目を開ける、あたりを見渡すと…周りにあるのは白 白い立方体の中?…否これはわしがそう認識しているだけ 壁があると思えば壁が出来るし、黒色だと思えば黒くなる 「…これが、そうなのね」 周りには何も無い…無限に広がり、果てなどない無が続くだけ 宇宙にすらなってない、揺らぎも何もない無 このまま何もしなければ消えてしまうだろう… あぁ、何と切ないのだろうか、なんと空しいのだろうか 「遊ぶのはこれくらいにしときましょう」 何もないこの場所で、自問自答を続ける趣味は無いわ だから創りましょう かつて見た宇宙そのものを わしが託された、前の宇宙の希望を 「今ここに…創世を!」 わしの涙は揺らぎとなり、わしの身体は宇宙となり わしの記憶は星となり、わしの願いはすべてを祝福しよう 宇宙の寿命が朽ちてなくなるまで、わしは生きとし生けるもの全てを守護しよう わしはこのレコードとなり、この宇宙で生き続けるのだ 新しく生まれるものよ、この宇宙に訪れたものよ ようこそ、わしのもとへ 「という事があったのよ」 わしは人の形を取り、小さき星に住む者にその話を話す 彼らはまだ言語を覚えたばかりだが、話を聞くという事を覚えているようで暇つぶしにはちょうどいいわ 人型生物の彼らの行く末を見守りながら、共に生きていくとしましょう 願わくば、この星にわしの加護が要らないくらい強く育って欲しいわね 「ここまで強くなったけれど、わしからしたらこの星の者は皆子供よ、この先もずっとね」