二次元裏@ふたば

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121111 B24/11/16(土)23:26:41No.1253853560そうだねx2 00:56頃消えます
日竜将軍を倒す話を書きました
魔術について多分に独自解釈が含まれますが寛大な心で見てください
だいぶ長くなっちゃったのでゆっくり読んでね
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うちの子
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お借りした子
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エピローグにNo,427神月カオルちゃん
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/11/16(土)23:27:16No.1253853859+
「はい、今日の講義はここまでです。次回までに復習をしっかりと行ってください」
「ありがとうございました」
「いつもすまないな、ミスティモン」

デジヴァイスが映し出す立体映像に向けて礼をする霜桐雪奈。その相手は鎧を纏った騎士といった風貌のデジモン、ミスティモンだ。
紆余曲折を経て魔術を覚えることになった雪奈は、ウィッチェルニーにある魔術学校で講師をしている彼からデジヴァイス越しの通信教育でその秘術を学んでいた。
穏やかな日差しの降り注ぐ木陰の下、持ち運びのできる小さな机に本を広げる姿はさながら青空教室だ。
224/11/16(土)23:27:51No.1253854100+
ミスティモンがこれまでの授業内容が身についているか確認するように雪奈に尋ねる。
雪奈も記憶にある教科書の内容を頼りに質問に答えた。

「ええっと、プログラムを入力しようにも入力画面を開けないから?」
「概ねその通りです。どれだけ美しいプログラムを書こうとコンピュータに入力しなければ実行できない。人間にはこの入力するためのフォーマットを開けないので魔術を行使できない。ですが……」
「わたしはそれを幸運のデジメンタルがやってくれていると……」
「そうです。かつてフォーチュンブラウモンがあなたを通じてデジタルワールドの基幹データというこの世界を構成するものに繋がった名残が、霜桐さんがデジタルワールドという入力フォーマットを開く道筋を残したと。あとはその基幹データにやりたいことを入力すれば、魔術を行使できる。恐らくはそういうことです」
「恐らくは、ですか……」
324/11/16(土)23:28:21No.1253854289+
「私も前例がないのでこの仮説が正しいとは言い切れません。何分幸運のデジメンタルでなぜそんなことができたのかすらまだはっきりとはしていませんので。それに霜桐さんの魔術は我々がこれまで体系化してきたものとも些か異なっているようです。言語が違うのに通じているというか……曖昧な命令でもきちんと動作するというか……これもデジメンタルの作用でしょうか?興味は尽きません」
「……デジタルワールドって、住んでいるデジモンにも分からないことだらけなんですね」
「ははは。それは人間の世界も同じですよ。あなたたちも人体の謎や自然現象の全てを解明したわけではないのでしょう?」
「まあ、そう言われるとそうですね……」
「……さて、少しおしゃべりが長くなりました。質問があればいつでも連絡してください」
「はい。ありがとうございました」

映像が途切れる。凝り固まった身体を解そうと伸びをした雪奈は、そういえばと教科書をめくっている相棒に語り掛けた。
424/11/16(土)23:28:44No.1253854435+
「ブルコモンってウィッチェルニーに行ったことあるの?」
「ん?どうした突然」
「何となく。ミスティモン先生がブルコモンにやたらと親身だったし、こうして教材を用意してくれてるし、わたしのためにわざわざ授業までしてくれてるし。これもブルコモンが頼んでくれたからだよね?」
「ああ。まあ昔少しな。おれ自身は行ったことはないとだけ言っておく」
「……それってわたしにも言えないこと?」
「いや、おれ自身にもあまり自覚がないというか……とにかく向こうにとっておれは特別らしい」
「ふーん……まあいいや。そろそろ出発しよ」

話を切り上げ、広げていた道具をデジヴァイスに格納する。旅をする上で役立つ機能を多数備えたこのデバイスのありがたみをしみじみと感じながら、次の行先となる方向を見据えた。
聞いた話によるとこの近くにはデジモンが集う小さな町があるらしく、今日はそこで宿泊する予定だ。

「また宿が埋まってなきゃいいけど……」
「なに、今更野宿など慣れたものだろう」
「そうだけど……お布団で寝られるならお布団で寝たいものなの」
524/11/16(土)23:29:09No.1253854611+
ぶつぶつとぼやきながら歩を進める。日はまだ高いができるなら明るいうちに到着しておきたい。
しばらくすると小さな建物が並んでいる光景が見えてきた。どうやら目的地のようだ。
これまで歩き通しだった雪奈は安堵したように息を吐く。

「はあ……着いた。早くお風呂入りたい……」
「待て雪奈。何か様子がおかしい……」
「……えっ?何……これ……?」

近づくとまるで嵐が過ぎ去ったかのように建物がいくつも倒壊している様子が見て取れた。
町に漂う異様な雰囲気にブルコモンが身構える。辺りを忙しなく行き交うデジモンたちはまるで何かから逃げる準備をしているようだ。雪奈も不審に思ったのか、道を急ぐツノモンに声を掛けた。

「ねえ、何かあったの?」
「ニンゲンさん来てる!みんな帰ってきた!ケガしてる!」
「ええ!?」
624/11/16(土)23:29:52No.1253854906+
いまいち要領を得ないが、何か大変なことが起きていることだけは理解できた。
雪奈とブルコモンはデジモンたちが行き交う流れを頼りに町の中心に向かう。
そこには大勢のデジモンに囲まれた一人の少女がいた。目を引く金髪と特徴的な義足。何よりその顔には見覚えがあった。

「織姫さん!?どうしたんですかそのケガ!?」
「ああ……ツナちゃんか……カッコ悪いところ見られちまったな……」
「そんなこと言ってる場合ですか!早く手当てしないと!」

少女、千年桜織姫は負傷した腹部を押さえ苦しそうに呻く。そんな彼女の様子を周囲のデジモンたちは心配そうに見つめていた。
雪奈は手早くデジヴァイスから医療キットを取り出すと簡単な治療を施す。ひとまず命に別状はなさそうだ。
周囲のデジモンの様子と織姫の負傷にただならぬものを感じた雪奈は彼女に問いかける。

「あの、何かあったんですか?」
「私から説明します」
724/11/16(土)23:30:44No.1253855249+
名乗り出たのはこの町を纏めている獣人型デジモンのハヌモンだった。
彼曰く、この町は小さいながら慎ましく平和にデジモンたちが集まり、寄り添って暮らしていた。しかし最近になってこの近くにネオデスジェネラルの一人、日竜将軍の拠点が出現した。
彼らは町に攻め入ると物資を略奪し、目についたデジモンやデジタマを連れ去り、日竜軍の兵隊として改造したり、反抗的、あるいは兵隊としての素質がないものを殺し、拠点拡張の材料として利用しているのだという。
一息のうちに壊滅させなかったのは、恐らくこの町の噂を広め、事情を聞いた反デジモンイレイザー陣営をおびき寄せるための罠として利用するつもりらしい。

「そこにたまたま私様が通りかかったんだ。日竜将軍なら従叔母様や私様が何体も倒したし、今回もいっちょやってやるかと攻め入ったんだが……今度のやつはちょっと一筋縄じゃいかねえ……デジモンイレイザーめ、今回は本気モードらしいな……」
824/11/16(土)23:31:10No.1253855423+
「織姫さんはよくやってくれました。自らが傷つきながらも、攫われたものたちを連れ戻してくれたのです。ですがこのままでは奴らはまた攻め入ってきます。今度こそこの町を滅ぼすために。その前に我々はこの町を離れるつもりです……皆がバラバラになるのは悲しいことですが……」
「そんな……」

聞いた話に雪奈が歯噛みする。周囲にいるデジモンは幼年期や成長期が多く、町を離れて生きていけるとは思えない。もしも日竜軍の追手に追いつかれたり、狂暴なデジモンに遭遇したらひとたまりもない。
そんな雪奈に織姫が声をかけた。

「なあツナちゃん。私様の代わりに日竜将軍をぶっ倒してくれないか?」
「えっ!?そんなこと言われても……織姫さんでも無理だったのにわたしたちだけじゃ……せめて良子ちゃんや颯乃ちゃんも呼ばないと……」
「今ここにいないやつに縋ってもしょうがないだろ。呼んでもそいつらが来る前にこの町は壊滅させられちまう。大丈夫だって。もう隠れてるだけのウジウジツナちゃんじゃないんだろ?」
924/11/16(土)23:31:39No.1253855612+
織姫は雪奈が魔術を覚えたことを知っている。効果があったかは不明だが特訓にも付き合ってくれた。織姫の傷つきながらも力強い目がまっすぐ雪奈に向けられる。
周囲を見回す。いくつもの目が不安そうにこちらを見つめていた。皆この町を離れたくないという気持ちがありありと伝わってくる。
最後にパ―トナーを見る。恐らく一番命を張らなければいけないのは彼だ。しかしこの小さな竜は臆することなく雪奈の言葉を待っていた。自分が行くと言えば相棒は全力でそれに応えてくれる。否、仮に自分が行かないと言っても、このお人よしは一人でも行くと言い出すだろう。そんなことはさせられない。雪奈は深く息を吐き出し、自分の両頬を叩くと覚悟を決めた眼差しで織姫を見つめ返した。

「……分かりました。やってみます。わたしとブルコモンでこの町を守ります」

俯いていた周囲のデジモンたちの顔が僅かに晴れる。正直勝てるかは分からない。しかしこのまま町のみんなが悲しい思いをすることが雪奈には耐えられなかった。

「そうこなくっちゃな……頼んだぜ、ツナちゃんが最後の希望だ……それとちょっと耳貸してくれ」
1024/11/16(土)23:32:13No.1253855812+
織姫がちょいちょいと指で雪奈を呼び寄せる。顔を近づけた雪奈にひそひそと耳打ちをすると、雪奈は渋い顔をしつつ、嫌々ながら頷くのだった。
1124/11/16(土)23:33:43No.1253856420+
貼るのは以上です
一方的感あるけど一回不利になると押し切られて逆転できなさそうなのでこうなりました
私の技量不足ですねはい…
1224/11/17(日)00:01:31No.1253866431そうだねx1
進化名乗りノルマを恥ずかしそうにこなす雪奈ちゃんいい…
1324/11/17(日)00:13:22No.1253870645+
うちの子がいっぱいだ〜
出していただき、ありがとうございます。
1424/11/17(日)00:18:01No.1253872242+
>進化名乗りノルマを恥ずかしそうにこなす雪奈ちゃんいい…
そういうカッコつけできない子だからね
むしろブルコモンのほうが無意識にできるんだよね
>うちの子がいっぱいだ〜
>出していただき、ありがとうございます。
こちらこそいい敵役をありがとうございました
ちょっとすごく脅威な敵に見せられなかったなって反省してます…
1524/11/17(日)00:26:30No.1253874910+
なるほど雪奈ちゃんからの目線だと魔術はこうなってるんですね
散々独自で描写してしまったので参考になります
1624/11/17(日)00:31:24No.1253876320+
>なるほど雪奈ちゃんからの目線だと魔術はこうなってるんですね
>散々独自で描写してしまったので参考になります
早く出したかったのですがだらだら書いてたら随分かかってしまいました…
あくまで雪奈の主観なので傍から見るとああなっててもいいかもしれませんね


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