二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1763374124714.jpg-(28440 B)
28440 B25/11/17(月)19:08:44No.1373547043そうだねx4 20:21頃消えます
 金色の残光がわずかに西の水平線に残っていた。
 夕闇に染まりゆくカリブ海の上を小さな輸送機が一機、まっすぐに南へ飛んでいた。
 ウラジーミル社製Vl-228。小型ながら高い積載力と堅牢な設計で、旧時代から現在まで世界各地で使われている名機である。鉄虫に制空権を握られた陸上では低空か超高空を飛ばざるを得ないが海ではその必要もなく、左右のターボプロップエンジンを存分にふかして悠然と飛ぶその背後から、接近する影があった。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/11/17(月)19:09:07No.1373547175+
 小さい。航空機ではなく、機動型バイオロイドだ。特徴的な矩形の二次元推力偏向ノズルと変形デルタ翼、風になびく長い金髪。ブラックリバーのP-22ハルピュイアだ。
 レーダー派吸収構造素材のレオタードによる優れたステルス性で索敵を巧みにかいくぐり、Vl-228の胴体の真下へもぐり込んだハルピュイアは、体をひねって背面飛行をしながらなめらかに上昇し、輸送機の腹にぴたりと張りつく。航空機ならば離れ業だが機動型バイオロイド……それもスカイナイツのエリートにとってはたやすいことだ。手足とノズルを巧みに使って前進し、機首の真下まで来たハルピュイアはそこで動きを止め、右腰に装備したキャリーケースから大きな円盤のような機械を取り出した。
 指先でレドームの整備ハッチを探り当て、正確にその位置に機械を当てる。電磁吸盤でしっかりと機体に貼り付いたその円盤は微細な電磁波と高周波、極細のレーザービームを使ってVl-228のレドーム内にわずかな誤作動を起こし、レーダーが無力化されているのに索敵システムはそのことに気づいていない、という状況を作り出す。
225/11/17(月)19:09:38No.1373547361+
 装置の作動を確認したハルピュイアは多目的バイザーのすみに表示された時計を確認する。作戦開始から42秒。予定通りだ。

 レーダーが無効になったのと同時に、Vl-228に接近するバイオロイドが新たに二機あった。P/A-00グリフォンとP-49スレイプニールである。
 なめらかに近づいてきた二機は輸送機左側面のハッチにとりつくと、小さな機械を使ってドアロックにハッキングをかけた。解錠が完了し、いつでも開けられる状態になったのを確認すると、グリフォンがタクティカルバイザーの小型ライトを小さく数回点滅させる。
 一方ハルピュイアの方は再度移動し、コクピットのすぐ近くまで来ていた。グリフォンのポケットライトを確認すると、今度は左腰のキャリーケースから別の装置を取り出す。カメラマンが使うような、柄付きのストロボライトだ。
 ポケットライトが消えてから正確に5秒後、ハルピュイアはストロボをコクピットの前へ突き出し、スイッチを入れた。
325/11/17(月)19:09:56No.1373547474+
「!?」
 激烈な閃光がコクピットを真っ白に照らす。同時にグリフォンとスレイプニールがハッチを引き開け、各々の飛行ユニットをパージ。与圧された空気が爆風となって吹き出すのにも構わず機内へ突入する。
 パイロットが混乱し、両手で顔を覆ったのが見えた。080機関特製の、この特別な周波数で明滅するストロボはたんに目をくらませるだけではなく、視神経に作用して認知機能を攪乱する。ほんの一、二秒ではあるがパイロットは何も行動できなくなり、そしてグリフォンがテイザー弾を撃ち込むにはその一、二秒で十分であった。
 全身を硬直させたパイロットをグリフォンが操縦席から引き下ろす。入れ替わりにスレイプニールがシートへ滑り込み、キャノピー越しに手を振ってみせると、機首にしがみついていたハルピュイアが同じく手を振りかえして離脱していく。
「えーとえーとCVR(コクピットボイスレコーダ)は……オッケ、古い型ね。二時間分しか録音されないから、あと30分は何しゃべっても平気よ」
「ふー……!」
425/11/17(月)19:10:16No.1373547602+
 グリフォンが大きく息をついて、パイロットの首筋に無針注射器を押し当てた。シュッというかすかな音と共にがっくり力が抜けてのけぞったその顔は、シティガードの警視正・サディアスだ。
「フレズ、フェイズ1クリア。サディアスさん来ていいよ」
《もうそっちへ向かってます。十五秒でランデブー予定》
 開け放したままのキャビンのハッチから、銀灰色の翼が接近してくるのが見えた。P/A-8ブラックハウンドが、大きなハーネスでもう一人のバイオロイドを胴へ固定している。近づいてくるその手がハッチの縁をつかみ、入ってきたのはもう一人のサディアス……オルカのサディアスだった。
「見事な手並みだ。スカイパイレーツでもやっていけるんじゃないか」
 ハーネスと酸素マスクを外し、ひとつ伸びをしたサディアスがキャビンを見回す。
「やめてよ。ハイジャック退治は何度もやったけど、ハイジャックする側になったのなんて初めてだわ」
「私やったことあるよ」操縦席からスレイプニールが首を出す。
「マジ?」
「なんか極秘任務とかって、ウロボロスと一緒にね。でも普通のハイジャックは地上にばれても構わないから、もっと楽よ」
525/11/17(月)19:10:34No.1373547705+
「普通のハイジャック事情なんて知らないわよ……」
「9-34sか」
 言い合いを続けるスカイナイツ二人に構わず、サディアスは横たわる同型機の襟を裏返して認識番号を確かめると、制帽をとってコートを脱いだ。
「服を交換する。グリフォン、こいつを脱がすのを手伝ってくれ」
「同じ服なのに?」グリフォンが意外そうな顔をする。
「同じ服だからだ。傷や汚れ、ちょっとした違和感が疑惑につながることもある」
 さっさと下着姿になったオルカのサディアスは、寝ている方のサディアスのコートを脱がせはじめる。グリフォンもあわてて手伝った。
「……ひと穴ゆるい。オメガの下で働いていれば無理もないか」タイトなレザーパンツに脚を通したサディアスが、ふと腰に手を当ててつぶやく。
625/11/17(月)19:10:49No.1373547800+
「何が?」
「仕事のストレスは食べて解消するたちでな」
 引き締まった己の腹筋を満足げに撫でてからサディアスは操縦席へ向き直った。「代わろう。操縦にも慣れておきたい」
「はーい。私たちもそろそろ戻ろっか」
 コクピットからひらりと出たスレイプニールは裸に剥かれたサディアスをコートでくるんで担ぎ上げ、外で待機していたブラックハウンドのハーネスにつなぐ。それから振り返ってぐっと親指を立てた。
「頑張ってね! 無事を祈ってるわ」
「ああ」サディアスは二本指で答礼した。「そっちのサディアスをよろしく頼む」
725/11/17(月)19:11:43No.1373548124+
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 サディアス9-34sが目覚めて最初に見たものはパイプが縦横に走るせまい天井と、椅子に腰かけて静かにこちらを見ているブラックリバーのピュトンモデルだった。
「おう、起きたかの」
 その瞬間、サディアス9-34sの頭にまず浮かんだのは、
〈処罰〉
 の二文字であった。
 レモネードオメガの支配する北米では一度のミスですべてを失う。たった一度、オメガを満足させなかったせいで最下層に落とされ、あるいは新品と入れ替えられた上官、同僚、部下は数知れない。自分も今、その列に並んだのだ。
 重苦しい絶望に覆われると同時に、しかしサディアス9-34sの脳はフル回転を始めていた。オメガの下で働くバイオロイドが、何よりも鍛えられるのは業務遂行能力ではない。失敗をどうにかして取りつくろう、瞬間的な状況判断と打算の力だ。
「……」
 無言のまま慎重に体を起こし、目だけで周囲を見回す。四肢は拘束されていない。固いベッドに寝かされていたようだ。
825/11/17(月)19:12:15No.1373548298+
 最後に覚えていることは何だ? 輸送機を操縦してカラカスへ向かっていた。オルカ反乱軍との休戦交渉にあたり、一時的にカラカスのシティガードの指揮を執るためだ。記憶がはっきりしないが、何か光を見たような気がする……首筋をさすると、かすかに痛む腫れがある。ひどい頭痛と併せて考えれば、おそらくテイザー銃で撃たれたあと麻酔を打たれたのだろう。この状況で自分を拉致する勢力は一つしかない。
(オルカ“反乱軍”……)
 北米でもそれなりの地位にいるサディアス9-34sは、一般のバイオロイドと違い外界の情報にもアクセスできる。オルカが反乱軍などという雑な言葉で片付けていい勢力でないことはよく知っている。
 普通に考えれば情報目的か人質……オメガ相手に人質が通じるなどとさすがに思ってはいないだろうから前者か。しかし、今このタイミングであることが問題だ。
925/11/17(月)19:12:32No.1373548398+
 オルカ配下の別のサディアスが、自分とすり替わってカラカスへ向かっている可能性がある。いや、輸送機自体も無傷で奪われたはずだから、間違いなくそうだろう。オルカはカラカスで何をする気だ? サディアスを暗殺ではなく拉致した意図はなんだ? この状況を乗り切って失点を挽回……少なくとも隠蔽して北米に戻る道筋はあるか?
 大量の思考を一瞬で回転させた後、サディアスはゆっくりと口を開いた。
「ここで何か話せば……オルカに亡命させてもらえるのか?」
「ほっ」ピュトンが愉快そうに目を見開いた。「話が早いの。じゃがまあ、無理強いする気はないよ」
 オーケー、尋問はなし。少なくとも今すぐには。サディアスの頬を汗がつたう。
 敵の主目的はすり替わりの方で、サディアスを拉致したのは単なる「ついで」……という可能性の方へ天秤が傾いた。しかし事態が好転したとは必ずしも言えない。身柄が目的でないということは、状況次第で死んでも構わないということでもあるからだ。伝え聞くオルカの性格であれば、単に殺人を避けただけという可能性もあるにはあるが、楽観は禁物である。
1025/11/17(月)19:12:52No.1373548514+
「それなら、私をどうするつもりなんだ」
「さて、それが難しいところでな」ピュトンは目を細めて、その先を答えない。
 とにかく今は少しでも情報を集めなくては。空気がひどくこもっていることに、サディアスは気がついた。どこか遠くで唸り続けている一様な機械音。加えてこの狭さ。船につきもののゆったりとした揺れは感じられない。
「潜水艦か、ここは」
「当たりじゃ。カリブ海におるよ」
 なるほど、海中で待ち伏せて輸送機を襲撃したというわけか。辻褄はあっている。そしてそんなことを気軽に教えるということは、脱走などさせない自信があるのだろう。実際ここが本当に海中なら、独力で脱出するのは難しい。そして、みょうに煮え切らないピュトンの態度から、サディアスはここで一つの仮説を引き出した。
(オルカの目的は、カラカスでの交渉を無事に終えること……ただそれだけなのでは?)
1125/11/17(月)19:13:09No.1373548619+
 あり得ない話ではない。オルカの戦力からすれば、今回の休戦は願ってもない好条件のはずだ。余計な事件が起きてほしくないというのは十分動機になり得る。オメガは事実この機に乗じてベータのケストスヒマスを奪うつもりだから、あながち深読みのしすぎといううわけでもない。
 そして、交渉が終わればサディアスの入れ替わりは必ず露見する。カラカスのシティガードならともかく、オメガの目を偽者が欺けるはずがない。何なら交渉が終わった時点で、オルカ側からバラす可能性すらある。そうなったとき、「サディアス9-34sを無事に引き渡す」という選択肢がとれなければ、オルカの立場はかなり不利になる。
(拷問もされず、かといって勧誘もされない。中途半端な態度は、そういう背景のせいでは……?)
「……オルカは来る者は拒まない、勧誘熱心な組織だと聞いていたがな? あんな低俗なMVまで流すくらいに」
「プロジェクトオルカのことか? ええじゃろ、あれ。儂がまだおらん頃でな、出られなかったのが残念でならん」
1225/11/17(月)19:13:32No.1373548768+
 探りを入れても話をそらされる。やはり、こちらがオルカに行く気になっては困るのだ。天秤がだいぶこちらに傾いてきた手応えを感じたサディアスは、もう一歩踏み込んでみることにした。
「喉が渇いたな。何か飲ませてもらいたい」
「水でええかの」
「茶がいい。でなければ甘いものか」
 腰を浮かしかけたピュトンの眉がぴくりと動いた。「……少し待っとれ」
 ピュトンが扉の外に小声で何かささやく。しばらくして、運ばれてきたのは甘いレモンティーであった。
「……本当に出てくるとは思わなかった」一口すすると、香りも甘さも上品だ。缶や瓶の飲料ではない、今実際に淹れたのだろう。
「贅沢なものだ。物資が豊かというのは本当なんだな」
「おかげさんでの」ピュトンは曖昧に笑う。
 サディアスはもう一口あおる。「本当にうまい。なんだか亡命したくなってきたな」
「そうかえ。……のう、嬢ちゃん」
 カップから顔を上げるとすぐ目の前にピュトンがいた。
「さっきから、えらく察しのいいことじゃ。頭が回るのは結構じゃがの、ほどほどにしておけよ」
1325/11/17(月)19:13:53No.1373548889+
 いつ立ち上がったのか、いつ近寄ってきたのかまったくわからない。トルマリンに似た明るい青の瞳がおそろしく底暗い光をはなち、その光に射貫かれてサディアスは言葉を失った。
「もし本心から亡命したいなら、オルカはいつでもお主を迎え入れる。オメガの追っ手からも守り抜く。そのためにオメガと一戦交えることになったとしても、儂らの司令官ならきっとそうする。じゃがもし、そんな司令官の優しさにつけ込んで悪さをするようなら……オルカは優しい所じゃが、優しさしかないわけではないぞ」
 サディアスがようやくの思いで首を縦に動かしたのを確認してから、ピュトンはゆっくりと椅子へ戻った。酸素を求めるように喉へ手をやりながら、サディアスはようやく思い至った。
「貴様……ピュトンモデルではないな?」
「今頃気づいたのか」そのバイオロイドはおだやかに笑った。「いかにも、儂はピュトン特殊改修型……ウロボロスじゃ。名前くらいは聞いたことないかの?」
 聞いたことがあるどころではない。スカイナイツ伝説の指揮官機。オルカはいつのまにか、こんな化け物まで復元していたのか。
1425/11/17(月)19:14:58No.1373549296+
 にらみつけるサディアスの視線を意に介さず、ウロボロスはしずかに立ち上がり、
「ま、おおよそお主の読み通りじゃろうよ。大人しくしていてくれると助かるのう」
 それだけ言って出ていった。襟首がぐっしょりと汗で濡れていることに、サディアスはその時になって気がついた。

 一日たち、二日たった。ウロボロスの言ったとおり、特に尋問などはされていない。部屋の外にこそ出られないが、食事もそれなりにまともな……少なくとも、潜水艦の乗組員ならこんなものだろうという程度のものが運ばれてくる。
 壁や扉は普通の樹脂製だ。SS級バイオロイドであるサディアスなら素手でぶち破ることもできなくはないが、廊下の外には二十四時間見張りが立っている。
(脱出できないまでも、オメガ様に連絡する方法はあるか……?)
 ここまでの推測が当たっていれば無事に返してはもらえるだろうが、何かしら収穫を持って帰らなければ、オメガの下に戻っても未来はない。
1525/11/17(月)19:15:14No.1373549409+
 悩み続けても何も思いつかないままの三日目、急に艦内が慌ただしくなったようだった。チャンスかと腰を浮かせたが、残念ながら警備が緩むことはなく、やがて何とも言いようのない顔でウロボロスが入ってきた。
「状況が変わった。……実は、今日が休戦交渉の予定日だったんじゃがの」
 ウロボロス曰く、ベータとそのクローンがオメガを罠にかけようとして、オメガは一時的にオルカと共闘することになった。だが戦いはもう片付き、戦闘の余波でカラカス市街は半壊、ベータは敗れてオルカの傘下に入り、オメガはケストスヒマスを奪って北米へ戻ったという。
「というわけで、お主の処遇が宙ぶらりんになってしまっての。やっぱりオルカに来んか?」
「何だ、それは」
 サディアスは呆れと怒りが入り交じった大声を出した。
「どうしても戻りたいなら、マイアミあたりの海岸に下ろしてやらんでもないが。今更言うのも何じゃが、オルカはいい所じゃぞ」
「そこじゃない。証拠もなしにそんな話を信じると思うのか」
「ううむ。証拠といってものう」ウロボロスはしばし頭をぐるぐる回してから、ぽんと手を叩いた。
「あれでどうじゃろか」
1625/11/17(月)19:15:31No.1373549515+
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 額と腕に包帯を巻いたサディアスが、カウチから起き上がってスカイナイツを出迎えた。
「やっほー、サディアスさん。お疲れ様」
「そっちこそな。このあたりでも大きな戦闘があったと聞いた」
 壁一面の窓からはカリブ海が一望できる。カラカスから北に十数キロ、海沿いに立つ豪奢なリゾートホテルのスイートルームである。
「もー、デスストーカーがわんさか押し寄せて大変だったわよ」グリフォンが大げさに肩をすくめた。「サディアスさん、警察用装備だけであれとやり合ったって本当? よく生きてるわね」
「おかげでこの通りだがな」
「怪我の具合はどうなんじゃ?」
「歩き回れる程度には回復した。だがせっかく司令官がくれた特別休暇だからな、もうしばらくのんびり休ませてもらうつもりだ」
「それがいいですよ。これ、ソニア警視正からお見舞いです」
 ブラックハウンドが差し出した紙袋を受け取ってサディアスは苦笑する。「あいつめ、また酒ばかり」
「それにしても、素敵なホテルですねえ。リンティたちが戦ってたすぐ近くにこんなところがあったなんて」広々としたスイートルームを見回して、リンティが目を輝かせた。
1725/11/17(月)19:15:54No.1373549663+
「来賓用としてベータが特別に維持管理していたんだそうだ。昔オメガも泊まったことがあるらしいぞ」
「リンティ達もここでリゾートしましょうよ、戦隊長ー!」
 すでにあちこち駆け回って探検しているスレイプニールが隣の部屋から顔を出す。「二階にホールもあったわよね。あそこでコンサートするのもいいわね!」
「遊びに来たんじゃないのよ! 私達は任務、まだ残ってんだからね」
 釘を刺してから、グリフォンがふと向き直る。
「そうだ、あっちのサディアス、9-34sだけど。結局オルカに亡命することになったわ」
「ほう」サディアスは眉を上げた。「まあ、今更オメガ領にも戻れんか。こっちへ来るのか?」
「保護観察でフランスへ行きました」ハルピュイアが補足する。「080に調べてもらって、問題なければ司令官に面通しして……いずれはこっちのシティガードを任せることになるかもですね」
「何を言ってもぜんぜん信じてくれなくて大変だったのよ」グリフォンが肩をすくめた。「まあ実際信じられないような急展開だったし、証拠なんか出せないからしょうがないんだけど」
「最後の決め手は、お前さんがくれたヒントじゃったのう」
1825/11/17(月)19:16:09No.1373549756+
 ウロボロスがにやにやと笑ったのへ、サディアスが怪訝な顔をする。
「ヒント?」
 ウロボロスは可笑しそうに、両手を腰に当てて腹回りをなぞって見せた。
「お前さんが置いてったパンツをな、あっちのサディアスに穿かせてみたら覿面じゃったわ」
 一瞬、目を丸くしたサディアスは、はじけるように笑い出した。
「奴がこっちへ来たら、一緒に酒でも飲むか」
「ええのう。儂も呼んでおくれ」
 サディアスは窓に近寄って海を眺めた。それからもう一度笑って、肋骨の痛みに顔をしかめた。

End
1925/11/17(月)19:17:39No.1373550377そうだねx1
まとめ
fu5907257.zip
12区域でオメガ配下のサディアスを拉致って入れ替わってたけどあの子どうなったのかな…という話です
2025/11/17(月)19:31:58No.1373555481+
そういやあったな…
2125/11/17(月)19:33:31No.1373556154+
地上にもパイロット本人にもバレてはいけないハイジャックって難易度高いよな
2225/11/17(月)19:39:24No.1373558457+
あとウロボロスは単なるおばあちゃんキャラじゃなく
いざ対敵したら長年の経験から来る貫禄や凄みがめっちゃあるといいなと思って書いた
あの童顔に爬虫類っぽい瞳孔いい…
2325/11/17(月)19:48:09No.1373562212そうだねx2
ピュトンって誰なの?って思ってたらウロボロスの事だったのね
設定ちゃんと読み込んでないと分からない部分だった
あと何か輸送機とかないものって刷り込みがあったけど
そりゃ物資運ぶには大型の輸送飛行機とかあるのよね
ちょこちょこシナリオでもそういう描写はあった気がしたけど
あの世界での乗り物のイメージがどうしてもオルカとかハーカくらいになっちゃう
2425/11/17(月)19:54:17No.1373564876+
自分と同じモデル脱がすのってどんな感覚なのか気になった
変な話育った?環境が違うと意外とそんな同じ存在には感じないのかな
2525/11/17(月)20:12:24No.1373573205+
まあ一卵性双生児だからなあ
2625/11/17(月)20:18:52No.1373576038+
基本的にバイオロイドは余程のことがなければ元の姿から大きく変わらないので負傷とか改造とかじゃなくて生活で変わったとなればね
オルカでむちむちになったニンフとか良いよね…


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