが、すぐさま冷静になって勇太くんの安否を確認しようとするその姿勢は流石勇太くんの自称嫁と言ったところでしょうか? 茜ちゃんは気味の悪い泡を避けながら勇太くんを探し回りますが、勇太くんは見つからないばかりか、血に染まった様な赤は今にも茜ちゃんを飲み込まんばかりに彼女に迫ります。 徐々に足の踏み場が失われ、避け続けるのももう限界……と思われたその時です。 「メルダイナー!!」 間一髪、どこからともなく割って入った熱線が茜ちゃんに集る泡を薙ぎ払いました。 「委員長ーーッ!!」 「…日野くん!?」 茜ちゃんが声のした方を見上げると、翼竜の様なフォルムのデジモンがこちらに向かって飛んで来ています。 デジモンの名はラヴォガリータモン。岩竜型の完全体デジモンです。 まるで溶岩を思わせるその体表は見るからに熱そうですが、背中の上には跨っている勇太くんの姿も確認出来ます。 彼は本当に大丈夫なのでしょうか?などという疑問はさておき、ラヴォガリータモンは急旋回しながら高度を落とし、背中の上の勇太くんが茜ちゃんの方へ手を伸ばしました。 この手に掴まるよう促している事は明白ですが、やはりラヴォガリータモンに乗っても平気なのかと二の足を踏んでしまいます。 とは言え、躊躇っている暇などありません。赤い泡が再び茜ちゃんのすぐ側まで迫って来ているのです。 ─何を迷っとーと!しっかりせんね結月 茜!日野くんの事信じるって言ったばかりたい!それに………この手を取れば合法的に日野くんの手を握れる!身体を密着出来るッッ!!!─ 茜ちゃんの心にもう迷いはありませんでした。勇太くんの手をしっかりと掴み、それを受けた勇太くんが茜ちゃんを引き上げます。 勇太くんと茜ちゃんを乗せたラヴォガリータモンが浮上したその刹那、茜ちゃんの立っていた場所は完全に泡で埋め尽くされてしまいました。あと少しでもタイミングが遅れていたら……考えただけでも恐ろしくなります。 「ねぇ日野くん、あの赤い泡は一体何なの?それに他の日野くん達は?」 ラヴォガリータモンの背中、勇太くんの後ろに座った茜ちゃんはほっと一段落。 ガッチリと勇太くんの身体を掴みながら巨大なおっぱいを押し当て、気になった事を尋ねました。 「安心して委員長。他の俺は避難してみんな無事だから…。それであの赤いのは……」 答え倦ねている勇太くんのパーカーがもぞもぞと動き出したかと思うと、中からエレプモンがひょっこりと顔出しました。 「それについてはワタシが説明するよ」 「あっ、エレプモン!良かった無事で〜」 「良かった無事で〜…じゃないよ、茜。置いてくなんて酷いよ〜」 「ごめんね、つい…」 「いいよいいよ、茜は本当に勇太さんの事が好きだなぁ」 「「「アハハハハハハハハハハハハ!」」」 「三人とも笑ってる場合じゃないよ!早いとこアレを何とかしないと!」 背中の上で談笑が始まってしまった事にラヴォガリータモンは突っ込まずにいられません。どうにかこうにか軌道修正を試みた末に何とか話を戻す事が出来ました。 「あれはデ・リーパー。元は余剰なデータを削除するためのプログラムだったって話だよ。それが今じゃあんな恐ろしい化け物に…」 さっきまで楽しくお喋りしていた事が嘘みたいにエレプモンが身震いしながら話します。 「なんでそんなのが急にこの世界に現れたの?」 茜ちゃんの質問に今度は勇太くんが応えました。 「デジモンイレイザーって奴の仕業だよ。俺の大半が出払っている隙を突いてこの世界に持ち込んだんだ。大勢の俺をハシュマモンに変えたのも、敢えて俺達を挑発して殴り込みを誘ったに違いない!…おのれイレイザーめ!」 勇太くんの言動一つ一つから彼の悔しさが伝わって来ます。 話を聞いた茜ちゃんも怒りを覚えずにはいられません。 「(なしてそげんえずい事が出来ると…。 日野くんはただこの世界で平和に暮らしてただけやけん…)」 込み上げて来る憤りを抑えきれなくなった茜ちゃんは勇太くんを掴む腕の力を強めながら問いかけました。 「そのイレイザーってのはどこにおると!?ウチがとっちめてやるっちゃ!」 「とっちめるなんて言ったって……」 イレイザーの居場所を尋ねられ、勇太くんがある一点に視線を向けます。 ところ狭しと犇めくデ・リーパーの中心部…悍ましく聳え立つそれはまさにデ・リーパー達の親玉__マザーと呼ぶに相応しい存在でした。 「デジモンイレイザーはあれに変身したんだ。」 一言呟いた勇太くんの表情にはどこか諦めが垣間見えます。 「俺達の世界で戦える力を持った俺は皆ハシュマモンに変えられて今は不在…残ってる俺の中でまともに戦う事が出来る俺は俺くらいなもんで…」 あまりにも俺俺うるさいので茜ちゃんは少しイライラしてきました。 「せからしかっ!!このまま手をこまねいとっても、どのみちあれにやられるんは変わりなかやろ! 日野くんが戦わん言うんならウチ一人でもどげんかするばい!あれの近くまで連れて行きんしゃい!」 「そんな無茶苦茶な…」 「……ウチはこれ以上日野くんの日常が壊されるのを見とうなか!!」 その時、不思議な事が起こりました。 勇太くんを守りたいという茜ちゃんの強い想いに呼応するかの様にビッグユーコ神様から授かった石がポケットの中で強い光を放ち始めたのです。 「こ、これは……!?」 ポケットから取り出された石は茜ちゃんの手の中でより一層輝きを増しながら肥大化し、次第に形を変え始めました。 後ろを振り返って様子を見ていた勇太くんは驚きを隠せません。茜ちゃんの手元で姿を変えたそれが何なのか、一目でわかったからです。 「これは伝説の宝具!イモゲンチャーバズーカ!?」 「イモゲンチャーバズーカって……この世界の神話に出てきた、あの?」 「そうだよ、委員長!きっとビッグユーコ神様が委員長を選んだんだ!」 さっきまでとは打って変わり、テンションだだ上がりな勇太くん。 茜ちゃんは目の前で起きた事に理解が追い付かないでいますが、日野くんがそう言ってるならきっとそうなんだろうとあまり深く考えない事にしました。 「これがあったらあのデカいのも……」 「うん。なんかいける気がする!」 勇太くんの合図でラヴォガリータモンは方向転換。デ・リーパーの親玉が居る方角へ舵を取りました。 いかに神の力が宿った宝具と言えど当たらなければ意味がありません。 イモゲンチャーバズーカの射程圏内に入るべく、マザーデ・リーパー目掛けて突き進みます。 一方のマザーデ・リーパーは外敵の接近を察知したのか、次々と雑兵を差し向けてきました。 サーチャー、ペンデュラムフィート、バブルス……無数のエージェント達が現れてはラヴォガリータモンの行く手を阻みます。 「一気に行くよ!ラヴォガリータモン!」 それでもラヴォガリータモンは決して怯みません。迫り来るデ・リーパー達の猛攻を掻い潜り、速度を上げ、マザー目指して一直線。 「ウオオオオオッ!!ラヴォガリータモン究極進化ァァァァァッ!!!」 前進するラヴォガリータモンの身体が突如眩い光を放ったかと思うと輝きは彼の全身を包み込むように広がり、その身を新たな姿へと変化させます。 「ヴォルケニックドラモン!!」 究極体へ進化した勇太くんのパートナーは体中から灼熱の炎を噴き出しながら、周囲のエージェントを焼き払い、一気にマザーデ・リーパーの懐へと飛び込みました。 ここからならば確実に……そんなところでデ・リーパーの更なる追撃が勇太くん達に牙を剥きます。 津波の如く襲い来る赤い泡が瞬く間にヴォルケニックドラモンに覆い被さり、勇太くん達もろとも飲み込んでしまったのです。 しかしながらここまで来て諦めるわけにはいきません。 「みんな……しっかり掴まっててくれ…!」 大人しく消化などされてたまるものかとヴォルケニックドラモンは力を振り絞り、その身体を高速で回転させ始めました。 回れば何とかなる…。ウルトラの世界でお馴染みのこの法則はデジモンの世界でも効果覿面、ヴォルケニックドラモンの巨体を覆っていた泡を瞬時に吹き飛ばす事に成功します。 対するデ・リーパーの執念も相当なもので、攻撃の手が緩む事は決してありません。 今度は地表から伸びた鎌状の触手がヴォルケニックドラモンに容赦なく斬り掛かり、そのマグマで出来た身体を呆気なくバラバラにしてしまいました。 デ・リーパーの勝利に終わったかと思われましたが、これはフェイク。 ヴォルケニックドラモンが溶岩を固めて作った泥人形だったのです。 マザーデ・リーパーの死角から現れ、悠然と羽ばたくヴォルケニックドラモン。 「粘土細工は得意でね。知らなかったかい?」 マザーはすぐさま対応するかの様な動きを見せますが、時既に遅し。マザーデ・リーパーへと向けられた砲門は完全にその巨体を捉えていました。 これでチェックメイト。茜ちゃんは目の前の敵に鬼塚光ちゃんの姿を重ね、引き金を引きます。 「地獄に落ちんね!!この脳味噌ド腐れゲロ豚ビッチ娘がァァァァァァァァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ッッッ!!!」 放たれた弾丸は一直線に突き進み、マザーの顔面に直撃。邪神の如き醜い顔を跡形も無く吹き飛ばしました。 残った身体やそこかしこに広がっていた泡、周辺を闊歩していたエージェント達も主を失うと同時に風化する様に消えて行きます。 かくして、デジモンイレイザーの野望は潰え、日野勇トピアに平和が戻ったのでした。 ───────── 「ダブルヒーローのご帰還だ!」 「流石委員長!頼りになる〜」 「委員長とエレプモンが居なかったら一体どうなっていた事やら…」 「委員長こそ真のイモゲンチャーだよ!」 戦い終え、帰還した茜ちゃん達を大勢の勇太くん達が出迎えてくれました。 しかしながら茜ちゃんはどこか不服そうです。 「なんでウチとエレプモンだけ!…この日野くんとヴォーボモンだって頑張っとったとよ!」 「まぁまぁ。実際、委員長がビッグユーコ神様に選ばれなかったら俺達は詰んでたわけだし」 俺は別に気にしてないからと勇太くんは説得を試みますが、それでも納得がいかない茜ちゃん。 「…………」 悩みに悩んだ末、茜ちゃんは勇太くんに向けて親指をグッと立ててみせました。 ちょっぴり照れ混じりでサムズアップをする茜ちゃんに勇太くんは面を食らった様な顔をしています。 「えっと…古代ローマだと満足できる、納得できる行動をした人にだけコレが送られるんだよね!?だから、私と一緒に戦ってくれた日野くんに!…私からっ!!」 そう言って茜ちゃんは親指を立てた右手を再び勇太くんに向けて力強く差し出します。 それを受けた勇太くんはとても嬉しそうに目を細め、そしてサムズアップで応えてみせるのでした。 ───────── その同じ頃……… 「おのれ……次こそは必ず…」 人通りの無い場所でボロボロになりながらも地を這う人影が一つ。デジモンイレイザーです。 マザーデ・リーパーが倒されると同時に死亡したかと思いきや、しぶとく生き延びていた様子…。 デジタルゲートを開けて本拠地への撤退を試みるイレイザー。 しかしそれを阻むかの如く、ゲートからは小さな人影が現れました。 さっきまで復讐の野望に燃えていたイレイザーの顔色が一気に絶望一色に染まります。 「木末……聖煌!!何故だ!?どうしてここに!?」 「もう諦めて……何をやったってしくじるもんなんだよ。ゲス野郎っていうのは!!」 次の瞬間、キャス子ちゃんの背後からグミモンが飛び出し、全身を発光させながらイレイザーへと向かって行きました。 グミモンは究極体のアンデッド型デジモン__マッドラクモンに姿を変え、手に持った杵を力任せに振り降ろします。 「チタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプ!!」 杵で一発入れては振り上げ、再び振り降ろし、何度も何度も何度もイレイザーをぶっ叩くマッドラクモン。 イレイザーはひたすら殴られ続け、為す術もありません。 「お前もチタタプって言えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっっ!!! チタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプ!!! チタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプ!! チタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタププチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプチタタプ!!!」 ぐちゃぐちゃの挽き肉になってしまったデジモンイレイザーはぐしゃりと音を立てて地べたに落下。今度こそ引導を渡される事となりました。 その様子を遠くから眺めていた一匹のピコデビモン。 キャス子ちゃんの動向を見届けた小悪魔デジモンは眼前で開いたゲートに飛び込み、薄気味の悪い池の畔へと辿り着きました。 池は彼の到着を待っていたとばかりに水面が波立ち、鬱蒼と茂った木々がざわめき始めます。 「待ちかねましたわよ。あの子は上手くやっているのかしら?」 どこからともなく聞こえて来た謎の声に対し、ピコデビモンは見てきた事を逐一報告しました。 そしてデジモンイレイザーがキャス子ちゃんの楽しい選ばれし子供ライフを邪魔しようとしている旨を伝えたその刹那…辺り一面は真っ黒な霧で覆われ、ピコデビモンはまるで空気が凍りついたかの様な感覚に襲われました。 「懲りない人………ピコデビモン、すぐに準備なさい。今年もアレ、やりますわよ」 「はっ!」 謎の声の命を受け、ピコデビモンはすぐさま飛び立ちます。 声の主の言うアレとは果たして何を意味するのでしょうか? そして、池の中に潜むこの得体の知れない存在の正体や如何に (つづく)