─皆様。 皆様御機嫌よう、毎度ありがとうございます、アスタ商会です。 さて、早速ですがコキュートスの女王の伝説を語らせて頂くのは、今回が最後となります。 えぇ、最後のページが近づいて参りました。 かつてオグドモンが最後に残した自身の復活の予言、そしてコキュートスに君臨するニンゲンの少女 果たしてそれらは現実となるのでしょうか。 どうか皆様、最後までお付き合いください。 それでは、最後の章を捲ると致しましょう。 ─ 「…これで7つ、全て点灯した」 私は手に持ったデジヴァイスにある、7つのランプ…七大魔王の紋章を模したそれを見つめる。 『傲慢』『嫉妬』『憤怒』『強欲』『暴食』『淫蕩』、そして弱いが確かに発光している『怠惰』。 『怠惰』、ベルフェモンの封印解除は結局最後となってしまった。 今まで紋章どころかベルフェモンすら眠ったまま一度も目を覚ましたことはなかったが、ついにその時が来たようだ。 他はともかく怠惰なんて一体どうしたら私が開放できるのか、その答えは意外な形で得られた。 鍵はイグドラシルだ、デジタルワールド中で調査を進めていくうち、イグドラシルはデジタルワールドにおける単なる信仰の対象たる神ではなく、デジタルワールドそのものを管理するシステムであることが解かった。 その時、ある考えが頭をよぎった。 …管理システムであるイグドラシルの権限を奪えば、デジタルワールドに存在する全てのデータに自由自在にアクセスできるようになるのでは? 何より、イグドラシルへの攻撃という目的はオグドモンと合致している。 などと考えていたら、デジヴァイスが強く発光している事に気がついた。 そうしてデジヴァイスを取り出して、今に至る。 腹立たしいが、どうやら情報の閲覧権限を持つものから権限を奪ってしまえばいいという思考が『怠惰』である、と認定されたらしい。 ─遂に、この時がやって来た。 コキュートスの奥底に封じられたオグドモンの声が、デジヴァイスを通じ発せられる。 「そう…だね、長かったような、短かったような」 ─短い、少なくとも私の想定していたより遥かに。 「そうなの?」 ─あぁ、お陰でロイヤルナイツ共の不意を突くには十分すぎるほどの時間がある。 「ならこのまま真っすぐ『至聖所』に向かうの?」 ─そうだ。 至聖所とは何か、それは私が今立っているWWW大陸からはるか洋上にある小さな島。 そこにはデジタルワールド唯一の、イグドラシルへのアクセスポイントがあるとオグドモンは言う。 連中はそのアクセスポイントを『至聖所』と呼んでいた、と。 はるか昔、太古のデジタルワールドでオグドモンはそこを目指し…そしてロイヤルナイツに敗北した。 ─以前はわざわざコキュートスからダークエリアを通過したせいで連中に完全な防御を固める時間を与えた、だが… ─今は違う、『門』はお前が持っている、であればダークエリアの経由など不要、私はデジタルワールドへと直接出ることができる。 「それで、直進して最短経路で至聖所まで行く…かな」 ─あぁそうだ、デジヴァイスを構えろ小娘、今なら『門』そのものを呼び出せる。 「こう?」 言われた通り、デジヴァイスを前方へと突き出す。 瞬間、デジヴァイスから強い光が発せられた…と思ったら暫くすると光は収まった。 「消えちゃったけど、これでどうなる…」 次に強い揺れが地面から発せられる 「地震?」 ─違う、『門』を呼び出したのだから、出てくるために地面が割れているだけだ。 揺れが激しくなるとともに地面にひびが走り、広い範囲に地割れが広がっていく。 ─これがコキュートスの奥底とを繋ぐ直通通路だ。 やがてその巨大な地割れから、ゆっくりと『門』がせり上がってくる。 「…随分大きいね」 都心の高層ビル程もある高さの、巨大な『門』、そこにはデジヴァイスと同じく、七大魔王の紋章が刻まれている。 これが『大罪の門』か。 ─今から扉を開く、そうしたら七大魔王達全員を呼び出せ。 「うん」 ゆっくりと、軋む音を立て門の扉が開いてゆく。 その扉の中は紫色の霧のようなもので覆われていて、向こう側の景色は見えない。 残念だがここからコキュートスを見ることは出来ないらしい。 「さて、と」 「ルーチェモン、リヴァイアモン、デーモン、バルバモン、ベルゼブモン、リリスモン…」 「…」 七大魔王の内6人を呼び出し、最後にベルフェモンを呼び出そうという所でふとした考えがよぎる。 このまま七大魔王達全員を覚醒させてオグドモンの封印を解除する、そこまではいい。 だが このままイグドラシルに攻撃を仕掛け、それを踏み台にしてカーネルを掌握、オグドモンをデジタルワールドのシステムそのものへと進化させる… 本当にそれでいいのだろうか? ─何をしている小娘、呆けていないで早くベルフェモンを呼び戻せ。 「うん…ちょっとね」 コキュートスに存在しない全て、それらが欲しいと彼は…オグドモンは私に語った。 それは本当にデジタルワールドの権限を掌握しないと不可能なことだろうか。 私の目的だって別に性急に達成すべきものではない、まだまだ時間は残されているのだから、ゆっくりとデジタルワールド中を調査すればいい。 何より、この扉の向こう…コキュートスがどうなっているのか気になって仕方がない。 だったら 「ねぇオグドモン」 ─何だ、いい加減にベルフェモンを連れてこい。 「私の推論だと君の能力は何かを象ったもの、つまりは『化身』を操る力だと思ってるんだけど、合ってるかな」 ─何だというのだ藪から棒に、確かにその通りだ。 「なにか」とそれを象って作られたもの、「化身」あるいは「偶像」を作り出す力と、その2つを「同一のものである」と見なす力。 正しく「化身型」と呼ぶべき力。 それがオグドモンの能力の正体だ、というのが私の推論。 オグドモンは私の推論を肯定し、言葉を続ける。 ─本来であれば私の封印は綻びすら存在しない強固なものだ、が、あの紙束と紋章を持つお前が表れたことで話は変わった。 紙束とは、私がデジタルワールドに訪れてすぐの頃に拾ったカードゲームのデッキのことだろう。 「あのデッキにはオグドモンと皆が描かれたカードが入ってた、これを自分と七大魔王達を象ったものであるとした訳だね」 ─そうだ、そしてこの門をデジヴァイスであるとし、私自身をお前のパートナーデジモンであると見なす。 「私という紋章に選ばれし子供と、そのパートナーのデジモンという存在、この図式を利用したんだね」 ─あぁ、これによってロイヤルナイツ共に掛けられた封印に楔を穿つことに成功した。 その後のことは言うまでもない、私とオグドモンはデジタルワールドの各地を巡り、その道程で七大魔王達の封印を解く…いや違う。 私とオグドモンを繋ぐものが彼自身の能力によるものなら、七大魔王達は何処から来たのか。 「そうなると、今いる七大魔王の皆は七大魔王本人達ではない…ってことかな」 ─その通りだ、本来私の脚に突き刺さる7本の剣は、連中が剣へと姿を変えた物だ。 ─が、以前の戦いで剣は全て砕かれ、七大魔王達はデリートされた、今いるその連中は私の力で生み出した「化身」だ。 ─言うまでもないが、化身では本来の七大魔王には遠く及ばん。 「私は彼らの封印を解いていたわけではなく、本来の七大魔王と同レベルの力を発揮させる為に旅をしていた…ってことだね」 ─そうだ、お前が七大魔王の力を開放する度に、各々が司る罪の力がデジタルワールド全域から流れ込む、そして私が力を取り戻し忌々しい封印を砕くのにはそれらが7つ必要だった…。 成る程、大筋は私の予想通りらしい。 ─それで…一体それがどうだと言うのだ、理解したなら早くベルフェモンを呼び出して私の封印を解け。 「それなんだけどね」 私は先程から光が弱まって、今は消えかける寸前の『怠惰』のランプを指先で撫でる。 「君の封印を解くのにベルフェモンは必要ないかもしれないよ?」 ─……一体何を言っている。 「まず、封印を解除するには7つの罪の力が必要、そのうち6つは既に揃っているから残り1つがあればいい」 ─だからこそベルフェモンを… 私は彼の言葉を遮って続ける。 「そこだよ、残り1つって本当に『怠惰』の力でないと駄目なのかな?」 ベルフェモンには悪いが、やっぱり私からはどうやっても『怠惰』は引き出せない。 彼にはこのまま綴の側で甘い眠りを続けてもらうしか無い。 ─ベルフェモン無しでどうやって封印を解くつもりだ。 「うん、そこで君の『化身』を司る力を使う」 私は親指を突き立て、私自身に向ける。 「君の力を使って、私を7つ目の罪と見なし『怠惰』抜きで封印を砕く」 ─。 デジヴァイスに映るオグドモンの動きが固まる。 絶句した、と言った所か 「『怠惰』以外の全ての力と、それを開放するに値する6つの罪に認められた私、これで計7つ、十分だと思うけどな」 ─何を言い出すかと思えば、仮にそれで私の封印を解いたとしても、そんな不完全な状態ではロイヤルナイツ共に太刀打ちできん。 「それもなんだけど、君の目的って本当にカーネルを掌握しないと叶えられない物なのかな」 ─今更何を言っている。 「君の望みはコキュートスに無いもの、罪以外の全てのものを手に入れること、それなら」 望むものがあると言うなら、もっと別なやり方があるだろう。 「無いのならば作り出せばいい、君が望むもの全てをコキュートスに作り出してしまえばいいんだ」 ─。 再びオグドモンの動きが凍り付く。 ─何を馬鹿なことを、本気でそんなことが可能だと思っているのか。 私は彼の言葉に即座に頷いて見せる。 「勿論」 ─デジタルワールド全ての存在が最後に流れ着く最果て、データの掃き溜め、地獄の最奥、そんな地に罪以外の何を作り出すというのだ。 「さっきも言ったけど、望むもの全てをだよ」 ─今一度言うが、本気で可能だと思うのか。 私はこれまでのデジタルワールドでの旅路を振り返ってみる、各地に刻まれた過去の戦い、そこに刻まれた歴史をだ。 「私達はデジタルワールド中を旅して過去の戦いの跡を見てきた、そこにはデジモンと人間が力を合わせることで圧倒的な力を発揮したと言う事実が共通して刻まれていたよね?」 ─…そうだな。 「前は…君が封印される前は出来なかったかもしれないけれど、もう君は1人ではない、私と2人だったらいくらでも可能だと思わない?」 ─…… 少し長めの沈黙、その後に彼は再び口を開く。 ─仮に、もし仮に可能だったとして一体お前はどうやってこの地に、コキュートスに来るつもりだ、此処は… 「面白いこと言うね、コキュートスへの道は目の前にあると言うのに」 私は言葉の途中から、目の前にそびえ立つ巨大な『門』に向かって歩き出す。 ─馬鹿な真似は止せ、コキュートスはニンゲンが生存できるような環境ではないのだぞ。 オグドモンは私を止めようとするが、もう決めた。 「そうなんだ、まずはそこを改善しないとだね」 ─お前たち、小娘を止めろ。 「皆、行こうか」 私とオグドモンから発せられる矛盾した2つの指示、それに七大魔王達は… 「…」 デーモンが無言で姿を剣に変え、真っ先に門の向こうへと飛んでいく。 「…」 次にリヴァイアモンが同じく何も言わすに剣に変わる、但しデーモンと違ってニタリ、とオグドモンを一瞥してからだ。 「うっわあの2人に先越されたじゃない、最悪」 その次はリリスモンだ。 ─お前達一体何を考えている、その小娘がコキュートスで生きていくのは不可能に近いのだぞ。 「問題ないさ」 堕天使の姿を取り戻したルーチェモンが私の隣に並んで歩く。 「コキュートスをニンゲンが生存困難な環境へと書き換えているのは、あの連中が投棄したゴミデータが原因の大半だ」 「あの連中って?」 一体何の話だろう、門の向こう側の話はどうしても彼ら自身に聞くしか無い。 「その話はまた今度にしよう、とにかく向こうに付いたらまずは大掃除と言ったところさ」 「おい、俺は先に行くぞ」 話の途中でベルゼブモンが横を通り抜け、門へと飛び去っていく。 ─掃除とやらが終わるまでは一体どうするつもりだ。 「勿論」 ルーチェモンは両手を合わせ方陣を展開、その中に私を包み込む。 「私の力でマコトを護ろう」 ─なぜお前達はそこまで小娘に肩入れする、特にルーチェモン、貴様だ。 ─ニンゲンを護るなどと、以前の貴様であれば絶対に出ない言葉だぞ。 「フッ…コキュートスに何かを作り出そうなんて愚かなことを言い出すのはマコト以外に居ないだろうからね」 「イグドラシルを攻撃するよりもずっと面白そう、理由はそれだけさ…きっと他の皆もね」 横に並ぶバルバモンは黙ってそれに頷き、そのまま剣へ戻り門の向こうへと消えた。 「さて、私達も行こうかマコト、するべきことは山積みさ、なにせオグドモンが封印されて以降コキュートスは無法地帯だからね!」 「そっちの『掃除』も必要なわけだね…」 ゆっくりと門へ近づいていく私にオグドモンから声がかかる。 ─最後にもう一度聞くが…本気か。 「うん」 ─……そうか オグドモンの声は、どこか諦めたような感じだ。 そうして門を潜ろうとした直前 ─おい 「何?」 ─よく狙って落ちろよ? 「どういう意味…っ!?」 門を通り抜けた私は、足をつこうとして前のめりに倒れるように落ちていく。 デジタルゲートに入った時も足を踏み外すような感覚はあったが、すぐに身体に浮遊感を覚えた。 が、今のこれは斜め下方向へとひたすらに落ちている。 「どうだい?デジタルワールドからコキュートスへの急降下は?」 落下する私の隣に飛翔するルーチェモンが寄って来る。 「…やっぱりこれってコキュートスへ向けて落ちてるんだね」 ─あぁ、以前と違いダークエリアを通らずに作り出した直通路だからな オグドモンの声がいつものデジヴァイスからではなく、門の向こう、つまりコキュートスの方から聞こえてくる。 「オグドモンの巨体であれば歩いて通れるけれど、ニンゲンの身体の大きさでは楽しいフリーフォールという訳さ」 成る程、よく狙って落ちろよ?の落ちろの部分は理解できた。 問題は前半だ 「それで、よく狙ってって言うのはどういう意味?」 ─お前が自分で言ったのだぞ、ベルフェモンの代わりに自身を使うと、ならばお前は剣の代わりに本来ベルフェモンが収まるべき位置にお前自身を突き刺す必要がある。 言われてみればその通りだ、七大魔王達は本来の姿の剣に戻ってオグドモンに掛かった封印を砕く形で脚に突き刺さるのだから。 うん?ということだ 「ねぇ…それって狙いがずれて失敗したらどうなるの?」 ─決まっているだろう、地面か私の身体に叩きつけれて死ぬだけだ。 まぁ当然か… 「つまり私は、この門を抜けたら正確にベルフェモンのいるべき位置へと落下しなければならない訳だね」 「そういうことさ!私は自分の位置へ行かなければならないから…グッドラック!」 堕天使に幸運を祈られてしまった、この場合加護はあるのだろうか。 ─そろそろ門を抜けるぞ、心して掛かれよ。 「うん」 門の内部に充満している紫色の霧の向こうに、出口らしき光が見える。 あの先がコキュートスなのだろう。 そうして大罪の門を潜り抜けた私をまず迎えたのは。 「ぐうっ!?」 凍り付くような冷たさの強風と、周囲に満ちる瘴気だった。 周りには何もない、いや、何も無いのではなくここが空の上なのだ。 門の出口の一番上から出現した私は、コキュートスの空へと放り出される形となっている。 「言ったはずだぞ、コキュートスはニンゲンが生存できるような環境ではないと」 オグドモンの声はもう、デジヴァイスの奥底から響くような音ではない。 私の真下に見えるオグドモン自身から発せられている。 「ルーチェモンの防御の上からこれとなると中々だね…けほっ…」 「フッ、オグドモンを開放次第、私の力を保護の方陣へ回そう、それまでは…」 ルーチェモンは両手で握り拳を作って見せる 「気合で耐えてくれ!」 そう告げて、本来の剣へと戻り飛び去って行った。 気合と来たか… 私は身を捩って落下の起動を修正、落ちるべき位置はルーチェモンの左隣の脚だ 他の七大魔王の剣は既にオグドモンの脚へと突き刺さっている、後は私さえしくじらなければいい。 私は吹き付ける風に耐えながらデジヴァイスを前に突き出す。 そして手の先に意識を集中、これでデジヴァイスの前方へと知識の紋章が浮かび上がる。 あとはこの状態でオグドモンの力を使い、私を7つ目の剣の代わりにするだけだ。 「オグドモン、お願い」 「あぁ」 私の眼下に迫りくるオグドモンがそう応じると、目の前に展開した知識の紋章の外周にもう一つ円ができ、円周上に文字が刻まれていく。 LEVEL:666 SYSTEM:UNKNOWN CODE:UNDEFINED CAUTION! PURGATORY LEVEL - 刻まれた文字の未定義や未知と言った記述を見るに、この紋章を仮に七大魔王のそれとして扱うということだろう。 そして私の目の前に迫るのは、本来剣が収まるべき場所に突き刺さった石柱と、そこから巻き付く鎖。 おそらくこれらがオグドモンを封印するために使われていたのだろう。 他はすべて七大魔王達の剣に砕かれた後のようで、周囲に鎖と瓦礫が散乱している。 もう狙いは定まっている、後は真っすぐ残り一つの石柱に突っ込んで封印を砕くだけだ。 私はデジヴァイスを構えた腕にもう片方の手を添える。 デジタルワールド全ての罪を統べる彼を解き放つ時、そこに相応しい言葉はなんだろうか。 ……よし、これで行こう 「オグドモン…大罪顕現(カルマライズ)!」 私は、デジヴァイスを石柱へと叩きつけた。 ─ さて、以上が現在へと蘇ったコキュートスの女王の伝説となります。 コキュートスに君臨する女王、七津真とオグドモン、彼らのその後はこの本には記されておりません。 それは伝説ではなく、今ここにあるコキュートスの現実だからです。 何より、この後の事はコキュートスにお住まいの皆様のほうがよくご存知でしょう。 コキュートスの空より突如8本の塔が全土へと降り注ぎ、そこから表れた七大魔王とオグドモンによる攻勢が始まりました。 無法地帯だったコキュートスに力による統制が行われたのです。 対する皆様は成すすべもなかったでしょう、なにせオグドモンへの一切の攻撃は、彼の力により無効化されるのですから。 その後コキュートスは塔を起点とした8つのエリアに区分され、対応する七大魔王達がそれぞれを統治しています。 えぇ、現在の忌々しい支配体制の確立です、おかげで私共も動きにくくなりました。 それでは改めまして、皆様長らくお付き合いいただきありがとうございました。 お出口はあちらに御座います、どうか気をつけてお帰りください。 女王の統治下にあるとは言え、コキュートスが危険地帯であるのは変わりありませんので。