二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1734787878874.jpg-(252837 B)
252837 B24/12/21(土)22:31:18No.1264915665そうだねx2 23:51頃消えます
デジモンテイマーの怪文書書きました
うちの子がよその子にクリスマスプレゼント渡すだけ
fu4404448.txt
うちのこ 399シュヴァルツ
fu4404450.jpg
よその子 393黒沢葵(オブシディアナ・アルケア)
fu4404459.jpg
アルケアちゃん公式ごめんなさい!
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/12/21(土)22:32:49No.1264916289+
ここにいると、一人で世界に放り出された気分になる。
日暮れの橙と夜の青が接した緑色が西に沈んでいき、曇り空が星と月をまばらに隠している。
押し込められた空気はひんやりと冷たく、ダウンジャケット越しに突き刺さって芯まで熱を抜かれそうになる。
別に、初めてじゃない。向こうにだって極寒の環境ぐらいはある、けれど。ここでは寒気一つにも、言葉にできない実感があった。
気温という数値の変化ではなく、現に凍えた空気に冷える感覚が―――
「ごめん、待った?」
……あてもなく空に移していた意識を引き戻す。
224/12/21(土)22:33:04No.1264916379+
「いや、今着いたとこだよ」
時計の時間で数分。予定よりは幾分早いけど、そこまで待つことにならなかった。踵を返した少年の足元に、作りかけの雪だるまが置き去られる。
視界の中の少女は、いつもとは違う明色のコートとマフラー。やはり今夜は冷え込むようだ。
「時間空いたけど、葵はご飯食べた?」
「ううん、まだ」
「じゃ、何か食べてから行こう…今どこか空いてるかな?」
虚空に耽っていたら、肝心なことを忘れてしまう。
今夜はクリスマスイブ。リアルワールドの街の一つも人工の光で賑やかになっていることに。
324/12/21(土)22:33:19No.1264916487+
情報の扱いが大変不便だ。シュヴァルツから見たリアルワールドの第一印象はそれであった。
必要な情報処理は小さな画面の端末一つが窓口となり、眼球は一つ一つのUIを重ねて確認処理しなければならない。広告など被せられた日には怒りを抑えられなくなる。
デジタルワールドなら折り紙を折るように簡単なこともここでは文字数字の羅列と格闘しなければ同じ結果を得られない。電子が基底に無い世界とはそういうものだ。
ただ、流石に何度か出入りするようになってからはその不便にも慣れた。今はこうして埋まる予約と席の間のタイミングを縫って自分たちの予約をねじ込むことは造作もない。
ピザ屋のテーブル席を手に入れた二人は、足早にピザと暖房を求めて店内に駆け込んでいった。
424/12/21(土)22:33:40No.1264916656+
「どこもすごーい混んでるね。こっちだといつもこんな感じ?」
「うん、去年もああしてイルミネーションが飾られてて。向こうの本屋さんへ新刊を……今年は電子で買おうかな」
お互い脱いだ上着を脇に置いて、葵は視線を窓の外へと向けた。ビル街を縫うように電飾が空を渡って、光の粒がクリスマスツリーとサンタクロースを象っている。
サンタ追跡作戦なる謎の騒ぎと先日まで争っていたシュヴァルツは、やっぱりサンタを追いかける文化は一般的じゃないんだ。と電飾の赤を見つめていた。クリスマスなのに働き者はいるものである。
視線を手元のメニュー表に戻す。色とりどりの具材を乗せた丸の中から、それぞれ半分ずつを葵と注文した。
「それで、買うものは決まってるの?」
席に置かれたピザの内、揚げナスとミートソースの乗ったピザを頬張りながらシュヴァルツは尋ねた。
元々リアルワールドを訪れたのはただ遊びに来ただけ。だが葵が晩から用事があるとして、それの付き添いを買って出た次第である。有事に備えて連絡手段はあるが、原則アスタモン達はお留守番だ。
524/12/21(土)22:34:00No.1264916810+
「うん、毎年同じのを買ってるから」
照りマヨを切り分けながら葵が答える。元々、この街は彼女が生まれ育った場所だ。今年の夏までの間、葵はこの何の変哲もない平和を暮らし、けれども退屈を感じていた。
まさか、ノベルのような体験ができるという誘いから今のような経緯を辿ることなど考えもしなかった。その何も知らない少女だった冬が、まだ去年の出来事なのだ。
小さい頃は家族に連れられて食べたピザの凡庸な味も、今の彼女には少し懐かしく思えてくる。向こうの世界は、それほどに情報の体験に溢れていて―――
624/12/21(土)22:34:14No.1264916926+
「それで、さ」
「―――えっ!?あっ、何?」
チキンとマヨネーズの風味に感覚が横に流れて、引き戻される。何かシュヴァルツが話をしていたのを聞き逃した、か?葵の目が大きく広がって、記憶の穴を探ろうとしたが。
「いや、その……美味しい、ね?」
「あ、うん」
美味しい、は確かに葵もそう思う。こと、シュヴァルツにとってはリアルワールドの食事というだけで物珍しいのだから。ただ、その所作は少しギクシャクしているように見られた。
周囲の席の、クリスマスを祝う盛り上がりが耳に入る。些か騒々しいけれど、シュヴァルツにはああいう方が楽しかった、のだろうか?
724/12/21(土)22:34:27No.1264917010+
若干の気まずさが胸に流れる。デジタルワールドのアルケアとしての顔は思い切った行動ができるが、それは彼女が好む創作の模倣によるものだ。
現実の世界では致命的なほどに浮く。流石に中学2年生でもその自覚はあったので、世間の中の黒沢葵は極普通の内向的な少女でしかなかった。
何か話題のとっかかりを探そうとして、果たせず、黙々と食事を終えて店を出ることになってしまった。
824/12/21(土)22:34:46No.1264917121+
街の大通りの店で、注文していた品を受け取った。
この時期巨大なツリーが建てられるのが通例だ。今回も屹立して―――はいるのだが、その様相は普段と違うように見えた。
「アレは……」
「噂にあったデジモンだねぇ、周りには見えてないみたいだけど……あとプレゼント」
周囲から、今年のツリーはなんかデカいし白いな、という声が散見される。けれども二人の目に映るのは、巨大な赤と白のデジモンの姿と、上空を舞うプレゼントボックスの幻影だった。
これで敵性のデジモンだったらサンタ騒ぎ延長戦がクリスマス当日まで続く羽目になっていたが、幸いにも無害?な中立のデジモンだった。
世界を渡るというクリスマスプレゼントの処理も、今のところは各自の自己判断で処理という形で落ち着いている。現状、アレは悪目立ちするクリスマスツリーに過ぎない。
924/12/21(土)22:35:07No.1264917270+
「ホントはちゃんとしたツリー見たかったんだけどね……」
先日の騒ぎが脳裏をよぎり、若干の疲労感がシュヴァルツの顔に滲んだ。
「ちゃんとした、って言っても、私の街のツリーもそんなに特別じゃないよ?大きな木……の模造を立てて、電飾飾ったりしてるだけで」
子供の頃は一日でモミの樹が育つのだと信じていたが、生まれる前に樹の管理が難しくなって造り物に替えられたことは流石に知っている。
それを含めても、飾りが特別派手というわけでもなく、葵の記憶の中にはさして印象に残るものではなかった。
1024/12/21(土)22:36:07No.1264917714+
続きはtxtで
改めてアルケア公式にはごめんなさい
1124/12/21(土)22:56:58No.1264925652+
気振りてぇ…
1224/12/21(土)22:57:59No.1264926025+
ちゃんと地道に距離を詰めてて偉いよ…
1324/12/21(土)22:59:49No.1264926711そうだねx1
クゥ〜これこれ!
1424/12/21(土)23:06:46No.1264929561+
キテル…
1524/12/21(土)23:39:37No.1264941500+
公式です
いつも仲良くしてくれてありがたい…楽しみにしてます
1624/12/21(土)23:40:43No.1264941830そうだねx1
ええで…


fu4404459.jpg fu4404448.txt fu4404450.jpg 1734787878874.jpg