二次元裏@ふたば

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901783 B25/11/02(日)19:50:54No.1368846264そうだねx4 21:01頃消えます
「嫉妬なんかしない」
なんて言えば嘘になる。あの日、ニャアンがジークアクスに乗った夜。シュウジと一緒にクラバという戦場で舞ったあの夜。わたしは嫉妬していたんだ。
 ニャアンにじゃない。シュウジと誰かがマブになる事だった。コクピットでわたしを抱きしめてくれる腕(かいな)。あれはわたしだけのものだったとばかり思っていた。
 独占欲だった。『ほしがり屋さん』だったんだなわたしって…ちょっと醜い自分がいる。
けど、もうそんな嫉妬に狂う必要はない。今はシュウジもニャアンもみんな一緒なのだから。
―――南の孤島、シュウジはすぐに見つかった。終末装置なんていってもただの男の子なんだよ、わたしの事が大好きな男の子。だから、帰ってきたんだ。わたしの胸の中へ、私の唇を目指して。愛を欲して戻ってきた美少年を受け入れるしかわたしには術(すべ)がない。
 三人揃ってなかよく暮らしています。よろしくッ!
125/11/02(日)19:51:10No.1368846390+
昼下がりはニャアンはイヤーホンで音楽を聞きながらお洗濯をしている。南の島はすごい!洗濯物が数時間もしない内に乾く!おかげで毎晩シーツを洗濯している…まぁ別の意味で洗濯しないといけないんだけど。
 ニャアンの顔はいつも穏やかだ、幸せを掴んだって顔してる。うれしい、ニャアンの幸せがうれしい。わたしは洗濯物を畳む係とお昼ご飯係。お昼はだいたいカレーライスになる。簡単だし失敗しないからね!
 毎晩シュウジと愛し合っている。南十字星が輝いているのもおかまいなしに愛し合っている。粘膜の交換といえばみんな理解してくれるはず、これ以上説明するとエッチな感じになっちゃうじゃーん!だから「粘膜の交換」それだけ。キスだって粘膜の交換ですから!
 枕元でシュウジはいろんなお話をしてくれる。毎回出会う「不幸わせなララァさん」の事。
 小惑星を押し返すシャアさんと白いガンダムの話が一番面白かった。まるで映画のようなお話だった。
 あの頃のシュウジが殺すしか選択肢がなかった、悲しいララァさん達。
225/11/02(日)19:51:31No.1368846548+
「彼女の幸せの為にボクは彼女を殺めすぎた。彼女の為とはいえ独善的だったね」
とシュウジは話をしめくくる。
「でもさ、もう殺さなくていいじゃん?」
「マチュがこの世界にボクを引き止めてくれたからさ」シュウジ淡々と答える。
「それもそうだけど、シュウジがさ、目覚めてくれたからなんだよ」
「目覚める?」
「愛とか…そういう感情だよ、たとえばの話だけど」
 そう言って、わたしはシュウジと唇を重ねる。あの日と一緒だシュウジを抱きとめて。そして重ねる。
 あの日と違うのは舌と舌を絡めている事、恋人同士のキスになっていた。
「あの日、私がこうやってキスしなかったら。帰って来る気なかったでしょ」
「うん、マチュの世界は諦めていたよ。ボクはこの世界にはいられないんだって思ってた」
「けど帰ってきたじゃん!」
「うん、帰ってきた」
「それが『愛』っちゅー訳じゃーん?」
私ははにかむように笑った。満月の月明かりが二人の身体を照らしてくれる。
325/11/02(日)19:51:49No.1368846686+
「そうだね、それが『愛』かもしれないね。ボクはララァへの『愛』の為に動いていたつもりだけど、マチュのお陰で、『愛』を知ったよ。」
「言ってくれるじゃん」マチュは肘でシュウジの細い身体を小突く。
「本当だよマチュ」シュウジは私を見え微笑んでくれる。倖せな時間だ。
「けどなんか妬いちゃうかな」
わたしはベッドから立ち上がる。喉が乾いたので水を飲みにキッチンへ向かうのだ。
 三人が住んでいる…というか棲んでいる巣たる島には水源が2つある。
 一つは地下水。でっかい洞窟から湧き出るお水はおいしい、普段はこっちを使う
 もう一つは、今は苔むして自然と一体になっているジークアクスの原子力電池だ。この電力を浸かって海水を真水に還元している。ヒゲマンが言うには水道ポンプと家庭用の電力として使うだけなら1億年は持つ頑丈な電池だそうな。一億年って…人類絶対死滅してるじゃーん!
425/11/02(日)19:52:05No.1368846797+
―――苔むしたジークアクスを前に、ヒゲマンは続ける
「1億年後も人類が繁栄する為に、ニュータイプ研究は必要なのです」
「それって私達も実験台?」
「あなた達から得られれるデータはもうなにもありません。あのゼクノヴァの観測データさえあれば十二分です。今、あなた達を研究に巻き込めば戦争の道具にしかならないでしょう、だからあなた達はこの島で幸せに暮らしてください」
 そんな事を言っていたのを思い出した。なんだかすごい事したんだなぁ私達。
冷蔵庫に手をかける、湧き水をペットボトルに入れて冷やしてある。それを取りにいくのだ。
パンツを履いて上半身は何も着ないでキッチンに向かう。後ろから影が映える。シュウジだ
「ボクもお腹がすいたや」と冷蔵庫を漁ろうとしている
「明日のご飯だからダメッ!」といいつつ、フランスパンと作り置きのツナマヨで彼の食欲を満たしてあげる事にした。
525/11/02(日)19:52:19No.1368846889+
フランスパンとハムだけは絶対に在庫を切らさないようにしている。
 毎朝、ニャアンが作ってくれるフランス風ベトナム式サンドイッチ「パインミー」は絶品だからだ。大根と人参の酢の物がまたアクセントになっていい!「なます」っていうらしい。
 まぁそれはいいとして、ペットボトルから直接水をガブガブ飲む。
 水の勢い余って喉元をバシャバシャと濡らす
「扇状的だね」とシュウジ。
「エッチな気分になる?」「まぁね、マチュは常にエッチだよ」
 とくだらない会話を続けた後、わたしはさっきのララァさんのお話を思い出していた。
「なんか妬いちゃいな…ララァさんに」
 シュウジは黙り込んでしまった。フランスパンを齧る手も止まった。軽い緊張感が走る
((マズい事…いったかなぁ))と心の中で我が身を五分反省。しかし、シュウジには心の中なんてお見通しだった。
625/11/02(日)19:52:32No.1368846997+
「いいよマチュ、話して。ララァさんの事」
「うん…シュウジみたく全部を知ってる訳じゃないよ…浅はかな知識で語っちゃうけどいい?」
「いいよ、ボクだってララァのすべてを知っているわけじゃない」
シュウジの瞳は真剣だった。真っ暗なキッチン、窓から月明かりと玄関の灯りが差し込むだけだ。玄関の灯りからはジジジッと羽虫がバチバチ当たる音がする。この島の虫さんはたくましい。
「ララァさんはさ、たしかに憎しみとか怒りもあるとおもうけどシュウジに思われてたじゃん、毎回思う通りにいかなくても。ララァさんへの愛がシュウジを突き動かしていた」
「そうだね、マチュの言う通りだ。時には怒りと諦めに感情を埋める時もあった」
シュウジもわたしも淡々と話しはじめる。否、語り始める。
「そういう感情をブツけてくれる相手ってさぁ…うらやましいと思うんだよね。変な事聞くけどさ?わたしたちもう夫婦だよね?」
「愛の契り交わしているつもりだよ」シュウジは答える。私達には結婚指輪も結婚式もない、ただ愛を交わしている。それだけが夫婦である証明であるのだ。
725/11/02(日)19:52:52No.1368847124+
「夫婦、というか人生ともにする相手にはさぁ愛だけじゃなくて憎しみとか悲しみとかそういう感情を触れ合っておかないといけないと思うんだよね」
 やだッ!?何語りだしてるのわたし!?恥ずかしいじゃん!
「そうだね、愛は必要だけどいろんな感情を知れば知るほど関係は深みを増すというものさ、これはガンダムの言葉じゃない。ボクの言葉だ」
 シュウジがガンダムに頼らない!自分の言葉で喋ってる!えらい!
「わたしさ、ニャアンに勝手に嫉妬して…ほらニャアンがジークアクス乗って闘った時あるでしょ?」
「熱出てたからあんまりおぼえてないや…けど彼女は紫色のキラキラを纏っていた。綺麗だったよあれがニャアンの色だ」
「そう、それからちょっとケンカ…って程じゃないけど。わたしの独りよがりなんだ…嫉妬でおかしくなりそうで、けど頑張ってくれたニャアンは憎む訳にもいかなくて…いろいろあったんだよ、だから今があるんだ…ニャアンにはちょっと感情を剥き出しにしてしまったけど、そのお陰でニャアンと友達になれた、生涯唯一の本当の意味での『ともだち』だよ」
825/11/02(日)19:53:18No.1368847327+
「そうだ、ニャアンとマチュはいいともだちだよ」
「嫉妬深いんだわたしって…こんなに醜い所があったんだってあの時はじめて知った。けどそのお陰で今があるんだ」
「嫉妬深さならボクは負けないよ、ララァのお話、もっとしてあげようか?」
「いいよ!いいよ!」わたしは水を飲む手を休めてシュウジにNOのハンドサインを送った。
「嫉妬とかさ、怒ったりさ、泣いたりして仲良くなるんだね…人間って」
 なんかもっともらしい事をわたしの口が発している。大丈夫かなわたし
「それが人類繁栄の礎だよ。感情のコントロールと認知機能が人類をここまで大きくした。火を覚えてから数千年で宇宙空間に住み始めるって生命の歴史からしたらとんでもない事だよ…変な事を話してしまったね」
「いいの!?」
「マチュの言う事が正しいだよ、怒ったり、泣いたりして人は距離を近づけていく、大事なことだよ」
925/11/02(日)19:53:36No.1368847459+
「ニャアンやララァさんへのやきもちも?」
「そうだよ、大事な事さ、これが憎悪になってしまったら人間関係は構築できない、けどマチュはマチュなりに受け入れてくれた。これでいいんだよ」
「いいのかなぁ…いいのかなぁ」
 恥ずかしくなってわたしは髪をワシャワシャ掻きむしった。汗をかいて髪がベトついている。シャワー浴びないと。
「いいんだよマチュ、ボクもマチュとこうして感情を出して話し合えてるからこそ仲良く慣れたんだ…夫婦、番(つがい)の関係にまでなれた」
「うれしい!シュウジから『ふうふ』って言葉が出てくるのうれしい!」
 わたしははしゃいで見せてシュウジに飛びかかった、抱き合った。暖かかった
「けどシュウジはあまり感情出さないじゃん」
「ベッドでは感情剥き出しだよマチュ…偽物の愛は無表情だけど、愛し合う時は感情に溢れるんだよ」
「うれしい♪シャワー浴びよ!」
「そうだね、シャワーにしよう」
1025/11/02(日)19:53:51No.1368847568+
そうして私達はタオルだけ取ってシャワーブースを共にする。南半球にある孤島は今夏を迎える。水シャワーが気持ちいい。
 夜中にこんなにハシャイで、ニャアンを起こしてしまわないか心配だった。
「ほしがり屋さん」のわたしも悪くないなぁ…こらからももっと欲張っていこう
 ニャアンとの友情も、シュウジとの愛も全部わたしのもの。もちろんお互いの関係が大事。
 やきもちに身を寄せる夜も悪くない。雨水のように降り注ぐレインシャワーにシュウジと共に身を任せせながらそう思うばかりだ。
1125/11/02(日)19:55:47No.1368848347+
11/29日に行われるシュウマチュwebオンリーに参加するよ
https://pictsquare.net/nbwyrhdbduyp8ljdty5eaj9zuhuxnrgn
描き下ろしシュウマチュを配布するよ
よろしくね。
1225/11/02(日)19:58:03No.1368849297+
シュウマチュたすかる
1325/11/02(日)19:58:39No.1368849532+
孤島…いやまさかな…
1425/11/02(日)19:59:50No.1368850003+
くっ…今日もきたか!眩しい!
1525/11/02(日)20:01:15No.1368850540そうだねx1
ちなみにサークル参加期限は今日までだよ
シュウマチュに想いを馳せたい人は参加しようね
イラスト一枚とか過去作掲載とかでも参加できるから敷居は低いよ
参加しよう!
1625/11/02(日)20:03:42No.1368851653+
シュウマチュいいよね…
1725/11/02(日)20:07:51No.1368853484+
>ちなみにサークル参加期限は今日までだよ
>シュウマチュに想いを馳せたい人は参加しようね
>イラスト一枚とか過去作掲載とかでも参加できるから敷居は低いよ
>参加しよう!
今から!?
1825/11/02(日)20:08:09No.1368853606+
閃光弾が眩しい
失明してしまう
1925/11/02(日)20:08:37No.1368853806+
>今から!?
11月末のイベントだからまだ1ヶ月あるぞ!
2025/11/02(日)20:13:58No.1368855981+
閃光弾ももうすぐ一周年か…
2125/11/02(日)20:17:51No.1368857600+
シュウマチュはいい
そのうち癌に効くようになる
2225/11/02(日)20:39:37No.1368867208そうだねx1
またここで閃光弾を見れる日が来るとは
ありがとう
2325/11/02(日)20:50:37No.1368871950+
かいな(腕)良いな


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