硬い指が柔らかな肌を舐める――そこにはかさぶたの一つもなかった。 指先を止めるものは何もなく、産毛はむしろ絨毯のように彼を迎え入れる。 そして押し返すほどよい弾力だけはきちんとあるのが、彼女の若さを何より示す。 いや、なすがままに成り行きを見つめるその瞳は――いっそ幼いと言う方が正しかった。 子供が理屈も知らぬ科学玩具を、硝子箱の外から見ているのと同じ顔つきであった。 けれど彼女の肢体は、あどけなさによって却って犯罪的になるほどに豊満であって、 男の指がまさぐっているのも、まさにその顔つきに似合わぬ重たげな乳房である。 一方の手では裾の切れ間から大きく覗いている腿を何度も上下に撫で揺らす。 少女がすっと整った目鼻立ちを――生まれて初めての赤に染める様子などは、 それだけで一つの絵画のような、どこか吸い込まれるような艶美ささえ持つのであった。 さらに、無知と――あるいは無言の、男への、信頼。真白い画布のその上に、 己の色を一滴垂らして――じわじわとそれの染み渡っていく、本能を揺さぶる喜び。 前髪に隠れていない側の瞳を、じんわりと、自覚もできない雫に濡らしながら、 少女は流し目で背後の彼を見た。この行為の意味を問う目であった。 男はただ、大丈夫と答えた――何が?だが彼女はそれ以上追求できない。 少なくとも、彼が何を目的にしているかはさておき、その一言によって、 己を害するものでないことを理解――するように、強く促されたのであるから、 それに逆らってまで、自らの疑念を押し通すだけの強さは彼女にはないのである。 ぽかぽかと、身体の芯から――そして下から、温かい何かが広がってくる。 腿にもしっとりと汗が浮き、男の指先に肌ごと吸い付いてくるかのよう。 口はぱくぱくと開いて、体内からの熱気を逃がそうと試みてはいたが、 さてその発露となると、言葉らしい言葉となる気配はない。 あ、とか、ん、のような、一呼吸分の熱の塊を湯気と共に艶めかしく吐くことはあれど、 火照りに反して、それは嬌声とは程遠いものなのであった――それでも男は、 少女の喉から、ぽつ、ぽつ、と音のこぼれてくるのを大袈裟に褒める。 彼との“発声練習”が順調に進んでいる証拠だとばかりに、一層強く肌を撫で回す。 男の言い分においては、そのような無意識の――腹の内からの、抗い難い声、 抑えようとしても抑えきれぬものこそが、“声”の根源であるのだ、と。 そこに甘やかな熱の乗るにつれ――感情を込めた、自然な発音ができてきていると、 少女をやたらに褒め、撫で、可愛がる。一方で、その指使いはあくまで冷淡に、 思考とは不釣り合いな、しっかり発達した身体を弄んでいるのであった。 彼女の身体がぴく、ぴくと小さく揺れるのを確認すると、男はその耳にそっと囁く。 言葉を紡ごうにも思うように紡げなかったその口を、男の指が洋梨のように押し開く。 指先が舌に触れ、先ほどの声を、自然と腹から漏れた声がどのような舌の形で出たかを、 感覚として掴ませるため、強引に摘みながら、もう一方の手で胸や、股間を弄る。 服越しとはいえ、その揉み方は彼の獣欲を隠しもしない――少女ほそれに気付かない。 正しくは、口の中に入ってきた指が舌を摘んで発声練習をさせてくるものだから、 自分が何をされているのか――それは何のためか――を、考える余裕がないのだ。 少女の舌をしっかりほぐし終えた男は、自身の舌をぺろんと垂らしてみせ、 下唇をてからせるように濡らしながら――回して、鼻の頭にまで先端を届かせた。 これぐらい自由に動かせるようになるには訓練が必要だが――近道がある。 潤んだ瞳で上目遣いに彼を見るその目は、“近道”を知りたいという想いに溢れ、 なればこそ、急に口の中に舌をねじ込まれても、目を白黒させるばかりで逃げなかった。 無論、男はその直前に舌を噛まれないよう、頬と顎を指で押さえるのも忘れていない。 食物を喉の奥に運ぶぐらいの役割しか果たしてこなかった舌。それが今この瞬間から、 男の舌によって口蓋から舌根までを、ねとねとにされつつ舐め回されている。 己自身の唾液と同じように彼の唾液を舌を通して流し込まれ、 また同時に、自分自身の唾液をも彼の舌が掬って飲んでしまっている。 呼吸を阻害されつつも、ほつ、ほつ、と口内に途切れ途切れに入ってくる空気を、 一粒一粒拾い集めるかのよつにして、少女は息継ぎをするのであった。 当然、顔は赤くなる。呼吸に必死であったためか、あるいは―― 二人の唇の間に、一筋の細い橋が――伸びていく最中で切れて落ちた。 滴の玉は、男によって揉みくちゃにされていた乳房の上にぽたりと落ちたが、 既に汗でぐっしょり濡れてあちこちに色濃い染みを作った今では、そう目立たなかった。 目端には明らかに涙が浮いていた。彼女自身、なぜこぼれるのかはわからずとも。 その貌は蠱惑的に過ぎた。男を、一匹の雄へと変えてしまうに足りるだけの。 それでも、彼女の世界はまだほとんど、子供のそれに等しいのである。 男と女が一対で何をするか――赤子というものは、如何にしてこの世に産まれ出づるか。 それを知らぬ童女を手籠めにするのには、流石の彼もいくらか躊躇した。 だが――自分がやらなくても、結局誰かがそうするだろう。 自分よりずっと酷く、悪辣で、巧妙で、心に深い傷を残す形で。 大義名分を用意してやり、段階を踏んで“その気”にさせてやり――なんと人道的なことか! 今や彼は、己の嘘を信じ込ませることこそが目的になっているようでもあった。 男の手によってしっかりと熱を持たされた身体は少女の意思では抑えきれず、 しきりに、肉体の囁くままに柔らかで張りのある両腿を擦り合わせている。 それも、あくまで先ほどの愛撫によってこの箇所への物理的刺激が“違う”ことを、 おぼろげに理解したからに過ぎず、その先にあるものが何かわかっているわけではない。 脚をぶるぶる震わせながら服を掴んでくる彼女を――男は両腕に抱きかかえ、 あらかじめ敷いてあった白い布地の――二人分は優にある寝床の上に転がす。 わざわざ布団を用いたのは、寝台は寝る場所だという子供の先入観を呼ばないためだ。 “変”になった身体を元に戻してやるから、こちらに全てを委ねるように―― そんな風なことを囁くと、男は返事も待たず少女の衣服の隙間に指を差し込み、 留め具を外し、下着をずらし、吸い付くような肌を堪能しながら――裸に仕立て上げる。 両親以外の前で肉体を晒した経験など、彼女にあるはずもない。恥、とさえ感じない。 けれども、男がじっと己の裸体を見つめ――鼻息を荒くしているのを見ると、 羞恥心の蕾が、ゆっくりと少女の胸のうちに咲き始めるのであった。 そんな悠長な反撃を待つまでもなく、男は彼女の肌を直に撫で回していく。 すべすべとした、外界にほとんど触れていない、汚されていない、白い肌。 ほんの少しつまむだけで、赤い跡がくっきり残るほどに、刺激に弱い繊細な肌。 それが、産まれて初めて感じる性感によって赤く染まり、無数の汗の粒を浮かせている。 男の指は、丹念に一本の筋の上をなぞり、それでいて陰核だけはきちんと避けて、 ぴったりくっついた陰唇を、自然に剥がしに掛かっていた。 何か、されている。何か、起こっている。そこまでは直感的にわかっても、 彼が何のためにそれをして、自分がどうなるかはわかるわけもない。 男が満足げに指を離し――ほぐれた膣肉がゆるゆると左右に隙間を開いていって、 この雄に屈服する準備を整えてさえ、ここから何をされるかがわかっていないのだ。 処女肉を食い荒らしたくて脈打つ黒々とした男性器。幼心に見た父のそれとは違う、 今、自分を一匹の雌として滅茶苦茶にするために研ぎ澄まされた肉の槍。 やはり彼女は、“それ”で何をされるかを知らず――された瞬間の痛みを知ることもない。 呆気なく破られた膜から垂れる赤い雫とともに、呻き声のような音を発するものの、 男は今度の“声”を褒めてくれるでもなく、ただそれを無視するかのように腰を動かす。 痛みがまだ引かぬうちから、さらに胎内をぐりぐりとほじくられるのは、 彼女の精神年齢においては耐えられない苦しみた――男にとってはどうでもいいことだが。 ぼたぼたと塊になった精を先端から垂らしつつ、乙女の胎を焼いた槍が抜ける。 意識ごとかき混ぜられた彼女は、行為の前と中、後とを峻別できない。 刺激の波の、一番高いところから――中腹の、低いところに落ち着いただけであって、 息を整えるのが精一杯、今、何をされているのかもわかるまい。 だが、無理やりに“女”の部分を花開かされたその貌は、恐ろしいまでに雄を昂らせた。 自分がものにした女が、他の誰かの手つきにならなくてよかった――裏腹の安堵さえ。 感情の落差による真空は、さらなる興奮によって埋められる。 少女がほんの少しだけ思考力を取り戻し、彼に視線を向けられるようになると、 また男は激しく彼女の膣内を抉り抜き、己の形へと作り変えていくのであった。 嬌声というにはあまりに無垢な声を、舌ごと絡めて己の喉の中に吸い上げていく。 唾液を交換しながら、腰は止めずに奥へ奥へ、膣肉の疼きに合わせて、 より強く絡め、呼吸を阻害し、頭の中を真っ白にしてやる――その繰り返し。 発声練習という建前が崩れて久しく、けれど彼女にそれを指摘する力はないのだから、 ただ一方的に雄に食い荒らされる一匹の雌が、そこにいるだけである。 拒絶と受容のいずれにも割り振ることはできない。それさえもわからないのだから。 十分に発達だけはした身体を男の背にくっつけて、脚を絡めて、背中を抱き、 彼から与えられる刺激を耐える姿は――さながら生粋の娼婦のようでもある。 体力の尽くを使い果たしてぐったり伸びる彼女の陰唇からは、呼吸のたびに、 ぷぴっ、ぶびゅ、と間抜けな音を立てながら湯気の立つ精液の塊が飛び出てくる。 半乾きの精が固形状になって股間にべたべたと張り付いていたが膣内にはなお多く、 先に呼吸を整え終えた男が、彼女の陰核だけをくりくり弄り回していると、 面白いように、新たな精の塊が――絶頂による身体の痙攣とともに吹き出すのであった。 少女の喉から絞り出される微かな声は、それ以来一層艶めくようになった。 男はそれを何度も褒めるのだ――胸を揉み、腿をねっとり撫でながら。 そしてまた、“発声練習”。喘ぎ声も一息分には長くなり、抑揚を持つように。 白い肌を赤く染め、髪を振り乱し、ひたすらに、彼に貪られていく日々―― その結果は当然、彼女の若さによって半ば約束されていたようなものだった。 少女が縋るような目で体調不良を訴えかけてきたとき――男はすぐに原因を理解した。 手の中にその感触が明らかに感じられるようになるまではじっくり待って、 ぽっこりと膨らんでからは、下腹部を丹念に触ってその変化を自覚させるように。 乳首の色の変化、乳房の重さの増加、そして何より、異様に膨らんだ腹。 それらへの不安が彼女の顔に浮かぶと、男は大丈夫だ、とばかりに少女を掻き抱く。 ぷっくり飛び出た臍を指でこりこりなぞりながら――これは誰でもそうなるものだ、と。 そして己の種が目の前の若い雌の胎に根付いたことへの興奮を隠しもせず、 激しく突き回し、穿ち、奥の奥へと精を吐きかけては、舌を絡める。 その最中だけは、少女の不安も薄まる――考える余裕が、なくなる。 大きな胎が呼吸に合わせてゆっくりと上下するのを見て、男はまた昂った。 再びの抽挿に移ろうとする彼の耳に唇を寄せ、少女は囁く。 ――うそつき。