二次元裏@ふたば

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133747 B25/11/23(日)17:51:30No.1375455806+ 19:13頃消えます
食事が終わった後の昼下がりには、眠気が容赦なく襲いかかってくる。いつもなら眠い目を擦って仕事をするところだが、幸い今日は休日である。
思う存分寝るというのもひとつの贅沢だというのは、何か少し年寄り臭くて寂しい気もするけれど、眠いものは眠いのだ。そうと決まれば寝ることを全力で楽しんでやろうと妙なやる気が出てきて、戸棚から普段は仕舞っている寝具を取り出した。
自分の背ほどもある抱き枕は、暫く使わずに棚の中に眠らせていた。何かを抱いているとよく眠れるのだが、よく家にやってくる彼女に子供っぽいと思われるのが少し恥ずかしくて出さずにおいていたのだ。
しかし、彼女は今日一人旅に出ている。午前中に旅先の写真が送られてきて思わず頬が綻んだが、出不精の自分は夢の中に旅に出るのが精一杯だ。
横になって脚の間に抱き枕を挟むと、あっという間に瞼が重くなる。目を閉じたのとほぼ同時に、意識を手放していた。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/11/23(日)17:52:09No.1375456163+
目を開けると、抜けるような青空が広がっている。四方は紅葉のカーテンに囲われ、地面には落ち葉が絨毯のように敷き詰められている。
正しく夢のように美しい景色だった。けれど何よりも手放したくないものは、抱き枕の代わりに腕の中に収まっている。
「シービー」
名前を呼ぶと、彼女は何も言わないまま楽しげに首を傾げた。

風のように軽やかにどこにでも行ける彼女の姿は、出会った時から目に焼き付いて離れない。けれど、どこにも留めておけずにすぐどこかに行ってしまうことに、少し寂しさを覚えてもいた。
その寂しさを紛らわすために枕を抱いて眠っていたら、本当に枕が彼女に変わってしまうとは。あまりにも都合がいい夢だが、夢ならばいくら堪能しても誰にも迷惑はかかるまい。
会いたかったと口にすることさえもどかしくて少し強く彼女を抱きしめると、彼女は上機嫌そうに少し息を漏らして、応えるように抱き返してくれた。
225/11/23(日)17:52:50No.1375456459+
首筋に彼女の顔が埋まると、耳がちょうど口元に触れる。髪と同じ色の毛がうっすらと生えた耳が鼻先をくすぐると思わず笑いが漏れて、吐息が耳に当たった彼女もくすぐったそうに笑った。
本当に幸せな夢だ。普段は恥ずかしくて言えないようなことも、思わず口にしてしまうような。
「好きだよ」
声を吹き込むように耳元でそう言うと、彼女の頬がゆっくりと紅みを帯びるのがわかる。その頬よりもなお赤い唇に吸い寄せられるように近づくと、彼女はほんの少し驚いたように目を逸らした。
夢の中とはいえ、少し性急すぎただろうかと思って顔を引こうとした。だが、うなじに彼女の手が触れて、また彼女の顔の前に引き戻される。
その表情は、いつも愛し合うときに散々見てきた悪戯っぽい微笑みに変わっていた。
「ふふふっ。
いいよ。アタシも好き」
325/11/23(日)17:53:05No.1375456575+
「ん…ん」
今まで何度もそうしてきたように、唇を重ねるときの彼女は夢の中でも柔らかな吐息を漏らす。いくら外にいるからと言っても、少し乾いた唇の感触まで再現するとは、随分と鮮明な夢だ。
そうして現実と何の遜色もない幸せに酔っていると、いつの間にか息が少し苦しくなっていた。こういうときにはいつも目配せで彼女にそのことを伝えて、唇を離すことにしている。
だが、首に回された彼女の手にはさっきよりもより強く力が籠もっている。肺の空気がなくなっていく感覚も、それでも柔らかくて温かい彼女の唇さえやけにリアルで、幸せ一色で染め上げられていた頭に困惑が混ざってゆく。
目で合図を送ろうと見た彼女の目つきには見覚えがある。悪戯が上手くいったときと同じ、きらきらと悪賢そうな光を帯びた目だった。
425/11/23(日)17:53:22No.1375456710+
窒息しかけるくらいに吸い付いた彼女の唇がやっと離れると、可笑しくて仕方ないと言わんばかりの哄笑が響き渡った。
「あははははっ!いつまで夢だって思ってた?」
「…キスしてる途中。息が苦しくなって、やっとわかった」
目の前にいる彼女は、紛れもない本物だ。周りの景色も少し奥に入ったところだから気づかなかったが、彼女が気に入っている公園の雑木林の中だった。
彼女がいつの間にか帰ってきて、寝ていた自分を背負ってここまで連れてきたのだとわかると、くらくらと目眩がした。
525/11/23(日)17:53:36No.1375456808+
ふと旅に出たくなるのと同じように、ふときみの顔を見たくなる時がある。でも、家に行ったらきみは幸せそうな顔で寝ていて、アタシが来たことに気づく様子もない。
それだけでも少し面白くないのに、きみは呑気にこんな寝言を呟く始末だ。
「…シービー…」
アタシの名前を呼んでおきながら、アタシの代わりにどこから出してきたのか知らないクッションを愛おしそうに抱き寄せるのを見ていると、なんだか無性に悔しくなった。

アタシの名前を呼ぶなら、ちゃんとアタシを愛してよ。
アタシはきみに会いたくてここにいるのに、きみはアタシを見ないで満足しちゃうなんて、嫌だ。
625/11/23(日)17:53:49No.1375456890+
だから、きみをここまで連れてきた。アタシときみしか知らない場所で、きみにアタシだけを見ていてほしかった。
まさか夢を見ていると思って、あんなに大胆になるとは思っていなかったけれど。
「でもなんで、ここにいるんだ?旅に出てるんじゃなかったのか」
でも、まだきみは目覚めきっていないみたいだ。こうしている予定だ、なんてことはアタシには通じないことも、アタシは今いちばんしたいことしかしないということも、すっかり忘れてしまっているらしい。
それとも、アタシの口から言わせたいのだろうか。
「アタシに会いたかったんでしょ?
アタシがきみに会いたいって思うのはだめなのかな」
きみが思っているより、アタシはきみが好きだってことを。
725/11/23(日)17:54:05No.1375457081+
言わされてしまったのが悔しいから、アタシもきみをからかってやることにした。
「でも、ちょっとびっくりしちゃった。夢の中だと、きみってあんなに大胆になるんだね」
面目ないと言いたそうに、きみは目を逸らした。別に逸らさなくていいし、逸らさせるつもりなんてないけれど。
「ね。
もうしてくれないの?」
さっきのきみも、アタシは好きだから。
825/11/23(日)17:54:17No.1375457186+
二度目のキスは、恥じらいと愛情を混ぜ合わせた甘酸っぱい味がした。
925/11/23(日)17:54:35No.1375457330+
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近頃は秋になったといっても日中はまだ暖かく、この辺りの紅葉や銀杏はまだ青い。とすると、ウマ娘の体力を以てしても自力で辿り着ける紅葉を見られる場所というのは限られてくる。
「行くかぁ」
場所の当たりは大体ついた。だが、いざ出かけようと腰を上げたとき、ひとつの疑問が頭を過った。
彼女を見つけに行くのは確かに楽しい。けれど、いつも自分が見つける側というのは不公平ではないか。
かくれんぼは隠れる側がいちばん楽しい。だからこそ彼女は実に楽しそうに隠れては見つけられるわけだが、たまにはそんな彼女を出し抜いてみたいと思っても罰は当たるまい。
そう思うと、不思議な高揚感が生まれてきた。子供の頃に悪戯を思いついたときは、いつもこんな感覚を味わっていたと思う。
ただ見つけるだけでは面白くない。どうせ会いにゆくなら、彼女の期待を楽しく裏切ってやるのも一興だ。
1025/11/23(日)17:54:39No.1375457367そうだねx1
おわり
昼寝から覚めたらシービーがいてほしいだけの人生だった
1125/11/23(日)17:54:50No.1375457505+
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笑う口元を赤い葉で隠して、机に寄りかかる彼女の姿が目に浮かぶようである。そしてこの一文の後ろに、きみはアタシを探してみてよ、という目に見えない言葉が書き添えられているのも。
「…ふぅ」
こういうことは今までも度々あった。気まぐれに旅に出る彼女は、何も言わないで出ていくくせに見つけてもらいたがるのだ。なんとも理不尽な話だと思うが、見つけられたときの彼女の上機嫌な微笑みを見ると結局また探そうという気になってしまうのだから、自分の容易さにも困ってしまう。
1225/11/23(日)17:55:10No.1375457674+
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湖を横に見ながら、アタシはその縁に沿って歩いていた。汗が乾いて冷え始めた体を温めたかったこともあるが、何よりも湖の反対側から煙のようなものが上がっているのが見えたからだ。森に隠れていて気づかなかったが、どうやら対岸にはキャンプ場があったらしい。
湖畔の風に当たりながら焚き火で沸かしたコーヒーを飲むというのは、確かになかなか悪くなさそうだ。

対岸に着くと、煙の他にもうひとつアタシを惹きつけるものが現れた。
煙の上がっている方向から、何ともいい匂いが漂ってくるのだ。紅葉を見るのが楽しみで歩いている最中は気にならなかったが、思えばアタシは朝から何も口に入れていないのだった。
1325/11/23(日)17:55:29No.1375457835+
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焚き火を見ている彼の隣には誰もいなかったが、誰も腰掛けていないキャンプ用の折り畳み椅子がひとつあった。
連れは薪を拾いにでも行っているのだろうか。けれど私の心は、すっかり目の前にある焼き芋に向いてしまっていた。
『中等部の子かな。おいも栗ごはーん、って歌ってるの聞いちゃったんだよね。
今度作ってよ。食べた分だけちゃんと走るからさ』
ちょうど昨日、寝る前に彼とそんな話をしたばかりなのを思い出してしまった。行儀が悪いのは重々承知しているが、アタシの思考は完全に、どうやったらあの焼き芋を分けてもらえるだろうか、ということに費やされていた。
1425/11/23(日)17:55:50No.1375458029+
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なるべく彼の気を悪くしないように、明るくそう伝えた。彼がどんな人柄なのかまるで知らないが、他に誰もいないこの場所を同じように選んでいるのだから、何か通じ合うものがあるかもしれないと、どこか淡い期待を抱きながら。
だがその期待は間もなく、その何倍もの驚きで塗りつぶされることになった。
「そんなのなくてもあげるよ。
シービーのために焼いてるんだから」
振り向いた彼の微笑みは、アタシが今までずっと待ち望んでいたものだった。
1525/11/23(日)17:56:15No.1375458174+
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風のように軽やかにどこにでも行ける彼女の姿は、出会った時から目に焼き付いて離れない。けれど、どこにも留めておけずにすぐどこかに行ってしまうことに、少し寂しさを覚えてもいた。
その寂しさを紛らわすために枕を抱いて眠っていたら、本当に枕が彼女に変わってしまうとは。あまりにも都合がいい夢だが、夢ならばいくら堪能しても誰にも迷惑はかかるまい。
会いたかったと口にすることさえもどかしくて少し強く彼女を抱きしめると、彼女は上機嫌そうに少し息を漏らして、応えるように抱き返してくれた。
1625/11/23(日)17:56:27No.1375458266+
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風のように軽やかにどこにでも行ける彼女の姿は、出会った時から目に焼き付いて離れない。けれど、どこにも留めておけずにすぐどこかに行ってしまうことに、少し寂しさを覚えてもいた。
その寂しさを紛らわすために枕を抱いて眠っていたら、本当に枕が彼女に変わってしまうとは。あまりにも都合がいい夢だが、夢ならばいくら堪能しても誰にも迷惑はかかるまい。
会いたかったと口にすることさえもどかしくて少し強く彼女を抱きしめると、彼女は上機嫌そうに少し息を漏らして、応えるように抱き返してくれた。
1725/11/23(日)17:59:44No.1375459686+
他人の自由も尊重してくれるはずの女にアタシのこと好きでしょって自信たっぷりに甘えられたい
1825/11/23(日)18:02:54No.1375460821+
遊び慣れてるように見えてキスするときにはちゃんと恥ずかしがる
1925/11/23(日)18:06:07No.1375461948+
寝てるところを上機嫌なCBに運ばれてるところをがっつり近所の人に見られててしばらく噂になってそう
2025/11/23(日)18:07:21No.1375462371+
帰りはシービーをおんぶして一緒に帰ることになるんだろうな
2125/11/23(日)18:11:16No.1375463785+
後日抱き枕を使おうとしたらシービーが抱き枕を抱いて寝てるんだよね
どうしようかなって困ってたらシービーがにやにや笑って「アタシを抱っこしたらいいじゃん」って言ってくるんだよね
2225/11/23(日)18:16:55No.1375465803+
普段爽やかなイケメン女子が懐くと甘えてくるのいいよね
2325/11/23(日)18:22:42No.1375467913+
シービーが昼寝したいときは当たり前のようにシビトレが呼ばれて抱き枕にされる
2425/11/23(日)18:23:50No.1375468316+
自由とは…
2525/11/23(日)18:28:08No.1375469891+
>自由とは…
アタシが好きなときに好きなひとと一緒にいられることだよ
2625/11/23(日)18:36:28No.1375472659+
シービーにとっては自分のしたいことを何の遠慮もなくできるのが自由なんだけど他人のやりたいことも邪魔したくないから一線は引いてくれる
たまにシビトレやエースみたいなどこまでもわがままに付き合ってくれる優しい人がそばにいると急に甘えん坊になる
2725/11/23(日)18:41:32No.1375474514+
ちょっと照れてるCBもシビトレをいじめてごきげんCBもかわいい
2825/11/23(日)18:51:37No.1375478025+
>>自由とは…
>アタシが好きなときに好きなひとと一緒にいられることだよ
トレーナーの自由とは…
2925/11/23(日)18:53:07No.1375478546+
横になってると猫みたいにお腹側にすぽっと収まってくるCBもいいと思います
3025/11/23(日)18:54:00No.1375478844+
>>>自由とは…
>>アタシが好きなときに好きなひとと一緒にいられることだよ
>トレーナーの自由とは…
アタシにずっと夢を見てくれるって言ったよね?
3125/11/23(日)18:55:43No.1375479430+
>>>自由とは…
>>アタシが好きなときに好きなひとと一緒にいられることだよ
>トレーナーの自由とは…
好きな人と一緒にいられてるでしょ?
3225/11/23(日)19:07:19No.1375483485+
ちゃんと公式の男女カップルなのいいね
3325/11/23(日)19:09:23No.1375484189+
>ちゃんと公式の男女カップルなのいいね
だから自演なしでも伸びる


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