専用のバケツに純水を張り、衣類を漬ける。 軽く濯ぎ、引上げて優しく絞る。同じことを、 数日分蓄えた洗濯前の衣類全てに対して繰り返す。 理科準備室で用立てた大型のメンブレンフィルタに絞り水を注ぎ、 染み出した水を寸胴で受ける。 こうして、原水(A)を回収する。 寸胴を火にかけ、(A)をおよそ数百mlまで注意深く煮詰める。 一旦火から下ろし、粗熱を取る。粉末活性炭を加えてから 再度ろ過にかけ、余分な凝集物を除去したら新しい小鍋に移して 弱火で水分を飛ばす。最後に鍋底が白く粉吹いたら スパチュラで粉体をこそげ落とす。 こうして、粗塩(A´)が取り出された。 梨フラスコに(A´)と酒精(99.5%)を加え、攪拌後に冷蔵庫内で冷却。 底部への固形分の沈殿を確認後、スポイトで上澄みを排出する。 最後に少量の液と共に塩分を平バットに空け、室温で静置して液体を 完全に蒸発させたら完成である。 「汗をかいた後だと普通のおにぎりでもすごくおいしく感じますね!」 「はい。せっかくなので少しお塩にもこだわってみました。」 …エアコンが壊れたのは痛手だが、思わぬ収穫でもあった。