ほいざ、ほいざ、ほーいざほいっ。
そぷてむ、たらむ、ぷらちなむ。
おそばにおうどん、まーぜまぜ。ゴーヤにアボカド、ちゃんぷるー。
猫にゃー、犬わん、豚ぶーぶー。羊はめーめー、牛もーもー。
あれはなんじゃ？　あれはネイチャだ。ネイチャはなんじゃ？
ネイチャはイクノだ。イクノはなんじゃ？　イクノはターボだ。なるほどのう。
タンホイザが万華鏡のように現れては消え、いくつもの分身を作り、空間を埋め尽くした。
唐突に悟った。宇宙とは、つまり"空"である。

タンホイザ汁を作る。
「ひゃ～、汗でびちょびちょ。ぐっちょり、濡れ濡れ……」
「Tシャツ、こっちで洗濯しておくから、そこに脱いでおいてくれ」
タンホイザのTシャツを、洗面器の上で絞る。おびただしいほどの汗が、浅い水たまりを作る。
グラスに汗を移したら、三温糖を溶かし入れて、ライムを絞る。
そこに炭酸水を注いで、クラッシュアイスと潰したミントで軽くステアする。
うだるような暑い夏に、これ以上うってつけな飲み物はない。
ぼん、ぼん、ぼーん。強い拒否反応が起こり、目玉が飛び出そうになる。
しばらく我慢していると、感覚が鈍麻していき、すべてのものが二重写しになった。

そのとき
イデが発動した

ほいざ、ほいざ、ほーいざほいっ。
そぷてむ、たらむ、ぷらちなむ。
ぎゃーてーぎゃーてーはーらーぎゃーてーむむんがむんむん、こっぽっぽい。
なんだかむらむら、お鍋はぐらぐら、プールの水面はゆーらゆら。
あれはなんじゃ？　あれはターボだ。ターボはなんじゃ？
ターボはネイチャだ。なるほどのう。すべてのものは循環しているのであるなあ。
回転寿司のように無数のタンホイザがぐるぐると回りながら、黙示録について盛んに議論している。
唐突に悟った。諸行は無常であり、人生とはすなわち"水"である。

明らかに、タンホイザ汁には恐るべき副作用がある。
人類にはまだ、タンホイザワールドは早すぎる。
超越者、つまり真理に触れた者のみが存在を許される胎蔵界曼荼羅の世界観。
小型のタンホイザが四方八方から愛の言葉を囁いてくる、一切快楽の至上の境地。
タンホイザが言う「普通のウマ娘」とは、無限の肯定を繰り返す永久機関のようなものだ。
はやく、この輪廻から抜け出さなければ。
体がタンホイザに侵食され、自己同一性を失ってしまう。

「わぎゃっ！」
併走時。激しいクラッシュが起こりタンホイザの体が地面に叩きつけられた。
「大丈夫か！？」
駆け寄ると、すぐに体を起こし恥ずかしそうに頭をかいた。
「やっちゃいました、てへ。なかなかうまくいきませんなあ～……」
その鼻からつーっと、一筋の血が流れ落ちた。顎の先まで伝っていき、ぽたりと零れる。
それを見て、ほとんど反射的に行動を起こしていた。
俺は試験管をタンホイザの顎の下に差し入れて、落ちていく鼻血を「採取」した。
「へ？　トレーナー？」
十分に溜まるまで待って、懐に入れた抗凝固剤とブレンドする。
これで家に持ち帰るまで固まってしまう心配はない。
「え、それを何に使うんですか……？」
わかっている、頭では。頭では、わかっている。
はやく、この輪廻から抜け出さなければ。

グラスに入れた血液に、トマトジュースを混ぜる。
半分まで注いだら、残りの半分はラガービールを入れ、一気にあおって杯を乾かす。
ぼん、ぼん、ぼーん。強い拒否反応が起こり、喉が焼け付くように熱くなる。
しばらく我慢していると、三体のタンホイザが現れて、なけなしの理性に襲い掛かった。
ほいざ、ほいざ、ほーいざほいっ。
ほいざ、ほいざ、ほーいざほいっ。
ほいざ、ほいざ、ほーいざほいっ。
逃げられない。

なんでそんなもん作ろうと思った…

ホラー…？

怪文書かと思って開いてみたらそこには怪文書があった

>ぼん、ぼん、ぼーん。強い拒否反応が起こり、消化器が爆発的に痙攣する。
>ぼん、ぼん、ぼーん。強い拒否反応が起こり、目玉が飛び出そうになる。
>ぼん、ぼん、ぼーん。強い拒否反応が起こり、喉が焼け付くように熱くなる。
毎回濃すぎる味付けで流し込んでるせいもあって拒否反応起こしてるの好き

なんだよタンボイザ汁って

ホワイトデーだから甘々タンホイザが見られると思ったらただただ狂気だった

原液摂取してるどころか原液で循環系作ってるホイザはどうなるんだよ