山田自身が推測するに、仕組みは次の通り。
そもそも山田の自我の表出に必要なのは宇宙船の動力核に等しい膨大なエネルギー。
佐賀の経済を支える名物たちに凄まじいエネルギーが宿っている事は周知の事実であり、それらを一堂に集めたサガパで一斉に暴食しようものなら同じ現象が起きても何ら不思議ではない。
「もちろんあの時みたいにエネルギーを出し続けるわけではないから、サガパの間しか保たないでしょうけど」
「そんなん……そんなんどうでもよか！会えた！また会えたぁ！」
「えぇ。また会えたわね」
涙ぐんで飛び込むさくらに優しく微笑んで、山田は彼女の首元を優しく食んだ。

パーティーの主役が山田になる事に異論を挟む者はいなかった。誰も彼もが山田とまだ話していたかった。
さくらなどは接待よろしく「お隣よかですか？」から入って名物を絶え間なく補充させ続けているし、反対側には純子が控えてコップが空くたびに佐賀銘酒『鍋島』を注ぎ続ける。
膝の上にリリィ、背後にゆうぎり。テーブルを挟んで佐賀トークを盛り上げるサキは度々幸太郎の財布を握って買い出しにバイクをカッ飛ばし、愛はここぞとばかりにしゃぶしゃぶをつつく。

間の悪いことに、まさに山田の酔いが回ってきたタイミングでこっそり場を抜けようとした幸太郎は首根っこひっ掴まれてお白州へ引きずり出された。無論正座である。
「死になさい巽くん！！！！」
「なんでじゃ……なぜですか！？」
「いい！？あなたはもう7つもの生命を弄んだの！自分一人だけ真っ当に死ぬなんてのは筋が通りません！もし…もしさくらを遺して逝ったりしたら、私許さないからね？一生あんたを許さないからね！？」
山田たえは結構な怒り上戸であった。自覚はまだない。
「俺までゾンビィになったら誰が外に営業かけるとですか！」
「その程度言われなくても分かっています！だから今すぐにとは言わない。しっかりゾンビとネクロマンシーに理解のある営業担当を見つけてそれから死になさい。死んで腹括ってゾンビィになりなさい！！！」
あの幸太郎がたじろいでいる。あのクソボケヘタレサングラスがツッコミに回らされている。
普段振り回されているフランシュシュメンバーの心中に昏い好奇心の火が灯ったのはほぼ同時だった。

「そうですよ巽さん。私達巽さんがいないととっても困るんですから」　「よぉグラサン。まさかテメ先輩に逆らうわけなかよな？」　「リリィも山ちゃん先輩の言うことが正しいって思うな！」　「幸太郎はん死になんし！！」「心配しなくてもメイクはやったげるわよ？」
散々であった。酒と頭数で調子に乗った死者たちが、ニヤニヤ嗤いながら怯える生者を死へ誘う。それはまさにゾンビィ映画のプロットそのものであり──
「幸太郎さん、大丈夫とよ」
「さ、さくらぁ！」
「なるべく痛くせんようにするけんね！」
救いを求め伸ばされた手が笑顔で手折られるさまも、やっぱりゾンビィ映画であった。
結局、幸太郎は「逃走の恐れあり」とみなされ荒縄でふん縛られ床に放られるお裁きと相成った。早い話が酒の肴である。
その後もサガパは大変な盛り上がりを見せ、幸太郎のカード支払額も青天井で膨れ上がっていく。流石に悪いと思ったのか、さくらが耳元で
「ごめんね、私達もまたバイトするけん」
などと申し訳なさげに囁いてみせるのだが、今まさに彼を苛む経済的暴虐を止める気はさらさらないのだから始末に悪い。事ここに至って、巽幸太郎は孤立無援であった。

「ねーねー山ちゃん先ぱーい！リリィとチェキ撮ろうよチェキ！」
「あっずるか！私もやる！」
「はいはい順番に……その前に、少し夜風にあたって来るわ。巽くん借りてくわね」

どんちゃん騒ぎの喧騒を背に、二人はバルコニーから静かに佐賀の夜を眺めていた。うち一人はふん縛られたままであった。
「……酔ってはいるけど、冗談で言ったつもりはないわよ」
「わかってますよ。先輩は冗談が苦手だってよく聞かされてましたから」
「なら返事も贖罪の方法も真剣に考えなさい？少なくとも、さくらを不幸にしない方法をね」
「不幸にしたらいけんのはゾンビィ共全員ですよ……勿論、先輩と0号も」
「カッコつけ。私はもう十分幸せだってのに」
「佐賀にフランシュシュがある限り、十分なんて有り得ません」
「……それもそうね。じゃ、名プロデューサーくんには精々目の覚めるような解決案を期待してます」

「山さん先ぱーい！追加の肉買って来やしたー！！」「お酒も補充できてますよー」「まだまだサガパ終わっとらんですけん！勝手に還るとかナシでお願いしますねー！？」

「……そろそろ戻りましょうか。皆待ってるわ」
「ええ、そうですね
　……あの、これ、縄解いてくれたりとかは」
「すると思う？お月さまがこんなに綺麗な夜なのに」
いたずらっぽく笑う山田の口が、そのまま幸太郎の後頭部を甘く捕らえる。
必ず明けるが夜なれど、佐賀は終わらず、サガパもまた終わらない。
喝采を浴びて宴に戻る山田たえを収めたこの日の記録写真は、どれも満開の笑みで埋め尽くされているのだった。

よか…！

さくらはんがメモ帳でぶたれてる…これだけで心が温まる…

なんかすごい懐かしいノリだ…！

>「死になさい巽くん！！！！」
これがやりたかっただけだろ！

映画の影響でゾンビィがヨミガエってる…

佐賀の名産をいっぱい食えば一時的に宇宙船を動かすほどのエネルギーが溜まるって
すごくこのアニメっぽい理屈だ

還ってきた！俺達の佐賀（ｵｳｺﾞﾝ）が還ってきた！！

おい今は2018年か？

映画観終わってからずっと見たかったものを見せてもらえた
ありがとう

ギャグとしっとりはゾンビィの華やけん！

>おい今は2018年か？
2018年　7年目──

よかったいよかったいよかったい…

言われてる側の中の人違うだろ死になさいネタやるには！！

でもこの月イチで帰ってくる山田先輩ってのは使えるぞ！

>佐賀の名産をいっぱい食えば一時的に宇宙船を動かすほどのエネルギーが溜まるって
>すごくこのアニメっぽい理屈だ
佐賀の名産品ヤバすぎんだろ…

>でもこの月イチで帰ってくる山田先輩ってのは使えるぞ！
初回で巽の財布やばそうなんだけど…

>佐賀の名産品ヤバすぎんだろ…
佐賀の名品がばすごかけんな…

映画見終わった直後に見れて良かった…

やっと幸愛以外の怪文書がきたのか

しかし山田先輩になるのに美味しいもの食べるとたえちゃんが食べれないのが可哀想というジレンマ…

愛ちゃん肉食ってばっかじゃん！

どこ見ても公式からの供給で蘇ったゾンビィどもが多くて嬉しいよ

>「ねーねー山ちゃん先ぱーい！リリィとチェキ撮ろうよチェキ！」
ファーストゾンビィ読んでしまうと尊い！！
山田先輩！あのひとの息子なんですよそいつ！

>愛ちゃん肉食ってばっかじゃん！
これも愛ちゃんだ

>愛ちゃん肉食ってばっかじゃん！
ゾンビやけん！ゾンビやけん肉に目がねぇんだ！