二次元裏@ふたば

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223253 B24/12/19(木)23:14:32No.1264304937そうだねx4 00:39頃消えます
イモゲンチャー埋蔵金は特に関係ない埋蔵金イベントでの話書きました
うちの
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お借りした方々
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本文とおまけの話
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/12/19(木)23:15:04No.1264305113+
ゴールドラッシュ、金脈を掘り当て一攫千金を狙う者達の熱狂が生み出す大きな流れ。
ネオデスジェネラルとやらが撒いた埋蔵金の情報は現代の日本とデジタルワールドの両方でそれを巻き起こした。
人もデジモンも我先にと埋蔵金が眠るとされる山に分け入っていく。
そうして多くが集まれば必然衣食住が必要になり、それを提供する事で儲けようとする者も現れる。
日本側で埋蔵金が眠るとされる山は既に採掘者を狙った多くの店が立ち並び、ゴールドラッシュの舞台に相応しい賑わいを見せていた。

あちこちからつるはしだドリルだ麦茶だを売る声が響く。
いきなり出来た採掘現場に相応しいような気もするし、誰も彼もわけのわからないまま降って湧いた舞台でそれっぽい事をしているだけな気もする。
224/12/19(木)23:15:28No.1264305262+
そんなおかしな繁華街を二人と3匹で歩く。
知り合いからの預かり物…ベタモンのエースケくんは背が低く歩幅も狭く暑さも苦手なようなので日傘を差した俺が抱える。
両手が塞がるせいで連れの手を引いてやれないのは残念だけど、フレイモンは見慣れない風景にきょろきょろと視線をやりながらもしっかりと俺のパーカーの裾を握って着いてくる。
ここで出会った新しい連れ…灰(グレイ)は見えない敵から身を守るようにコートを固く握り締め、俯きがちに歩を進め。
そのパートナーのコドクグモンの方は忙しなく灰の前に横に回りなんとか顔を上げさせようと話しかけ続けている。
内容は要約すると周囲に怯えるな食事に誘われたんだから素直に喜べ卑屈になるな、といったところ。
引っ込み思案な男子と友達を作らせようと世話を焼くデジモン、そんな第一印象は間違いではなかったけれど、もっと根の深い暗いものを灰は抱えているらしい。

事情を察しはするけど探る趣味はない、初対面でそんな事される不快感は知ってる。
324/12/19(木)23:16:01No.1264305449+
俺はゴールドラッシュの現場って中々お目にかかれないものを冷やかしに来ただけ、灰は何か別の目的かパートナーに押されて友達探しに来ただけ。
そして出会って一緒にご飯を食べに行く、今のところはそんなありふれた話でいい。
そんな事を考えている内に目的の店が見えてきた。

以前数日ご飯を作ってもらった悪役令嬢様の冷やし鯛茶漬けのお店。
客のデジモンや店員のギュウキモン達が動きやすいようにするのもあってか敷地の広い和風のオープンカフェ。
大柄なギュウキモンより更に背の高い番傘がいくつも立ち、その下にテーブルが並んでいる。
一部は藤棚だし妖怪にしか見えない店員達も合わさって知らない世界に迷い込んだ気分になる。

「あ…あの…やっぱり俺こういう所似合わないから…変だと思われるやっぱり…」
「それ言い出したらこの店も俺も正直周りから浮いてて変だよ?変同士でちょうどいいくらいだ、行こ」
「そーだそーだここまで来て逃げようって方が相手に悪いぜ行け行け」
424/12/19(木)23:16:25No.1264305598+
周囲のノリも景観もお構い無しに展開している気合の入りすぎた和の空間。
真っ白な花が咲いてる青い日傘をさしたパーカーに短パンの男の子。
そんな店と俺を差し置いて変だの目立つだのを逃げる理由にはさせない。
コドクグモンに足を押されながら灰がついてくるのを確認して店に入る。

「いらっしゃいませでギュウキ」
「……5人いるんですけど席ありますか?」
「空いております5名様御案内でギュウキ」

語尾ギュウキなの?ギュウキモンだから?思わず口に出しかけた疑問を飲み込んで案内された席に向かう。
他のギュウキモンも接客しながらギュウキギュウキ言ってる、これ以上考えるのはやめよう。

「なんちゅーか雰囲気ある店だな…値段大丈夫か?」
「んー、値段は大丈夫だと思う、道楽でやってる店だろうし子供だけでも平気なはず…」
524/12/19(木)23:16:53No.1264305770+
即席の店とは思えない統一された品格漂う和風の装いに尻込みするコドクグモンにはそう言いつつ、今更になって心配になってきた。
流石に高い店に小学生誘うような真似はしないと思いたいけどあの令嬢の思考は謎に満ちている。
不安を抱えつつメニューを広げてみれば良心的というか俺がなんとか払える範囲。
エースケくんを預かってる分いつもより出費が嵩みそうだから多めに持ってきておいて良かった…。
灰の方も問題はないらしい、とりあえず人数分の冷やし鯛茶漬けとあら汁のセットと…俺は柴漬けも貰おう。

注文した分と一緒に座布団がやって来た、座ると案の定テーブルから顔の出ないエースケくんやコドクグモン用との事。
箸が苦手だったりそもそも握れないデジモンに合わせてだろう、匙はスプーンやフォークも選べたり配慮のある店。
俺は柴漬けあるし箸でいいとして、まだ箸に慣れないフレイモンはスプーンとそもそも握れないエースケくんには俺が食べさせるようのスプーンと。
それじゃいただきます。
624/12/19(木)23:17:12No.1264305879+
「んじゃエースケのパートナーは別にいるのか」
「そうだよー、アローは秘密のヒーローしててね、ボクは進化前で経験不足?だから連れてってもらえなくてアツムのところに来たの、あっでもアローがヒーローなのは機密事項だから言っちゃいけないんだよ」
「おうそうか頑張って聞かなかった事にするわ」

合わせてくれてありがとうねコドクグモン、アロー…エースケくんのテイマーでうちの近所に住む立花愛狼の秘密は大体察してるから俺はいいんだけど。

「凄いね…熱夢って…友達にヒーローいるし」
「うんまぁヒーローではあるなあれは、デジモンの力借りてるはずだけど」
「あー、話しちゃ駄目なんだよな機密事項なんだから」
「そだなーエースケ、鯛食べよう」

ありがとうフレイモン、エースケくんに食べさせるのお願い。
さて俺はテーブルの向かいの灰のスプーンがいまいち進んでいない理由を聞かなくてはいけない。
口に合わなかったというなら申し訳ないしそうでなくても何か言いたげな顔をしている。
柔らかく聴こえるよう心がけつつ味の感想を聞いてみる、灰は少し目を泳がせてから美味しいと言って俯きながら話し始める。
724/12/19(木)23:17:36No.1264306003+
「せっかく誘ってくれたのにごめん…、俺…熱夢みたいにちゃんと食えなくて…こんなのと一緒で恥ずかしいよな」

成程そっちか、確かに灰の食べ方はお世辞にも綺麗とは言えない、汁もご飯粒もテーブルにこぼれていてスプーンの持ち方も赤ちゃんがする持ち方だ。
前に周りと違うそれを指摘されて恥ずかしい思いをしたのに直し方も分からず、余計に辛さが募るって所か。
…近い経験は正直ある、だから気にするなとは言えないし言いたくない、優しい言葉だけ与えて問題を放置するなんて真似は。

「別に恥ずかしかないけどさ、周りの目が気になるとかとやかく言われるのが嫌っていうならそれ防ぐ手伝いくらいはするよ?」
「防ぐ…?」

善意でも悪意でも、自分達の普通と違うものをつつくのが好きな人達の言葉を防ぐ為の。
ありふれた普通の人なんて形に自分を寄せて溶け込む手伝い。
824/12/19(木)23:17:54No.1264306129+
「ちょっと皆と形違うだけで目立つって事は逆に形だけでも皆と同じなら目立たないわけでさ、その形の作り方覚えちゃえば良いんだよ手貸して」
「ん…」

スプーンをぎゅっと固く握りしめていた灰の手の形を一般的に正しいとされる形に整える。
灰は慣れない形で握るのが気持ち悪いのか顔を歪めているけど、解く事はせずにそのまま食べ始めた。

「俺…ちゃんと食べられてる?」
「うん」
「わりーな手間かけさせて、ついでに箸って奴の使い方も見てくれるとうれしんだけど」
「うんいいよ、今店員さん呼んで灰の分持ってきてもらおうか」

灰が止める前にコドクグモンの頼みを聞いて店員のギュウキモンを呼ぶ。
この店、ちょっと長くいることになりそう。
924/12/19(木)23:20:03No.1264306985+
埋蔵金で絡んだ時に公式が言ってた匙のエピソードを膨らませてみたけどこれで合ってたかなぁ!?お嬢様の店とかも解釈違いだったらごめんなさぁい!
1024/12/19(木)23:21:27No.1264307474そうだねx1
いい話だ…
なんかこう妙にショタの色気が滲み出てる気もするけど
1124/12/19(木)23:24:49No.1264308692+
しみじみとしていいねえ…
1224/12/19(木)23:44:16No.1264315741+
透明感のあるふれあいはいいものだね…
1324/12/19(木)23:58:59No.1264321041+
灰公式です、ありがとう
あってるので大丈夫だよ
1424/12/20(金)00:23:23No.1264329386+
>灰公式です、ありがとう
>あってるので大丈夫だよ
よかった…ありがとうございます
熱夢から灰くんへはうっすら察する境遇にシンパシー感じつつ「同情したくない哀れみたくない、普通の友達でいたいしその関係が持てる事を証明しなきゃいけない」って強がりも込みのなんか面倒な感情を抱いてます


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