「わあああああ!ごめんなさい!ごめんなさいっ!」 明け方の薄い闇を叫びが裂く。一泊置いて鉛のように冷えた頭で 覗き込むと身震いしながら彼女は許しを乞うていた。 「ほんとに!もうダメなんです!もう出ないんですっ…!」 夢うつつの彼方からのうわ言が、体の中心で膨張しきった 杭のような肉塊と共に跳ね回る。 ──また、怖い夢を見ているのですね。 その内容は分からない。さして興味もない。大事なのは 私は今これを鎮めなくてはならないということだ。 「大丈夫ですよ。大丈夫。」 仰向けにした彼女に覆いかぶさる。体重をかけないように慎重に。 軽く唾液を含ませた舌先で頬を舐める。親猫が子猫にするように。 併せて、杭の先端を私自身に宛がう。下半身を脱力させて腰を降ろす。 「ふ……っ…くぅぅぅっ」 内側から食い破られるような膨張に耐えつつ掌をやんわりと重ねて握る。 しばらく息を整えた後、彼女の貌を見ると未だ現実と夢の曖昧な色であった。 ゆっくりと、唇を重ねる。吸い込むのではなく、降らせる様に軟らかく、円やかに。 ちゅぴちゅぴと軽い水音を繰り返すうち、私の内側で膨張が増すのを感じた。 締め加減を慎重に調節して優しく腰を持ち上げ、また降ろす。長いストロークの抽送で ゆっくりと、かつ確実に刺激を堆積させてゆく。 同じく、内側を間断なくえぐり続けられる私の体にも熱が積みあがる。 「んっぐっ…んうううううううっ…!」 彼女の全身が蠢き、唐突に終わりが訪れる。最後の1往復は素早く、深く。 入り口を締め込み、胎の底に注がれるものを押し留めて脳髄を灼く快感を受け入れる。 「う……あ……」 抱きしめた全身が弛緩し、私に刺さっている栓が緩み始める。余計な刺激にならぬように そっと引き抜くとみるみる力を失ってだらりと垂れ下がる。 「あ……あ…………すぅ…すぅ…すぅ……」 見下ろした瞳から光が去り、乱れた髪のまま彼女はとろとろと眠りに落ちていった。 行為を終えたばかりの体を隣に横たえて、深呼吸する。 ──分かっている。私と彼女の関係は正しいものではない。 ──だが。その正しさが彼女を苛むならば。私はこれを許さない。 溢れ出して内股を汚していく粘液の生暖かさを感じつつ、私も目を閉じた。