スレ内のあるコメントでひらめいた少話です

注意:拡大解釈、妄想

アビドスのある日の一幕




無事騒動を乗り越え日常を取り戻したアビドス
しかし生徒や先生が丸く収まってもその影響まではなかったことには出来ずそれなりに忙しい日々が続いている
しばらく停止していた砂祭りの準備や企画、ハイランダーとの話し合い、事件解決がもたらしたネフティスからの支援金額の使い道の調整などやることが増えている
一部は連邦生徒会の仲介や業務支援などでだいぶ緩和されているもののアビドスで開催する以上最終的にチェックするものや自分で作成する書類も少なくない
「あーもう!ハンコ押すの飽きた~」
委員長という立場もありハンコを押す置物に半分なりかけていたホシノが珍しく愚痴をこぼしながら書類が8割片付いた机に突っ伏してあごを当てながら部屋を見渡す
今部屋にいるのはホシノ、ユメ、ワカモ、ノノミ、セリカの5人
シロコはハイランダー生とともに線路の視察、アヤネはシャーレへ荷物の届けと先生の手伝いに行っている
「まったく先生はもっと大変でしょうに…飽きたで済むならまだ御の字では?」
煽り混じりに先生の名前を出して尻を叩こうするワカモは以前カイザーの情報を調べるやらハッキングに使っていたパソコン技能を全うに活かし書類を作成していく
「先生の仕事手伝いに行ったことはあってもいざ自分たちでやるのとはまた別だけどそもそもの量が違うものね」
セリカはシャーレでみた書類の山を思い出しながら自分たちの書類の分類していく
「うへ…それはそうなんだけどさぁ」
実際日によって違いは彼のやっていた量と比べれば全然マシでかわいいものである
だがそう簡単に割り切れるわけもなく
「はいこちら追加で~す」
「嘘…でしょ…」
ノノミに新しく追加され5割に戻った書類の束にハイライトを失うホシノ
「ホシノちゃん頑張って…!そうだ!ホットケーキ焼いてくるね!」
そんなホシノを励ますユメ…最初は彼女が書類のチェックとハンコを担当していたのだが…何があったかは彼女の名誉の為に秘匿しておく
雑用やマッサージ要員として頑張っていた彼女は退室し調理室の方へと走っていく
「よし休け」
「ユメ先輩が戻ってきたらですよ~」
机から逃げ出そうとするホシノを肩を掴んで座らせるノノミ
そんな様子にやれやれとなりながら画面に向き直るワカモにセリカが近づいてくる
「ごめんちょっとこの書類分かんないところがあるんだけどワカモ先ぱ……」
「あぁこれですかえっと…はい?」
予想外の言葉に言った方も言われた方も固まり一瞬だけ空気さえも硬直する
「んん~今なんて言おうとしたんですか?セリカ後輩?」
いつのまにかセリカの背後におもちゃを見つけたという笑顔のノノミが立っている
「えっと…その…あぁもう!ちょっと外行ってくる!」
そういい飛び出したセリカを逃さないとノノミも追いかけていく
「はぁ…先輩ですか」
画面に向き集中するが先ほどの言葉が頭で響き僅かだが手の動きが鈍る
アビドスでは聞き慣れた単語ではあるがいざ不意に自分に投げかけられたそれは悪いものではなく胸に温かい込み上げて
「ずいぶん嬉しそうじゃないワカモせあいたぁ!!何もデコピンしなくったって」
「サボってる方が悪いのでは?」
ニョキッと画面の横からニヤニヤ顔を出してきてホシノにキツネサインからのデコピンをお見舞いする
そんなワカモに頭を擦りながらホシノは改めて口を開く
「セリカちゃんもああ言ってるしいい加減さぁ」
「ただでさえ忙しいのにそんな余裕あります?」
何度目かわからない転校の誘いを慣れた様子で断るワカモ
「せめて制服くらいは」
「…前も言いましたけど…」
「でもさぁ…」

そんなお互い譲らないやり取りがユメが戻って来るまで続いたとか続かないとか