名の意味はマイトリー:慈愛 語源はミトラ おっとり、豊満、むっつり、好色 アフロディーテの孫世代に当たる それがいつの御代の事なのか、定かではありません。 遥か古の、神々が自然な形でそこに居られた時分の頃やも知れませんし、或いは遥か先の、神々が今一度降り立たざるを得なくなった末世の先の頃やも知れません。 けれど、そのどちらでも大凡に差は無いのです。 人間は愚かで、虚弱で、蒙昧で、けれど懸命な生き物である事には変わりませんし、何かに縋らなければ生きていく事のできない、地表に群れるにはあまりにもか弱い霊長であれど、強かなる命である事は変わりません。そして神はそんな彼らをこそ愛したのですから、そのどちらでも差はないのです。 これはそんな神々と人との営みの一幕、そのまた一角に過ぎない些細なお話。 神にも性別という物はありますし、個性もあります。 ただただ慈しみを注ぐ者もありますし、外敵を排除する事を自らに課した者もありますし、日々の神務に疲れて癒しを求める者もあります。 そしてその一柱。 女神、マィトーリアは慈愛の神でした。 自らが祈られる対象であるというのに、本神も愛し子らの安寧を希うという優しき女神です。 管轄地に住まう愛し子達を見守り、その命に祝福を与え、死後は異なる管轄の神へと手ずから送り届けてやるような、誰からも愛される女神、慕われて然るべき女神です。 そして同時に、乙女の神、乙女な神でもありました。 女神というのはおおよそ三つの区分に分けられます。 一つは地母神。 そこら中のありとあらゆる神や上位存在や酷い時には概念との間に何らかの形で子を成して、無という無限の無明を有限で埋め立てていく者。 一つは美神。 美しさ、情愛、熱情。それらを一身に体現し、自らのその属性に振り回されながら面白おかしく無色の世に無情を振り撒きながら無為を取り除く者。 そして最後が処女神。 穢れなきこと、完全たること、欠けざること。その純潔を損なうこと、即ち交わり子を成すことこそが生存の目的である定命の存在とは異なり、損なわれざること自体がその身を表す無欠にして無謬たる円満の華。 それ単体という神は滅多にありません。 大抵は美神にして何々の神、という肩書きを持つものです。 女神マィトーリアはこの内、処女神に当たりました。 処女神にして祝福と安寧を齎す穢れなき女神、というのが肩書きです。 清らかな身でありますので、配偶神もおりません。 この地に降り立った時より、フードで顔を目深に隠し、その光輝をヴェールで覆って彼女の信徒達に見せぬよう在り続けておりました。 これは神であれば誰でもそうなのです。マィトーリアが格段に恥ずかしがり屋、という事はありません。 いえ、何ならば、彼女は人語でいう所の「むっつり」ですらありました。 神の視座が人の遥か高みにある事をいい事に、己を信ずる者達の日々の営みを透し見ては艶やかな吐息を漏らしていたほどなのですから。 自らを奉ずる人間達の生の安寧を祈り、その幸福を祈り、その終わりの健やかなるを祈る。そして時々悩まし気な吐息と共に覗き見をする。 マィトーリアにとってはそれこそが日常でした。 けれどそんな彼女はある日、胸が高鳴るのを感じました。 胸──心臓? いえ、上位存在たる神に心臓があるかどうか、それが人間と同様の機能を持つかどうかについては神々自身ですら諸説あるのですからそれは置いておきますが。 ともかく、マィトーリアはある日その豊満なる胸を大いに高鳴らせたのです。 幸いだったのは、彼女の影──上位空間より三次元上に投射される写身──の周囲に誰も人がいなかった事でしょう。 ふっ……と顔を上げたかと思えば一点を注視してじっと動かなくなってしまうのですから、人の目が有ればすわ一大事か、と大騒ぎになっていた所です。 そんなマィトーリアが見つめていた視線の先、遥か彼方。無論、建造物や地形などに阻まれて物理的に視認できる位置ではありませんが、神にとっては「視線の先」です。 青年。 何の変哲もない青年を、マィトーリアは見初めました。 顔立ちが特別優れている訳でも、体躯が特別優れている訳でも、頭脳が特別優れている訳でもありません。 仮にそのどれか、或いは全てに秀でていたとしても、神にとっては瑣末な事です。人間にとって、赤子の生育が健やかであってもそうでなくても、大人と赤子との強度に絶対的な格差がある事には変わらない。それと同じ事です。 けれど、事実としてマィトーリアはその青年を見初めたのです。 何の特徴もない、ただその性根が善良であっただけの凡庸な青年を。 そう、一目惚れです。 マィトーリアは乙女の神なのですから、一目惚れだってするでしょう。 そして大変喜ばしき事です。 マィトーリアの管轄地に住まう人々はその全てが彼女の恩寵によって生きています。例え人語を未だ解せぬ幼子であろうともそれは同じです。その身の全てでマィトーリアを感じながら生きていると言っても構いません。神とは、その身一つで一つの世界を支える者を指すのです。 故に、民達はその全てが彼女を愛していました。自分達が愛し合い、育み合い、そして死んでいく中で、神はただ一柱その輪に加わることも出来ないままそれを見続けることしかできない。そんな当然である筈の事実すらを申し訳なく思うような善良が過ぎる者は総体の七割にすら及びます。 ですから、女神が婿を見初めたとなればそれはお祭りでした。 ようやくあのお方にも春がきたのだ、ようやくあのお方も自らの好ましいという感情に素直になれる時が来たのだ、と。 婿として見初められた者も善良なる青年でしたので、民達は大手を振ってその婚姻を祝福するでしょう。 しかしながら、問題が一つありました。 マィトーリアは処女神です。 この御代において神が人間を娶る事は何ら問題ではありませんが、処女神であるマィトーリアに関しては話は別です。 人間を娶った時点で、女神はもう処女神ではなくなってしまうのです。 そうなれば大問題、我らの愛しいマィトーリアはアイデンティティのクライシス。脆弱が故に魂と物質の両面で存在し相互補完する人類と異なり、神はその在り方こそが存在を証明します。 自らの在り方が自らの存在と矛盾してしまったのであれば、それは正されなければなりません。 無論、マィトーリアは己だけでもそれを為すでしょう。 自らの自己認識を少しずつ変異させ、自らは処女神ではない別の神であるとして基底を変ずるでしょう。 しかし、それは永く、果てしない行いです。人にとって豪雨に伴ってのみ天井より染み滴る雫で以って岩板に大穴を穿つような途方もなさ、神にとっては創世の御代に原始の生命スープの中からアミノ酸が偶然組み上がるような奇跡。そんな奇跡が連綿と積み重なった上に生命体として結実して言語を獲得するのを待ち続けるかのような果てのなさです。 例えそれが上位次元における永劫であって、この三次元空間上においては瞬き程の時間も要しないとしても永劫である事には変わりません。 それは痛ましき事なのです。 であるからして、神婿となる青年、つまり、「あなた」はその責務を果たさねばなりません。 ……はい? 責務とは何なのか? ふふふ、なにをうぶなねんねのような事を言っているのですか。 決まっているでしょう? ファックです。 まぐわい、セックス、交尾です。 「あなた」がこの世に存在するより遥か以前、父祖の父祖のそのまた父祖が産まれるよりも前より貴方方を見守っていた女神様とまぐわって、その自己認識の変異をお手伝いして差し上げるのが神婿のお役目です。 いくら処女神であった神とはいえど、自らが見初めた神婿と交わっていては処女神を名乗り続けることは出来ません。 「あなた」はこれからマィトーリアの「真体」が座す上位次元へと昇華し、その伴侶として永遠を過ごす事となります。 ……ちなみに、「あなた」はマィトーリアの事は……ええ、ええ。それは何よりです。 お慕いしています、それは良い言葉です。 内に如何なる意味を秘めていても私は何ら忌避しません。 マィトーリアは大変豊満な肢体をしておられますからね。 この地に住まう人々にとって、彼女の姿は一種のエィコンであると同時に、性の目覚めへの第一歩です。 幼き者達は男女問わず彼女の優美な肢体に一度は生唾を飲み込み、眠れぬ夜を過ごすもの。 そういえば、一般信徒の人々は彼女の玉体を垣間見る事が出来ないのでした。彼女は人々の目を眩ませないようにヴェールで身を隠しておられますから、その身体の美しきを真に知る事は無いのですが、しかし「あなた」は違います。 これより「あなた」はマィトーリアの真体をその目にする事となるのですから先に告げておきましょう。 神と人とは番う事が能いますが、神と人とが並ぶ事は不可能です。 何故なら、人は神の真体を前にした時、視覚情報ではなく魂でそれを目にしてしまうからです。 ……意味が分からない? ええ、そうでしょうね。 では分かりやすく順を追って語りましょうか。 女神マィトーリア。 その真体は私達が用いる単位に換算するとおおよそ5mほど。 時と場合、彼女の心持ちによって若干の上下がありますが、3mを下回る事はありません。 髪は黄金、瞳は琥珀。 バストは……確か5m体の際は3.3mと仰っておられましたっけ。 ウェストはキュッと細く、けれど優美に。 そしてヒップから脚へのラインはたっぷりと肉付いて、だというのにだらしなさを感じさせる事はありません。 そんな身体の上に柔和で穏やかなふんわりした表情の、全てのパーツが完全なバランスで構成された顔が乗っているのですから、もう言うことはありません。 想像できましたか? 今「あなた」が想像したであろう姿はきっと最上の美人でしょう。 人間ならばそれでも構いませんが、まだ足りません。 マィトーリアは神ですので想像した人物の美しさを百倍にしてください。 できましたか? およそこれが人間に可能な「美しさ」の極限だと思います。 人は自らの想像できる限界値の百倍までは何となく想像できるものです。それが、人間の柔軟性というものですね。 では、そこから更に一万倍にしてください。 それがマィトーリアです。 ……もう一度尋ねましょう。 想像できますか? 人間の想像力の限界、それを更に万倍にした美しさを持つ存在の姿を。 いえ、それで足りるかどうかすら分かりません。何故ならマィトーリアは神なのです。神とはそういうものなのです。それ程までに人間と隔絶しながらも、尚も人を愛してくれるのが神なのです。「あなた」はそんな存在の最愛のつがいとして選ばれたのです。 ですが更にもう一つ。 今私が話したのはあくまで外見の美醜の話でしかありません。 神という存在の、いわば一番外殻の要素でしかないのです。 良いですか? この管轄地はマィトーリアの愛によって維持されているも同然ですが、それですら彼女の愛の数千分の一に過ぎない総量しか消費されていません。 彼女の真体より洩れ滴る光輝ですら人々が笑顔で暮らせるだけの祝福を齎せるのです。 では、「あなた」は? これより彼女に婿入りし、上位次元で彼女の真体より寵愛を一身に受ける事が決まっている「あなた」は? ……大丈夫ですよ、震えなくても良いのです。 マィトーリアの神威に「あなた」が灼き尽くされてしまうことはありませんし、彼女が「あなた」を手荒に扱うことも、粗雑に扱うこともありません。 ただ、私は聞きたかったのです。 はっきり言って、私は「あなた」を脅しています。 そしてその上で、「あなた」がマィトーリアのために何かをしてあげたい、と言える人であるかどうかを見極めたかった。 もう一度聞きましょう。 「あなた」はマィトーリアのことを、慕ってくれていますか? その日に産まれた幼な子達を、ヴェールの向こう側で本当に嬉しそうな顔で観やる彼女のことを。 その日に結ばれた夫婦達を、光輝の彼方より真に喜ばしい物を見る目で寿ぐ彼女のことを。 その日に身罷った者達の魂を、自ら毅然とした顔を無理矢理執りながら安寧の深淵まで導く彼女のことを。 そして「あなた」を、ただ恋する乙女のように見つめる彼女のことを、「あなた」はどう思いますか? ……ええ、ええ。よろしいでしょう、大変結構です。 女神マィトーリアを祀る神殿の長にして、彼女の姉であり亜神たる私も、末の妹の婿にそうまで言われては認めざるを得ません。 では告げましょう。「あなた」が我が妹の真体に見えた時、「あなた」がどうなるのかを。 マィトーリアの真体が齎す神威とは即ち幸福への祈りです。 しかし、幸福とは即ち、快なること。 では、それを一身に浴びた「あなた」はどうなるか。 顔を隠したフードを取り払い、光輝を覆っていたヴェールを脱ぎ去った彼女と対面した時、「あなた」はどうしようもない程に─────絶頂、するでしょう。 ……はい? ああ、いえ、冗談ではありません。間違いなくそうなります。 具体的には、彼女が全身を覆うヴェールを取り払った時点で、「あなた」は全身を貫く快楽に腰砕けになり、フードを取り払い彼女の顔が見えた時点で「あなた」の陰茎は「あなた」の生に於ける如何なる瞬間よりも固く硬直するでしょう。 そうして、彼女の視線が「あなた」を捉えた瞬間、極上の快楽が永遠のものとなります。 勘違いしないで欲しいのですが、肉体の快楽が齎されるのではないのです。 魂そのものに快楽が齎されるため、結果として「あなた」の肉体が快楽反応を示すだけ。 物質界に於ける射精というものは折れ線グラフの数値が上下するような物です。時間経過というX軸の座標が快楽の値であるY軸上の座標を上下する訳ですね。 ですが彼女の光輝によって魂そのものに齎される快楽はX軸がY軸の上限を突破してそこから降りてこない状態を指します。 ふむ。いまいちピンとこない様子ですね。 では例え話をしましょうか。 ……お射精、気持ち良いですよね? ですが、例えば、手淫による物であってもそれは常に均一の快楽では無いでしょう? 始めた際のぎこちない快楽から始まって、登り詰めてくる悦楽に背筋を震わせ、遂に解放の時を迎える電流、そして尿道を迸る精汁とそれを吐き出す虚脱感、最後に残る一抹の残響。 そう言った諸々の快楽を全て含めた上での、手淫による射精の快楽、という物になる筈です。 これらは肉体優位の快楽です。 ならば魂の優位の快楽とは如何なる物か、と問われれば、答えは単純です。 これらが全てないまぜになった快楽が同じ時間だけ継続します。 手淫で射精するのに……およそ10分掛けたとしましょうか。 じわじわ〜っ、じわじわ〜っ、と快楽が蓄積されていって、そして残り1分にピークが来て、それは十数秒で終わって残りは急速に鎮静化していく。 それが肉体優位の快楽です。 ですが魂優位の快楽は、登り詰める快楽も、頂点に達した快楽も、終わった後の虚脱に満ちた快楽も、その全てが10分間全て同時に体感されます。 ……生唾を飲み込みましたね? ええ、では心して聞いてください。 マィトーリアに直面して得られる快楽というのは大部分がこの魂優位の快楽になります。 しかし、魂優位の快楽に伴って肉体優位の快楽もマィトーリアと「あなた」の意思とは無関係に誘発されますので単純に二倍です。 その上肉体優位の快楽も極上を万倍した物になりますので、普段の射精の際の音が、「びゅぅぅっ?びゅーっ?」といった可愛らしいものだとするなら、「ぶびゅるぅぅぅぅッッ??びゅぷぷぶびゅぅぅッッッッ????びゅぶぶぴゅぶびゅッッッ????びゅぷッッ??びゅッ?ぶびゅうううううううッッぶびゅびゅるるるッッッッ????????」といった感じの、三次元上では絶対に鳴ってはいけない射精音を伴うことになるでしょうか。 「あなた」の睾丸の中身から尿道の先までが一直線に、その中をとんでもなくネバついて所々ダマになった精汁が後から後から増産されて敏感な尿道の内壁を滅茶苦茶に擦過しながら通り抜けてくるのです。 ゼリーのような精汁、といった使い古された表現がありますが、最早それですら足りないでしょうね。固形です。「あなた」の尿道を固形になってしまった精汁が塞いでしまい、尿道をパンパンに膨れさせては後から突っかえた新しい精汁が押し流して尿道をみぢみぢぐぢゅぐぢゅと押し広げながら噴出されるでしょう。 そうして行われる人外の快楽を伴うお射精ではありますが、しかし、それですらおまけの快楽に過ぎないのです。 だって、それはただの肉体優位の快楽なのですから。 今言った、信じられないくらい特濃の精汁が睾丸から尿道を通り抜けて噴き出る快楽も、それに伴って背筋を突き抜ける落雷のような甘美も、それだけの濃い物を吐き出すに至るまでに必要な本来の準備時間に得られる快楽も、それが終わった後の虚脱の悦楽も、それが全て同時に襲ってくるのです。それが魂優位の快楽です。 そしてそれによって肉体優位の快楽も誘発され、また固形精汁を噴き出すのです。 その間「あなた」はマィトーリアの視線をずっと一身に浴び続けるでしょう。 自らが見初めたお婿さんが、自らの光輝に充てられて天上の快楽を堪能しているのを見て、彼女はきっと幸せになってしまうに違いありません。 その視線に熱が篭ります。 すると「あなた」の快楽が十倍になります。 その指がそっと「あなた」に触れます。 すると「あなた」の快楽がその十倍になります。 自分の膝ほどもない、小さな小さなお婿さんである「あなた」を──幸福という概念そのものを注ぎ込まれ、大河の水の如くに注がれる快楽を、射精と絶頂というちっぽけな消費で掻き出そうとしている真っ最中の「あなた」を──そっと、万が一にも事故が起きないように手のひらに乗せて、愛おしくて堪らなくなってしまって、優しく口付けを落としてくれるでしょう。 はい、「あなた」が消費しなくてはならない快楽がこの瞬間、大河から海洋に拡大します。 マィトーリアの柔らかな唇と、恥じらいながらも上気し始めた表情を「あなた」は0距離で受けてしまったのですから、「あなた」に注ぎ込まれる幸福はおよそこの一瞬で六千倍になりました。 こうなってしまうともうおしまいです。 上位次元において主観による時間経過は存在しますが、客観による時間経過は皆無です。 つまり「あなた」の意識は時間経過を感じ取りますが、「あなた」の肉体は時間経過を行いません。これがどういう意味か分かりますか? 「あなた」は海洋の水量程に注ぎ込まれた快楽をその肉茎の中にある細い尿道を通り抜ける精汁で必死に吐き出す状態に陥りますが、三次元上では精汁は体内の分泌液で構成されていますから容量に限度があります。いつかは打ち止めという名の解放がやって来る。 しかし、上位次元において「あなた」の肉体は時間経過を行わないので、海洋ほどの快楽を放出するために射精を無限に継続することができます。 ……ええ、聞き間違いではありませんよ。 無限に射精し続けられます。そういう空間であると聞き及んでいます。 永劫に、身体の中の全ての中身が精汁に変換されて尿道から絶望的な甘美と共に引き抜かれる時間が始まります。 それに、ただ射精するのではありません。 三次元上で感じ取れる射精の快感も、それが永劫ならば天上の物と見紛うこともあるでしょうが、正に天上で行われる睦事ですのでそれだけでは済みません。 マィトーリアに見つめられるだけで「あなた」の魂が絶頂し、「あなた」の全身が幸福に打ち震える中で追い討ちのようにその快楽に誘発された肉体が絶頂するのです。 睾丸が自らの使命を勘違いして自らに注ぎ込まれた幸福を精汁へと変換する器官であるかのように振る舞い、最早流れ出すのではなく完全に詰まってしまい、後ろから押し出される事でしか放出できなくなってしまった精汁はびゅるびゅるなどという生優しい音は発してくれません。そうなってしまった「あなた」の肉茎から響く音は「ずぶりゅりゅッ?? びゅりゅりゅッ???? びゅりゅりゅッ?? ぶりゅびぶりゅッッ????」とでも表すのが相応しい、尿道を押し広げて漏れ出してくる、パスタ状になってしまった精汁を必死に捻り出す音になってしまいます。 大丈夫です。マィトーリアは愛情深き女神ですから、「あなた」が尿道から固形の精汁をひり出して身悶えしても、自らの掌の上で「あなた」が無様に腰ヘコして肉茎の中にみっっっっちり詰まった精汁をひり出そうとしていても、「あなた」への愛情は微塵も揺らぎません。 いえ、寧ろ「あなた」のことを更に愛おしく思って、乳房を吸わせてくれるかもしれませんし、固形精汁を引っこ抜くのを手伝ってくださるかもしれません。 「あなた」は「あなた」の上半身程の広さの乳輪の中にある、顔程のサイズの乳首にしゃぶりつく事が許されますが、お察しの通り、それをやってしまうと更に過酷な快楽が襲います。 家屋サイズの菓子に顔から突っ込むようなもので、きっと甘く、どこか乳の香りのする彼女の乳首に顔を擦り付けてしまえば脳髄が蕩けるような多幸感が得られるに違いありません。 ですが他者に触れられて愛撫されることなどマィトーリアにとっては初めての事ですから、もしかすると「あなた」は彼女が甘い声を漏らすのを聴くかもしれないですね。そうなれば精汁の増産速度は更に跳ね上がります。 「ぁ、ん……?」といった鼻にかかったような甘い喘ぎ声は、聴いた者に脳髄がドロドロに溶け落ちて身体の中身が全て精汁に変換されながら最大の快楽と共に噴出される錯覚をすら覚えさせるに違いありません。 そうしていつまでも快楽で溶け堕ちている「あなた」を見かねて、マィトーリアはパンパンに腫れ膨らんだ「あなた」の肉茎を愛撫、手淫してくださる筈です。 マィトーリアの一切のくすみの無い長く白い指がそっと優しく触れた瞬間に、「あなた」の魂は一段上のステージへと押し上げられるでしょう。ただ見られているだけで全身の全て、存在の全てが蕩けるような至福を得ていたというのに、その相手に直接的に愛撫されるという現実が魂の絶頂をより果てない物へと引き上げて、全身がその快楽をどうにか排出しようと睾丸をフル稼働させてしまうでしょうね。 直接的に女神に触れられるという事はその光輝が直接「あなた」に影響し始めるという事でもあります。 そうですね……まずはお肌がとても綺麗になる事でしょう。 三次元上から上位次元に昇華したあなたは肉体こそ持ってはいますが半ば亜神に近い存在へと変じています。しかしそれでも肉を持った命である事には変わりありません。 それが少しずつ上位の存在へと変じていき、客観的な時間経過の存在しない上位次元であるか否かに関係なく不壊たる肉体へと変生していくのです。 ただ触れられただけで肉体の洗練が始まる訳ですが、無論快楽もそれに伴って高まります。 ただ触れられただけ。ただ指でしごかれるだけ。それだけで「あなた」の肉棒は水流を噴出して火災を食い止めんとする機構の如くに精汁を噴出し、その快楽を甘受し続けるのです。 完全に煮詰まって固形と化した精汁を必死に噴出して無限に精汁を増産し続ける睾丸から解放されようとする「あなた」の肉棒ですが、そんな哀れな逸物にマィトーリアはそっと手を添えて──あの私達姉妹の中で最もむっつりスケベなマィトーリアのことですから──優しく囁くのでしょう。 曰く、「上手にお射精できて偉いですよ……? 良い子、良い子……?」だとか「もっと沢山ぴゅっぴゅして良いですからね……?」だとか「全部出し切るまでおっぱい吸っていても良いのですよ……?」だとか「お精子出したくて堪らない腰振りかっこいいですよ……?」といった、「あなた」の性的趣向を完全に滅茶苦茶に捻じ曲げて破壊してしまいかねないような睦言を優しく優しく、幼い頃より弟のように見守り続け、大恋愛の末に結ばれた愛しい愛しい歳下の夫に甲斐甲斐しく尽くす歳上の妻のような顔で囁いて来るのでしょう。 しかし実際に相手がそれを許しているからといって、自らの三倍近い体躯をした上位存在相手にそんなことをしていれば「あなた」は数千年単位でマィトーリアの手のひらの上に精汁のプールを作る噴水機のようになってしまいますから、気を強く持ち、自分は精汁噴水装置なのではなく女神の神婿なのだ、という気概を示さなくてなりません。 そうです。「あなた」の役目はマィトーリアを処女神という枠組みから脱却させること。即ちはマィトーリアの乳首、「あなた」の顔ほどもあるそれに必死に吸い付いて彼女に甘美を与えながら、彼女の指に求愛腰ヘコお射精を継続してマィトーリアをその気にさせなければならないのです。幸いな事にマィトーリアはSっ気の強い性質では……ああ、他者を揶揄ったりいじめたりすることに恍惚を得る性癖のことですね。この時代には無い言葉でした。……ともかく、Sっ気に満ちた性格ではありませんし、私達姉妹の中ではぶっちぎりで純真無垢かつ良妻願望に満ち満ちた子ですので自らが見初めた旦那様である「あなた」にそのような熱烈な求愛をされればきっと胸が高まってまぐわいの準備を整えてくれる事でしょう。 正念場です。 「あなた」にはお婿さんとしてのせめてもの気概を見せてお嫁さんになってくれた女神と子作り交尾がしたいです、という態度を見せねばなりません。 確かにマィトーリアの手による甘やかし授乳無限絶頂えっちごっこは遺伝子交配によって知性体として進化してきた人類にとっては46億年の歴史の全てを無為と化す極上の無駄撃ち快楽でしょうが、「あなた」はそれを振り切って「やだやだやだ、女神様とえっちしたいんだい」という生物的な本能を強く持ってマィトーリアに挿入を果たしてもらいたいところです。 マィトーリアは「あなた」がそこまで望むなら、と恥ずかしがりながらもその太さが「あなた」の肩幅を優に超えるむっちむちで極太ですべすべで一切の瑕疵の無い太ももを開き、その奥に秘めた花園を己の旦那様に明け渡してくれる筈です。 きっと「あなた」に対して益々惚れ直して、彼女から発される光輝による快楽は二倍になっているでしょうし、女神の秘所という本来は人類には決して拝謁する機会の無い肉体部位に直面した事で「あなた」の脳髄は蕩け落ちて固形精汁を噴出している時と等しい快楽が全身に迸って睾丸の中身を更に致命的に煮詰まらせてしまうでしょうが、幸運な事に興奮によって極限にまで硬直した逸物はその尿道をすら狭めてしまい、本来ならばより強い射精快楽を得られる筈の狭窄尿道も精汁が完全に尿道内で堰き止められて「あなた」がマィトーリアの秘部に狙いを定めながら彼女の腹部に向けて倒れ込むという至高の苦難を実現させてくれるでしょう。 よくがんばりました、これでずっぷりです。 マィトーリアは処女神ではなくなり、彼女の恋も報われることとなりました。 「あなた」はこれを以て真に女神の神婿となります。「あなた」が望めばマィトーリアは幾らでも歳上の甘やかし癖のある淫らなお嫁さんとしてその願いを叶えてくれるでしょう、が……。「あなた」がそれを真に享受できるのは何年後になる事やら。 数百年では済まないでしょう。数千では足りないでしょう。数万、数億……しかし、そのどれであっても、彼女と過ごす永劫のらぶらぶゲロ甘ぐちゅどろぬちゅぬぷ新婚生活においては刹那の間も満たしてくれる事はありませんから、そう言う意味では一瞬なのかもしれませんね。 ……はい? いえ、それはそうでしょう? ただ彼女に見つめられただけ、ただ彼女に触れられただけ、それだけで無限にお射精を続けられるというのに、「あなた」はお婿さんとしての気概を見せてあろう事か彼女の肉の内でも最上の快楽を与えるための場所に「あなた」の致命的に快楽に弱い器官を突っ込んでしまったのですから、「あなた」に待つのは永劫の快楽に決まっているではありませんか。 数分、数時間の連続射精? そんな瑣末な快楽ではありませんよ。 快楽への適応、或いは神経の鈍麻? そんな悍ましい事象が上位次元で発生する訳が無いでしょう。 ここで「あなた」が覚悟しなくてはならないのは、女神の秘所という人類には余りにも過剰な快楽を齎す肉壺についてです。 「あなた」はふらふら〜っと彼女の身体に向けて倒れ込みながらその肉壺への挿入を果たすのですが、彼女の秘所も人間の凡そ三倍近いサイズであり、そして同時に「あなた」へのガチ恋によって潤滑となる愛液の分泌は既に済んでいる事もあってその挿入はなんら妨げられる事なく実現するでしょう。 女神……と言うよりは神格全般に言える事ですが、限りなく人類に近い形状をしていてもその細部までが完全に同一かどうかはまた別の話です。外見こそ人類を数倍にしたサイズ感で見えていますが、内部がどうなっているかはよく分かってない、というのは先ほど心臓の話の際に語りましたね。 これは秘所に於いても同様で、彼女の真体のサイズが「あなた」の凡そ三倍ほどだとしても、その秘所までもがそうだとは限らないという事です。 マィトーリアの秘所は「あなた」の肉棒にみっっっちりと纏わりつき、「体格差による緩さ」などという甘えた概念を吹き飛ばして愛しい旦那様の分身をもてなします。 マィトーリアの秘所がどんな具合なのかまでは私は知りませんが、私達の父君と母君の話から推測は可能です。ちょっと手元を動かしてみてください。 片方の手で筒を作り、もう一方の手の指をその筒に挿し込んでみてください。 指というものには凹凸がある訳ですから、必然的にそれを束ねた指筒内部にも凹凸が存在し、挿し込んだ指と完全に密着するということはありません。 そして仮に手筒を狭めて密着度を高めた状態になったとしても、微細な凹凸、つまりは間接部分の凸凹ですとか、指紋などの極小の皺などがあるので完全な密着状態にはならない訳です。 これは人間同士の性交に関しても同様ですね。女性の膣というものは進化の過程で男性器を受け入れる際に相互に快楽を得ることで子孫繁栄を促進するようになった訳ですが、限界というものがあります。 どんなに「体の相性が良い」つがいであっても肉棒の凹凸と膣肉のひだが完全一致するという事はあり得ないのです。 ですが、神の身体というのはそんな物質界上の問題など無視します。 挿入された肉棒に対して完全に合一する形状の肉襞がぬたついて、肉茎から亀頭までを密着度を損なうことなく舐めしゃぶりついて奉仕してくださるそうです。父君がそう仰っておられました。 肉棒に浮いた血管の一本一本。 雁首の段差の根本の際まで。 鈴口と裏筋の柔らかな先端も。 その全てに、それらを構成する細胞の一つ一つにまでみっっっっっっちりと合一する異次元の膣肉が饗応してくださるとかなんとか。 ですので、マィトーリアの秘所もおそらくそのような状態なのでしょう。 「あなた」がふらふらとどうにか近付いて挿入を果たした瞬間に味わうのはそういった場所なのです。 フラタクル図形の如くに、どれだけ拡大しても肉棒に密着するための微細な構造が見えてくるような人外の膣肉が、旦那様が必死になって自分と子作りえっちがしたいという気概を魅せてくれたことで蠢動して「あなた」の肉棒を最適な場所へと導くのでしょう。 そんな、先端を少し沈めただけで自意識が蕩け落ちて肉体の全てが快楽を精汁に変換する器官へと変わってしまうような秘所へ、「あなた」は一息に肉棒を、かっこいい雄のように突き入れてしまうものですからもう大変です。 ただでさえ「あなた」にくびったけなのにそんなかっこいい姿を見せられてしまえばマィトーリアの秘所は全身全霊で旦那様をお出迎えすることでしょう。 みちみちぬちぬちぷちゅぷちゅぐちゅぐちゅどろどろぬちゅぬちゅきゅんきゅんちゅうちゅう……もし三次元上で発生していたとしたらそんな悍ましさすら感じるほど搾精に特化した淫猥極まるぬたついた音が肉棒を通して「あなた」の肉体へ、そして魂へと到達し、マィトーリアに拝謁してより最大の快楽が「あなた」を襲います。 固形になってしまった精汁と狭窄した尿道によって封鎖されてしまっていた肉茎も「あなた? あなたのお嫁さんまんこですよ?」「妻を孕ませる気満々のかっこいいお射精してください?」「旦那様を気持ちよくするために生まれて来た種搾り穴味わってください?」「好き?好き?」「赤ちゃん創りましょう?」「おちんちんにぴったりくっ付いた肉襞気持ちいいですか?」「ぐねぐねぞりぞりぬちゅぬちゅぴゅっぴゅっ?いっぱい動かしますからおまんこ奉仕味わってください?」「かわいい?かっこいい?素敵?」「一目見た時から大好きでした?」「あんっ?来た?精子来ました?」「旦那様のお精子さんこんにちは?あなたのお嫁さんです?」「お射精してるあなたのお顔かわいいです?何垓年でも見ていられます?」「好き?大好きです?」「かっこいい?大好き?結婚してください?」「〜っ?私もイっちゃいます?旦那様の孕ませお射精気持ちいいです?」「はしたない妻でごめんなさい?私も気持ちよくなっちゃいます?」「あっ?あっ?あんっ?あなたの腰振り気持ちいいっ?」「お腹きゅんきゅんって?胸の中ぐつぐつ〜ってしちゃいます?」「どぷどぷ来てます?」「もっと注いでください?」「お精子熱いです?」「好き?」「好き?」「大好き?」「愛してます?」「もっと?」「大好き?」「大好きっ??」という無限の愛情が全身に轟き渡った事で決壊し、ぶっっっっっっっびゅぅぶびゅぶびゅびゅくびゅぷぷびゅぶぶびゅッッッッ???????どぷびゅぷぷびゅちぶびゅるるぶびゅびゅぷぷどびゅぅぅぅッッッッッッ????????という三次元上で味わってしまったなら──三次元上では絶対にそこまで到達する事は不可能ですが、という但し書き付きで──脳神経が快楽の自家中毒によって一瞬で破砕されるほどの激烈な快楽と吐精を伴いながら初挿入は完了されるのでしょうね。 ですがご安心を。何度も述べた通り、これらは全て魂優位の快楽ですので、上位次元へと昇華した「あなた」の肉体へは何一つ悪影響はありません。 もちろん、この快楽に“慣れる”ですとか、“鈍くなる”などという悍ましい現象も発生しません。 「あなた」はただ、その莫大な快楽が全て渾然一体になった『幸福』を永劫に近い時間の中で感じ続けるだけなのです。 そして繰り返しますが、上位次元において主観による時間経過は存在しますが、客観による時間経過は皆無です。 「あなた」の意識は時間経過を感じ取りますが、「あなた」の肉体は時間経過を行いません。 絶頂は終わりませんし、射精もまた終わりません。 男性は射精してすぐに男性器を愛撫され続けると「潮吹き」という状態になる事があるそうですが、上位次元においては潮吹きも射精と同位です。客観的時間の存在しない空間に於いては射精の後にある物も射精の前にある物も全ては同列、ただ快なること以外の何物でもないからです。 潮を噴き出しながら射精を継続し、射精をしながら愛撫のむず痒い快楽を堪能し、勃起し始めたばかりのささやかな快感と共に潮を噴き出して、それら全てが完璧に調和の取れた形で「あなた」に幸福をもたらしてくれるでしょう。 そしてその間も「あなた」はマィトーリアの乳海がそのまま人体を形取ったかのようなきめ細やかな肌にしがみ付き続ける訳ですし、マィトーリアはますます「あなた」への愛情がオーバーフローしてその神威を放ち続けるでしょうからここから先は亜神に過ぎない私には最早語ることは不可能です。 そうして今語った以上の快楽と幸福が「あなた」を包む新婚生活が幕を開けるのです。 ただ言えるのは、「あなた」は婿入りまで後7日を残しているわけですから、その間に思い残す事は無いようにしておく方が良いという事です。 上位次元における永劫とはこちらでの刹那と同義ですが、同時に逆もまた然り。 「あなた」とマィトーリアが気分転換に人体を形取ってお忍びデートなどをしようとしても既にこちらでは数万年が経過している事なども可能性としてはありますので家族友人知人達に別れの挨拶はしておいた方がよろしいでしょう。 とはいえそうなったらなったで時間逆行なども出来るはずですが。念の為。 ──さて、ここまで長々と語って来ましたが、不安なことはありますか? はい?なぜこんな話を、と? ふふ。先ほど言った通り、脅しの面もあるでしょう。ですが勿論、それ以外にもあります。 私もこの神殿の長にして永命不老の亜神ですから無論、「あなた」が産まれた時も「あなた」のお父様とお母様が産まれた時も、そのまた先の祖先が産まれた時よりずっと知り及んでいます。 そして何より、我が妹の光輝によって日々を過ごすあなた方は、妹の愛し子に同じ。したがって、あなた達は私の愛し子も同然です。そんな子の一人が妹に嫁ぐのですから相談には乗ってあげたいではないですか。 はい? ……不安な事は特にない? うーんすごい。そんなだからマィトーリアが選んだのでしょうか。 いえなんでもありません。では本日はこれで結構ですよ。お身体に気を付けて。 式は昼からですので前の晩は飲み過ぎて遅刻しないようにしてくださいね。 はい、ではまた7日後に。