「連絡も入れずに来たんですか？社長」
憎まれ口。
「帰ってくるなら一言言ってよ！もうご飯食べちゃったじゃん」
真っ当な苦情。
あと一つが足りないと思ってしまうのは、俺のわがままだろうか。
「ごめんって。俺はさっき外で済ませてきたから」
「ガイ！」
聞き慣れた声にはっと振り返ると、見慣れた白いオフショルダーシャツとワイドズボン、束ねて留めたブラウンの髪。いつもの帽子と上着はどこかに置いたままらしい。
誰よりも安心するその声と姿で、張りつめていたものが一気に切れた。
「おかえり」
「ただいま」
そう言いながら微笑む姿に感じる安心。それが家族と…母さんと居た頃のそれに似ているって気付いてしまった。
「遅くまでお疲れ様。何か飲む？」
「自分でやるから大丈夫」
ネクタイの結び目を緩めながら答えて、自分が嫌な夢を見るほど疲れていたことを思い出した。

「…ごめん、やっぱコーヒーで」
人に何かを頼むのがあなたの仕事でもあると、マスカットさんに指導されたのも思い出した。
セイカは俺のあいまいな返答を聞いて、少し嬉しそうな顔でキッチンに入っていった。
その後ろ姿を見送って、上着を脱ぎながら座り慣れたエントランスの椅子に着地する。
「仕事を振るのが上手くなったんじゃないですか、ガイ社長」
「うーん…使いっ走りみたいなことさせちまって申し訳ねえな」
「たまにはいいんじゃない？セイカってガイのために何かやるのが大好きだもんねえ」
「そういうとこ、誰かさんに似てますよね」
…そうなのか？
もしかして、それが理由なのか？
MZ団に入ったのも、俺と一緒にロワイヤルのランクを上げてくれたのも、最後まで残ってアンジュと戦ってくれたのも…
じゃあ、あの日、俺を止めたのは…
「ちょっと行ってくる！」
居てもたってもいられずに、エントランスを飛び出した。
キョトンとした顔の二人を置いて、キッチンへ走る。

「セイカ！」
「わっ！？何！？」
華奢な身体がビクッと跳ねて、セイカが振り返る。驚かせてしまった。
大声で名前を呼んだはいいが、言葉がうまく纏まらない。何を言おうとしたんだっけ。何を言えばいいんだっけ。
「その…ごめん」
「えっ…何が？コーヒーより紅茶が良かった？」
「そうじゃなくて…俺が、社長になることを決めた日のこと」
セイカはそれを聞いて、コーヒーカップを置き、少し困ったように笑う。
「あれは、私が悪かったの。わがまま言って困らせちゃった…だから、気にしないで」
「いいや、俺が悪かった。セイカの気持ちにも、自分の気持ちにも気付けなかったんだ、俺…」
「ミアレをよくしようって、お前も同じ気持ちでいるだろって、本気でそれしか考えてなかったんだ」
たどたどしくても、思ったことを全部言うべきだったんだ。なあなあのままここまで来てしまった。
「だろうね」

「…なんというか、その…今日ホテルに帰ってきて、セイカに会って、すげー安心して、やっとわかったんだ、あの時のオマエの気持ち」
「俺、できるならずっとここにいたいって。みんなの…オマエのいるホテルZに…やるべきことがあるから、そうはいかないって分かってても」
「”イヤだ”って、そういう…ことだよな…？」
ふう、と息を吐くと、セイカは俺にコーヒーカップを手渡してきた。
「及第点かな。ガイにしては頑張ったね」
普段なら、なんだよその言い方とむくれていただろうが、心の中には安堵が満ちていた。
コーヒーの匂いも心を落ち着かせてくれている。一口含むと、心地いい苦みが広がる。
「私の気持ちが分かったんだよね？じゃあ返事聞かせてよ」
「ん？」返事？返事ってなんだ？
「ん？」セイカもきょとんとした顔で、変な声を出す。
少しの逡巡の後、セイカは心底呆れたという顔で、大きくため息を吐いた。そして額に手を当てる。
「ガイってさあ…いや、いい、もういい、今諦めた。ガイだもんね…」
「ちょ…どういうことだよ！及第点だって言ったのオマエだろ！？」
なあ！言ってくれないと分かんねえって！

追い縋る俺を無視してかつかつ歩くセイカについて行く。
俺はまだまだ、アイツの気持ちが分かってないらしい。
後日このことを二人に話したら、めちゃくちゃ罵られた。

ガイはさあ…頑張ったな

Misson39後のガイとセイカを描きました
奴は相手の気持ちを考えるようになっても素でクソボケだと思っています

そうですか…

よかった…ビル前をうろついてる不審者の夢じゃなかったんだね…

>「私の気持ちが分かったんだよね？じゃあ返事聞かせてよ」
>「ん？」返事？返事ってなんだ？
>「ん？」セイカもきょとんとした顔で、変な声を出す。
>少しの逡巡の後、セイカは心底呆れたという顔で、大きくため息を吐いた。そして額に手を当てる。
>「ガイってさあ…いや、いい、もういい、今諦めた。ガイだもんね…」
クソボケがー！！

これで及第点はだいぶリップサービスだよねえ…

>これで及第点はだいぶリップサービスだよねえ…
普段赤点の人間に90点を期待する人間はいないからな

(寂しいから）イヤだ…
まで行けてもそこから先へ理解が及ばない男だよガイは

及第点だと思ったけど結局赤点じゃん！

途中までで赤点回避くらいまでは取れてたけど恋する乙女をガッカリさせたので0点
ガイらしい末路と言える

ち！
ち！！

>後日このことを二人に話したら、めちゃくちゃ罵られた。
当たり前ですよね
当たり前だよねえ

ガイセイはガイが多少成長すれば少しずつ進むと思っている
本当にクソボケだから牛歩だろうけども

好きでもない男のために命張る女なんかおらんやろクソボケがー！！と心のサビ組が言っている

>好きでもない男のために命張る女なんかおらんやろクソボケがー！！と心のサビ組が言っている
そういうもんかな…って思ってる可能性が多分にある

まあでもここまで行けただけですごいよ

>ち！
>ち！！
気ぶりデデンネだ
どうする？

ガイにしては頑張ったねえ
ガイにしては

>>ち！
>>ち！！
>気ぶりデデンネだ
>どうする？
じしん

一網打尽にするな

俺と同じで寂しかったんだな…！
俺セイカの気持ち分かった！

>俺と同じで寂しかったんだな…！
>俺セイカの気持ち分かった！
クソボケ…にしては頑張ってる！

ガイの情緒が成長した！…これやっと基準値じゃないか？

ロボから中学生くらいまで成長してる

見守ってる2人はやきもきするだろうな…

>見守ってる2人はやきもきするだろうな…
こうなる前にガイは何気なく二人に俺も彼女とかいればなーって思うけど俺みたいなのに付き合ってくれる子なんているわけないよなとか言ってそう

自分で言ってなんですが僕にデリカシーで指摘されるのをもっと恥じた方が良いですよ人として

惚れた弱み込みの激甘採点でなお赤点取るの相当だぞお前！

ﾁﾞｭﾁﾞ!!!!!

警備デデンネはどう思う？

>警備デデンネはどう思う？
ち（成長できて偉い）

>>見守ってる2人はやきもきするだろうな…
>こうなる前にガイは何気なく二人に俺も彼女とかいればなーって思うけど俺みたいなのに付き合ってくれる子なんているわけないよなとか言ってそう
ぢ！！！

ちー！ちー！

野生の気ぶりデデンネが集まってきた

ものすごい勢いできぶり害獣が集まって来ている

女子をカフェに誘っておいてカフェに友達いたらそっちに声かけて特にいい雰囲気にするとか無しに解散する奴だからな
いやあれの時暴走メガシンカ対策周りで忙しかったから仕方ないけどさ

ち！！！

>誰よりも安心するその声と姿で、張りつめていたものが一気に切れた。
>「おかえり」
>「ただいま」
>そう言いながら微笑む姿に感じる安心。それが家族と…母さんと居た頃のそれに似ているって気付いてしまった。
もう惚れとるやんけ！はよ付き合えや！

気ぶりヤクザまで来ちゃったじゃないですか

気ぶりシティに改名しろ