[main] プロローグ : ここはUGNの◯市支部───の系列が運営している喫茶店。
[main] プロローグ : 一般の何も知らないお客さんのほか、UGNの職員も活用しているお店です。
[main] プロローグ : ビルの片隅に入っているこじんまりとした喫茶店の特徴はその店員。
[main] プロローグ : UGNでもちょっと困ったことをする子が入っています。要するに懲罰労働なのでした。
[main] プロローグ : 今日は生憎の雨ですね。カウンターには小柄な店員が居座り、閑古鳥に餌をやっていました。
[main]
猿藤 天華 :
カランコロンとドアベルが鳴り、やってきたのは優等生然とした眼鏡の学生でした。
手には学生カバン、胸ポケットには生徒手帳。茶のかかった髪をしてキリリと身だしなみを整えた一般男子学生のようです。
[main] 猿藤 天華 : そしてカウンターテーブルに座るなり、一言のたまいました。
[main] 猿藤 天華 : 「──失礼、水を一杯いただけないだろうか。」
[main]
鮎川 瑞 :
「いらっしゃいませ」
目の前に座ってきた男性客に対し、小さな店員は実に生真面目そうに挨拶した。
[main]
鮎川 瑞 :
「おみずですね。かしこまりました」
ウォーターサーバーから水を汲み、差し出す。
[main] 鮎川 瑞 : 「ご注文はいかがでしょうか」
[main] 鮎川 瑞 : ……言葉遣いこそ丁寧だったが、にこりとも愛想笑いをしないぶっきらぼうな店員だった。
[main]
猿藤 天華 :
「ありがとう、では遠慮なく。」
喉を鳴らして、ゴクゴクと目の前で無遠慮にコップの水を飲み干して……カップをコトンとカウンターに置く。
[main] 鮎川 瑞 : (喉乾いてたのかな)
[main] 楯無 燈子 : では遅れて入店しようカランカラン
[main] 楯無 燈子 : 「やってるかい…」
[main]
鮎川 瑞 :
「いらっしゃいませ」
続いてやってきた客に対しても、やはり言葉は丁寧だったが愛想笑いのひとつもない店員だった。
[main]
猿藤 天華 :
「見ず知らずの、それも初対面の店員さんに告白するのもおかしな話だが……実を言うと、これから先輩とデートなんだ。」
唐突に切り出す、すごい唐突に。
ぶっきらぼうな店員に対してこちらはさらに遠慮がない。
[main] 鮎川 瑞 : 「デート。」
[main] 楯無 燈子 : 「とりあえずフードメニュー全部…」
[main]
鮎川 瑞 :
「かしこまりました」
[main] 鮎川 瑞 : 「全部。」
[main] 楯無 燈子 : 「全部」
[main] 鮎川 瑞 : 「全部」
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました」
[main]
猿藤 天華 :
「全部……か」
羨ましいものを見るように
[main] 猿藤 天華 : 「ああ、年下でまるで小学生のような容姿の女性なんだが、包容力があって……組織、じゃなかった仕事に忠実な女性なんだ。たとえるならそう」
[main] 猿藤 天華 : 「駄犬」
[main]
鮎川 瑞 :
店員はてきぱきと動き出した。
カレーの温め直しから始まり、カウンターでサンドイッチの制作に取り掛かる。
[main] 鮎川 瑞 : 「駄犬。」
[main] 楯無 燈子 : では注文を待ちテーブルへスタスタ
[main] 鮎川 瑞 : 「残りはテーブルへお持ちしますので」
[main] 楯無 燈子 : 「ん…早めにね…」モグモグ
[main]
鮎川 瑞 :
作業の手を止めずに店員はしばし考え、男性客に言った。
「大変ですね、犬科とのデートは」
[main]
猿藤 天華 :
「ああ、そうなんだ」
犬科に肯定した。
[main]
猿藤 天華 :
「猫まっしぐら、という標語のCMがあるだろう、まさにああ、なんだ。」
[main] 鮎川 瑞 : なお手元ではサンドイッチ(BLT)を作り終えてサンドイッチ(ツナ)に取り掛かっていた。
[main] 三条 燕 : ガラーン!!!! とけたたましい音を立ててドアが開き
[main] 鮎川 瑞 : 「猫なのに犬なんですね」
[main] 三条 燕 : 「ごめんなさい!トイレかなんか個室でも良いから着替えさせて下さーい!!」と叫びながら乱入する人が来る
[main]
鮎川 瑞 :
「いらっしゃいませ」
やはり言葉は丁寧で、やはり愛想はなかった。
さっきと違ったのは入ってきた客の奇抜な格好に目を丸くしていたこと。
[main] 楯無 燈子 : (騒がしい店だ…)モグモグ
[main] 鮎川 瑞 : 「お客様。当店のお手洗いは更衣室ではありません」
[main] 鮎川 瑞 : 「そのままお席へどうぞ」
[main]
猿藤 天華 :
「目標にミサイルのように向かって進む突進力は素晴らしいが、こう、手綱を引くものは苦労する……という言葉が実に似合う。評するならそう…」
入ってきた兎さんの恰好にむっ!と目を光らせる。眼鏡がきらりと光る。
[main] 猿藤 天華 : 「トラブルメイカー」
[main] 鮎川 瑞 : 「トラブルメイカー。」
[main] 鮎川 瑞 : 「私もよく言われます。何故か」
[main] 鮎川 瑞 : 「お客様。サンドイッチ全種おまたせしました」
[main] 鮎川 瑞 : 「続いてカレー3品をお持ちいたします」
[main] 楯無 燈子 : 「ありがと…ついでにドリンク…ジンジャエールとかある…?」
[main]
猿藤 天華 :
「皆、自覚はないのだ、きっと。人は知らずの間に誰かに迷惑をかけてしまう生き物だが。……」
ちらりと、兎さんに目をみやる。
[main] 鮎川 瑞 : 「ドリンクも全品になさいますか」
[main] 楯無 燈子 : 「いや…一番デカいサイズの一つでいいよ…」
[main]
鮎川 瑞 :
「自覚がない。」
よくよく復唱する店員だった。
[main]
猿藤 天華 :
「ああしてばるんばるんなものを誇らしげに掲げる人間はえてしてそう評したい。そしてまじまじと見ていたい。そう、デカいサイズは尚良い」
意訳:コイツは堂々とおっぱいを見ています。
[main] 鮎川 瑞 : 「年下で小学生のような容姿の方が好きなのにですか」
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました。ジンジャーエールLサイズで」
[main] 鮎川 瑞 : 目の前に運んできたのはジョッキに入ったジンジャーエールだった。全く笑わず席へどすんと置く。
[main] 楯無 燈子 : 「ありがと…」ムシャムシャ グビーッ
[main]
猿藤 天華 :
「──いいや、店員さん。それは違う。
先輩はたまたまロリコン向けの体系をしているだけで、俺は体系で彼女を好きになったわけではない。」
[main] 鮎川 瑞 : ごゆっくりと一礼してカウンターに戻りカレーを作り出す。トースターではカツが温められてチンと鳴っていた。
[main] 鮎川 瑞 : 「ロリコンではない。」
[main]
猿藤 天華 :
「それはそれ、コレはコレ。
男は誰しも大きなものにあこがれる。
巨人、卵焼き、大砲、おっぱい。みんな大きくてみんな良い」
[main] 鮎川 瑞 : 「では何が好きなのだと?」
[main] 楯無 燈子 : 次々積みあがっていく皿の山たち
[main] 三条 燕 : 「すみませんお騒がせしました…そして何か聞き捨てならない話が」
[main] 猿藤 天華 : 「懐の大きさかな……俺のような人間を先輩は暖かく迎えてくれる、それが先輩を好きになる理由だったんだ」
[main]
鮎川 瑞 :
「おまたせしました」
ふたたび追加でテーブルに載せられるカレー皿3つ。
「左からプレーン、カツカレー、トッピング全部盛りです」
[main]
鮎川 瑞 :
「ごゆっくり」
空いた皿を下げて店員が戻っていく。
[main] 楯無 燈子 : 「ありがと…」ガツガツ
[main] 鮎川 瑞 : 「なるほど」
[main] 三条 燕 : 「あ、すみません私も同じのを、それとアイスコーヒー」
[main] 鮎川 瑞 : 「ラブなのですね」
[main] 鮎川 瑞 : 「お客様。どちらでお着替えに」
[main] 三条 燕 : 「愛かー。私の知り合いの男は義理や誠意とかそんなので人付き合いしてるって言ってたから、そういうのとは無縁かも」
[main]
猿藤 天華 :
「おっと失礼バニーさん。
大変良い衣装だった、衣装デザイナーに会う機会があればこう伝えてほしい。
『良い乳だった、可能であればケツももっと誇張した意匠であれば尚良い』、と。」
[main] 三条 燕 : 「ぶっとばすわよ!!!!???」
[main] 楯無 燈子 : 「最低だな少年…そういうのセクハラだぞ…」モグモグ
[main]
猿藤 天華 :
「平然と今、見えてはいけないものが見えた気がするが…」
眼鏡を拭いて銃を見なかったことにする。
[main] 鮎川 瑞 : 「同じもの……」
[main] 三条 燕 : 「あたしだって好きであんな恰好してたんじゃないんだからッ!!!そういうジャームに巻き込まれただけでッ!!!しかも周りはあたしよかでかいのばかりでッ!!!!」
[main] 鮎川 瑞 : 「全品ですね」
[main]
猿藤 天華 :
「申し訳ない、健啖家のレディ。
俺は自分の心に正直でありたい、これでも学園では優等生を兼任している。」
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました」
[main] 三条 燕 : 「なんだったら男の方が背丈もある分胸囲あたしより大きいってなんなのよーーーッ!!!!!!」
[main]
猿藤 天華 :
「ゲーッフ!ゲフゲフゲフッ!」
ジャームの言葉を聞かなかった、とばかりにワザとらしく咳き込んで言葉をかき消そうとする。
[main] 楯無 燈子 : 「騒がしいお嬢ちゃんだね…」モグモグ
[main]
鮎川 瑞 :
店員は再びサンドイッチの制作を始めた。
うおォン、私は軽食制作工場だ。
[main] 三条 燕 : 「ハァハァ……はぁ………あ、はい、注文はカレー三種とアイスコーヒーですはい」
[main] 楯無 燈子 : 「んでもって…ジャームなんて単語が飛んできたってことは…お嬢ちゃんもオーヴァード…?」
[main] 鮎川 瑞 : 「カレー三種……」
[main] 鮎川 瑞 : 「全品じゃなかったのか……」
[main] 猿藤 天華 : 「……」
[main] 三条 燕 : 「いやいやいや、流石にカレー3種ぐらいしか入らないってばッ!?」
[main] 鮎川 瑞 : 「任務に失敗……死……」
[main] 楯無 燈子 : 「じゃあそっちはこっちにつけな…まだ腹4分って所だ…」
[main] 三条 燕 : 「死ッ!!!???」
[main]
猿藤 天華 :
「そうか……意図せずしてレネゲイド関係者ばかりの店だったのか……」
げっそりとした表情で、水をもう一杯飲む。
[main] 鮎川 瑞 : 「ご安心くださいお客様」
[main] 鮎川 瑞 : 「私が死ぬとしても業務時間後です」
[main] 鮎川 瑞 : 「ご注文は万難を排してお届けいたします」
[main] 三条 燕 : 「落ち着いてッ!大丈夫だからッ!!根拠は無いけどきっといけるッ!!頑張るから全品で大丈夫ですッ!!!」
[main] 鮎川 瑞 : 「………」
[main] 鮎川 瑞 : 「あちらのお客様がお召し上がりになるそうなので……」
[main] 鮎川 瑞 : 「廃棄はなくなりました」
[main] 鮎川 瑞 : 「私は死を免れた」
[main] 猿藤 天華 : 「廃棄イコール死とは物騒な……」
[main] 三条 燕 : 「あ、そうですか…危うくあたしも死を覚悟してたわ…」
[main] 鮎川 瑞 : 「それはそれとしてテーブル席のお客様。当店おすすめのパンケーキです。ごゆっくりどうぞ」
[main] 鮎川 瑞 : 「次はカレーか…」
[main] 楯無 燈子 : 「ジャンジャン持ってきて…」モグモグ
[main] 鮎川 瑞 : 「あ………」
[main] 鮎川 瑞 : 「カツカレーのカツを切らしている……」
[main] 鮎川 瑞 : 「………死………」
[main] 三条 燕 : 「…あ、そういえばまだ座ってすらないな…じゃあカウンターで」誰かの真横に座ったりとかは無い
[main] 猿藤 天華 : では三条さんにカウンターの隅っこからシャーッと水が張った紙コップを滑らせます。
[main] 猿藤 天華 : 「水だ、受け取るといいバニーさん」
[main] 鮎川 瑞 : 「あ……」
[main] 鮎川 瑞 : 「お水を出すのを失念してお客様にフォローされた……」
[main] 鮎川 瑞 : 「………死………」
[main] 楯無 燈子 : 「ドンマイ…」モシャモシャ
[main] 猿藤 天華 : 「店員さん、これは臨時の手伝いではなく客が勝手にやったことだ。荒野のウエスタンでは──日常茶飯事だ。」
[main] 鮎川 瑞 : 「荒野の。」
[main] 楯無 燈子 : 「日本だけどね…ここ…」
[main] 鮎川 瑞 : 「そんな規則あったかな……」
[main] 鮎川 瑞 : 「客が勝手にやったこと……」
[main] 鮎川 瑞 : 「……死を免れた」
[main]
猿藤 天華 :
「ああ、客が勝手にやったことだ。
あわよくばバニーさんの恰好がまた見たい、などという下心とはまるで関係がない行為だから、安心して死を免れてほしい。」
[main] 三条 燕 : 「待って待って待って!!!カツとか作れそうな人なら思い当たりあるからちょっと早まるのは止めてぇぇぇええッ!!!!」
[main] 猿藤 天華 : クイッ、と眼鏡の中心を押し上げて格好つけます
[main] 楯無 燈子 : 「男ってのは皆こうなのかねぇ…」グビグビ
[main] 三条 燕 : 「あ、ありが…いや何か素直に受け取りにくいわね……」
[main] 鮎川 瑞 : 「!」
[main] 鮎川 瑞 : 「なるほど。今から揚げれば間に合う…?」
[main]
猿藤 天華 :
「いいや、健啖家のレディ。それは違う。
──俺が特別なだけ、さ」
[main] 三条 燕 : 「あたしの仕事仲間はもうちょっとこう、節度みたいなものはあったわよ。あいつはあいつで自由過ぎるけど」
[main] 鮎川 瑞 : ぼやいた店員は奥に引っ込んでいった。やがて揚げ物のぱちぱちと弾ける音が聞こえだした。
[main] 猿藤 天華 : 格好つけたまま、テーブルをたちあがります。どうやら退店をするようです。
[main] 鮎川 瑞 : 本当に揚げだした、あの店員。
[main] 鮎川 瑞 : 「お客様。お会計ですか」
[main] 鮎川 瑞 : かと思ったら手を止めて戻ってきた。
[main] 三条 燕 : (油から目を離さないで欲しいなぁ)
[main] 猿藤 天華 : 「ああ、ご馳走様、美味しい水だった。」
[main] 鮎川 瑞 : 「お水のみなのでお支払いは0円です」
[main]
猿藤 天華 :
「それは助かった」
サイフを取り出した、中身はからっぽ(財産0)だった。
[main] 三条 燕 : (お水のみッ!!?)
[main] 鮎川 瑞 : 「それとお客様」
[main]
鮎川 瑞 :
「恋が上手くゆくことをお祈りしております」
ずっと能面のような表情をしている割には、何か思うところを感じさせる発言だった。
[main]
猿藤 天華 :
「……ありがとう。」
心の底からの感謝、頭を下げて一礼を
そして颯爽と店を出ていこうとする
[main]
猿藤 天華 :
「あとは迷子の先輩と出会えれば……だ」
凄い気がかりなセリフを残して、去っていった。
[main] 三条 燕 : (恋かぁ……恋なぁ……お父さんの背中ばかり追いかけてたら、18で色恋沙汰知らずですよあたしは……)
[main] 三条 燕 : (………迷子?)
[main] 楯無 燈子 : 「やれやれ…騒がしい少年だったね…」
[main] 鮎川 瑞 : 水しか飲まず何も買わずに出ていったことについては全く機にしていないようだった。業務上特に問題はない。
[main] 鮎川 瑞 : 「おまたせしましたカウンターのお客様。カレー3種とアイスコーヒーです」
[main] 三条 燕 : 「なんていうか…そうですね…いや騒がしいのはあたしもあんまり人のこと言えないんですけど…」
[main] 鮎川 瑞 : ずい、とカウンターの奥から差し出す。手元は丁寧に、顔はぶっきらぼうに。
[main] 三条 燕 : 「あ、はーい。ありがとうございます」
[main] 鮎川 瑞 : そのままテーブル席へ皿を運びにいった。
[main] 鮎川 瑞 : 「テーブル席のお客様。パスタ5皿です」
[main] 三条 燕 : 「なそ」
[main] 楯無 燈子 : 「いいねぇ…」モグモグ
[main] 鮎川 瑞 : 「ペペロンチーノ。カルボナーラ。イカスミのパスタ。ペスカトーレ。季節の野菜のパスタとなっております」
[main] 鮎川 瑞 : 「ごゆっくりどうぞ」
[main] 三条 燕 : スプーンが止まる。一体どこにそんな容量が入るのだ。そして何故それで尻が大きくならないのだ。
[main] 鮎川 瑞 : しかも目の前で店員はまだ料理作ってる。今度はオムライスだ。
[main] 楯無 燈子 : 「…?なんだい…?そんな目で見てもあげないよ…」チュルチュル
[main] 鮎川 瑞 : 行先がテーブル席の客なのは間違いなかった。
[main] 三条 燕 : 「いえ、結構です…というか、多分入らないです……」
[main] 三条 燕 : (おかしいなぁ、食べ盛りでそんなんだから尻と脚が育つとか言われるあたしでもあんなには食べないわよ)
[main] 三条 燕 : と思いながらもカレー一皿完食。
[main] 鮎川 瑞 : 燕の目の前にいる店員は全体的にほそっこく小さかった。最軽量だった。
[main] 鮎川 瑞 : たぶん身長は150cmをギリギリ下回っている。
[main] 鮎川 瑞 : あれだけメニューを作っておいて顔色ひとつ変えず生真面目にオムライスの上へデミグラスソースをかけていた。
[main] 楯無 燈子 : 「ちゃんと食べないと力でないよ…お嬢ちゃんも戦うんだろ…?」
[main] 三条 燕 : 次はカツカレーを口に運ぶ燕ちゃん18歳は163㎝だ。体重は49kgです、体重は49kgですってばッ!!!!!
[main] 鮎川 瑞 : 「おまたせしました。オムライスです」
[main] 鮎川 瑞 : ダウトである。おそらく体重はごじゅ───
[main] 楯無 燈子 : 「ん…腕がいいね…」モグモグ
[main]
鮎川 瑞 :
「ありがとうございます」
頭を下げる。相変わらず表情は硬い。
[main] 三条 燕 : 「言わないッ!!心の中でも字の文でも言わないでッ!!」
[main] 鮎川 瑞 : ───いや───骨密度からして───ろくじゅ───
[main] 三条 燕 : 「ギリいってないから!痩せたからッ!!減ったの胸だけどッ!!!!!」
[main] 鮎川 瑞 : 「お客様。何に怒鳴っていらっしゃるのです」
[main] 鮎川 瑞 : 「私が何か不手際を?」
[main] 楯無 燈子 : 「騒がしい嬢ちゃんだね…」モグモグ
[main] 鮎川 瑞 : 「………死………」
[main] 三条 燕 : 「いや死にはしなくて良いからッ!!!??」
[main] 鮎川 瑞 : 「ご安心くださいお客様」
[main] 三条 燕 : カツカレー完食。アイスコーヒーを口にする。冷たさと澄んだ苦みがすっきりする
[main] 鮎川 瑞 : 「至らぬ店員への折檻は業務外時間での執行となっております」
[main] 三条 燕 : 「業務外でもやらないでッ!!!???」
[main] 楯無 燈子 : 「ふぅ…腹半分って所だ…」ゴクゴク
[main] 鮎川 瑞 : わがままな客である。任務に失敗すれば死。よくあることだ。まったく困ったものだ。
[main] 三条 燕 : (えぇ…?)
[main]
鮎川 瑞 :
「お客様。トーストとハンバーガーとホットドッグと……その他諸々です」
と今日何度目か知れないテーブルへの往復を敢行する。
[main] 鮎川 瑞 : そこには戦いがあった。全品を必ずお出しするという悲壮な決意があった。表情は変わらないが。
[main]
鮎川 瑞 :
「空いた皿をおさげしてもよろしいですか」
とカウンターに座っている脚に問いかける。表情は変わらないが。
[main] 三条 燕 : (っていうか遅いわね、強制バニーにされたからって流石に外でおっぱじめたりはする人じゃないと多分恐らくきっとそうだけど、単純にこの場所分かってない可能性あるかも)
[main] 楯無 燈子 : 「そうそう…食後のデザートとコーヒーもお願いね…」モシャモシャ
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました」
[main] 三条 燕 : 「あ、はい。どうぞ」
[main] 鮎川 瑞 : 燕は知らなかった。途中でジャームが暴走を始めそこにFHとかその他諸々が押し寄せてその対処に追われていることを。
[main] 鮎川 瑞 : プランナーがバニー姿で現れて「ふふふ全て計算通りです」などといつものドヤ顔で語りだしていたことを。
[main] 三条 燕 : しらそん
[main] 鮎川 瑞 : プランナーがなんでバニー姿なんですと尋ねられてTPOと答えつつも若干頬が赤らんでいたりいなかったりしたことを───燕を始めとして皆知らなかった。
[main]
鮎川 瑞 :
「お客様。追加の注文はございますか」
何も知らなかったので普通に追加注文について尋ねた。
[main]
三条 燕 :
「……あーっと、じゃあアイスのカフェラテを」
何も知らないのでそのまま待つ為の追加注文をする。
[main] 楯無 燈子 : 「こっちにもそろそろデザートとコーヒーお願い…」モグモグ
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました」
[main] 鮎川 瑞 : カフェラテやコーヒーを出すのにはそう時間などかからない。デザートだってあるものを出すだけだ。
[main] 鮎川 瑞 : おまたせしました、とふたりに皿とカップを出す。
[main] 楯無 燈子 : 「ふぅ…穏やかな時間だ…」ズズズ
[main] 三条 燕 : 「ありがとうございまーす。…それにしたって遅いわね…なんていうか、ゴドーを待ちながらみたいなことになりかねないんだけど」
[main] 鮎川 瑞 : 小さな人影は客が来てから忙しくちょこちょこと歩き回っていたが、ようやく注文が途切れてカウンターの奥で落ち着いた。
[main] 鮎川 瑞 : 「どなたかお待ちなのですか」
[main] 三条 燕 : 「あぁ、ちょっと仕事仲間をね。バニー姿にした奴をすっ飛ばしたから、着替えてから合流するって話してたんだけど」
[main] 鮎川 瑞 : 「バニー姿に。」
[main] 楯無 燈子 : 「けったいなことだね…」モグモグ
[main] 鮎川 瑞 : すごい。何もわからない。どうウルトラCをきめたら日常においてバニー姿になるのだろう。
[main] 三条 燕 : 「ホントにけったいな事よ…」
[main] 三条 燕 : 「何をどうしたらバニーを強制するジャームなんて生まれるのか、想像したくもないわ」
[main] 鮎川 瑞 : 「バニーを。強制。」
[main] 三条 燕 : 「しかも男まで」
[main] 鮎川 瑞 : 「男まで。」
[main]
鮎川 瑞 :
「………」
難しい内容だった。店員のやや偏った人生経験から返答を導き出すには。熟慮した。
[main]
鮎川 瑞 :
「お似合いでしたよ」
明晰な頭脳が弾き出した結論はこれだった。
少なくともサイズはばっちりあっていた。
[main] 三条 燕 : 「いやいやいやいや」
[main] 鮎川 瑞 : 「少なくとも。私は着ても面白くありません」
[main] 楯無 燈子 : 「そういう需要もあるさ…多分ね…」
[main] Scharlachrot : ガランとドアが開き、半裸に白のパンツ姿の男が現れる
[main] Scharlachrot : 「バーボン」
[main] 楯無 燈子 : 「わぁ…」モグモグ
[main]
鮎川 瑞 :
「いらっしゃいませ」
男の半裸姿に対してもやっぱりこの店員は表情を変えなかった。
[main] 鮎川 瑞 : 「バーボン。お飲み方はどうなさいますか」
[main] 三条 燕 : 「あるかぁッ!!!!」
[main] Scharlachrot : 「あとトイレか何かで良い、着替える場所は無いか?流石に春日のおっさんのズボンのまんまじゃサイズが合わねぇ」
[main] 鮎川 瑞 : 「………流行っているのかな……」
[main] Scharlachrot : 「ストレートのダブル」
[main] 鮎川 瑞 : 「当店のトイレは更衣室では……ああ、もう行ってしまった」
[main] 三条 燕 : 「あるのぉッ!!?」
[main] 楯無 燈子 : 春日の名に眉をひそめながら食べる手を止めない
[main] 鮎川 瑞 : 「時間帯的に………もうそろそろ夜の部ですので」
[main] 三条 燕 : 「あーそうなんだ…っていうかそういえばそうよねもうこんな時間だし…」
[main] 鮎川 瑞 : 「お飲みになりますか」
[main] 鮎川 瑞 : 「それともお会計でしょうか」
[main] 三条 燕 : 「あたしは未成年だから…いやあいつも未成年の筈だけどッ!!!???アルコール効かないからって好き放題してッ!!!」
[main] 鮎川 瑞 : 「お知り合いですか」
[main] 三条 燕 : 「あーうん待ってた仕事仲間」
[main] 鮎川 瑞 : 「ああ」
[main] 鮎川 瑞 : 「バニーの。」
[main] Scharlachrot : バーボンの入ったグラスを一気に煽ると、「会計、こいつの分も含めて」と万札を出す
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました」
[main] 鮎川 瑞 : 「こちらお釣りとなります。ありがとうございました」
[main] 鮎川 瑞 : 折り目正しく一礼する。結局最後までにこりともしなかった。
[main] Scharlachrot : 「次の仕事だ、行くぞ」と燕ちゃんを顎で促す
[main] Scharlachrot : こちらもまた終始しかめっ面のままである
[main] 鮎川 瑞 : ジト目vsしかめっ面である。
[main] 鮎川 瑞 : 極めて身長差があるので見上げるようであり見下ろすようである。
[main] 三条 燕 : 「えぇ、またぁ!? っていうかさっき春日のズボン履いてたってことはFHとか出張ってるの!?」
[main] Scharlachrot : 「そういうことだ、行くぞ」
[main] 鮎川 瑞 : 「お客様」
[main] 鮎川 瑞 : 「デートがうまくいくようお祈りしております」
[main] 三条 燕 : 「あーはいはい…えっと、ごちそうさまでした」とちょっと慌ただしく
[main] 三条 燕 : 「んなわけあるかぁッ!!!!!!!!!」
[main] 鮎川 瑞 : 「ご気分を害された様子」
[main] 三条 燕 : と叫びながら外へと出て行きます
[main] 鮎川 瑞 : 「………死………」
[main] 鮎川 瑞 : ぼやきながらばたんと閉じた喫茶店のドアを見送る。きっと向かった先で大変な目にあうのだろう。そしてまたバニー姿になって辱められるのであろう。
[main] 鮎川 瑞 : 燕はまだ自分の身に待ち受ける運命を知らない───
[main] 楯無 燈子 : 「やれやれ…賑やかな店だね…」
[main] 鮎川 瑞 : 「申し訳ございません」
[main] 楯無 燈子 : 「いやいいよ…飯も美味かったしね…」
[main] 鮎川 瑞 : 「ありがとうございます」
[main] 鮎川 瑞 : 記されたことを忠実に実行するのは得意だ。喫茶店のメニューなんて誰が作ってもうまくいくようなレシピになっているのだからわけなかった。
[main] 鮎川 瑞 : それでも与えられた任務を遂行できたことを褒められるのは素直に嬉しい。表情には出さなかったが。
[main] 楯無 燈子 : 「さて…そろそろ私も行こうかね…これから弟子をボコボコにしに行かなきゃ…」
[main]
鮎川 瑞 :
「ボコボコに。」
[main] 楯無 燈子 : 「そう…ボコボコに…」
[main] 鮎川 瑞 : 「私もよくやります」
[main] 楯無 燈子 : 「いい趣味してるね…」
[main] 鮎川 瑞 : 「試射目標をボコボコに消失させて叱責されます」
[main] 楯無 燈子 : 「どんどん叱られるべきだよ…そっから成長するものさ弟子ってのは…」
[main] 鮎川 瑞 : 「……?」
[main] 楯無 燈子 : 「そんじゃ…御馳走様…美味しかったよ…」
[main] 鮎川 瑞 : 「失礼ながら何処かで教官を?」
[main] 楯無 燈子 : 「そんなもんじゃない…ただ弟子一人取ってるだけのただの何でも屋さ…」
[main] 鮎川 瑞 : 「左様でしたか」
[main] 鮎川 瑞 : 「ではお会計ですね」
[main] 楯無 燈子 : 「ん…」
[main] 鮎川 瑞 : 「全品ですので……こちらになります」
[main] 楯無 燈子 : 「うん…やっぱ割高だね喫茶店てのは…」
[main] 楯無 燈子 : 「そいじゃカードで…」
[main] 鮎川 瑞 : 「かしこまりました」
[main] 鮎川 瑞 : 「当店でよく働かされますがこれほどたくさん召し上がった方は初めてです」
[main] 鮎川 瑞 : 「ありがとうございました」
[main] 楯無 燈子 : 「こっちこそ…御馳走様…」
[main] 楯無 燈子 : 後ろ手を振りながら退店カランカラン
[main] 鮎川 瑞 : その後姿を見送る。とうとう再び店内に客はひとりもいなくなった。また閑古鳥に餌をやる時間がやってきた。
[main] 鮎川 瑞 : 結局最初から最後まで微笑みもしなかった店員───鮎川翠は誰にも聞こえないのをいいことにぼやく。
[main] 鮎川 瑞 : 「………いつ現場に戻してもらえるんだろう」
[main] 鮎川 瑞 : 燈子が残していった大量の洗い物に手を付け始めながら、懲罰労働の残り期間について思いを馳せるのだった。
[main] : Fin.