「いはい…いはいぞ〜チヒモ〜ン」
「ちょっと黄色いの！ぬいぐるみ噛むんじゃないのよ！よだれまみれじゃない！」
「ヴォ―ボモン兄ちゃんトイレ〜」
「璃奈ねえちゃんお腹空いた〜」
　勇太達の旅の途中に出会ったのは神崎 璃奈とケンタルモンであった。
　各地でデジモンの病気の怪我の治療に携わっている彼女らは黒いリングの影響で街から姿を消した成熟期デジモンが世話をしていた成長期以下のデジモン達の見受け先が見つかるまで親代わりとなっていた。
　デジタルワールド各地で起きている黒いリングの騒動の原因を探している勇太達は情報を貰う換わりにデジモン達の世話を手伝う事なった。

「情報なんてないから働き損じゃないのよおお！！！！！」
「まはまはひはり…ちょいごめんね。そうは言ってもほっとけないし、光も最近あてもなく歩きっぱなしで疲れた疲れた言ってたしたまにはいいでしょう？」
「デビドラモンも楽しそうだよ。」
　幼年期のデジモンを抱えデビドラモンは楽しそうに空を飛び回っている。
「そうですよ光さん暴力を振るう相手を探すより、こうやってこの子達と戯れてる方がいいですよ〜」
「そんなんあんたらだけよ全く！…ん？」
　他のデジモン達と離れてこちらを離れて見ているデジモンがひとりいた。
　コロモンであった。
「なにあいつ？」
「うむ、成熟期以上のデジモン達いなくなるまえちょっと前に街に受け入れられた子と聞いてるが」
「前から大人しかったけど大人たちがいなくなってからずっとあんな調子なんだ」
「…ふーん…あっこらスカートの中入るな！何見てんのよ勇太！！」
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「…はぁ」
「ガキの癖になに親父みたいな溜息ついてんのよ」
「おねえちゃん…ケンタル先生にでも言われたの？」
「可愛げないわね。別に〜元々ああいう、うるさいの苦手なの」
　しばらくふたりの無言でゆっくりとした時間が流れた。
「光、またさぼって…ねぇひ…「勇太さん」
「？えっなに神崎さん？」
「うむ…少しそのままにしてやりなさい」
「？？？」
「ねえコロモン遊ぼうよ」
　ツノモンを始めとする何人かのデジモンが声を掛けた。
「僕はいいよ…」
「何だよ前までは兄弟みたいに一緒にいたのに…気が向いたら来いよ！」
　そう言うとまた勇太達の方へツノモン達は向かって行った。

「行かなくていいの？弟か兄貴か知らないけど兄弟なんでしょ？」
「…兄弟じゃなくて˝みたい˝違うよ」
「似たようなもんでしょ細かいわね。そんなんじゃ早く老けるわよ」
「お姉ちゃんは家族が何か分かる？」

「勇太君は我々デジモンがどのようにして産まれるか知っているかね？」
「えっ？そりゃあ両親がいて…あの〜」
「ケンタルモン様も勇太さんもエッチ…」
「おほん…我々デジモンは人間と違い、遺伝子状の繋がりというべき血縁上の親を持たない。
　少々複雑だから省略するが輪廻転生、生まれ変わるように親もなくここのようなはじまりの街と言われる場所にデジタマとして現れる。」
「現れ…？それってだいぶホラーじゃないですか？」
「じゃないじゃなくてホラーですよ。だって気付いたら揺り籠事あるんですもん」

「…まぁなんだ、だからデジモンも親という概念はあるがそれは産みの親ではなく、はじまりの街にいるデジモン育ての親がそれにあたる
ただ、なかには、はじまりの街ではない場所に生れ落ちる個体が少ないがいる。あのコロモンもそういった子だ」
「たまたま、運良くこのはじまりの街に辿り着いた子なんです
それなのに、すぐに親と呼べるデジモンもいなくなっちゃって…」
「そうなんですか…」
「環境も違えば感じ方も考え方も変わる。親たちの失踪はあの子なりに他の子と違う思い方があるんだろう」
「…」
勇太はコロモンと…光を見ていた。

「家族って…なに？中二病？あぁ？こっちじゃ伝わんないのか面倒ね…なに小難しい事考えてんのよ」
「僕みんなと違ってひとりで産まれたんだ
そういったものだと思ったけど…ここに来てみんなは違うってここに来てはじめて気付いたんだ」
　光は目線こそ合わせないものの耳は傾けていた。
「なんかザワザワしたけど、安心したんだ…その時は楽しくってこれが家族なんだって」
「…」
「でも、お母さん達がいなくなって…みんなと一緒に泣いてたけどケンタル先生達が来て…みんなまた明るくなってお母さん達がいる時みたいな…なんか上手く言えないけどお母さん達ってそんな簡単に誰かと換わりが利くものなのかなって…そしてら僕もツノモン達を家族…みんなどうでも良くなるのかなって…」
「…」
　しばらく、無言の時間が流れた。口を開けたのは光だった。
「…家族たって所詮他人よ。家族ってだけで永遠に心を縛られ続けるなんてそっちの方がゾッとするわよ。
…それに」

「それに？」
「…別に使い捨て品みたいに捨てて忘れる訳じゃないわよ良くも悪くも思い出になって心に残るの。
もひとつそれに、んなことであんたが落ち込んでたらあんたの大好きな母さん達だって悲しむでしょ？自分のせいで泣かれてウジウジされてちゃ胸糞悪いじゃない。
あいつらだってそれが分かってるのよ
ま、好きにすればいいじゃない。自分の心を他人に分かった風に思われてああしろこうしろなんて言われるのなんて私もムカつくしね」
「…」
「でも、私はね変な意地張る事はやめたわ」
「なんで？」
「こ恥ずかしいけど意地張って…新しい家族を遠ざけるなんて馬鹿みたいだから…
家族は…絆はあるものじゃなくて感じるものでしょ…誰かとまた作れるのよ」
　光は勇太達を静かに眺めた。コロモンにはその眼が印象に残った。

「なあに付き合ってみて、違うと思ったら捨ててやればいいのよ。でも意地張って最初から遠ざけて独りって馬鹿みたいじゃない」
「…」
　コロモンは何も言わずしばらく考えてからツノモン達の方へ行き遊びはじめたようだった。
「ふん、お礼くらい言えばいいのにやっぱり可愛くないわね」
　光はどこかそういった余裕のなさが自分に重なるように思えた。
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いつの間にか、光の後ろにデビドラモンがいた。
　デビドラモンは静かに光に頬ずりした。
「デビドラモンはずっとひかりのそばにいるよ…ゆうたもヴォ―ボモンも」
「ふん…余計なお世話よ」
(こいつの事嫌いよ…パートナーだか知らないけど繋がってこいつが自分だって思い知らされる。
それなのに、こいつは素直に自分の気持ちを臆面なく喋って同じくらい醜い姿になったのに…昔みたいにいられるのが…傍にいてくれるのが…妬ましい)
　光は静かに思った。
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暫く璃奈達の手伝いをしていると、重傷を負ったデジモンがひとりやって来た。
　ケンタルモンが言うには山手のテリアモン達の集落にいるグミモンだった。
「いかん重症だ！(ギュッ」
「あいつ…黒いリング付いて…みんな食べ…ちゃ…」
「喋ってはいかん！すまない勇太君！」
「俺達がこの子達の村に行きます！まだ生き残りがいるかもしれないし、それに黒いリングなら俺達が行かないと！」
「すみません！私達はこの子達も見ないと…今行きます！」
　瑠璃達は慌ただしくはじまりの街の中に消えて行った。
　勇太達は顔を見合わせ、心配そうなデジモンに別れを告げた。
　そこにはコロモンもいた。
「お姉ちゃん気を付けて！…あと、ありがと」
　ツノモン達と一緒にいる。
　光は少しだけ笑い踵を返して勇太達とテリアモン達の村へと向かった。
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オワリ

着々と物語が進んでいる

>「…ふーん…あっこらスカートの中入るな！何見てんのよ勇太！！」
この台詞だけで戦える

光ちゃん小学生の家族感じゃないし重いよ…

意地はって最初なら遠ざんなか
本当はこんな言葉出る環境のほうが……ね……

デビドラモン好き〜

腐れ縁で産まれる擬似家族大好き

相変わらず顔が溶けて台無しだな

赤字にならないと出てこられないアカトリモン野郎