「海鈴、そっち後どれくらい」 『…現国ドリル18ページ、英語のワーク全部。それと今、読書感想文の課題図書を読み終えたところです。そちらは?』 「今古文終わった。……あとは、数学、ⅠもAもどっちも全部。」 「『……はぁ~。』」 携帯越しにも関わらず、示し合わせたかのように同時に嘆息を漏らす。お互いに宿題の進捗を確認しaう、もとい監視しあう通話を始めて早3時間、依然先行きは暗澹を極めていた。 カリカリカリカリ…「あ~もうほんと眠い!頭回らない!この前新曲作った時よりしんどい…。なんでもっと早く手をつけなかったんだ私…!」 カリカリカリ…『…嘆いていても宿題は終わりませんよ。』 カリカリ…「お前なんでそんな余裕ぶってんの…海鈴の方が量ヤバいでしょ。」 カリ…『…黙っていたんですが明日は英語の授業だけ有りませんからね、終わらなくても最悪2日まで後回しに出来るんですよ。』 ……「──英語の課題だけ朝のHRで回収するって先生言ってなかった?」カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ「お前ほんッとそういうとこ…。」 9月1日8時15分。夏休みを全力で駆け抜けたバンド少女たちに、その時は刻一刻と迫っていた。 カリカリカリカリ…『…ですが、正直悪い気分はしません。』 ……「…なんで。」 ……『──こうして2人きりで夏の日を過ごすの、夢でしたから。』 カリカリカリカリ…「…ちょっと面白い。」『冗談じゃないんですよ!!😭』「はいはいわかったから…。」