[ロイス]
黒耀 真澄 :
【稲倉 紫信 ◯有為/無関心】
実質的には玖珂家との仲介役という役割のためにK市の支部長に封じられた僕にあてがわれた唯一の局員、それが稲倉くん。局内の思惑が透けて見えるようだ。玖珂家なんて重要な交渉相手との水際に経験豊富なエージェントを配置せず、寄越したのは悪質な実験の産物がひとり。UGN内部にはどうやら玖珂家との関係にヒビを入れたい一派がいるらしい。僕をねじ込んだのは霧谷くんの抵抗かもしれないな。さて稲倉くんについてだが、彼は彼自身が思うよりも普通の少年だ。年相応に未熟で、多感で、伸び代がある。僕はどんな若いチルドレンだろうが使えるものは使う主義だが、それはそれとして青少年には健やかに育って欲しいと思う。玖珂くんとの縁が彼を良い方向へ導くといいね。しかし…痛みを感じない兵士の作成だなんて。チープで無意味なことを考えるものだ。失笑も浮かばんよ。
[ロイス]
玖珂 ゆかり :
【稲倉 紫信 ◯好意/疎外感】
学舎に転入されてきた方。ゆーじーえぬの方。私を監視するために派遣されてきた方。優しくて気配りができる方。甘いもので顔をほころばせる可愛らしい方。……そして、とても無茶をする方。紫信さんのこだわりがあるのは分かります。殿方の意地というものも存じております。されど、守るためと仰って遠ざけるのは、止めてください。それはとても寂しいのですから。……それと。どうか、貴方自身のことも、尊重してあげてくださいね。
[ロイス]
玖珂 ゆかり :
【黒耀 真澄 ◯誠意/隔意】
ゆーじーえぬの方、紫信さんの上役の方。過不足なく筋道だった分かりやすい説明をしてくださったところからも分かりますが、立派な大人なのだと思います。変に私を疎むでもなく、一個の戦力として冷静に換算してくださるところも好印象。……唯一気がかりなのは、私や紫信さんを見る目が、冷たく笑っていないものである点、でしょうか。
[ロイス]
稲倉 紫信 :
【赤い月 好奇心/〇不安】
赤い月。たまにドローンが撮って来る夕焼けの風景ではない。間違いなく、レネゲイド案件。別にそれなら何ということはない、対処は当然の仕事だ。不安は玖珂家が巻き込まれかねないということ。それも現当主が溺愛しているらしい妹が。
[ロイス]
稲倉 紫信 :
【玖珂ゆかり 好意/〇隔意】
彼女の言っていることには、理解できることとできないことが半々くらい。ただし、理解できることの方にも、理屈を飲み込めても何故彼女がと思うこともある。とりわけ──痛みに関する部分は本当に理解が出来ない。普通の人はそれを恐れるはずなのに、痛みを感じる彼女は何故それを背負いたがるのだろう?それが嫌だから、俺みたいなのが作られたのではないのか。それを押し付けたいから、俺みたいなのが生まれたのではないのか。違うなら、俺はどうしてこうなったんだ。
[ロイス]
稲倉 紫信 :
【玖珂家 有為/〇脅威】
聞くところによると平安からのレネゲイド家系らしい。例の感染爆発すら生まれてもいない昔の話なのに、その何百倍もの昔からだなんて、想像もつかない。それだけ昔からレネゲイドと付き合っていて今も家がしっかり残っているんだからなんという脅威だろうか。現当主がUGN派であることには感謝しなければならない。そして、気を付けなければいけない。彼の機嫌を損ねないことを。
[ロイス]
黒耀 真澄 :
【玖珂 ゆかり ◯好意/憐憫】
玖珂家という「敵に回すよりは何倍もいいが味方であっても扱いに困るお客様」とのパイプ役、それが僕だ。その視点で見たところ、混乱しているのはUGN側だけというわけでもないようだ。若き現当主が内部の反対意見を抑えてこちらへ擦り寄った理由こそが彼の妹たる玖珂ゆかりにあるのではと僕は見ている。彼が妹を溺愛しているのは紙面からも読み取れるしね。現在のFHは妹を関わらせるに値しないと踏んだのだろう。今となっては気持ちは分かる。賢い子だよ。無知なりに自分の立場や要求されていることを噛み砕いて理解しようと努め、それに応じようとする。少し分際を弁え過ぎていると言ってもいい。もう少し不安や我儘を口にしてくれた方が御当主も気を揉まずに済むだろうにな。だがそれが彼女の優しさだ。優しいということはそれだけで大変な意義があることだよ、人間にはね。
[ロイス]
黒耀 真澄 :
【赤い月 執着/◯嫌悪】
僕はね、多少強引だったり悪どいやり方でなりふり構わず様々なことにあたってきた自覚はあるよ。その過程において害意が生まれたとしても、根底にあるのは害意じゃない。何も知らないままに踏みつけられる人間を守りたいし、そのために維持される社会秩序が絶対ではないが有効だと感じているからだ。語弊を恐れず言えばこれが僕なりの正義ということになる。その意味では今回の一件の犯人は既に僕の逆鱗に触れている。
[ロイス]
黒耀 真澄 :
【支部ビルの向かいの蕎麦屋 ◯執着/嫉妬】
脳という器官はその半分ほどは1ヶ月もあれば細胞が全て入れ替わるのだという。ならば僕の脳の半分は蕎麦によって構成されていると言っても過言ではない。なんとなれば僕の食生活のほとんどは支部の向かいの蕎麦屋によって成り立っているからだ。蕎麦について語らせたらうるさいよ、僕。将来職を辞したら是非とも立ち食い蕎麦のプロとして生きていきたい。蕎麦といってもお上品なやつじゃないんだ。蕎麦粉が何割使われているのか知れたもんじゃない蕎麦を丼へ投げ入れて雑に汁を張り申し訳程度の具を載せたもの。これをむっつりとした表情で手を合わせて遮二無二啜り、5分もしない内に汁まで綺麗に飲み干して速やかに立ち去る。こういうものに僕はなりたい。
[ロイス]
稲倉 紫信 :
【楚山隣子 同情/〇憐憫】
可哀想な話だ。覚醒して即、ジャームになってしまう。そんなことはごくごく当たり前に起こってしまうことだ。だからこそ殺してでも止めなければならない。こんなことを引き起こすことを、多くのジャームは本来望んでいなかったはずなのだから。
[ロイス]
玖珂 ゆかり :
【楚山隣子 ○友情/悔悟】
私がもっと強ければ。そばに居られれば。はやく気付けていたら。
違う可能性が、あったのでしょうか。