二次元裏@ふたば

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133747 B26/02/08(日)00:54:02No.1399839883+ 02:33頃消えます
「おなか空いたなぁ。
今、すごく肉まんの気分なんだ。きみも食べたくない?」
「食べたいよ。シービーがこのページ終わらせてくれたらな」
楽しげに微笑んでいた彼女があっという間に拗ねた表情に変わるのが面白くて、つい吹き出してしまった。きみのせいでもっと拗ねちゃいました、と言いたげなわざとらしい眉根の寄せ方をしている彼女も、なんだかんだでこの時間を楽しんでいるのだろう。
そのせいで肝心の試験勉強がほとんど進まないのが、唯一にして最大の問題ではあるのだが。
126/02/08(日)00:54:21No.1399839987+
案の定と言うべきだろうが、彼女は座学が苦手だった。出席日数が足りなくなるとレースにも影響するので適度に授業に出るようには促しているのだが、それでも退屈な講義はあっさりと抜け出してしまうあたり、じっと座ってただ説明を受けるというのがよほど心に響かないのだろう。
「やっぱり授業は退屈か?」
「うん。でも、やり方の問題だと思うんだよね。新しいことを知るのは好きだからさ。
きみが先生だったら、ちょっとは違ったのかも」
彼女の言葉は嬉しいが、買い被りすぎだろう。自分も学生時代は、随分授業を睡眠時間に充てていた気がする。
226/02/08(日)00:54:40No.1399840078+
やはり、自分と彼女の退屈は種類が違う気がする。彼女の場合、向上心や好奇心はむしろ人一倍強いのだが、そのせいで平凡な授業が退屈になってしまうのだろう。
「俺がやったからって、退屈なものは退屈な気がするけどなぁ。
でも、やっぱり話すのが上手な先生とか、教え方が面白い先生はいたな」
一応、指導するという立場は共通しているから、彼女のトレーニングのときにもそういう人たちを思い出して、退屈させないような話し方を心がけることはある。だからといって本当に話し上手な人たちには遠く及ばない気がするのだが、彼女はそれを待っていたと言わんばかりにころころと笑った。
「そうでしょ?
だから、きみには期待してるんだ。いつもアタシの心を汲んでくれるからさ」

無垢の象徴のように思われがちな彼女だが、こういうときは実にずるい言い方をする。
彼女の期待というものがこちらにとってどれだけ魅力的に映るか、何もかも知り尽くしているのだから。
326/02/08(日)00:55:04No.1399840204+
「まっすぐ走ればいいんだよね」
「ああ。でも、紐はしっかりぴんと張るようにしてくれ。あと、俺を引きずっていかないようにな」
紐の片方の端を彼女に持たせて、もう一方の端は自分が持つ。
結局は期待に満ちた彼女の視線を裏切れなくて、グラウンドまで来ている。これが正しい教え方かはわからないが、彼女にとっては自分で身体を動かしてもらう方が退屈せずに済むだろう。
「一度止まって周りを見てみなよ。シービーが走ったところが円になってるだろ?
じゃあ、もう一回走ってみようか」
彼女はなかなか加減が上手く、こちらが引きずられないぎりぎりの力で走ってくれている。これなら勢い余って転ぶこともないだろう。
紐から手を離すと、彼女はみるみるうちに真っ直ぐ遠ざかっていった。
「飛んでいっちゃったよ?」
「だろ?シービーは円を描いて走ってるわけじゃないから、紐がないと真っ直ぐ進んでどこかに行っちゃう。
惑星も同じなんだよ。真ん中に引っ張る力がないと、円を描いて回らないんだ」
426/02/08(日)00:55:25No.1399840343+
歩みを止めた彼女が、微笑みながら戻ってくる。普通の天体は絶対に取らないような、まっすぐな足取りだった。
「じゃあ、きみのところに戻ってきたくなっちゃうのは、きみが引っ張ってるからなのかな」
「…よく言うよ。どれだけ引っ張っても俺ごと引きずって、どっか行っちゃうくせに」
てんで不規則な軌道を描いて、出ていったと思ったらひょっこり戻ってくる。
惑星というより彗星がぴったりだ。そのくせ、戻ってきたときは誰よりも眩く夜空を彩っているのだから。

「引力って素敵だね。
アタシがきみに惹かれてるときは、きみも同じだけ強く、アタシに惹かれてるんだから」
紐もないのにくるくると自分の周りを回る彼女が眩しくて、ずっと目で追い続けていた。
情けない太陽がいたものだ。
自分が引っ張るよりも強く、楽しそうに回る星に惹かれてしまっているのだから。
526/02/08(日)00:55:43No.1399840460+
いつの間にかすっかり日が暮れて、窓辺には茜色の影が差していた。
「すごいな、なんだかんだでこんなに進んでるぞ。正解率も上がってきた」
「ふふっ。褒めても勉強は好きにならないよ?
だから、またきみに教えてもらわないとね」
夕映えに照らされた彼女の微笑みがやけに眩しい。魅入られたように何も言えなくなって、くすくすと笑う彼女の声だけが、誰もいない教室に響いた。
頬が赤いのも、夕焼けのせいにできたらよかったのだけれど。

「なんで、ここにしたんだ?」
やる気になってくれたところに水を差したくなかったから訊かなかったが、わざわざ空き教室で勉強をする彼女の意図は、今でもわからない。なのに彼女は、ほんとにわからないの、と言いたそうに、やはりくすくすと笑っている。
「きみと机を並べて、勉強してみたかったんだよ」
626/02/08(日)00:56:14No.1399840637+
時々、今と違う人生を送っていたらどうなっていたろうと、考えることがある。
今が不幸だからではない。むしろ今が楽しいからこそ、あのときああしていたら、もしこのひとと違う出会い方をしていたらと、現実を組み替えて想像に耽る楽しさに浸れるのだ。
きみが隣にいて、一緒の学校に通って、一緒に大人になっていたら、きっとそれも楽しかっただろうな、って。
「学校はすごく楽しいよ。勉強は退屈だけど。
でも、きみと一緒に学校に行けないのだけは、ちょっとさみしい」
競い合う友達がいて、自由に走れるこの場所は好きだ。でも、もしもアタシが普通の学生で、今よりもまだ青いきみと同じ青春を過ごしていたらという想像には、抗い難い魅力がある。
「…それはそうだろ。俺はもう学生じゃないし」
「うん。だから、普通の学校に一緒に通えたら、どんなふうになってたのかなって思うんだ。
きみはどんな学生で、どんな夢があったのかな。どんなふうに、大人になっていったのかな」
726/02/08(日)00:56:52No.1399840830+
光が茜色の粒になって、教室の中に散りばめられている。その中に立っていると、いつもよりきみがずっと綺麗に見える。
きみのことが好きだ。だからこそ、今の大人のきみしか知る術がないことが、ほんの少しだけ悔しい。
アタシの知らないきみの横顔を、こうして机を並べて見ていたかった。
「こうやって隣に座って、どうでもいいことを話してさ。先生にもう帰らなきゃいけない時間だって言われて、もっとそばにいたいなって思ったり、ふたりで一緒に見た夕焼けは、いつもより綺麗だなって思ったり。
そんな他愛もない時間を過ごしてるうちに、やっぱりきみのことを好きになってたのかな、って」
826/02/08(日)00:57:10No.1399840917+
こんなふうにきみに寄りかかっても、昔のきみは今みたいに抱き寄せてくれただろうか。照れて固まってしまったきみの赤い横顔が、あったかどうかもわからないのに恋しくなった。
「そんなに眩しい青春じゃなかったよ。受験は大変だったし、可愛い同級生もいなかったしな」
それを聞いてうれしくなった。きみの青春が手つかずのまま残っているのなら、アタシのものにしてしまうことだってできるかもしれないのだから。
「ふふふっ。じゃあ、きみも今日だけやり直してみる?」

どういう意味かわかりかねているうちにペンを持ったアタシを見て、彼は不思議そうな顔をした。
「きみがいたから、アタシも今日は頑張ったんだよ。
だから、このページの問題全部解けたらさ、ご褒美ちょうだい」
さらさらとペンを走らせる様を見て、彼の目がますます呆気にとられたように丸くなる。さっきまでちっともやる気のなかったアタシが、これほど俊敏に問題を解くのがよほど不思議なのだろう。
926/02/08(日)00:57:20No.1399840948+
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色々あるが割と瀬戸際な世界だからンナ
生活の為にはアングラな事して戦わざるを得ない人がおかしくはないくらいには
1026/02/08(日)00:58:43No.1399841305+
言ったじゃん。ご褒美があるから頑張ったって。
「…全部、合ってるな」
きみとの青春がすぐそこで待っているのに、こんな問題に構ってはいられない。
「ん。
じゃあ、思い出作ろっか」

きみの時間がほしい。昔も、今も、これからも。
昔に思い入れがないなら、アタシ色でとびきり綺麗に塗りつぶしてしまいたい。
「こうやって誰もいない教室で向かい合ってさ。
告白しあうっていうの、結構好きなんだよね」
1126/02/08(日)01:00:11No.1399841677+
きみの唇から、知らない味がする。まだ青くて、初々しくて、けれどもっと食べていたいような味。
まだ愛してると言い慣れていない唇の、やわらかくて瑞々しい味。
甘酸っぱい青春は、口移しで味わうに限る。
1226/02/08(日)01:01:26No.1399841979そうだねx1
おわり
CBみたいな同級生に脳を焼かれる青春を送りたかった
1326/02/08(日)01:03:48No.1399842648+
とびきり顔が良い変人の同級生いいよね
1426/02/08(日)01:05:34No.1399843210+
共学にいたら脳を焼かれる犠牲者が倍に増えるからダメ
1526/02/08(日)01:07:34No.1399843866+
弁当をねだられる代わりにどこかで摘んできた花をくれる
1626/02/08(日)01:07:52No.1399843954+
>「おなか空いたなぁ。
>今、すごく肉まんの気分なんだ。きみも食べたくない?」
えっちな話かと思った
1726/02/08(日)01:14:03No.1399845922+
周りからシービー係みたいな扱いされたい
振り回されてるみたいな顔して内心ではシービーと一緒にいられることに喜びを感じたい
1826/02/08(日)01:21:10No.1399847964+
放課後教室に来てよって言われて一抹の期待をしながら散歩してたら綺麗な花見つけたんだって言われてああやっぱりシービーはシービーだなって笑いたい
そういう話にはなりそうにないなって諦めてたらあげるって言われて不意打ちで顔近づけられて小指に花の茎を巻き付けられてくすくす笑うシービーに脳を焼かれたい
1926/02/08(日)01:24:43No.1399848918+
>周りからシービー係みたいな扱いされたい
>振り回されてるみたいな顔して内心ではシービーと一緒にいられることに喜びを感じたい
ほとんどエースじゃないかこれ
2026/02/08(日)01:33:27No.1399850884+
スレッドを立てた人によって削除されました
いやスレ「」はシービーには異性の恋愛相手の方が似合ってると思ってるよ
2126/02/08(日)01:46:44No.1399854067+
学校帰りにチョコ買って交換するバレンタイン
2226/02/08(日)01:47:39No.1399854298+


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