「……おぉ、ケッコーあたたかい」
もう少し思い切って、片足をずぼりと布団にいれると、心地の良い温かさがじんわり伝わってきて……。
「……もう少し、もう少しだけー……」
もう片方の足を、持ち上がった布団の隙間に差し込んで……押し広げるみたいに両足がお布団に浸かる。
斜め横から、お布団に足だけ突っ込んでる今の私は、たぶん凄くシュールな状況だけど……。ううん、いやでも、このお布団が温かいのが悪いんです。冬ですし。
お布団の魔力が凄まじい時期じゃないですか。だからこれは仕方ない、仕方ないんです。

「……お隣、しつれいしますね〜……？」
もぞもぞ、トレーナーさんの寝ているお布団に身体を潜らせていく。トレーナーさんが起きないように、んしょ、んしょと。
「……はい、殿。私の身体でお布団を温めておきました。ほほほー、くるしゅうないくるしゅうない」
……なんて、ふざけながら、しっかりと温まった布団に肩まで浸かります。トレーナーさんの人肌で温まったお布団の中は……それはそれはサイコーで。いやあ、これ、凄まじいですよ実際。

「あったかいなぁ……」

ぬくぬく、と。あったかいお布団を堪能する私。いやいや、これを独占してたトレーナーさんはズルでは無いか。
まあこうやって温かいのはトレーナーさんがお布団の中に居るからで……トレーナーさんのおかげで。……でも、それを運んだのは私ですし……？　それじゃあ、こうして温かいお布団を堪能する権利が私にはあるんじゃないかって。
ならもうちょっと、もうちょっとだけ……。こうしてお布団の中に入っていたいなって。
考えてもみてくださいよ。暖房もついてないさっきまで誰もいなかったお部屋に戻って、私は冷たいお布団に入って一人寂しく寝ないといけないんですよ？
そんなの、嫌じゃないですか。こっちでお布団に潜ってた方が良いに決まっています。ここがあんまりにも心地良いんだから、仕方ない。仕方ないですよ。

「……はぁー」
身体が芯までポカポカして、頭もほんわかふわふわになって。……いやあ、これはもうもはや私のお布団と言っても過言じゃないです。すごくあったかいですし。
……でも、ちょっと遠慮して、端の方にいるから……窮屈、かも？　これはトレーナーさんのお布団だから、邪魔にならないように……って、そう遠慮してたけど……。

……必要ないのでは？　だって、実質私のお布団みたいなものですし。私にも遠慮なくあったかお布団を堪能する権利がありますよ、はい。

「……じゃあ、トレーナーさんの方に……失礼して……」
ずい、と身体を寄せて、トレーナーさんの方に近づく。お布団の真ん中付近は、最初から私にフィットしていたみたいに、自然に馴染んで。端の方だからっていう窮屈感は無くなって、それからすぐ近くにトレーナーさんがいるから、よりあったかくて。

「ふへぇ……ごくらく……」
今日入った温泉も良かったけど、トレーナーさんのあったかお布団も、それに負けないくらい気持ちよくて。いやあ、素晴らしきかな。

「んぅ……すぅ、すぅ」
「…………」
しばらく、あったかお布団を堪能していたら。そうしていたら、すぐ近くにトレーナーさんが居るってことを、ちゃんと実感して。
だって、あったかいですし、寝息だって嫌でも聴こえてくるぐらいの距離で。それから、私よりも大きな身体が持ち上げてる布団が作った隙間を、私は感じてしまうワケで。
……だから、ちょっと横を向いて、トレーナーさんの寝顔をなんとなく眺めてしまうのも自然なことじゃないですか。

「……トレーナーさんって、あったかいんだなぁ」
いつも、ちょっと暑苦しいくらいには熱心に私のことを見てくれるトレーナーさん。檄を飛ばして、ずっとこれでもかってくらいに私に期待をしてくれていて。そんなトレーナーさん。
まあ、ちょっと暑苦しいのは分かっていたけど、でも……こんな感じであったかいなんて。……まあ、トレーナーさんは実は意外と優しかったりしますし。まっすぐに私のことを信じてくれますし。
あったかい人だなあ、とは、思いますよ？　だからこれも納得……？

「んん……ミラクル……」
「……ふふ、なんですかトレーナーさ――うわ、酒くさ」
呼ばれたからちょっと近づいてみたら、トレーナーさん、酒くさかったです。
ああこれ、あったかいのお酒のせいですね。たぶん。酒くさいですもん。

「んんぅ、ミラクル……」
「……はぁ」
……ま、今日くらいは許します。勝手にお布団に忍び込んだのは私の方ですし……？　こうして、すぐ隣に居るのに気づかないくらいに無防備なトレーナーさんを見ていたら、なんだか、もう良いかなって。
「……トレーナーさん」

トレーナーさんの身体の方に、ぎゅっと詰め寄って。トレーナーさんのことをすぐ近くで感じて、それから、目を閉じる。
あったかくて、ぬくぬくで……ちょっとお酒くさくて。でも、なんだかポカポカして、幸せで……。

…………本当は、ダメってのも分かってますよ？　早くお布団出なきゃなーとか、こういうのは良くないかな、とか、このまま寝ちゃったらマズイよなーとか。……でもまあ、良いじゃないですか、別に。
何か変なことがある訳じゃないですし、たまには、たまには。こんなに落ち着いてしあわせーな気分になれることが、悪いことなワケないですよね、って。

じゃあつまりは。

「……おやすみなさい、ってことで」

そうして私はあったかくてぽかぽかなトレーナーさんのお布団でぐっすりぐんない、眠りにつくのでした。

――ちなみに次の朝の目覚ましは、トレーナーさんの真っ青な悲鳴でした。

おわり
ヒシミラクルと同じ布団で眠りたい

2人部屋から女の子みたいな悲鳴が！

教え子と二人きりなのに酒飲んで酔いつぶれる方が悪いよね

ふわふわぬくぬくほこほこしあわせおふとん同衾怪文書たすかる
トレーナーさんが朝幸せな温かさとほんのりとした重みを感じながら微睡みと共に小鳥のさえずりで目を開くとミラ子の芦毛色のふわさら髪の毛が目の前に広がって自然と撫でてしまったりしててほしい

酔いつぶれた翌朝目覚めたら布団の中に担当がいたら相当肝が冷えるよね

2人とも服をしっかり着てたからセーフ

ぶひー

ダンツも勘違いして
（ミラ子先輩ってそこまで進んでるんだ…！私も見習わないと…！）ってなる話ください

もしかしてヒシミラクルは同棲中の彼女なんじゃないか？

ちょっとずつラインをズラしてくのがらしい

先に寝るほうが悪い

ウマ娘は体温高いから誘眠性がある

>>これ男トレーナー前提怪文書なのか？
>女トレで怪文書書いてる人みんな死んだよ
豚向けに書いても誰も見ないからね