（ぴるす管理施設において異常なインターネット回線負荷が検知された。現地に向かったホワイトパロットが目にしたのは、困惑しけおけおと騒ぐぴるす達と、床に倒れ息絶えた2〜3人の男であった）

【ライク・ザ・バーンド・サン】

久しぶりだね

「……死んでいる。それもほんの寸前に」男達を確認し、ホワイトパロットは呟いた。彼らは施設の守衛であり、奇怪にも皆一様に右の二の腕を押さえるような姿勢のまま、見開いた目から血を流し事切れている。…理解し得ぬものに遭遇し発狂でもしたかのように。

彼らに何が起きたのか。ホワイトパロットは監視カメラを確認すべくUNIXへと目をやり、そして彼らが皆管理UNIXとLAN直結していることに気付いた。守衛として監視カメラや施設システムの確認などの勤務は存在する……が、それは決してLAN直結を必要とするような内容ではない。

もしや彼らは勤務中に何らかの遊びに興じ、そしてハッカーあるいはウイルスの被害にでも遭ったというのか？少なくともこの半年間の勤務態度は良好であったが……もしそうだとすれば、速やかな対応を行わねば二次被害をもたらしかねぬ。ホワイトパロットは画面を見た。

UNIXの画面には秘密IRC掲示板で行われた会話と……そして、謎めいた男の画像と動画が無数に映し出されていた。赤と黄色の放射状背景で微笑む男、あるいは太陽のような赤いシャツと空の如く青いジーンズを纏う男。

それは悪名高きノヴェンバー・ハッカークラン、己が結成月を名に冠したハッカー達が用いた符牒である。謎の男を旗印にIRCを荒らし回った忌まわしきハッカークランは既にネオ・キタシンチのアジトを爆破され滅んだものの、残党あるいは影響を受けた者達がハッカーカルトと化して未だ潜伏しているというが……。

｢我が社にも入り込んでいたとは……｣ため息を吐き、情報抹消とセキュリティチェックのためUNIXに向かう。……ウイルス、ハッキングの形跡は共に無し。IRCスレッドは意味不明な会話で埋め尽くされ、情報漏洩や問題になり得そうな内容もない。

ひとまず胸をなで下ろし……そして気付いた。彼らのIRCスレッドは、同じ時刻を最後に参加者全員が沈黙している。それは僅か数分前、彼らが死んだであろう時刻と合致し……。「けお！けお！」突如、背後でぴるす達の騒ぎが激しくなる。

｢けおーっ…｣ぴるす達は何かに怯えるように騒ぎ、次々と倒れ始めた。「一体…」駆け寄るホワイトパロットの背後で、何かがバチバチと音を立てた。空間がスパークを放ちながら歪む。「繊細すぎる…我が先触れだけで狂死とは」…歪みが人間の形を取る。

「ドーモ、マ010ジ1010ス・ニンジャです」人型の歪みが不明瞭な声を発し、独特な姿勢でオジギする。…モザイクめいた揺れるノイズで形成されたニンジャ。赤、青、銀とその色彩を変えながら、その不安定な輪郭は僅かに安定を始めていた。

「ドーモ、ホワイトパロットです。一体誰かね、君は」…勧進帳を用いても詳細が掴めぬ。一切分からぬと言った方が正しいだろう。ノイズ存在はせせら笑った。「無知なる者もいたものだ…この偉大なるマ010ジ01レ0101・ニンジャを知らぬとは」声が再び乱れる。…彼の存在は許されていない。

「お前が誰かは知らんが…」ホワイトパロットはカブキ装束の胸元に手を入れる。「その存在が世界に、ひいてはコウライヤにとって害悪であることはよく分かる。故に」装束から引き抜かれた手には黄金のカブキ銃が握られていた。「ここで死にたまえ」

「ふっふっふ…死ねなどと我に対しよくもまあ軽々しく言えたものだ。ならば、試してみようではないか」無骨なリボルバーを手元に生じさせ、ノイズはホワイトパロットへと銃口を向けた。黄金カブキ銃とリボルバー、2丁の銃が狙い合い、重苦しい静寂が場を支配する。

BBLLAAMM！静寂を裂き同時に2発の銃声が響く！TELLING！床を跳ねる薬莢の音はただ1つ。THUMP！1つの影が音を立てて倒れた！

倒れたのは…ノイズである！｢グワーッ！？｣「どうやら勝負あったようだな」ホワイトパロットは黄金銃をスピンさせ、懐へと仕舞う。弾丸に眉間をモロに貫かれ、ノイズは仰向けに倒れた。普通の生命体であれば死は免れぬ傷だ。

…だが！「ゆる…ゆ…ゆるッ…」奇怪な声を出しながら、逆再生めいて起き上がる！「…許さん…！絶対に許さんぞ…！」ノイズは突然興奮し、その輪郭が激しく波立つ！「大いなるニンジャを怒らせるなよ！」

ノイズが激しく沸き立つと、その歪みの内から眩い光が溢れ、赤と黄2色のレーザーとなって周囲に放たれた！熱線を浴びた壁や床、ぴるすの死体は瞬く間に焼け焦げ、牢の鉄格子が赤熱し融け落ちる！

「ヌウッ…！」光の柱が身体を掠め、ホワイトパロットは唸る。恐るべき熱量が触れずして彼の装束の端を焦がしていた。全レーザーの発生源であるノイズの周囲が如何なる温度になっているのかは推して知るべしである。…近付けぬ。

カブキスレイヤー…生きていたのか…

このまま手出しもできぬままぴるす管理施設はそして近隣一帯は熱光線によって全てを焼き融かし尽くされてしまうのか！？…そんな事態にさせてはならぬ。ホワイトパロットは覚悟を決め、一対のナギナタを構えた。…その時。不意に、ノイズの輪郭が滲んだ。

「…！」己が熱に焼かれたかのようにノイズが端から黒い粒子となって解け、空間の歪みへと吸い込まれてゆく。「おのれ…我が身、未だ許されぬか…！」空間がより大きく捻れ、ブラックホールめいて凝集される。ノイズは歪みの内へと消えかけながら、未練がましく手を伸ばした。「我は…ユルサレヌを…」

「もうよい！」ノイズが伸ばした手をナギナタが斬り裂いた。「グワーッ！」「これ以上足掻くな！」｢グワーッ！｣「はやく消えたまえ！」｢グワーッ！｣「流石にしつこいぞ！」｢グワーッ！｣

ナギナタによってバラバラに切り分けられたノイズが歪みの渦へと巻き込まれて消える。「ホワイト…パロット…！その名…覚えたからな…！」渦に飲み込まれながら、ノイズはより一層興奮し、怨念の籠もった叫び声を上げた。

「3日後、100倍だからな…！」

◆◆◆◆◆◆◆◆

──かくして、謎のニンジャは顕現を果たせずに己が領域へと帰った。ぴるすでもなければコウライヤに関係も無い、本格的に戦ううま味など無い謎の相手。ぴるすくん達は死に絶えたが…この程度の被害で済んで良かったと言うべきか。

果たして彼のニンジャは何者だったのだろうか。ノヴの者達が信仰する謎の紳士と何か関係があるのか。異常者の行った儀式が何らかの神秘に触れ、何かを降臨させてしまったのか。3日後に何が100倍なのか。……考えても答えは出まい。

もはや書き込む者も居ない秘密IRC掲示板を爆破し、守衛3人の情報を完全にデリートしたホワイトパロットは死体たちに背を向け歩き出す。

……11月も、じきに終わる。

【ライク・ザ・バーンド・サン】終わり

いつものマジレスの定型文が尊大なリアルニンジャのセリフに変換されている
これはワザマエであることだなあ

さまよえるユダヤ人の名前がカルタピルスなのこれで知ってから忘れられない

カブキスレイヤー超久しぶりに見た

逆噴射小説大賞にエントリーしろ

>さまよえるユダヤ人の名前がカルタピルスなのこれで知ってから忘れられない
ローマの属州総督ポンテオ・ピラト＝サンに仕える下っ端だったとも言われているカルタピルス＝サン…

>【ライク・ザ・バーンド・サン】
ポエット！

>逆噴射小説大賞にエントリーしろ
逆噴射先生「誰このおっさん」

>お前が誰かは知らんが…
>その存在が世界に、ひいてはコウライヤにとって害悪であることはよく分かる。故に
>ここで死にたまえ

>3日後に何が100倍なのか。……考えても答えは出まい。
そうだね

>>【ライク・ザ・バーンド・サン】
>ポエット！
バーンドサンみたいやなw

赤チェックのニンジャはノイズのまま消えた
おそらくステップ数が足りなかったのだ
だが十分な数のステップ…その踏み台となる者たちが現れた時真の力が示されるだろう
具体的に三日後には100倍だ
わかるか？このさんすうが？

カルタピルス＝ヨセフ・ニンジャはワンチャン原作に居そうなのが本当によくない

カブキ・リアリティー・ショック

何の何！？

今年もカブキスレイヤーズの季節か

◆歌◆カブキ名鑑【マジレス・ニンジャ】◆舞◆
謎多きニンジャ。現世に存在を許されず、モザイクめいた不安定な外観からは赤と青の装束を纏うことのみ確認可能。一説にはその名はマギに通ずるとされ、聖人が生誕した際に現れた2〜3人の男達と関連付けられる。

>◆歌◆カブキ名鑑【マジレス・ニンジャ】◆舞◆
>謎多きニンジャ。現世に存在を許されず、モザイクめいた不安定な外観からは赤と青の装束を纏うことのみ確認可能。一説にはその名はマギに通ずるとされ、聖人が生誕した際に現れた2〜3人の男達と関連付けられる。
アーメンしてえな

何かと思ったらあの写真の残りのやつが東方の三博士か……

黄金カブキ銃って何…

Magi-less

>Magi-less
賢さ０ってこと？

ヘルメス・トリスマジレストス(3日後100倍なヘルメス)

2〜3忍しか居ないのによくやるよ

おそこさんとかもこは流も入ってて駄目だった

最初ホワイトパロット=サンだけ普通のニンジャネームなんだと思ってたけどHAKUOHさんと気づいてしまいHRSが発症した

少し前に描いたヤツですがコウライピルスチームのファンアートがありますのでもしよかったらどうぞ…
fu5962034.jpeg
この3忍スゴイ良いキャラなんでまたいつか活躍を拝見したいです

このようなニンジャの顕現が許されないということを、どうかわかってください