「ニセアグモン博士で、プレイヤーへアタックだ！」
『華を持たせてくれるとはな、わかるようになったではないか！』
偽アグモン博士の振るった≪ニセハカボー≫のデジカ狩りへの一閃が、勝利へと導いた。
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デジモンの強制デジモンカード化。賭けの強制によるカードの強奪。なによりプレイヤー自身への危害をともなう闇のデジカバトル。それが闇のデジカプレイヤーこと『デジカ狩り』。
巷で噂になっていた謎のフードの人物が、アリーナ帰りのジョン-ドゥの前にも姿を現した。彼が狙ったのは、ジョンの持つスカルウォーグレイモン。
謎のフィールドに捕らえられ、退路を断たれた中で突如として始められた賭け試合は、激戦であった。
仲間とトークンを幾度となく呼び、群れをなすディアボロモン軍団。トラッシュより蘇り続けるスカルウォーグレイモンのアンデッド集団。そして3つ置かれた《終末のトケイ》。
勝利を掴んだのはスカルウォーグレイモン──ジョン-ドゥであった。

デジカ狩りが吹き飛ばされるのと同時、周囲を包んでいたフィールドがほどけるように消え去った。
嫌気をさすような白く幾何学的な不気味な空間から、緑萌える森へと戻っていく。
その中に、馴染みの根布谷シンジとナンバーズバスターの姿がある。
いつになく真剣な眼差しを向けてくる彼らへ、ジョンはただ、拳を空へと突き上げた。

「さあ、これでおしまいだぞデジカ狩りさんよ！おとなしく奪ったカードを返してもらうぞ！」
「勝手に集めたデジモンたちを解放するのもな」
「どうやってデジモンを集めたのかお話もたっぷり聞かせてもらうわ。まさか"白紙のカード"じゃないでしょうね？」

倒れたデジカ狩りの元へ、ジョンとシンジ、ナンバーズバスターの3人が詰め寄る。
噂に名高い狼藉者とあって、その面持ちは一様に険しい。

「負けた…そうか、マケタ、か…そうかぁ…！」
「おい、聞いてんのか！」

しかしジョンらのことなど眼に入らぬように、デジカ狩りは倒れたままケラケラと笑っている。憤りのままにその襟をジョンは掴み上げる。その拍子に、はらりと顔を覆うフードが落ちた。
デジカ狩りの顔が、初めて露になる。茶の髪に色白の肌の、整った顔の少女。その顔に、ジョンは動揺を隠せなかった。

「あれ…刈奈ちゃん！？」
「あら知ってるの？」
「い、いや、前に玩具のデジヴァイスの通信対戦の依頼をしたら請けてくれたのがこの子で…」
「あー…やってたわねそんな依頼…。まさかあのキャンペーンであそこまでやるなんて」
「こっちに言えよお前…」
「い……良いじゃねぇかそんくらい！」

「あの時は対戦も出来て、デジカの方も盛り上がって…なんでだ、刈奈ちゃん！？ なんでこんなことを！」
「オレの負け、なんだろう？ 敗者は勝者にカードを譲る、それがアソビのルール…！」
「おい聞いてんのか！」
「ワかってル、ルールだからネ！ 今渡すから、ちょっとどいてネ」
「刈奈、ちゃん…？」

邪魔だとばかりに押し退けられても、ジョンは抵抗しなかった。できなかった。
元気に溢れた健気なあの少女とはまるで違う、にやついた軽薄な笑み。負けたのに、嬉しくてしょうがないような、その言葉。
沸き上がる疑問が、ジョンの口を濁らせる。彼女は、刈奈なのか？
ケラケラと彼女は、"アレ"は笑っている。

「じゃあ、アげる。たった一枚のレアカード、大切にネ？」

ひゅっ、と飛ばされたカードをジョンは指でつかみとった。
それは、テイマーカード≪闇堂刈奈≫。彼女自身のテイマーカードだ。

「…テイマーカード？ こんなのリベレイターじゃ名刺代わり──」
「ジョン、ここはリベレイターじゃない。デジタルワールドだ。リベレイターをプレイしてないのなら、テイマーカードは作れない」
「──あっ？」
シンジの言葉に、ジョンはようやく気がついた。プレイヤー自身のテイマーカードはリベレイターで作れる。ならば、プレイしていなければ作れない。事実、ナンバーズバスター─星逢望も、自身のテイマーカードはいまだ所持していないのだ。
それは闇堂刈奈も同じこと。彼女がリベレイターをプレイしていないと、以前に聴いた。
──では、このカードは？
ニヤリと『デジカ狩り』が笑っていた。
「おまえ──ぐわっ！？」
「──きゃぁ！？」
その瞬間である。どさりとジョンを押し潰すようにして、誰かが現れた。
「いったぁ腰打ったぁ…ぜぇったいバイトに響くんですけどこの痛み…というかなに、ここ…森？えっ包帯？コスプレ？」
「刈奈、ちゃん…？」
「えっなんで私の名前を？」
腰を押さえながらキョロキョロを見回すのは制服姿の少女。今まさにそこにいるデジカ狩り──闇堂刈奈であった。
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ジョンの戸惑いを、轟音が打ち破る。
見れば、リアライズしたアルフォースブイドラモンが刃を『デジカ狩り』へと振り下ろしていた。
地面は大きく抉られ、土煙が吹き上がる。
「おい何やってんだアルフォースブイドラモン！ ナンバスちゃん！」
『外したっ！』
「上に跳んだ！」
ナンバーズバスターの声にアルフォースブイドラモンが見上げる先、『デジカ狩り』はひらりと空高く飛び上がっている。
その跳躍力は、まるでデジモンのよう。その行き先に、巨大な影が覆い被さった。
「捕まえろ、タイラントカブテリモン！」
『────！』
シンジの叫びの元、タイラントカブテリモンがその大きな腕を『デジカ狩り』に向け伸ばす。
その中に、『デジカ狩り』が勢いそのままに飛び込むかと思われた瞬間。
『デジカ狩り』が、ゆらりと宙で身を捻る。腕をすり抜けるようにして、タイラントカブテリモンを避けた。
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そのまま、木の幹へ『デジカ狩り』は降り立つ。
『デジカ狩り』は幹に獣のように座り込んで、けらけらと笑っていた。
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その姿は、まるで───
「……ディアボロモン…？」
「いったヨ？たった一枚、たった一つ。だから、大切に、ネ？」
「えっ…なにそれ、なんで私がテイマーカードになってるの…？」
「……それは、君に渡すよ。肌身離さず、持っててくれ」

刈奈がおずおずと、戸惑いながらもカードを受け取ったのを見て、ジョンは立ち上がる。
しっかりと、『デジカ狩り』を見据えた。

「あっ、わかっタ？ ワかったかナ？」
「……胸くそわりぃもの寄越しやがって。テイマーカードはそのテイマーの『命』だってか？ つーかテイマーカードならせめて四枚用意しろよ」
「一枚しかできないからネ、しょうがないネ！」
またケラケラと『デジカ狩り』は笑う。悲しみも、悔しさも、どこにもない。ただ、面白いとばかりに笑っている。
シンジはタイラントカブテリモンを構えさせる。
「ならついでに≪デジカ狩り≫のテイマーカードもくれ。たぶん同名扱いだろうしそれなら計2枚でマシなんじゃないか」
「そういうのハ、まタ勝ってかラ！」
アルフォースブイドラモンを憤りを隠さない。
『やいやいそこのディアボロモン！ さすがに女の子に入り込んで悪さするってのはロイヤルナイツとして見過ごせないね！ 借りるならちゃんと丁重に扱わなきゃさ！』
「あんた、そんな子の体で何をする気なのよ」
仮面の奥から静かに見つめる、ナンバーズバスター。
その言葉に、『デジカ狩り』は口裂けんばかりに満面の笑みを浮かべた。
「あそブんだヨ」
「はぁ？」
「アソボウ、アソボウヨ」

「何言ってんだ、お前」
ジョンの言葉の何が面白いのか。『デジカ狩り』は声を立てて笑っている。
「いっぱい遊び場があるんダ！人間の世界！ネットの世界！デジモンの世界！遊ぶと、たのしいんダ！」
「それだけで、体を借りパクすんのかてめぇはぁ！」
「だからサ、だからサァ！！」
「スカルウォーグレイモン！！！」
『───ォォォ！！！！』
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ジョンが、叫ぶ。土中より飛び出したスカルウォーグレイモンは木々をなぎ倒しながら、その両手を『デジカ狩り』へと伸ばす。
叩きつけるように両手を合わせる。だが、その手には砕けた太い幹があるだけだ。
「逃した…っ！」
見回しても、デジカ狩りの姿はどこにもない。風に揺れる森があるだけだ。
「──もっと、もーっと、アソボウヨ！」
けたたましい笑い声は、森のざわめきに紛れて、消えていった。

ジョンは握りしめていた拳を、ため息とともにほぐしていく。状況を呑み込めず、ぼんやりとあたりを見回す刈奈へと、曖昧な笑みを向けた。

「ごめんな刈奈ちゃん…君の体、取り逃しちまったよ」
「はあ…体…？ ドッペルゲンガーとかでは？ あんなキテレツな笑いをするのが？」
「いいや、あれは君の体だよ。ディアボロモンにパクられたが。たぶん、今の君はそのテイマーカードが本体だ」

何を言ってるんだこいつは、という猜疑と胡乱な視線がジョンに突き刺さる。
無理もないかと、ジョンは納得する。なにせ言ってる自分でもなぜこの発想に至れたのかわからない。
だが、状況からするにそうとしか思えない。

──「デジモンカードには、よくも悪くも未知が多い」。このデジタルワールドにやって来て、痛いほど学んだことだ。
なんで洗脳だの宇宙戦闘だの木から生えるだの未来だの過去だのあるんだよ。それなら乗っ取りくらいあるよなぁ！？

「あなたたちは誰…？ ていうかもうとりあえず帰してくれません？ いきなり森で私がテイマーカードとかもう夢でしょ…」
「あいにく、夢じゃない。おれも似たような経験はある」
「そもそも刈奈ちゃんとか気安く呼んでるけど、そんなノッポのミイラの知り合いはいないんですが？」
「おっとそうか。こっちは見せてなかったな。じゃあ…こっちはどうだい」

ジョンは手を上げて、指先で宙をなぞる。途端、ミイラ男の姿がほどけていく。
その中から現れたのは、刈奈と同じ年頃の小柄な少年だった。
アバター《ジョン-ドゥ》の本体、プレイヤー《比良坂櫂理(ひらさか かいり)》。
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「改めて、久しぶり。また会ったね、刈奈ちゃ─がふぅ！？」
「化けてきたーっ！？」

笑いかけたのもつかの間、横面に思い切りビンタを食らった。
よろけて背中から倒れた櫂理は、そのままに呆然と空を見上げている。

「櫂理くんに化けるとか卑怯なんですがーっ！？」
「な…なんでぇ……？」
「言ったろジョン…ここはリベレイターじゃない、デジタルワールドだ。リベレイターに慣れすぎだ」
「普通の人はアバターに変身どころか、身長30センチも伸び縮みしないわよ」
「そ……そんなぁ……」
「もうなんなのよぉー！」

刈奈の悲鳴は、森に遠く響いていた。
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かっこよく決めようとしてるのに…櫂理くん不憫な奴だ…

そんな訳で前半終了です
後半はもう少しお待ちいただくことになってしまいます申し訳ありません

改めて「293.根布谷シンジ」様、「303.ジョン・ドゥ/比良坂櫂理」様、お借りいたしました
ありがとうございます

わぁい絵本……
自キャラが絵本に出てる！？
ありがとうございます！
グッドスカルグレイモン！！！！

なるほどそういう感じなのかデジカ狩り…

>わぁい絵本……
>自キャラが絵本に出てる！？
>ありがとうございます！
>グッドスカルグレイモン！！！！
ハバナイスディアボロモン
改めてお借りいたしました
こちら依頼No40の件と合わせての闇堂刈奈のアンサーにもなっております
今更になってすみません
グッドディアボロモン

>──「デジモンカードには、よくも悪くも未知が多い」。このデジタルワールドにやって来て、痛いほど学んだことだ。
>なんで洗脳だの宇宙戦闘だの木から生えるだの未来だの過去だのあるんだよ。それなら乗っ取りくらいあるよなぁ！？
そうだね×1

デジカって怖いんだな…！

みんな構図が凝っててこれは…力作…

>デジカって怖いんだな…！
フフッ…否定できねぇ…

またディアボロモンが乗っ取り…と思ったがあれはインフェルモンだった

イモゲンチャーのデジカは胡乱な出来事が多すぎる

>イモゲンチャーのデジカは胡乱な出来事が多すぎる
でもカードゲームならこれぐらい茶飯事では…？

カードゲームと言うかホビーアニメ自体が胡乱を含んでいるので
そちらに準拠すると大抵の胡乱に対処出来る

カードアニメっぽくなってきていいねえ

アッ
シンジとタイラントカブテリモンが出てる！
デジカ勢の活躍が見れてありがたいですよね
後半も楽しみにしてます

※あくまで予定です変更になる場合があります
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>アッ
>シンジとタイラントカブテリモンが出てる！
>デジカ勢の活躍が見れてありがたいですよね
>後半も楽しみにしてます
お借りいたしましたありがとうございます
喜んでいただけて何よりです

赤字ですので改めて
読んでいただきありがとうございました

>赤字ですので改めて
>読んでいただきありがとうございました
絵本は本当にね
お疲れ様です…