「すうぅぅ〜っ!ふぅぅぅぅっ!んぅっ♡♡♡」 意地悪というのは、効率的な憂さ晴らしの手段である。 跪くノーデを見下ろしながら、そんな益体もない事を考えた。 板張りの床に膝を付き、手は後ろ…そしてその怜悧な美貌を、股間に埋めさせている。 露わにした肉棒で鼻梁をなぞれば、先走りがてらてらとした線を引いた。 ━━━手も口も使うな。臭いだけ嗅いでろ。 そう兎(淫乱(白色(時計持ってる方))) に命令を下してから何時間経ったろうか? 最初は前戯の一環のつもりだったが、焦らされ続けていたノーデにとっては拷問にも等しかったらしい。 「はーッ♡はーッ♡」 と荒々しい呼吸を繰り返し、こちらを見上げているその目にはいつもの理知的な輝きはなく、ただ性欲に蕩けきった雌の目だけがそこにあった。 もっとも、ノーデのそんな悶える姿が愉悦を呼び起こすせいで、彼女は延々と生殺しのままなのであるが… 「すん♡すん♡…ふーっ!………〇〇〇様ぁ…お願いいたします…どうか私に御慈悲を…ふぎゅっ!?」 命乞いにも近しい言葉を無視し、彼女の頭を掴んで更に股間に引き寄せる。陰嚢をゴシゴシと鼻に擦り付けながら、ただ一言 ━━━深呼吸だ。 「ふう…むぐぅ………すうぅぅぅぅッ♡♡♡」 恨みがましい目を向けながら、それでも健気に命令を実行し…満たされることのない性感に震えるノーデ。 やはりこの女は焦らし甲斐がある…と唇を歪めながら、机の方に目をやった。 正確には、机の反対側に座らされている客人…クソミサンドリーのユニコーン、自分だけバフも盛るし必中も使う、マンチ戦法の外道フェミ、ユニスを。 角をへし折り処女も奪い(眼鏡はそのままにしておいた。当然のことだ)、泣き叫び疲れて今は眠っているが、そんなものではこの苛立ちは収まらない。 一つ本物のセックスというのを…本人の敬愛する白の女王(本当にこのマゾ雌を指しているのかと不安ではあるが)を使って披露してやろう、というのが趣向である。 この眼鏡が起きるまでノーデへの焦らしは続く。いつ目覚めてくれるのか、と…黒い魂が期待に脈打った。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 目覚めると同時に現実が襲いかかってきた。 すなわち、折られた角の感覚と下腹部の鈍痛…あのクソ雄に暴行され、処女を踏みにじられた証拠である。 これから先、私はずっとあの雄に踏み躙られ、性的消費され続けるのだろう…そんな最悪な気分に浸されながら、涙で腫れた瞼を開いた。 ━━━よし。 「!!!!!!じゅるるっ♡♡♡んぶうぅっ♡♡♡ぐっぷぐっぷぐっぷ♡♡♡♡♡」 「……え。」 呆けた声が漏れる。視界に飛び込んできた物が理解できなかったからだ。 ここはどうやら図書室のような場所で、私は椅子に座らされていて、机を挟んで対向に例の雄が座っていて、そして。 その雄の…露わにされた股間に熟練の娼婦もかくやとばかりにむしゃぶりついている雌は。 その絹糸のような髪を編み、白磁のような肌を朱く染め、兎の耳をぴょこぴょこと歓喜に揺らすその雌は。 間違いなく、白の女王その人だった。 「女王…えっ?あれ……」 混乱で頭が真っ白になる私を尻目に、女王は頭を雄の股間に叩きつけるように振るう。 長大なペニスが喉を押し広げているのが傍目にもわかった。 ややあって、雄は不敬にも女王の髪に手を置き…ぶるり、と身体を震わせる。 穢れた精を女王に注ごうとしているのだ、と怒りの感情が芽生えたときにはもう遅く… 「んむぅぅぅぅ♡♡ごくっ♡ごくっ♡ごくっ♡はぁ……濃いぃ♡」 「な…女王…貴女はそんなお方では……」 屈辱的な行為のはずなのに、精を飲み込み満面の笑みを浮かべる女王。 私はその姿に恐怖すら覚えていた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 後背位の体勢で…私に顔を向けた体勢で、白の女王が犯されている。 「んおぉっ♡おぉぉぉっ♡ひぃぃっ♡ おちんぽっ♡はげ、はげしぃっ♡んうぅぅ♡」  ぱん、ぱん、と腰がぶつかる音に合わせて豊かな乳房を揺らしながら、淫猥な嬌声を上げてその美しき貌を蕩けさせる。 非難の声は勿論上げた。 白の女王に…我を取り戻すように、とも。 しかし、私のささやかな抵抗は、眼の前の雄と雌が繰り広げる情交の音に塗りつぶされてしまった。 「んぎゅうぅっ!?ぐきっ♡がっ♡♡ごえっ♡♡」 雄がその灰色の腕を…先程まで女王の尻を掴んでいた掌を今度は細い首元に宛てがい、ぎゅううっと締める。  女王は苦悶に顔を歪めるが…しかしにへら、と表情を更に崩した。 「…なに…これ…嫌…」 雌が雄の意のままに消費されている。 以前の私なら正義を執行するところだが…無力さに打ちひしがれた私にとって、それは不可能だった。 「やだぁ…怖いぃ…」 独りでに声が漏れる。私は幼児の頃に戻っていた。父と母が絡み合い…得体のしれない肉の儀式を行っていたのを見た頃に。 目も耳も塞いでしまいたかったが、最早そんな気力すら尽き果てていた。 と、その時だった ━━━ノーデ。この世界において、雌とは何のために存在する? 情交を終え、荒い息を吐いていた女王に、雄が声を掛ける。 その口元はチェシャ猫のように醜く吊り上がっていた。 「はぁ…はぁ…はい……〇〇〇様ぁ…」 女王は媚びた笑みを浮かべ、続けた。 「雌は全て貴方様の精を拝受し…子を為すために存在する…苗床です♡」 「なっ…!」 女王が発した言葉が、私の…恐怖に萎縮した心に火を付けた。 「わたしはにくべんきですぅぅ♡♡♡」だの「性の捌け口にして下さい……それが私の喜び…♡♡」だの「ぴょんっ♡ぴょんっ♡おちんぽくださいぴょんっ♡」だの。 耳を疑うような言葉は情交中何度も聞かされたが…このような、すべての雌の品位を貶める言葉を見過ごすわけにはいかない。 純潔ならずとも、私は純潔の守護者だ。このような言葉を…そう言わせる悪しき雄を、看過することは出来なかった。 全てはこのソウルがどす黒い雄が悪いのだ。白の女王がこんな事を言うはずが無く…すなわちそれは、この雄が何かしらの細工をしたということを指し示している。 「……この…クソオスがァッ!!!」 バン、と椅子を蹴って立ち上がる。敬愛する女王をおかしくした、すべての雌を侮辱した。それらの蛮行に対する正当な怒りが、私に勇気を与えた 「このクソカスレイプ野郎オォっ!!その薄汚いゴミペニスに脳を支配されてんだろッ!雌を洗脳してッ!!お前の都合のいいように作り変えて…ッッッッ!!雌を繁殖奴隷に仕立て上げようとしたんだろッ!!!待っていて下さい白の女王!私がこの命に代えてもこの穢れた毛むくじゃらの醜い人の子をぶち転がして…ゲホッゲホッ…ふしゅーっ!ふしゅーっ!!!」 正当な怒り恨み憎しみが溢れ出し、喉の奥で詰まってむせる。まだだ。こんなものでは言い足りない、と次の言葉を紡ごうとして… 「黙りなさい。」 雪原よりもなお極寒の声を発しながら、女王が私に目を向けた。 その顔は精に汚れていてもまだ美しく、冷徹な瞳は確かに私の知っている『白の女王』そのもので… (……ああ、こちらにいらしたのですか。私の敬愛する…) そう思った刹那、カチリと歯車の音が響く。 そして唐突に、地面がなくなった。