二次元裏@ふたば

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335656 B24/10/25(金)18:01:32No.1246440272そうだねx3 19:28頃消えます
「汗かいちゃったな、こんな時期なのに」

例年なら秋の訪れを感じることのできる時期なのに、今年は残暑が長引いて。
難しいのは、朝は肌寒いのにお昼頃には30度近くまで気温が上がること。
朝方に少し厚めのジャケットを羽織ってお出かけしたトレーナーは、夕方には汗だくになって帰ってきた。
その首筋は、汗でキラキラと光っている。

「お疲れ様です。お水飲んで、ゆっくり休んでくださいね。あ、そうだ。タオル準備しますね」
「ありがとう」

トレーナーが脱いだジャケットには汗の染みが出来ていた。私は鞄からタオルを取り出す。
既に汗を染み込ませたジャケット。これから汗に塗れるタオル。
私は、羨ましいな、と思った。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/10/25(金)18:02:00No.1246440388+
こわ
224/10/25(金)18:02:25No.1246440500+
トレーナーを、吸う。
誰が最初にやり出したのかは知らないけれど、トレセン学園ではウマ娘たちの間で密かにブームになっていた。
こっそり吸う子も、勢い良く吸い付く子も。 色んな子がいる中で、私は吸えずにいた。
スイッチを入れた私でも、切った私でも。それはきっと、トレーナーが望むことじゃないだろうから。
だから、私はいつもと同じようにタオルを取り出して──?

「あ、れ……?」

タオルが、手から離れない。
違う。
手が、タオルの中に、飲み込まれている。
324/10/25(金)18:02:48No.1246440605+
私の手首から先が、純白のタオルの中に飲み込まれて……編み込まれている。
手のひらが、指先の感覚が無い。あまりに非現実的な出来事に、私は目を見開いて、ぽっかりと口を開けた。

「あ──」

ふと、浮遊感。
足元を見下ろせば──足元が、無かった。糸が解れて、分解されていくみたいに、下から順番に、私の身体が無くなっていく。2本の脚の支えが消えて、当たり前のように私は床へと落ちていく。
同時に、無地のタオルに変化が起きた。
タオルの中心に、とあるウマ娘のイラストが、下半身から少しずつ現れていく。青毛の尻尾が、自分で言うのも何だけれど、自信のあるヒップラインが。私が、下半身から徐々にタオルの中に編み込まれていって──瞬く間に、全てが飲み込まれた。

「い──」

何を言いたいのかも、自分でわからないうちに。トレーナーに、声を掛けるよりも早く。私の身体は、全てがタオルの中へと編み込まれて。
パサリと、乾いた音を立てて、床へと落ちた。
424/10/25(金)18:03:42No.1246440838+
(……私、タオルになっちゃった……?)

床に落ちている、私の──シーザリオの絵が描かれた、一枚のタオル。ただの無機物の繊維の塊。それが、今の私。目も鼻も、耳も無い。なのに、どういう理屈なのか、私には周囲の状況が見えていた。
トレーナーは気付かない。椅子にジャケットをかけて、こっちに背を向けているから。

(……動けない……)

不思議なことに、こんな状況になって、私は悲しい気持ちにはならなかった。どこか、フワフワしている。

「……あれ? シーザリオ?」
524/10/25(金)18:04:02No.1246440928+
トレーナーがキョロキョロと室内を見渡す。ドアの開閉が無いのに私が消えたのだから不思議に違いない。隠れんぼできる場所も無い。

「どこ行っちゃったんだ? まさか、窓……なわけないか……? この、タオルは……?」

ついに、トレーナーが私に気付いた。落ちている私を拾い上げ、顔の高さまで持ち上げる。

「凄いな……このタオルのイラスト。凄い存在感というか、まるで本人がここにいるみたいな……」
(! そうです! 私は、ここです!)

動けない。声も出せない。どうすれば気付いてもらえるだろう──タオルになった私は、ただトレーナーの手の中で、待つことしかできなくて。

「……いい匂いがする。爽やかな甘さで……シーザリオの、匂い?」
(あ、あ……ちょっと、待っ──)

トレーナーが、鼻先を、私に埋めた。
624/10/25(金)18:04:25No.1246441023+
(あ、あああ あ ああ ああ)

すぅ、とトレーナーが息を吸う。私の匂いが、この人の中に入っていく。同時にトレーナーの頬から汗が滴り、私の上で弾けて、染み込んでいく。

(ああ、あああ……あああああ……!)

それは、幸せだった。私を吸われて、トレーナーの汗を、吸う。私はタオルなのだから、鼻で嗅ぐ匂いじゃなくて、全身がトレーナーに染まっていく。体内って言い方はおかしいかもしれないけれど、今は頭も爪先も無いのだけれど、身体の隅々までトレーナーを吸って──幸せが、融けていく。

「……いい匂いだった……けど、シーザリオを探さないと」
(……あ……)

トレーナーが、私を顔から離す。待って。私はここにいるのに。もっと幸せでいたいのに。
もっと、私を、吸わせて──!
724/10/25(金)18:04:54No.1246441182+
「うわっ!?」

その時、窓から風が吹き込んできた。私がトレーナーの手から離れて、その顔に張り付く。偶然かはわからない。だけど、もう離れない。離れたくない。

「ぐ、ぅ!? は、外せない……どうなって……む、ぐぐ……!」

トレーナーの顔に張り付いた私は、グルグルと全身へと巻き付いていく。全身から流れ出る汗を吸い取り、濃い匂いが、私の中へと入り込んでくる。
幸せが、濃くなる。

「むぅ〜っ! うぅっ! むー……っ!」

トレーナーを、吸う。グルグル巻きになったタオルの厚みが、どんどん薄くなって、中に巻き込まれている人型のシルエットが解けといく。トレーナーを私の中に編み込む。タオルに描かれた絵は変わることはない。
『私』の中に、トレーナーを編み込んでいく。
824/10/25(金)18:05:10No.1246441246+
(……!? か、身体が動かない! どうなってるんだ!?)

トレーナーの声が聞こえる。顔も手も足も全てが繊維の中に織り込まれて、同時に存在している感覚。意識だけがずっと連続している、タオルの中で、トレーナーと二人きり。

(落ち着いてください。トレーナー)
(! シーザリオ! 良かった! どこにいるんだ!?)
(ここにいますよ。見えますか、鏡)
(あ、あぁ……でも、タオルが落ちてるだけ……まさか……)
(はい。私達は、ここにいます♪)
(……)

(〜〜〜〜〜ッ!!?!!!?)
924/10/25(金)18:05:27No.1246441326+
トレーナーと一枚のタオルになれたおかげか、声を全身で伝えられる。受け止められる。心の爆発が、ダイレクトに伝わってくる。
なんて幸せなことなんだろう。
トレーナーにも、この気持ちを伝えたい。トレーナーの心を、包んであげたい。

(シーザリオ! 何とか戻に……ぁ……?)

私たちは絶えず繊維で結び付いている。だから、心もつながっている。ふわふわ。私たちは、ふわふわのタオル。心もふわふわで、幸せ。

(……ふわ、ふわ……)

いっぱい吸って。今はビチャビチャだけれど。タオルなんだから、それで幸せ。

(しあ、わせ)

私たちは、タオル。ヒトと、ウマ娘の香りを混ぜ込んだ、幸せな、タオル。
1024/10/25(金)18:06:10No.1246441525+
「シーザリオー?……あれ? いない? ここだと思ったのに」

トレーナー室のドアが開いて、クラフトが入ってきた。キョロキョロと部屋中を見渡している。私たちを探しているみたい。目の前にいるのに。

「……うわ! このタオル、べっちゃべちゃ……! 珍しいなぁ、こんなのが落ちてるなんて」

クラフトが私たちを摘み上げた。

「……もしかして、今洗濯に行ってるのかな? トレーニングの後で色々洗濯物があって、これだけ落ちちゃったとか……?」

クラフトが見当違いな推測を立てる。私たちはすぐここにいるのに。

「うん、とりあえずランドリールームに行こ!」
1124/10/25(金)18:06:57No.1246441722+
「──いないなぁ、シーザリオ」

いるのに。ここに。私たちは。

「どこだろ……あ、そうだ。コレ、私が洗濯してあげよ」

え。それは、待って。

「これで……よし、と……はぁ、シーザリオどこに行ったんだろ……?」

洗濯機の中に放り込まれ、ピッと、無慈悲な電子音。クラフトがランドリールームから去って行く。
冷たい水が全身に流れ込んでくる。洗剤が、私たちの汗を上書きしてくる。折角吸ったトレーナーの香りが、消えて、無くなっちゃう。混ぜて、溶け合って、一つになった証が、人工的な匂いに上書きされて。
ごうんごうんとぐるぐるまわり、脱水されて、乾燥されて。
遠心力で、身体が、弾き飛ばされて──
1224/10/25(金)18:07:16No.1246441810+
「……ん……」
「あ……シー……ザリオ……?」

気が付けば、私たちはランドリールームで倒れていた。トレーナーはジャケットを脱いだ姿で。私は、体操着とブルマの姿で。
今までの出来事が、まるで、白日夢みたいに。私たちは、手足を絡ませて、抱き合っていた。

「あー! シーザリオ! 今までどこ……に……」

洗濯が終わる時間になったから、クラフトが戻ってきて。絡み合う私たちを見て真っ赤になった。

「……ご、ごゆっくり!」

そして、逃げた。
1324/10/25(金)18:07:17No.1246441817そうだねx5
タオルになっちゃったねシーザリオ
1424/10/25(金)18:07:35No.1246441903+
──それから、暫く経って。
私たちはあの日の出来事が夢だったかのように、いつも通りの日々を過ごしていた。
しぶとかった残暑も退いて、ようやく秋の訪れが見え始めた。
この調子だと、あっという間に冬になっちゃうかも。

「……よし! 今日のトレーニングはこれで終わり!」

その一言で、私は足を止めた。練習を見てくれたお礼を告げて、ベンチに置いていた鞄の元へ向かう。今日のトレーニングは、トレーナーも重たい器具の準備や、お手本を見せるために沢山運動したから。

「お疲れ様です……汗かいちゃいましたね、トレーナー♪」

私は、純白のタオルを取り出した。
1524/10/25(金)18:08:08No.1246442078そうだねx5
流行りからちょっと遅れたけどトレ吸いザリオです
1624/10/25(金)18:09:58No.1246442590そうだねx1
ちょっと話を聞かせてもらうわ
1724/10/25(金)18:11:16No.1246442934そうだねx2
まあトレセン学園だしこんなことが起きても不思議ではない
1824/10/25(金)18:11:54No.1246443109そうだねx3
汗吸っちゃったねシーザリオ
1924/10/25(金)18:12:06No.1246443163そうだねx1
ちょっとホラーだね…
2024/10/25(金)18:12:41No.1246443362+
そうはならんやろ...
2124/10/25(金)18:14:28No.1246443889+
>(……ふわ、ふわ……)
今ふわふわって
2224/10/25(金)18:18:26No.1246445036+
物品化いいよね…
2324/10/25(金)18:18:41No.1246445118+
世にも奇妙なトレセン学園…
2424/10/25(金)18:19:26No.1246445348+
私もふわふわになりたいのだけれど
2524/10/25(金)18:21:38No.1246446011そうだねx3
>物品化いいよね…
いいよね…
ウマ娘単体でもいいんだけどトレーナーも巻き込まれてくっ付けられちゃうの好き…
2624/10/25(金)18:25:14No.1246447024+
バレてないし健全か
2724/10/25(金)18:30:09No.1246448552+
うまいこと分離したけど下手すると混ざったままタオルから出ちゃいそう
2824/10/25(金)18:39:27No.1246451670+
>今までの出来事が、まるで、白日夢みたいに。私たちは、手足を絡ませて、抱き合っていた。
ここで賢さ出た
2924/10/25(金)18:54:44No.1246456993+
スレッドを立てた人によって削除されました
3024/10/25(金)19:06:04No.1246461127+
アヤベさん。
3124/10/25(金)19:07:48No.1246461858+
良かった…色落ちするオチとかじゃなくて…
3224/10/25(金)19:09:11No.1246462437+
手遅れじゃねえかなあ
もうこれ手遅れじゃねえかなあ!?
3324/10/25(金)19:09:57No.1246462842+
思ったより話のレベルが高いな…
3424/10/25(金)19:12:05No.1246463752+
>手遅れじゃねえかなあ
>もうこれ手遅れじゃねえかなあ!?
おっとそっちにタオルが
3524/10/25(金)19:12:47No.1246464094+
>おっとそっちにタオルが
俺はまだ死にたくない
3624/10/25(金)19:13:55No.1246464603+
ウマ娘公式応援タオルの真実
3724/10/25(金)19:19:57No.1246467074+
>良かった…色落ちするオチとかじゃなくて…
漂白して流されたら
そのまま溶け合ってヲワリ
3824/10/25(金)19:20:40No.1246467476+
戻ってこれたからいいけどさぁ...
...いや戻れてねえなこれ


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