今日は楽しいクリスマス。
とはいえ、彼女がいる訳でもない人間にとっては単に町でイベント事をやっているだけの日である。

そんな日に、青年はいつものように布団の中で目を開けた。
そしていつものように布団から立ちあがろうとした時、いつもには無い物に気付く。

部屋のど真ん中に、人間が入れそうな程に大きな箱が置かれていた。


「………」
青年は眉を顰めながらその箱を開ける。

パカリ、と暗い箱の中に照明の光が差し込む。
箱の中、無数の瞳がギラリとその光を反射し、青年に目を合わせた。

「「「メリークリスマス、マスター！！」」」
その中に入っていたのは、一糸纏わぬ3体の人形だった。
手足は人体ならありえない形に折り畳まれ、重なり合い、意思ある目だけがギョロリと動く。

「………はぁ……」
ホラーの一場面のような光景を見ながらも、青年……マスターは何一つ動じる事なく箱を持ち上げてひっくり返す。

「きゃぁっ！」「ひゃんっ」「あっ！」
ガラガラガラガラと音を立て、箱から溢れた人形達が床に投げ捨てられる。
マスターは人形達を見下ろし、再度深いため息を吐く。
人形を見るその瞳は、明確に「なんのつもりだ」と問いかけていた。

「えーっとぉ…」
「今日はクリスマスですから…」
「僕たちの身体をプレゼント、です」
人形達…ミドラーシュ、ウェンディゴ、アプカローネは上目遣いでマスターにしなだれかかる。

思わず見惚れてしまいそうな、紅潮した美少女の顔。
スラリと冷たい、無機質な人形の手足。
柔らかそうで温かみのある、胴体の生肌。

そんな、常識や好悪の感覚がバグってしまいそうな不可思議な光景がマスターの目の前に広がる。
だが、それでも彼は一切動じる事なく、クイ、と指を動かした。


「えっ？」
ふわり、と人形達の身体が浮く。
人形達の身体の節々に、黒い影糸が伸びていた。

その糸の先にあるのは、マスターの指。
指の動きに合わせて糸が踊ると、それに連動して人形達の身体も動いて大の字に開かれた。

「………！」
動きを完全に封じられた人形達は、どこか期待するような眼差しでマスターを見つめる。

「さて……」
マスターが立ち上がり、強制的に差し出されている人形達の手足を掴むと、パキリ、パキリと音を立て、一つ一つ身体から外されていく。
あっという間に彼女達は、動く事はもちろん身体を隠す事すらできない達磨状態となっていく。


ぷるんと揺れるおっぱいも、細いお腹も、ぷにっとしたおマンコも、盛り上がったお尻も、全てが丸出し。
その状態でも、人形達は恥ずかしがるどころか身体をくねらせ、マスターに見せびらかそうとしている。
それを無感動に見ながら、マスターの指が動く。

「「「……おごォッ！？」」」
先程まで人形達の身体に付いていた腕が、子宮のある位置を狙い澄ましたかのように飛んできた。
自分自身の腕による腹パンに、人形達はまともに動かない身体で悶絶する。

「何勘違いしてるんだ？クリスマスとか関係なく、お前達の身体は俺の物だろうが」
「は……はいぃ……」
衝撃で吐き出された唾の跡が見えるミドラーシュの顎をクイ、と上げて凄む。

「なあミドラーシュ。お前の乳は良い形してるよな。それは何のためだ？」
「そ、それは…勿論、マスターのサンドバッグになって潰れた姿を楽しんでもらうためです！」
「ああ、正解だ」
その言葉と共に、人形の腕によるパンチがミドラーシュのお椀乳に勢いよく埋まる。

「んぎぃっ！」
悲鳴を上げるミドラーシュに構わず、人形の腕は何度も何度も容赦無くパンチを当て続ける。

ゴッ！ゴッ！ゴッ！
「お゛っ！ん゛っ！ぃ゛っ！」

パンチと同時に奏でられるミドラーシュの喘ぎ声をバックに、今度はウェンディゴへと向き直る。

「おいウェンディゴ。お前のデカケツは何のためにある？」
「……サンドバッグとして、マスターのストレスを発散して貰うため…」
「ああ、その通りだ」
どこか期待をこめた、じっとりとした視線に応えるように、ウェンディゴのむっちりとしたお尻に人形の平手打ちが飛ぶ。

「あんっ！！」
鞭のようにしなった腕が、バシィン！と大きな尻に赤い痕を残す。
もちろん、こちらも一発で終わる訳が無い。

バシィン！バシィィン！バシィン！！
「……っ！………！！んぐぅっ！！」
唇を噛み締めて耐えようとするウェンディゴだったが、すぐに限界が来て不細工な声を漏らしてしまう。
マスターはそれを尻目にアプカローネの方を見る。


「アプカローネ。お前の胸は何のための物だ？」
「はい……揺れる様でマスターに興奮してもらうために、僕の胸は大きく作られています」
「言うほどはねえだろ」
股間に鋭いキックが炸裂し、アプカローネの全身が揺れる。

「ごふぅっ！……んぐぅっ！！」
キックの余波により、ブルンっ、ブルンっ、と乳肉と尻肉が揺れる。
ただそれだけのために、骨すら折れるのではないかという威力のキックを何発も受けながら、アプカローネは端正な顔を歪ませる。


「あ゛ぁ゛んっっ！！」
「ひゃあぁんっっ！！！」
「んひぃぃっっ！！！」
三者三様の悲鳴のオーケストラが響く中。
ジョオオォォォ……………、という音が増えた。

繰り返された殴打で馬鹿になった股間から、オシッコが漏れる恥ずかしい音だ。
浮かされた身体から床へと、黄金水の水たまりが出来る。

「おいおい、せっかくのクリスマスに掃除をさせる気か？」
責める言葉と裏腹に、乗ってきた嗜虐心にマスターの瞳は昏く輝いていた。

「ごめんなさい、マスター……」
「私達は、悪い人形です…」
「僕たちに、お仕置きをお願いします……」
人形達も、言葉に反して申し訳なさそうな顔はしていない。
彼女たちがしているのは、自分に降りかかってくる愛を待ち望む、いやらしい顔だ。

クリスマスは、まだ始まったばかりだった。