勇太達がソドムの街を目指して数日、本来のルートを進んでいたはずが突然の濃い霧に阻まれ気付けば見知らぬ森にいた。
　奇妙な事に森にまでは案内するように出ていた霧も森に入ってからは晴れていた。
　森自体も奇妙であり、テレビ…それも勇太は過去の特撮作品でしかないブラウン管テレビが点在していた。
　電源コードは繋がっていないのに煌々と周囲を照らすように何かを映し出していた。
「母さん…父さん…日花…、それにここ良く行く神社だ…」
「ジジ様にババ様、ベアモン達も映ってるよ！」
　そこには勇太やヴォ―ボモン達に関係する思い出の場所が映し出されていた。
「…」
　勇太は光の方を静かに見た。
「ママ…パパ」
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「ゆうた…ひかり、ずっとテレビ観てるね…ごはんもたべないし」
「うん…でも、今はそっとしとこう。
　きっと色々思うとこもあるんだよきっと」
　結局森に迷い込んだ時には夕暮れであり下手に動くと危ないと考えた勇太達は森で一晩を明かすことにした。
　光はそれからというもの夕飯も食べず、光の両親が映るテレビをずっと眺めていた。
「でも前は、もう親なんてどうでもいいって言ってたよ」
「流石にヴォ―ボモン…口ではそう言ったってそんな割り切れないよきっと」
「ふ〜ん」
　勇太はそう言いつつ自身も従兄の事を考えていた。
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　勇太達が寝静まった深夜、デビドラモンは光がどこかへ行こうとする音で目が覚めた。
「ねぇ、ひかりどうしたの？おしっこでもひとりでいっちゃだめってみんなできめたでしょ？ひかり？」
「ママ…パパ」
　光の目は虚ろであり動きもふらふらとしている。
　それはまるで寝ているようであった。
　デビドラモンが止めようにも抑えても結局離したら動いてしまい、止め続けようにも無理矢理突破しようとして身体を傷つけてもおかまいなしに進んでいこうとする。
　仕方ないのでデビドラモンもただ慌てながら見守る事しかできなかった。
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「パパもうやめて高すぎだし恥ずかしいよ！」
「光こっち向いてほらほら」
　なんて事のない光景、テレビや漫画だとしても陳腐すぎる家族の光景、それでも私にとってはとても大事な…切り捨てた筈の光景。
　覚えてた筈なのに…もうどうでもいいと思ったのに…こうやってまた見ると…自分の中の何かが積み上げたと思った物が崩れて…いく。

「やめて！！やめてよ！！！ママ！！！助け…！！！」
　思い出される酒に溺れ暴力を振るうあの男。
　ママは…私があの男に襲われても何も反応しない。
　ただあの男に言われただけの事をする疲れ切った奴隷…人形。
　勇太達に出会って、切り離せない新しく世界を愛するためにその呪いとすら思った不幸も愛せると思った。
　でも…違うのだと改めて理解できた。
　この苦しみ、あの幸福…それを勇太達は知らない…知った顔なんてさせたくない。
　私とあいつらには、ぼっかりと空いた冷たく残酷な虚無がある。
　それなのに私の…あいつの何が分かったというんだ。
　所詮傷の舐め合いの道化芝居だった。
　新しい家族？新しい世界？ただ、孤独に耐えられなかっただけだ。
　この私の根幹に根差したのをあの愛された奴らが何を理解できるんだ。
　理解した顔なんてして欲しくない、できるわけないんだから分け合ってやれるかよ…一辺だってやれる訳ないでしょ！全部！全部！！私のものだ！！
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「脆いものだな…この程度で夢に囚われるとは…」
「…かり…ひかりとのつながりが…」
　数度の夢と悪夢との繰り返しに完全に光は意識が現実から乖離し夢に囚われていた。
　デビモンの腕で首を吊られ苦しみ自身が失禁した事にもデビドラモンとのデジヴァイスを通じた繋がりが完全に断たれていた。
「直にこの選ばれし子供の心を完全に手中に収められる…」
「勇太…気付いて…」
「無駄だ、向こうの選ばれし子供は我が友が抑えている」
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(身体が動かない…それになんだこれ…何を口に…？)
「ゆ…た」　
　暗闇の中で勇太はルクスモンに身体を抑え込まれていた。
「あぁ…可愛いよ勇太…本当に僕の勇太…」
　目を抑えられ慣れないというよりも経験のない感触が勇太の口を何度も覆いその都度濃い匂いと口に濡れる感触があった。
　それ以上に口から何かを自身に流し込まれるているのを感じた。
(身体が熱い…それに光やデビドラモンは？敵なのか…？とにかくこのままじゃ…)
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「…んじゃないわ…よ…」
「…ん？」
「舐めんじゃないわよ…！！」
　デビモンが光の方を見ると完全に意識を取り戻しデビモンを睨みつけていた。
「馬鹿な…」
「最悪な目の覚まし方よ…クソが…どんなに夢に逃げてもね…クソみたいな現実なのをパパは死んで…ママは壊れたって分かってんのよ！！」
　そのままデビモンを顔面に蹴りを入れ吊っている首の拘束から外れた光はギルモンを抱えデビモンの足元から逃げた。
「ギルモンあんた目覚めてる！？」
「ごめん…光身体がまだ」
「チッ」
「このガキが！！腕位捥いでおくべきだったか！」
　デビモンが光達に襲い掛かろうとした瞬間であった。
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「「！？」」
　光達とデビモン、勇太達とルクスモンの間に割り込む2組の人間とデジモンが現れた。
「慎平」「雪奈」「とサンドリモンに言われて来てみれば」
「よう後輩、オレは鉄塚 クロウそれに相棒のルドモンだよろしくな」
「よ…よろしくお願いします」
「味方…？」
「おう！このサンドリモンのネズ公に案内されてな！ほれ回復プラグイン」
　そういうとクロウの肩からサンドリモンが使役している鼠が顔を出した、どうにも案内をしてくれたらしい。
「あ…ありがとうございます…！」
「へへ…慎平から話聞いてるぜ」

「私は神田 颯乃。はじめまして。鬼塚 光ちゃんだね？」
「挨拶なんていいから敵見なさいよ！！」
「むっそうはいかん。挨拶は大事な礼節だ…ぬっ！？」
　隙を突こうとしたデビモンの攻撃をカラテンモンが弾き飛ばす。
「そうは言うが、相手は待っては…素敵な小さな嬢ちゃん後でお茶を…「いいから見ろって言ってんのよ！！」
「うむ、顔だけ見せるつもりが随分と間の良いタイミングだったようだな」
「ギルモンもういけるわよね」
「うん！」
「まぁいいわ。雪奈の知り合いって事は味方って事でいいのよね少し力貸しなさいよ」
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「チッせっかく勇太と触れ合えてたのに」
「もう少しで選ばれし子供をこの手に出来たものを」

「まぁじゃあ、少し別の遊びをしようか勇太」
「貴様はいらぬ。惨殺だ」

「「超進化」」
「ネオデビモン」「ホーリーエンジェモン」
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「はははっ！楽しいねぇ！勇太！！」
　勇太達はホーリーエンジェモンの攻撃をライジルドラモンで受け、ラヴォガリータモンで攻め立てる。
　一見防御力の高いライジルドラモンで攻撃を受け機動力の高いラヴォガリータモンで隙を見て攻撃を叩きこみ押している様に見えたがホーリーエンジェモン自体は遊ぶ様にギリギリで去なし続けていた。
「クソなんで…！」
「勇太…覚悟しろこいつは長期戦…下手したら逃げる余力を残しとかねえとな」
「え？」
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「気を付けな黒いレディー！こいつの爪、俺の刀でも下手に去なしたら叩き斬られちまうぜ！」
「なにか気色悪いからレディーってやめて！」
　ネオデビモンの猛攻に対してなんとか潜り抜けカラテンモンとレディーデビモンが攻撃を入れていくがその肌は傷が全く付かない。
「ええい！もっと太刀を真っ直ぐにするんだ！それに余計な力が入りすぎだ！完全体の力に任せすぎだ！もっと力じゃない！姿勢で流すように斬るんだ！」
　颯乃が後ろから指導と言うなの端から見れば野次と思える激を飛ばしている。
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「チッ！こうか！？」
　カラテンモンが空中を駆け旋回するようにネオデビモンに斬りかかる。
　刃が右手に喰い込み切断されるかと思ったがネオデビモンはそれより早く右手を振り抜き刀を弾き飛ばした。
　弾き飛ばされた刀は颯乃と光の傍の地面に突き刺さる。
「惜しい！もう一度だ！！！」
(部活みたいなノリね…)
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「ごちゃごちゃとうるさい」
　ネオデビモンが颯乃の後ろに回り込み爪を振り下ろそうとする。
「踏み込みが甘い」
　それを感じ取った颯乃は突き刺さった刀を振り上げネオデビモンの左手を一刀の内に両断した。
「馬鹿な！？」
「このようにするのだ！カラテンモン！文句を言う前にお前は修行不足だ！」
「どんまい」
「…」
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「チッ！一旦…「引かせると思ってる訳」
「逃がさないわよ」
　光が切り落とされた左手に触れる。
「レディーデビモンのもうひとつの技…相手との繋がりがあればできる」
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「なっやめろ！！！」
「ポワゾン！！！」
　相手との繋がりを利用し相手の持っているエネルギーを炸裂させた。
　血が花火の様に爆ぜネオデビモンを撃破したかと思えた。
　しかし、血の花火の中からネオデビモンが飛び出し逃げ出して行った。
「あっコラ！」
「逃げられたな…なんとも逃げ足の早い」

「光やった！大丈夫！」
　レディーデビモンがいつものように無邪気に抱きつこうとした瞬間であった。
「！…触るな！！！！」
「えっ」
　いきなりの事にレディーデビモンも颯乃達も面食らっていた。
「っとにかく…やめなさい」
「ご…ごめんなさい」
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「あぁ〜もう終わりか。ごめんね。勇太、友達がもう帰るってさぁ」
「はぁはぁ逃げ…むぐ」
　クロウが勇太の口を手で覆う。
「ふふ賢い選択だと思うよじゃあねまた遊ぼうね勇太」
「待て！俺に何したんだ！」
「そっか気になるよね〜僕と君の繋がりを作ったんだよ勇太」
　ホーリーエンジェモンが勇太目の前に瞬きする間に移動する。
「君の中にあるものを埋め込んたんだ。
　大事にしてよ…きっといつか君に必要になる。
　そこの黒蜥蜴じゃない…僕が必要になるその時の鍵さ」
「なっ！勇太のパートナーは僕だぞ！何言ってるんだ！」
「黙れ」　
　ホーリーエンジェモンはラヴォガリータモンを睨みつけ黙らせた。
「じゃあね勇太また会おうね」
　そう言い残すとホーリーエンジェモンはその場を去っていった。

「おい！待て俺の身体に…！」
　クロウが勇太の肩に手を置く、不安そうな顔の勇太ににかっと笑いかけた。
「ああいうタイプの言う事は気にすんな！お前の反応見たさに適当言うタイプだぜ？ああいうのは」
「そうですかね…」
「ああ！な！ヴォ―ボモン！」
「そうだよ！勇太には僕がいるんだからドーンと構えてなよ！」
「…そうだねありがとうヴォ―ボモン、クロウさん」
　やっと勇太の笑顔が見えた時、同時に朝日が差し込んで来た。
「おっと、早く颯乃とこ行こうぜ！鬼塚のとこスケット行ってるはずだ」
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「光！デビドラモン！」
「悪い！颯乃！手も足も出なかったぜ！」
　そこには颯乃とゴブリモン…しかいなかった。
「アレ…？あのはじめまして、颯乃さんですよね？光達は？」
「すまない…少し目を離した内にふたりは姿を消していた…私の責任だ」
「…何があったんだ颯乃？」
「置き手紙だ…君達宛てだ」
　颯乃は勇太に手紙を渡す。
「彼女の字か？」
「はい…確かに」
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『ここで別れる。
　私達を探さないで、もう傷の舐め合いなんてまっぴらよ。
　あんた達は他人なんだから、でも安心してソドムにいる、あの男だけは殺すから』
「そんな…なんで」
「あのデビモン…去り際に何か光ちゃんに言ってたわ。
　多分それが原因だと思うわ」
「俺らもサンドリモンからあのルクスモンとデビモンの動きがきな臭いって聞いてな。
　竜馬もすみれさんを通じて調査に当たってるんだ。
　どうも今回の騒動きな臭いみてえだな」

「…」
「ここでお前達を回収してすみれさん達と合流する手筈だったんだが…行くんだろ？」
「ええ」
「私も彼女の様子はただ事ではないような気がする私達ですみれさん達に言っておくから急いだ方がいいだろうな」
「すみません。碌にお礼も出来なくて…」
「良いって事よ！今度こそ俺とルドモンの力見せてやるぜ！　あと、こいつ連れてきなソドムの案内人に繋いでくれるってよ！」

　サンドリモンの使いの鼠が勇太の肩に乗る。
　こうして、勇太はクロウ達と別れ急ぎ光達を追いソドムを目指した。
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　勇太達が旅立つ少し前…
「いやぁ随分とボロボロだね」
　ひらひらと手を振りルクスモンがデビモンに笑いかける。
「まさか片手を持っていかれるとはな…」
「あれ？でも生えてるじゃん？生やしたの？蜥蜴みたいで気色悪いね〜」
「放っておけ…そっちの仕込みも終わったようだな」
「そっちもね」
「ああ…ソドムで今度こそあの選ばれし子供は闇に落ちるだろう…ふふふはっはっははは！」
「ふふっ」
　赤い月に照らされ不気味にデビモンとルクスモンの笑い声が森に木霊した。
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オワリ

読み終わった
デジモンの精神攻撃エグいのしがち問題

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かわいい

この二人が離ればなれなんて俺は辛い耐えられない

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しれっとすじを紛れさせやがって

ソドムって名前がもう縁起でもないからめちゃくちゃ心配でハラハラする

>ソドムって名前がもう縁起でもないからめちゃくちゃ心配でハラハラする
見ると塩の柱になるビーム！

勇太がどんどん勝手に改造されていく

光ちゃんは精神的にやばいし勇太は肉体的にやばい…

勇太のファーストキスホモに奪われちゃった…

うちの子をありがとう…うおっますます不穏が加速する！

光ちゃんのファーストキスもたぶん既に奪われてるからセーフ

颯乃ちゃんが強者すぎる…

お互い初めてよりも最後の人間になろうってなるなこれ…

>颯乃ちゃんが強者すぎる…
ううn…​オ​ワ​リ​