二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1768812961501.jpg-(28440 B)
28440 B26/01/19(月)17:56:01No.1394015402そうだねx7 19:32頃消えます
 クイックキャメル721は鼻歌を歌いながらリヨン市庁舎のアーチをくぐり、ルネサンス風の壮麗な装飾が施されたエントランスを大股に横切って「福祉課」と書かれたドアを開けると、ポケットに握りしめていた二枚のチケットを意気揚々とカウンターに置いた。
「デイクォーターパス、二枚使うから。ランチを挟んだ四時間でお願い」
 デイクォーターパスはその名の通り、司令官の昼間の時間の四分の一を予約できる券である。司令官パスの中では比較的発行数が多く、ベテラン隊員のあいだでは一種の最高額貨幣として流通している。今キャメルが出した二枚のうち一枚は以前戦闘報賞でもらったもの、もう一枚はサラマンダーとのポーカーで勝ち取ったものだ。潜水艦オルカ号時代からの古参である721にとっても、一度に二枚使うのはたいへんな散財といえたが、今回の勝負服にはそれだけの価値がある。渾身のアメスクスタイルを、なんとしても司令官の脳に焼き付けるのだ。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
126/01/19(月)17:56:13No.1394015468+
 しかし、受付に座るコンスタンツァは券を確認するとちらりとコンソールに目をやり、気の毒そうに言った。
「今日と明日は全日埋まってしまっています。おそらくは、今週いっぱい空かないかと」
「はあ!? どういうこと!?」
 キャメルが目をむく。コンスタンツァはキャメルのIDを確認し、古参の士官級隊員であることを確かめると、身を乗り出してすこし声をひそめた。
「昨夜、ユミさんがこちらへ到着されましたので」
「……あー……」
 つり上がっていた眉がすっと下がる。「035?」
「はい」
「そりゃしょうがないかあ……」
 キャメルはチケットを懐にしまい、きびすを返した。
 とりあえず、サラマンダーを探し出してとっちめよう。今週末が使用期限のデイパスをああも簡単に手放したのは変だと思っていたが、どこからか今回の情報を仕入れていたに違いない。
226/01/19(月)17:56:29No.1394015545+
 * * *

 愛しい人の腕が自分の体に回され、優しく、たくましく抱きしめてくれていた。コネクターユミ035はこの上なく幸せなまどろみにしばらくの間ひたり、それから愕然として覚醒した。
 寝てしまった。なんにもしないうちに寝落ちして、朝までぐっすり眠ってしまった。
 セリフもシチュエーションも山ほど考えてきたのに。ランジェリーだってとっておきのものを選んで、ディナーのお酒もあえて控えめにしたのに、すべてが無駄に……!
「よく眠れたみたいだね」うろたえるユミの頭上から、柔らかい声が降ってきた。
「司令官、あの、私……」
 振り向いたユミの頬に手が触れ、あたたかい指が目のまわりをそっと撫でる。
「目のクマが取れてる。よかったよ」
 司令官が微笑んでいた。あたたかい腕にやさしく抱き寄せられて、目の奥をのぞき込まれる。それだけで、ユミはもう何もかもどうでもよくなってしまった。
「まずは体調をととのえるのが一番。もう少しのんびりしてから起きようか。まだまだ時間はあるんだし、な?」
「……ひゃい」
326/01/19(月)17:56:45No.1394015616+
 * * *

 きっかけは仕事上がり、隣にいたアルファのタブレットを何気なくのぞいたことだった。
「そんなお顔をなさっても、もう今日の仕事はありませんよ」
 そんなに物欲しげな顔をしていただろうか、と苦笑して帰りかけた俺は、何か引っかかるものを感じてもう一度画面をのぞき込んだ。それはどうやら隊員たちの勤務表で、ずらりと並ぶリストのうち一行だけがやたら真っ赤に染まっていたのだ。
「ははあ、今月の残業時間……が……220時間!?」
 アルファは一瞬だけ目を閉じた。見られたくないものを見られてしまった、という時の仕草だ。俺が隣の椅子に腰掛けると、アルファは小さくため息をついて居住まいを正した。
「ユミさん……コネクターユミ035さんです。彼女はネットワーク保守責任者、サーバ管理責任者、基地局拡充責任者を兼任しており、しばらく前から過大な業務が集中してしまっています。私達も問題だとは思っているのですが」
「なんでそんなことになってるんだ? 分担すればいいじゃないか」
426/01/19(月)17:57:08No.1394015740+
 コネクターユミ035なら俺も知っている。オルカ号時代からいる最古参のユミで、ずっと通信インフラの整備を担当してくれていた。物資もとぼしく、鉄虫による通信妨害もある中で、オルカと外部拠点との通信を維持できたのは彼女の奮闘のおかげだと聞いている。
 が、それももう昔の話だ。今のオルカは当時とは比較にならないほど機材も人員も充実した。アルファもベータもスカディーもいるし、なんならコネクターユミだって何十人もいるのだ。035一人だけがこんなケタ違いの超過勤務をする必要などないはずだ。
「そうもいかない理由がありまして……」
 アルファは観念したのか、画面にいくつかのリストを呼び出して長い脚を組んだ。
「まず、彼女は旧時代からの生き残り個体です。ずっと通信インフラ業務に従事しており、人類滅亡前と滅亡後両方のあらゆる障害やトラブルを経験しているため、保守エンジニアとしての技術はずば抜けています。他のどのユミモデルにも、035の代わりは務まりません。加えて、彼女の業務の特殊性があります。これは少し専門的な話になりますが……」
526/01/19(月)17:57:25No.1394015828+
 という前置きから入った説明は本当に専門的で俺には半分も理解できなかったが、要するに鉄虫の支配領域がいたる所に広がっている今の世界における通信インフラ整備とは、実際に世界各地に出かけて基地局ユニットを設置する作業に他ならない。設置にあたっては出力・通信帯域・暗号化強度・カモフラージュ周波数など数多くの設定を、設置場所の環境に応じてその場で決めなくてはならず(時には鉄虫の支配領域ギリギリに設置し、一瞬で設定して逃げなくてはいけない場合さえある)、その判断基準はいまだにマニュアル化できていない。さらに今は多くの独立共同体が次々とオルカに参入してきており、彼らのローカル通信機器をオルカのネットワークに組み入れる作業も並行して進める必要がある。安全管理上この二つの業務は不可分であり、経験と判断力をそなえた誰か一人が担う以外に、スムーズに進める方法はない。
「つまり、ユミに全部やってもらうしかない……ということで合ってる?」
626/01/19(月)17:57:47No.1394015926+
「完全に合っています」アルファはこめかみを押さえて、もう一度ため息をついた。「いくつかの業務はベータに移管しましたし、後継者の育成も進めていますが、完全な解決にはまだまだ……」
「話はおおよそわかったけどな」
 このままにしておいていいとは到底思えない。俺は人よりちょっぴり働くのが好きなタイプだが、その俺から見てもユミ035の働き方……というか働かされ方は常軌を逸している。デルタやベータの搾取からバイオロイドを解放したと言いながら、一番身近なベテラン隊員にこんな過酷な労働を強いていたのではオルカの理想も何もあったもんじゃない。
「あの子はもともと、北米で私の下にいたんです。なまじ付き合いが長いので、彼女の勤勉さに甘えてしまっていたところは正直あるかもしれませんね……」アルファは目を伏せた。実際的な彼女がこんな歯切れの悪い物言いをするということは、確かにずっと気にかかってはいたのだろう。
 話を聞くかぎり、彼女の仕事そのものをすぐ減らすことはできない。通信インフラは医療・教育・福祉・流通などすべてにかかわる最優先の課題だ。整備の遅れが文字通り生死を分けることだってありうる。
726/01/19(月)17:58:06No.1394016000+
「感謝の印として、ボーナスみたいなものを出せないか」
「それは出せますが、彼女かなりの貯蓄があるはずです。残業手当が相当な額になっていますから」
「金銭的なものじゃダメか……」
「ユミ035さんの件ですか?」
「わっ!」
 いつの間にかアルマンがすぐ横に来ていた。「アルマンも知ってたのか」
「私の管轄ではありませんが、そういう事態になるのではないかと予測してはいました」アルマンはアルファと目配せを交わし、
「ひとつアイデアはあります。陛下のご協力が必要になりますが」
826/01/19(月)17:58:26No.1394016102+
 * * *

 ソワンの作った軽めの(でも夢のように美味しい)朝食を食べてからリヨンの街を散歩。何の目的もないただの散歩なんて、いつ以来だろう。
「このブティックは先月オープンしたばかりでね、結構人気らしいよ。俺にはよくわからないけど」
「そうなんですね。わっ、素敵な柄」
 花々をめぐる蝶のようにウィンドウショッピングを楽しんだあと、カフェのオープンテラスで昼食。
「ずいぶん買ったなあ」
 テーブルの左右に、まるで砦のように立ち並んだ大量のショッピングバッグを眺めて司令官が笑う。
「久しぶりで、テンション上がっちゃいまして」
 ユミも照れ笑いを返す。どうせ使う暇もない残業手当が貯まり放題貯まっていたのだ。今使わずしていつ遣うというのか。
「何にする? 新メニューのレモンチーズスフレ、美味いよ」
「じゃあ、それで。あとランチプレートと……ベリータルトもいいですかね?」
「いいに決まってるさ」
 無数の視線とささやき声が背中に浴びせられるのを感じる。当然だ。司令官と二人きりでランチをしていて、注目されないはずがない。ちょっぴりの罪悪感と圧倒的な優越感に、ユミは妙な笑いを浮かべてしまう。
926/01/19(月)17:58:49No.1394016206+
 デート中の司令官に声をかけたり、関心を引こうとしてはならない。オルカに加入した者が最初に叩き込まれる鉄のマナーの一つである。だからどれだけ注目されようと、誰にも邪魔される気遣いはなく彼を独占できる。今日一日じゅう、いや明日も、明後日だって。何しろ懐には……
「お待たせしました。チーズスフレとランチプレート、ベリータルトです。それから、こちらのカフェ・クレームは当店から」
「ふえっ!? あ、ありがとうございます……っ!?」
 我に返って飛び上がったユミは絶句した。皿を運んできたのが、とんでもなく大胆な制服に身を包んだ無敵の龍その人だったからだ。彼女がたまにカフェ・ホライゾンで一介のウェイトレスとして働いている、という噂は耳にしたことがある。都市伝説だと思っていたが、まさか本当だったとは。
「貴殿がユミ035か?」
 デート中の司令官に話しかけてはいけないが、デート相手の方に対してはその限りではない。ユミがうなずくと、龍は静かに微笑みかけた。
1026/01/19(月)17:59:10No.1394016300+
「世界規模の通信環境が維持できているのは貴殿のおかげだと聞いている。我々海軍も大いに世話になった。ささやかながら、小官秘蔵の豆を使わせていただいた。楽しんでもらえるとありがたい」
 そして司令官の方へはそっと一礼だけをして、一言もかけないまま龍は下がっていった。
「あ……」
「ま、いただこうか」
 司令官がカップを口元へはこんだのにつられて、ユミも一口すすってみる。
「美味しい……!」
 鼻孔に吸い込まれてくる目の覚めるような香り。クリームに和らげられた深い苦味と、どこまでも広く豊かなコク。まだ砂糖を入れていないのに、甘味さえ感じられる気がする。連日エナジードリンクにぶち込んでいたエスプレッソショットとは同じコーヒーと呼ぶのもはばかられる。そうだコーヒーとは本来、こういう風に味わうものだったのだ。
「よかった」司令官が微笑む。
「あとで……」
「うん?」
「いえ」
1126/01/19(月)17:59:27No.1394016395+
 あとで。このデートが全部終わったあとできっと、この人は龍の所へ行って、コーヒーの感想とお礼を言うのかもしれない。でも今この時、彼は龍に一言もかけなかった。目さえ合わせず、ずっとユミだけを見ていた。いくらかの後ろめたさを覚えながらも、それがユミにはたまらなく嬉しかった。
1226/01/19(月)17:59:49No.1394016497+
 * * *

 コネクターユミ035の昨年の精勤をたたえ、司令官一日フリーパスを10枚支給する。
 それがアルマンの提案だった。
 司令官一日フリーパスは祝い事や特別な勲功のあった時にだけ発行するものだ。最高幹部の中にさえ、5枚以上持っている者はあまりいないだろう。それを10枚支給するというのは俺から見ても、文字通り破格の待遇だ。
「それはさすがに……軍部や他のところから不満が出ませんか?」
 アルファがもっともな懸念を口にする。一日フリーパスの大半は、戦闘での功績を賞するために発給されている。ユミの仕事が重責なのはもちろんだが、戦場で命を張っている兵士達を軽んじるようなこともしたくない。
「ですので譲渡不可、有効期限付とします」予想ずみの反応だったらしく、アルマンはよどみなく答えた。「昨年一年間で、ユミさんがリヨンの自宅で寝泊まりしたのは六日間のみ。あとはすべて出張泊か職場泊です。10枚支給しても年内に使えるのはせいぜい三枚か四枚でしょう。これなら、不当に高い報賞にはなりません」
 出すものは盛大に出しつつ、実際の消費は最小限に抑えるというわけか。確かに巧妙ではあるが……。
1326/01/19(月)18:00:04No.1394016575+
「でもそれ、なんかズルくないか? どうせ使い切れないとわかってる券をもらって嬉しいかなあ」
「失礼ながら、それはご自身の価値を低く見積もりすぎですね」アルマンはにっこり笑った。
「一日フリーパスは陛下の一日という貴重な時間を所有している証。使わなくとも、持っているだけで多大な満足感をもたらすものです」
 言いながら取り出した透明なスリーブには確かに、いつだったか秘書課に発給された一日フリーパスがきれいに収められている。
「期限の切れたフリーパスも、記念品として売買されているんですよ。ご存じありませんでした?」
 アルファまでもが胸の谷間から同じようなスリーブを抜き出して、俺はもう黙るしかなかった。この上はせめて、できるだけ使いやすいタイミングを選んで交付してあげよう。
「……引き継ぎかなんかで、一度こっちへ来るタイミングがあったよな。いつだっけ?」
「再来月です」最初からすべてわかっていたように、アルマンが答えた。
1426/01/19(月)18:01:21No.1394016936+
 * * *

「きれい……」
 薄闇に沈みゆく街並みに、点々と暖かい光がともっている。大通りにはまだ大勢の人が行き交っているが、高みから見下ろすこの窓までその喧噪が届くことはない。
 すっと顔の横に差し出されたグラスを受け取って一口ふくむ。上等のスパークリングワインだ。
 リヨン市の中央通りを見下ろす、高級ホテルのスイートルーム。
「都会を感じられて、でも静かで落ち着けるところへ行きたい」
 というユミの希望を、司令官は完璧にかなえてくれた。
「ディナーもすっごく美味しかったし……こんなわがままを聞いてもらっちゃって、いいんですかね」
 司令官一日フリーパスには、司令官に一緒にいてもらえるという効力しかない。どこへ行って何をするかは本来、本人次第である。だが司令官は今日一日、ユミの「デートをしたい」という希望にそって、最高のエスコートをしてくれた。
「まだまだ足りないくらいだよ」
 湯上がりのガウンに身を包んだ司令官は自分も一口ワインをあおり、ちょっとだけ照れくさそうに笑ってから、ふいに真顔になってユミを見つめた。
1526/01/19(月)18:01:56No.1394017112+
「ユミ035。デートの時は仕事の話と他の子の話はNGだってわかってるけど、ちょっとだけその二つの話をしていいかな」
「……はい」
 ユミは司令官に招かれるままベッドに腰をおろした。柔らかいベッドにお尻が深く沈んで、隣に司令官が座ると少しだけ浮く。
「君の仕事の話は聞いてる。どうにか負担を軽くできないか考えてるけど、どうもすぐには無理っぽい」
「……はい」
 この休暇が終わったら待っている仕事のことが一瞬脳裏によみがえってきて、ずっしりと心が重くなる。司令官の肩に頭を寄せ、濡れた髪のにおいを吸い込んで、どうにか頭から追い払うことができた。
「だから、せめて俺といる間だけは満ち足りて、幸せでいてほしい。それと、そう思ってるのは俺だけじゃない。今回のフリーパスの件だけどさ、やっぱり大きい話だからどうしても必要で、幹部会議にかけたんだ」
 思わず赤面して目を上げる。まさか自分のデートが幹部会議の議題にされるとは。
「君の仕事の状況と成果を説明したら、誰も反対しなかったよ。みんな君に感謝してる」
「…………」
1626/01/19(月)18:02:12No.1394017181+
 ユミは昼間の龍のことを思い返しながら、たくましい肩にもたれ、しばらく彼の指がそっと髪を撫でるのを感じていた。
「その気持ちをもらえれば平気……なんて絶対思いませんけど。いつか引退してのんびり内勤したいですけど。でも、もうしばらくの間は頑張れそうです」
「ありがとう」
 司令官がユミを抱き寄せる。ふかふかのパイル地のガウンごしにもわかる鍛えられた胸板の感触に、ユミの胸はときめいた。
「もちろん、俺の気持ちは感謝だけじゃないけどな。どんどんわがままを言ってほしい。まだぜんぜん足りない」
「…………じゃあ、いっこ追加いいですか」
「いくらでも」
 たくましい手が背中を撫でるにつれ、じわじわと体が熱くなっていくのに任せる。ガウンの胸に口元をうずめたまま、ユミはわざと聞き取りにくい声でもごもごと呟いた。
「甘々で、ちょう優しくて……でも強引で、力強くて。そんな感じにメチャクチャにしてほしいです」
 しっかり聞こえたようだった。司令官は笑ってユミのほそい肩に手を添え、ガウンをすべり落とした。
 そして、ユミのわがままを完璧に叶えてくれた。
1726/01/19(月)18:02:31No.1394017268+
 * * *

「本当にいいのか? 予定じゃ帰るのは明日だって」
「はい、もう十分です。これ以上司令官成分を摂取したら幸せがパンクしちゃいます」
 つやつやとほっぺたに元気をみなぎらせて、ユミは笑う。買い物、観光、夜のあれこれ……数日たっぷり遊んで、確かに近場にはもう行く場所もさほど残っていないが、パスはまだまだ使い切っていないはずだ。
「最終日は誰にも会わずに、うちで思いっきりゴロゴロ自堕落に過ごします。好きな人には見せられない時間も、女の子には必要なんですよ」
 遠慮して強がっているのかと思ったが、どうもそういうわけでもなさそうだ。仕方なく俺はジャケットをはおって、忘れ物はないか室内を見渡した。最後にもう一度寝室をのぞくと、ベッドメイクでも修復しきれなかった連日の惨状が生々しく残っている。清掃が大変だろうな、これは。
「呼んでくれたらいつでも来るからな」
「じゃあ、スチオンに入っててください。午後あたり会いに行きます」
「はは、了解」
 タクシーを呼んで、ユミの自宅まで送っていく。車中でふと思いついて、俺はユミに頼んでみた。
1826/01/19(月)18:03:05No.1394017420+
「え? いいですけど……」
 出してもらったパスのすみっこに、俺はちょっとしたメモを書きつけて返した。受け取ったユミの顔がみるみるほころぶ。よかった。最後にもう少しだけ、おまけの幸せをプレゼントできたようだ。

 * * *
1926/01/19(月)18:03:41No.1394017586+
「お帰りなさい、ユミさん。いい休暇だったようですね」
 両手に山ほどの紙袋をかかえたユミは、答えの代わりにスカディーに向かって力強く親指を立てた。
「これ、お土産です」
「まあ、嬉しい。……すごい量ですね?」
「お菓子の新商品がめっちゃ増えてて、買いだめしてきました。いやーやっぱたまには通販じゃなく、店舗で見るのも大事ですね」
 デスクについてコンソールを立ち上げると、待ちかねていたように大量のメールが流れてくる。こめかみをひきつらせながらも、ユミは不敵に笑った。
「ふ、ふふふ。やってやろうじゃないですか、今の私は無敵です。……まあ、まだしばらくの間は」

 最初のキーを叩く前に、ユミはもう一度だけ胸ポケットからスリーブを取り出して眺めた。
 透明なスリーブには使い切れなかった司令官一日フリーパス券の一枚が収められている。左下に印字された有効期限の日付に線が引かれ、司令官の筆跡で書き込みがあった。

〈このパスの有効期限を一年延長するものとする。これを使ってまた俺に会いに来てね〉

End
2026/01/19(月)18:05:01No.1394017964そうだねx3
13区域4部のユミちゃんがあまりに可哀想なので幸せにしたくて書いた
まとめ
fu6187125.txt
2126/01/19(月)18:11:51No.1394019896+
エスプレッソショットを1…2…
2226/01/19(月)18:15:02No.1394020829+
オメガの所のユミちゃんは出来るキャリアウーマン系なのに
何でオルカのユミちゃんはあんな合法ロリ系酒飲みウーマンなんだ
2326/01/19(月)18:19:02No.1394021993+
>オメガの所のユミちゃんは出来るキャリアウーマン系なのに
>何でオルカのユミちゃんはあんな合法ロリ系酒飲みウーマンなんだ
新人からまともなキャリア積む前にブラック勤務続きで壊れたから…
2426/01/19(月)18:21:58No.1394022887+
久しぶりに遭遇した気がする
いいものをありがとう…
2526/01/19(月)18:35:04No.1394026904そうだねx1
たっぷり癒されてほしい
2626/01/19(月)18:35:43No.1394027107+
>何でオルカのユミちゃんはあんな合法ロリ系酒飲みウーマンなんだ
下げてるパスにかつての姿が…
2726/01/19(月)18:37:50No.1394027772+
昨日は二時間も眠れたんですよ!はやばい
ベータの過酷な搾取とか言ってる場合じゃねえだろ
2826/01/19(月)18:41:04No.1394028811+
頑張ってる子には報われて欲しいからこういうのでいいんだよこういうので
2926/01/19(月)18:52:24No.1394032472そうだねx1
>〈このパスの有効期限を一年延長するものとする。これを使ってまた俺に会いに来てね〉
こういうことするから無理な勤務でも引き受けちゃうんですよ!
3026/01/19(月)18:53:25No.1394032781+
オルカデートは区切りつくたびにやってほしいくらいだわ
3126/01/19(月)18:55:13No.1394033339+
>>〈このパスの有効期限を一年延長するものとする。これを使ってまた俺に会いに来てね〉
>こういうことするから無理な勤務でも引き受けちゃうんですよ!
計算通りですね
3226/01/19(月)19:04:36No.1394036322+
ここまでなってたらケシクからカーンになったみたいにユミから別種のバイオロイドになってるような気がするよ035もオメガのとこのユミも
3326/01/19(月)19:07:53No.1394037421そうだねx1
オメガユミとリストカットはスキン欲しいよね…
3426/01/19(月)19:16:35No.1394040238+
8号キルケーも滅亡前の時点で40年以上もパークで生き延びてたからただのキルケーの性能じゃない
3526/01/19(月)19:19:37No.1394041281+
イベで出てきたキルケーが8号なんだっけ?
3626/01/19(月)19:20:06No.1394041448+
>オメガユミとリストカットはスキン欲しいよね…
バトグラもいるから大変なんだろうな
3726/01/19(月)19:22:35No.1394042260+
クイックキャメル0721…
3826/01/19(月)19:27:02No.1394043813+
メチャクチャにしたんか!


fu6187125.txt 1768812961501.jpg