台風、それは厄災であり、恵である。 その風と雨は人々や大地を傷つけ不幸を振りまく、反面乾いた大地を潤し水瓶を満たす。 このように厄介であるがないと困る者である。 さて、このトレセン学園では、台風は基本的に厄介者である。 走れなくなるし不良馬場になるしで、いいことなしである。 そしてその台風のせいでおかしくなったウマ娘が一人。 「はなせ!田んぼの様子を、田んぼの様子を見に行かないとダメなんだ!」 「ダメっす!行かせないっす!」 牛柄雨合羽を着て田んぼの様子を見に行こうとするハクマイを、シゴナナイチバンが止めていた。 如何も田んぼの様子が気になる方だが、外は大雨であった。 「ボクの田んぼなんだよ!僕が管理しないと!」 「だからって今はダメっす!」 「何事ですかいったい」 「ゲンクロウ!このハクマイを引き留めるのに手を貸してほしいっす」 「承知した」 たまたまやって来たのはサキガケゲンクロウ、シゴナナイチバンとは少し近しいウマ娘である。 頼まれると一緒にハクマイを拘束する。 「離せ!田んぼの水調整をしないと!」 「落ち着くっす!」 「拙者でもわかる、落ち着いてください!」 二人に高速され、ハクマイは室内に戻された。 ハクマイのお米に駆ける情熱は本物ではあるが、こういう時は困りものであった。