二次元裏@ふたば

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1212056 B25/10/06(月)21:10:57No.1360333761+ 22:23頃消えます
ロード・エルメロイⅡ世は意識を取り戻した。ひやりとした感触から察するに、床に直接寝かされていたらしい。起き上がって周囲を見渡せば、そこは石とも金属ともつかぬ滑らかな素材でできた、継ぎ目のない空間だった。壁も、天井も、床も、全てが同じ材質で構成されている。そして部屋の中央には、場違いにも、あからさまに『そういう目的』のために設えられたとしか思えない豪奢なベッドが一つ、鎮座していた。
「どうやら、厄介なことに巻き込まれたらしいな、兄上」
先に目覚めていたらしいライネスが、壁に背を預けて腕を組みながら言った。彼女の顔には焦りの色なく、むしろこの異常事態を楽しんでいるかのようだ。
「この状況、君は何か知っているのか?」
「さあな。だが、この部屋の主はご丁寧に脱出条件を教えてくれているぞ」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/10/06(月)21:11:25No.1360333955+
ライネスが指差した空間に、魔力光が品なく明滅しながら文字を形成していた。『セックスしないと出られない部屋』。エルメロイU世はこめかみを押さえ、深い溜息をついた。「……悪趣味にも程がある。三流以下の発想だ」
「なんだ、単純な話じゃないか」ライネスはそう言うと、中央のベッドに腰掛け、艶然と微笑んだ。「私は構わんぞ?兄上が相手なら、まあ退屈はしないだろう。さっさと済ませて、こんな場所とはおさらばしようじゃないか」
その挑発的な仕草に、エルメロイU世の眉間の皺がさらに深くなった。
「馬鹿を言うな!その短絡的思考こそ術者の思う壺だ!これは単なる物理現象をトリガーとする結界魔術ではない。術者が定義した『条件』の解釈そのものを問う、極めて悪質な概念武装の一種だ。我々が為すべきは、その『概念』の根源を魔術的に達成することだ!」
225/10/06(月)21:11:39No.1360334076+
そう吐き捨てると、彼は壁に近づき、そっと掌を触れた。自身の魔術回路から探針のように魔力を放ち、結界の構造、術式の文法を解析し始める。「…やはりな。この術式は『性行為』という現象そのものではなく、そこから抽出される極めて抽象的なシンボルをトリガーとしている。肉体の接触は最も安直で、最も魔術的でない解法というわけだ」
エルメロイⅡ世は呟きながら、確信を深めていく。ライネスはベッドの上で足を組み替えながら、興味深そうに彼の言葉に耳を傾けていた。「ほう?それで、兄上の言う『セックスの概念』とやらは、どう分解できるんだ?」「そもそも、君は魔術の源流における『性行為』が何を意味したか知っているかね?」
325/10/06(月)21:11:53No.1360334202+
エルメロイU世は、講義でも始めるかのように人差し指を立てた。
「──例えば古代エジプト。かの地では、男女の交わりはナイルの豊穣を祈り、神々の力を地上に再現するための神聖な魔術だった。それは単なる肉欲の発露ではない。天と地、神と人が交わる『神聖婚』の儀式であり、混沌から秩序を、無から有を生み出す『創造』の模倣そのものだったのだ」彼は一度言葉を切り、続ける。
「そこから魔術的なシンボルを抽出するならば、三つに大別できる。第一に『神性の顕現』、すなわち互いの根源たる霊基情報の完全なる開示と受容。第二に『豊穣の循環』、生命力たるオドの相互循環。そして第三に『創造の模倣』、相反する二元から新たな理を生み出す行為だ。これら三つの象徴を高次元で達成すれば、術式は我々の行為を『是』と判断せざるを得なくなる」
425/10/06(月)21:12:06No.1360334301+
エルメロイⅡ世は自信を覗かせながら続けた。「そして、我々には決定的なアドバンテージがある。君は司馬懿仲達、私は諸葛孔明。歴史上、決して交わることのなかった宿敵のサーヴァントをその身に宿している。これ以上ない『相容れぬ二元』だ。この我々が、互いの存在を根源レベルで受容し、魔力を一つのものとして循環させ、新たな術式を創造する。これこそ、術者が想定したであろうこの問いに対する、最も高尚かつ魔術的な解答に他ならない」その言葉には、時計塔のロードとしての確固たる意志と矜持が宿っていた。ライネスは一瞬目を丸くしたが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべた。
「ふぅん、兄上のそういう面倒くさいところ、嫌いじゃないぞ。いいだろう、その机上の空論、どこまで通用するか見せてもらおうじゃないか」
525/10/06(月)21:12:19No.1360334406+
二人は、部屋の中央に鎮座するベッドをあえて無視するように、その脇で向かい合った。ライネスは言われた通りに彼の両手を握り、互いの額を軽く合わせる。
「いいか、これから互いの魔術回路を強制的に接続し、同期させる。抵抗するな。君の中の『司馬懿』が拒絶反応を示しても、君自身の意志でねじ伏せろ」
「言われなくとも。兄上こそ、私の全てを覗き見て、恐怖に回路を閉ざすなよ」エルメロイU世が頷くと、二人の足元に術式基盤が展開される。繋がれた手から溢れ出した魔力が、互いの魔術回路へと流れ込み、瞬時に一つの巨大なループを形成した。血液のように二人のオドが混ざり合い、凄まじい速度で循環を始める。ライネスの表情が苦痛に歪み、エルメロイU世の口から呻きが漏れる。
625/10/06(月)21:12:37No.1360334556+
同時に、互いの霊基情報が奔流となって精神を打ち付けた。古代中国の戦場の喧騒、冬木で見た地獄、時計塔の陰謀、ライネスの孤独な幼少期。反発し、混濁し、軋みを上げる膨大な情報を、二人は互いの強靭な意志で受け止め、自身の精神に刻み込んでいく。「…次は『創造』だ!この相反する二つの奔流を一つに束ね、この空間に新たな理を構築する!」
エルメロイⅡ世の号令と共に、二人は練り上げた魔力を解放した。それは純粋なエネルギーの塊となり、部屋の中心で激しくせめぎ合った。陰と陽が混ざり合うように、光と闇が渦を巻き、やがて一つの完全な球体へと収束していく。まるで、小さな星のようだった。存在しなかったものが、二人の完全な調和によって、そこに顕現したのだ。
725/10/06(月)21:12:52No.1360334679+
その瞬間、部屋全体が白光に包まれた。術式が『条件』の達成を認識したのだ。光が収まると、それまで壁でしかなかった場所に、重厚な扉が現れ、ゆっくりと開いていった。膨大な魔力を消耗し、エルメロイⅡ世は大きく息をつきながらその場に膝をついた。「まったく……精神への負荷が大きすぎたか……」
一方のライネスは、少し頬を赤らめながらも平然とした顔で彼を見下ろした。
「なんだ、つまらない。結局、物理的な手段に訴える度胸はなかったわけだ、兄上は。まあ……これはこれで、存外に『いやらしい』体験だったがな」
その言葉に、エルメロイⅡ世は胃を押さえて呻くことしかできなかった。
825/10/06(月)21:14:53No.1360335492そうだねx7
型月世界で指示通りにセックスするの怖すぎるしさ…
925/10/06(月)21:17:16No.1360336411+
それで孔明と司馬懿はセックスしたの?
1025/10/06(月)21:21:05No.1360337822+
要するに脱いで合体して産んだからセックス!ってこと?
1125/10/06(月)21:21:10No.1360337851+
梶浦の曲が脳裏に流れてきた
1225/10/06(月)21:25:27No.1360339468+
>型月世界で指示通りにセックスするの怖すぎるしさ…
FGOのイベントだと指示通りにセックスすると罠が発動する奴ありそうだしな...
1325/10/06(月)21:26:45No.1360339974そうだねx8
めんどくせぇ蘊蓄が実に二世
1425/10/06(月)21:28:27No.1360340629+
セックスがトリガーの魔術だの呪いだのなんぼでもありそう
1525/10/06(月)21:28:33No.1360340679そうだねx2
蘊蓄の精度が高い…
1625/10/06(月)21:29:03No.1360340887そうだねx1
性魔術とか普通にあるからな...
1725/10/06(月)21:32:12No.1360342059+
師匠と親友の子供が出てきたらどういう感情になるんだろう
1825/10/06(月)21:34:43No.1360343028+
これ実はライネスがぶち込んだけどダメだったってこと?
1925/10/06(月)22:22:18No.1360363346+
時計塔の奇宝はさあ…


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