ヘレナ・アイテール [大浴場]
「……あれ、そういえばここ前も来たような」
ガラガラ入り口を開けてバジリスクが入ってくる。
今のところ風呂場は貸し切りのようだった。
母艦の移動の合間を縫ってきたので彼女がここにいられる時間はそれほど長くない。
手早く身体を洗い、さっさと湯船に着水した。
「ふぅ……そういえば母艦の皆さん、昔はあそこまで仲良しでしたっけ」
昨今はメンバー同士の交流が盛んな傾向にあるような。
そんな気がしている。
かく言う私も患者と医者の立ち位置でなく、より親密に話すこともそこそこ多くなった。
せっかくなら外科医が私以外も増えてくれ~と思いつつ執刀技術を教えたりもしているが……
「……いや、よく戦闘に活かそうと思ったなあの人たち」
私じゃ無理だぞ。ほんとに。
私の技術はフロウライト、リルドラケン、その他皮膚が非常に厚いタイプの生物種の硬度を無視して執刀するために編み出したものだ。
戦いに活かす前提で考案したものでは、決してないのだが……
「まぁ……それはいいか」
役に立っているなら、それで。