08:15:プレイヤー:ログをクリアしました
16:18:スキナル・ミリョーネ:「さて、この部屋なら大丈夫だろう…」ラセリアを予備の部屋まで連れてきた
16:19:ラセリア:「………どうした?」
ギルドが冒険者向けに解放している打ち合わせの部屋だ。今は夜なので誰もいない。扉は閉めたほうがいいか、と視線で問いかけた。

16:20:スキナル・ミリョーネ:「ああ…彼がまた倒れると思ったのは事実だよ。それとは別にラセリアに聞きたいことがあってさ。扉を閉めるかはそちらで判断してもらっていいよ」
16:21:ラセリア:「……………。そうか」
扉の外に目をやり、廊下には誰もいないのを確認して……扉を締める。鍵はかけなかった。

16:22:スキナル・ミリョーネ:「ありがとう」扉を閉めたことに
16:22:ラセリア:「で、なんだ」
壁際に背を預け、腕組みをして聞き入る。表情はいつものように凪いでいて涼やかだ。

16:23:スキナル・ミリョーネ:「ラセリア…キミが時々憂いの顔を見せることは気づいていた。ラセリアの過去には色々あるんだろう。ぼくもその全てを聞く気はない。だが…どうしても気になることがあってね」
16:23:ラセリア:「………。続けろ」
16:23:スキナル・ミリョーネ:「『………故有って名は無い。ラセリアという貰い名がある。そう呼べばいい』キミはそう言っていたね」
16:23:ラセリア:「ああ」
16:24:スキナル・ミリョーネ:「…ウルシラのエルフの集落で生まれたエルフに名が無いなんてありえない。キミはどうして名は無いと言うんだい?」
16:25:ラセリア:「ああ………そのことか」
16:25:ラセリア:「聖域を穢した罪だ。深山のエルフミストエルフにとってそれは死よりも重い罪になる」
16:26:ラセリア:「先祖代々が還るべき森へ還ることを許されない。それが我らにとって最大の刑罰となる」
16:26:ラセリア:「追放刑。その際に今後名を名乗ることを禁じられた。そういうことだ」
16:27:スキナル・ミリョーネ:「なるほど。それは重い罪を犯したね…キミの里のミストエルフたちは・・・・・・・・・・・・・・
16:27:ラセリア:「……………」
なにか含みのある言い方だな。と首を傾げた。

16:28:スキナル・ミリョーネ:「『汝束縛するなかれ。汝束縛されるなかれ』そう言ったろう?これはアステリア様の言葉だ」
16:29:スキナル・ミリョーネ:「罪を犯したものを罰するのもいい。殺すのもいいだろう。だが永久に名を名乗るなと束縛することは…キミの里が神祖と呼ぶアステリアの神意に反する」
16:30:スキナル・ミリョーネ:「おそらく、キミを罰したミストエルフたちは、アステリアからそれまで以上の加護は得られなくなったろう。彼女はそういう人だ」スキナルはまるでアステリアを知っているかのように語る (編集済)
16:32:ラセリア:「…………そうかもしれないな」
スキナルの言葉には頷けるところがあった。以前、酒場で出会った不幸な身の上の神官も言っていた。『神に唾吐くような行いだ、断じて許されることではない』と。

16:33:ラセリア:「今、こうして客観的な立場に立ってみれば、だが。私の生まれ育った里には驕りがあったのだろう」 (編集済)
16:35:ラセリア:「発端の歴史を辿れば神紀文明あたりにもなるという、古い里だ。あまりにも長く積み重ねたその重みが彼らの中に増長と腐敗を招いていたのかもしれない」
16:35:スキナル・ミリョーネ:黙って聞いています
16:37:ラセリア:「聖域と神祖への敬いが歪になっていた。だから…………いや。すまない」
『そのこと』は口にしなかった。自分の部下は神と聖域の偉大さを利用し、自分を騙して祀り手の地位を奪い取ったという。神を奉じる者としてあり得ない不信心だ。
だがそんな意思を蔓延らせてしまったのは上に立っていた自分の責任だ。だから口にはしなかった。

16:38:スキナル・ミリョーネ:「落ち着いて。話を続けてくれればいいよ」とりあえず聞きのポーズ
16:38:ラセリア:「ともかく……もう里を離れて百年以上経つ。私の生まれ故郷がどうなったのか私にはもう知る由もない」
16:38:ラセリア:「それに……故郷を喪った私にとってそれはもう過去のことに過ぎない。どうでもいいことだ」
16:38:ラセリア:「目にもの見せたいとか、復讐を果たしたいとか、そういう気持ちは一切湧いてこない」
16:39:スキナル・ミリョーネ:「そうだね。別にぼくもそうすべきだと言う気はない。それはラセリアの自由だからね」
16:39:ラセリア:「ひとつだけわかることは、お前が私のことを気遣ってくれたのだということだ」
16:39:ラセリア:「ありがとう」
そう言ってラセリアは微笑んだ。少し淋しげな感情が滲んでいたけれども。

16:40:スキナル・ミリョーネ:「…どういたしまして。さて、アステリアを愛する神官としてぼくが結局何を言いたいかと言うとだね」
16:40:スキナル・ミリョーネ:「キミは背教者どもの言葉など気にせず、自分の名を名乗る権利があるってことだけさ」
16:40:スキナル・ミリョーネ:「キミがラセリアと名乗る時、そこにはなにかの…愛を感じる。キミがそう名乗ることを止める気はない」
16:41:スキナル・ミリョーネ:「だが…キミはどちらの名を名乗ろうと、自由だ。それは妖精神アステリアに誓って、ぼくが保証する」
16:42:スキナル・ミリョーネ:「今日見ただけでも分かる。キミは同族や、若い娘への束縛を嫌っているだろう?キミもまた束縛される必要はないんだ」
16:42:スキナル・ミリョーネ:「束縛なんか忘れて自然に生きなよ、ラセリア。『本能を愛し、直感を信じよ。それこそが自然なり』さ」こちらからはこんなところです!
16:42:ラセリア:「そうか。我らが神祖の神官にそう言ってもらえるならばそれはありがたいことだ」
ラセリアは目の前の小男に不思議な神性を感じ始めていた。この男の言うことは軽やかであるのに重い。矛盾を内包している。

16:42:ラセリア:「だが、私はやはり今のままでいい」
16:42:ラセリア:「過去は過去だ。もう変えられないし、過ぎ去ったことだ」
16:43:スキナル・ミリョーネ:「ああ。キミがそう直感するのなら、それこそが自然なのさ」
16:43:ラセリア:「私が恩人に出会い彼女の今際の際に彼女の名を受け取ったのは私に名が無かったからだ」
16:43:ラセリア:「自ら選んで束縛を受け続けるのならば、それも自由と言えるのではないだろうか」
16:44:スキナル・ミリョーネ:「…束縛?いや、それは愛と言うのさ。キミの恩人へのね」
16:45:ラセリア:「……………ふ」
はっきりとラセリアは笑った。

16:45:ラセリア:「愛とは縛ることなのかもしれないな」
16:45:スキナル・ミリョーネ:「そうだね。我らが神は束縛は嫌うが…強い愛を禁じはしない。アステリアを信じるここユーシズの魔導公もそうだと言うしね」
16:46:ラセリア:「…………繰り返しになるが、ありがとうスキナル。不思議だ。こうして冒険者をしているとお前のような出会いがいくつもある」
16:46:スキナル・ミリョーネ:魔導公ヴァンデルケンは愛人を何人も私邸に囲ってて自分を嫌ってる連中も外部の愛人にしてるんですよ。なんてやつだ
16:47:ラセリア:「彼らは何故か私を慮ろうとする。正直なところ、以前の私はそれに戸惑っていた」
16:47:ラセリア:「今はそうではない自分がいる」
16:47:スキナル・ミリョーネ:「そうだね。キミは愛されるだけの魅力がある。心に慈愛を持っているから。だからこそキミも愛されるのさ」
16:48:ラセリア:「………少し面映ゆいな」
と呟いてから、表情を引き締めた。

16:49:ラセリア:「戻ろう。対応班の召集はかなり物々しかった。私たちも緊急で集められるかもしれない」 (編集済)
16:50:スキナル・ミリョーネ:「ああ。食事を共にした友を手助けするのもまた愛だからね」
16:50:ラセリア:扉を開けて外に出る。部屋を出る直前、スキナルに向けて横顔が頷く。穏やかに微笑んでいた。
16:51:スキナル・ミリョーネ:スキナルも笑顔で頷いた。そして二人は戻っていった…