千本桜 冥梨栖が日竜将軍ラブリーデビモンとの戦いを終えてから、およそ小一時間が経った頃のこと… 彼女の下へアルファモンっぽい人がやって来た。 「そのデジモン…貴様は日竜軍だな!」 「違いますわ。」 冷やし鯛茶漬けを食べてお帰りいただいた。 そのすぐ後… 「たぎる怒り身に潜む狂気が全身で叫ぶのさ!お前の存在を許さない!と」 妙な話し方をするおかしな客が来た。面倒だったのでさっきまでラブリーデビモンだったものに相手を任せた。 そのまた数刻後 「なんだなんだ?ケンカならオレ達に任せな!」 「ここら辺で爆発があったような…ん、君はいつかのオジョーサマちゃんか。ケガはないかい?」 ストライクドラモンを連れたテイマーがやって来た。以前に冥梨栖が出した依頼を請け負った人物で彼女とは見知った間柄だ。またイレイザーからの刺客に付け狙われている旨を伝え、討伐に向かって貰う事にした。 そしてまたしばらくして…… 「見つけたぞ。貴様だな!日竜将軍を手にかけたという小娘は!ならば貴様を倒せばこの俺様が日竜将軍というわけだ……これでもうホムコールモンの野郎にデカい面されずに済みそうだぜ!」 その口ぶりから恐らく水竜軍の者であると思われるマリンデビモンがやって来た。 「またですの……?」 釜で米を炊いている冥梨栖が呆れた様な口調で答える。 「俺様がただのマリンデビモンだと思ったら大間違いだ!本来ならば俺達が次期水竜将軍になる筈だったのだ!あの忌々しいホムコールモンが出しゃばってさえ来なければおわぁあああ!!」 意気揚々と自分語りをしている最中に冥梨栖から強烈なカーフキックを貰ってしまうマリンデビモン。 「貴様、何をする!?」 「いい加減にして下さいまし……人がせっかく気分よく鯛茶漬けを売ろうと思っていたのに邪魔をして…………」 冥梨栖はマリンデビモンの触手を一本鷲掴みにするとその巨体ごと宙に浮かせて力任せに地面へ叩きつけた。 「がはっ!?」 地面に強打したマリンデビモンが悲痛な声を漏らす。 その後も冥梨栖の容赦ない攻撃は続いた。何度も何度も叩きつけられ、マリンデビモンの体は別のデジモンへの変異を始めていた。 その様子を眺めている一人の少年の存在に冥梨栖が気付く。 トリケラモンを連れたその少年の名は三上竜馬。目が合う冥梨栖と竜馬。ギュウキモンに変化したマリンデビモンがそそくさと立ち去る。 冥梨栖はぶりっ子の様なポーズを取りながら、普段より1オクターブ高い声で言葉を発した。 「怖かったぁ〜」 間の抜けた効果音と共に竜馬とトリケラモンが盛大にずっこけた。