二次元裏@ふたば

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133747 B25/08/10(日)00:48:56No.1341603997+ 03:15頃消えます
目を開けると、少し古くさい壁紙で覆われた懐かしい天井が見える。今の自分には少し狭いベッドも、たまに帰るなら悪くない。
だが、胸の上にある重みは初めての体験であった。家では猫など飼っていなかったはずである。
「おはよ」
飼っていたのではなく、従いてきてしまったらしい。仰向けになった胸の上には、昨日と同じように微笑むシービーが、懐かしい我が家の景色の中で頬杖をついていた。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/08/10(日)00:49:22No.1341604150+
「家に猫なんていなかったんだけどなぁ」
「にゃん」
可愛らしくひと鳴きしては容赦なくのしかかってくる彼女が愛おしくて、胸の上に乗せた頭をくしゃくしゃと撫でた。
「ごはんなら母さんに言いなよ」
「迷惑じゃん。こんな朝早いのにさ」
「俺にはいっつも言ってくるくせに」
彼女を連れて実家に着いたのは昨日の夜だった。自分にとっては飽きるほど口にした味だが、彼女は我が家の食事がいたくお気に召したらしく、目をくりくりと輝かせながらおいしいと言う姿はすっかり母を虜にしてしまったのだった。
やはり血は争えない、ということだろうか。昨日だけであっさり一家総出で彼女のファンになってしまった我が家の他愛なさには、我ながら舌を巻く。
225/08/10(日)00:49:42No.1341604270+
「散歩行こうよ」
「ん…いいよ。どこ行く?」
早いよ、という文句は出なかった。彼女と一緒に懐かしい朝の空気を吸えるなら、少しばかり早起きしてもいいと思えた。
「きみのおすすめの場所がいいな」
彼女が行き先をこちらに委ねるという小さな大事件も、いっそう心を弾ませた。
彼女の笑顔はきっと思い出の景色によく似合うだろう。どこが一番彼女に似合うかなと、頭の中の写真入れを引き出して彼女にぴったりの景色を探した。
325/08/10(日)00:50:01No.1341604366+
夏の激しい日差しも、青々と茂る木の葉を通せば心地よく変わる。滝壺の近くまで行けば空気がはっきり冷えるのが感じられて、頬を抜けてゆく冷たい風が心地よかった。
彼女はもうすっかりここを自分の場所にしてしまったようで、歩いて熱った脚をうんと伸ばして清流に浸している。心地よさそうに足をばたつかせる度に、開いた足の指から水飛沫が舞う様がひどく爽やかだった。
「きみもやったら?気持ちいいよ」
「いや…うん、そうだな。
あー、沁みるな」
脚を濡らして拭くものはどうするのかと野暮な思考が一瞬頭を過ったが、今日は子供に戻ると決めたのだ。彼女に倣って膝下まで水に浸けると、川の流れと一緒に疲れも洗い流されてゆくような気がした。
425/08/10(日)00:50:28No.1341604545+
「よく来てたの?」
「昔な。俺が小学生の頃は今ほど暑くなかったんだけど、それでも山道を歩いてこの滝が出てきたときは感動したっけ」
今日の彼女は、やけに思い出話を聞きたがる。確かにここは田舎で自然も多いが、いつも旅をしている彼女のほうがよほど美しいものを見ているのではないだろうか。
「ちょっと下のほうで川魚を見たことはあるけど、結局一匹も捕れなかったな。
まあ、そんな面白いことはないよ。普通の子供時代だったさ」
けれど彼女は少しからかうように微笑んで、続きを催促するように肩を寄せた。
「いいんだよ。アタシは楽しいし。
それに、アタシの知らないきみがいるのがちょっと悔しいんだ」
彼女の足の指が、そっと水をかきわけて足の甲をなぞった。
「きみのことは、ぜんぶ知ってたい。昔のきみもぜんぶ、アタシのものにしちゃいたいんだ」
525/08/10(日)00:51:03No.1341604799+
木漏れ日にも負けない爽やかな笑顔で、こんなことをさらりと言ってのける。
「わがままかな。ふふ」
「いつもそうじゃん。
…シービーのせいだぞ。わがまま言われてうれしくなるなんて」
彼女を通すと、古びた思い出さえ輝いて見えるらしい。だからいつまでも、虜にされっ放しなのだ。
触れ合わせた脚を離すつもりになれなくて、お互いに何を言うでもなく指先でそっと触れ合っていた。
この脚が青い水の中で戯れる魚になってしまえばいいのにと、心から思っていた。
625/08/10(日)00:51:27No.1341604996+
歩き疲れて家でたっぷりと眠って、久しぶりに夕飯の支度を手伝う。
時間が経つのが早い。気づけば、澄んだ夜空に満天の星が灯っていた。
見慣れたはずの星空がこんなに綺麗だったのだなと実感できるなら、都会の空にも少し感謝すべきかもしれない。
こんなに綺麗な星の下なら、掘り起こした思い出もきらきらと光っていることだろう。
725/08/10(日)00:51:49No.1341605166+
「大きいね」
「うん。今なら小さく感じるかもなって思ったけど、やっぱり大きいな」
その大きな樫の木は、月明かりに優しく照らされて昔と同じように聳え立っていた。
自分は大きくなったが、木も大きくなったのかもしれない。この木には大きくいてほしかったから、思い出のままの姿でいてくれたことがひどく嬉しかった。
「ここはどんなところなの?」
木に凭れかかった彼女に近づくのが、少しだけ恥ずかしい。彼女を見ていると、子供だった自分が今も生きているのを実感するからだ。
「一番好きだった場所。
秘密の場所なんだ。誰にも教えてない」
きっとそれは彼女にもわかっている。だからその答えを、こんなにも笑って待っているのだろう。
「なんで?」

でも、いい。
しまい込んだままの思い出を、こんなにも愛してくれるのは、きっと彼女だけだから。
「…決めてたんだ。
いつか好きなひとができたら、そのひとにだけは教えてあげよう、って」
825/08/10(日)00:53:11No.1341605665+
彼女は少し驚いたように目を丸くしたけれど、やがてどこか満足そうにもう一度笑った。優しく穏やかな月の光に照らすと、その頬が少し赤く見えた。
「まあ、結局そんなひとは見つからないまま大人になっちゃったんだけどさ。
…今になって連れてきたいひとができるなんて、思ってなかった」
他愛もない、過ぎ去った記憶。話すのも恥ずかしくなるような、恋も知らない幼い日の思い出。
そんなものに目を輝かせて、ほしいと言ってくれるひとがいるなんて、あのときは思いもしなかった。
925/08/10(日)00:53:28No.1341605756+
彼女は何も言わなかった。ただ腕を広げて、その思い出に一緒に浸る瞬間をずっと待っていた。
「好きなひとができたらさ。
こんなふうにしたいって、思ってた?」
「…うん」
大切なひとができたら、その腕の中はどんな感触なんだろう。どんなに暖かくて、幸せな気持ちになるんだろう。
あのときは想うことしかできなかったけれど、今はそれがわかる。
ずっとここにいたい。でも、もっと感じていたい。
だから、こんなふうに唇を重ねたくなるんだ。
どんなにあなたのことが好きか、少しでも伝えたくて。
1025/08/10(日)00:53:46No.1341605861+
「ん…ん…」
幼いころに思い描いていたように、優しくそっと彼女の唇に触れる。いつもよりずっと短いキスだったけれど、心が温かいもので満たされてゆくのがわかった。
「…ありがとう。俺のこと好きって言ってくれて。
俺も、シービーのこと大好き」
飾りも衒いもない、ひどく簡単な愛の言葉。でも、今は何よりも素直に想いを伝えたかった。

大きな瞳に月の光を宿して、彼女はころころと笑っていた。
「ふふっ、ふふふふっ」
抱きしめた腕の中でくすぐったそうに転がられると、こちらまでつられて笑ってしまう。
「なんだよ」
そんな彼女が愛おしくて、どこにも行かないようにもっと強く腕の中に閉じ込めると、耳元でそっと優しい声が囁いた。
「きみの初恋、もらっちゃった」
1125/08/10(日)00:54:31No.1341606143+
君と出会うずっと前から、君のことが好きだった。
そんなことを言ったら、おかしいと笑うだろうか。
でも、もしも子供のころに戻れるのなら、手つかずのまましまい込んだ初恋も、ぜんぶ君にあげてしまいたい。
そのくらい、君が好きで仕方ない。
1225/08/10(日)00:55:19No.1341606412+
おわり
もうすぐ帰省シーズンなのでシービーと一緒に子供のころの思い出を振り返りたいだけの人生だった
1325/08/10(日)00:57:40No.1341607076+
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こういうゲームこそ男女の普通のカップル見て気ぶりてぇ
1425/08/10(日)00:58:38No.1341607320+
フリーダムキャッツ!
1525/08/10(日)01:00:46No.1341607905+
いつもと違ってCBが後ついてくるのいいよね
でもすぐに手引っ張られて寄り道することになる
1625/08/10(日)01:02:39No.1341608435+
シービーには麦わら帽が似合う
こっちおいでよって帽子振ってほしい
1725/08/10(日)01:08:14No.1341609951+
田舎のちっちゃな花火大会とか一緒に見に行きたいよね
「好き」って言う瞬間に花火が上がって聞こえなかったよって笑われるベタなシチュしたいしもっと大きな声で言ったらくすくす笑われて「ずっと聞こえてたよ」ってからかわれたい
1825/08/10(日)01:11:22No.1341610849+
片思いの相手の話したらわざとらしくぷくっと頬膨らませるCB
1925/08/10(日)01:14:32No.1341611767+
バレンタインのときに昔の恋の話聞きたがったり意外と俗っぽいところがある
2025/08/10(日)01:16:23No.1341612238+
シビトレも朝乗っかってきたときに重いよってわざと言って意地悪したりするときもあるとよい
2125/08/10(日)01:18:13No.1341612710+
耳の先で顔くすぐられて起こされたい
2225/08/10(日)01:20:51No.1341613363+
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男性トレーナー前提怪文書助かる
2325/08/10(日)01:22:55No.1341613824+
本当に子供のころにCBに会ってたら人生狂わされそう
2425/08/10(日)01:30:53No.1341615694+
小学校のアルバム覗き見キャッツ!
2525/08/10(日)01:31:32No.1341615851+
相変わらず大作を書きよるな...ありがたい
2625/08/10(日)01:34:28No.1341616666+
一回で終われるわけなくて結局帰り道に大人のキスもしちゃうんだよね
「来年もしようね」っていつもしない約束しちゃうCB
2725/08/10(日)01:37:39No.1341617374+
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>弱者男性前提怪文書助かる
2825/08/10(日)01:41:28No.1341618236+
子供のころにしたかったことぜんぶシービーとしちゃうんだ…
2925/08/10(日)01:42:19No.1341618438+
2人がいない間に家ではCBの両親と通話とかしてそう
3025/08/10(日)01:43:35No.1341618708+
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こういうスレは荒らされないんだな
3125/08/10(日)01:44:21No.1341618859+
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こういうスレでは自演認定しないんだな
3225/08/10(日)01:45:24No.1341619047+
>2人がいない間に家ではCBの両親と通話とかしてそう
お互いにお互いの家の子供のことベタ褒めになる


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