�@その日、日が堕ちても本来灯く筈の街灯はつかなかった。
そこには暗雲と満月が煌々と街を照らしていた。
街全体には奇妙な膜のようなものが覆われ入る事は出来ても出る事は叶わない状態となっていた。
天眼教のテロ紛いの宣言が各報道局に伝えられ、本来祭りで賑わう筈の大通りには一般のひとはほぼおらず、スクープを狙うマスメディア、厳戒態勢の警察。そして一時的に一般のひとが避難している避難所から抜け出してきた野次馬のみとなっていた。
静かに。天女のように舞い降りた。
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�A天玄がひとり、歩いたように見えた。
次の瞬間天玄の影から多くのデジモンが現れた。その容姿は一般のデジモンとは異なり多くの眼があった。
それは全てイソノインナナヨの眼であった。
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�B消えた筈のテレビには映る筈のない画面を眺める少女。
それに駆け寄る母親の眼を抉られた。
その場から耳を澄ませば外からは多くの同じような絶叫がいくつも響き渡っていた。
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薄く灯いている光が巨大な影を照らす。
隠れようともその産み出される眼で見つけ出され、目を合せる事となった。
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「見つけた。」そう書かれた新聞が家宅、商業ビル問わず窓ガラスが割れ屋内へ雪崩れ込む。
眼玉を抉り抜かれた者は周りの者の眼玉を抉ろうとウィルスのように感染していく。
そこには猫あるいは人のの死体が転がっていた。
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どこからいつ現れたのか分からないパレードが高らかに音楽を響かせ、花火を上げ道化が踊り狂っていた。
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止めようと待ち構えた警察隊はそもそもパレードへ遭遇することもなくその手前で多くの影に見守られ一人残らず目玉を抉り抜かれた。
被害はこの街だけではなくこれが映し出された先にも起こっていた。
最早放送を止めるものは誰もいないただ広がるだけであった。
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神輿が暗闇の中をゆっくりとこの世の唯一の光のように煌々と周りを照らしながら進んでいく。
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神輿の上でひと高笑いを続ける男の元へ目玉を抉り抜かれた人々は群がっていた。
我が子を群衆に擦りつぶそうが先刻まで愛を呟いていた恋人を跳ね除け踏みつぶされようが誰もが大切な何かを全て投げ捨ててもひとりの男を讃える声を上げ恍惚とした顔をしている。
それは正しく神が望んだ地獄であった。
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�C誰もが天玄に見下ろされている中、月を背に見下ろす影があった。
天玄はそれに気付き見上げる。
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�D「見下ろすなよ。夜光 月彦。」
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�E轟音と共にビルに月彦とガッコウガルルモンが叩きつけられる。
すかさずガッコウガルルモンが背面の三日月状のプレートを分解し、飛ばしアバドモンの攻撃を防ぎつつ、各プレートからレーザーを飛ばし攻撃に転じた。
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�Fしかし、レーザーはアバドモンの外殻には傷を付ける事はできずそのままアバドモンの体当たりでビルは倒壊する。
「やはり、駄目ですね月彦。私達単体の火力ではダメージは見込めないようです。口内の眼球すらダメージを与えられないとは…」
「残る手立ては…３つ」
「私達だけでは２つでしょう…アレを試すしかないですね。頼みますよ月彦。」
「…やろう。」
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�G煙から天玄とアバドモンが触手を伸ばし迫って来る。
「ははっは！！！！来ると思っていたぞ夜光 月彦！！偽善者然したお前は！周りの為とかほざいて、私の前に立ちはだかるだろうとな！」
「僕はあなたみたいに独り善がりじゃないだけだ！」
「調べは付いてんだよ！お前は俺だ！鼻持ちならない！何もない伽藍堂だからお前は他人に手を手を差し伸ばす！！」
「だから…！？」
「そりゃあただの欺瞞だ！ただ弱くて周りの眼を集められないからそんな偽善をする！ただ俺は違う！全てをこの世を俺だけに釘付けにする事ができる！」
「どんなに強者ぶったところで他人がいなきゃそんな事バカみたいな妄想すら出来る訳ないだろ！」
「できるさ！この力が！イソノインナナヨの力があれば！強者も弱者も社会も孤独も全てを俺の意のままにできる！
お前は生贄だ！俺が前にいた世界の線を越えるための！お前を殺して私は初めてこの世に産まれ落ちる！」
ガッコウガルルモンがプレートを刀状にし、触手を切り裂きアバドモンに接近する。
月彦、天玄の眼が交差した。
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�H天眼教の施設地下をりんね、鉄華達は進んでいた。
地下道には水が張っており、点々とある蝋燭のみが薄く照らすだけであった。
「ちょっと鉄華。くっつくと歩き辛いでしょう。」
「だって…なんか出そうじゃん。」
鉄華は怖いのかりんねの袈裟の裾を掴んでいる。
「そんな事ぐらいで…あんたが自分がここに来るのが適任って言ったんじゃない。」
「そうだけど…」
「ああ、もう！分かったわよ。ほら手繋いで…鉄華。出たわよ。」
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�Iゆらり、ゆらりとりんね達の前に歩く影があった。
それは、何かしらの術式を施されたであろうガイオウモンと伽夜子…イソノインナナヨであった。
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�J「行きな鉄華。こっからはあんた達ひとりの仕事よ。」
「…」
「大丈夫。化物ならもう目の前に出てるわよ。それに、この化物は私と」
「我がなんとかする…！」
りんねのデジヴァイスが輝きカブトシャコモンがサムライレガレクスモンに進化する。
「ふん。気ぶり蜥蜴め随分と情けない姿ではないか。武人の端くれとは思えんな。」
「…ぃ…ィィ」
「口も碌に効けなくなったか。所詮は蜥蜴よ。」
「ぃ…いぁざあああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！！！！！」
「尋常に！！！！」
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�K轟音と共に天眼教の施設の屋根が突き破られる。
吹き飛んだ煙からガイオウモンが飛び出す。
追撃するようにサムライレガレクスモンが刀を振るおうとしたが伽夜子が放った護符で抑え込む。
「ぬっ！？」
押さえつけられている間にガイオウモンがサムライレガレクスモン弓を放とうとした。
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�L瞬間りんねの護符を巻いた数珠がガイオウモンの右手が吹き飛ばした。
空中を舞い着地したガイオウモンの右手は既に通常とは違う黒い触手のようなものに生え変わっていた。
「ふん。畜生以下に堕ちるとはな。」
「言ってる場合！？全然防ぐので手一杯じゃん！」
ガイオウモンの右手が幾つもの触手へと分裂しサムライレガレクスモンに放たれる。
伽夜子の護符をなんとかりんねが弾きとばしても確実に押されている。押し切られるのは時間の問題であった。
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�M「お待たせ！見つけたよ！」
上空から声がする。そこには鉄華とサイバーウォーグレイモンがいた。
鉄華がパックをガイオウモン目がけ投げそれをサイバーウォーグレイモンが打ち抜き中の液体がガイオウモンと伽夜子にかかる。
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�N「でかした鉄華！危ないとこだったわ！」
ガイオウモンと伽夜子の動きが目に見えて鈍くなっている。
間髪入れずサムライレガレクスモンがガイオウモンに一閃を叩きこむ。
「頭を冷やせ愚か者が。」
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�O「数は？」
「そこそこあるけど、今なんとか量産してる。これから雨だしそれに混ぜ込めればなんとかすぐに街のひと分は。」
鉄華が単独行動をし探していたのは転移性人癌ウィルスのカウンターナノマシン…イソノインナナヨへの対抗ワクチンであった。
ワクチン関係のシステムはスタンドアローンであり面子の中で情報系に唯一優れている鉄華が来る必要があった。
「あっ…う…あ…」
喘ぎ声にもなた声と共に伽夜子の身体からナナヨが抜け落ちるのが目に分かった。
そして、りんねが来た理由は鉄華の保護者兼
「こりゃあ男共じゃ駄目よね。」
月彦の話で察していたが、ほぼ全裸な伽夜子に衣装を貸し出す為であった。

「君は…鞍馬さんだったね。そうか…随分迷惑をかけたようだね…」
「いいえ、お互い様ですよ。ま、この機会にうちに依頼を分けてくれたらありがたいとか思ったりして」
「ははっなんだいそれは。現金だね。君のことが好きになりそうだよ。
…そちらの小さいレディもありがとう。」
「あっはい。」
りんねの影に隠れてる鉄華は小さく返事をした。
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�P「全く番犬程度には使えると思ったのですがね。」
施設の入り口から天玄の側近の園田 響子とエンジェウーモンが姿を現した。
「随分な扱いだったね。私でも死んでたかもしれないよ。憂さ晴らしとしてはちょっとやり過ぎなんじゃないかい？」
「…今、そのワクチンを使われる訳にいきません。最悪全てを消し去る事やむなしでしょう」
「はんっ！３対１しかも究極体と完全体でどうにかなると思ってるの！？」
園田がデジヴァイスを掲げる。
「やり方次第でしょう。ハイパーバイオ・エボリューション。」
園田の身体が人間から変化していき、レディデビモンへと変わっていった。
「な…な…あれありなの！？」
「ごめんなさいねエンジェウーモンこんな事に付き合わせて…」
「…お慕い申しております。お姉様…。」
「レディデビモン…エンジェウーモン。ジョグレス進化。」
ふたりの身体が歪に結びついていく。
「マスティモン。」
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�Q「しゃあねえの伽夜子殿。もう一発やるっきゃねえか。おい。助平魚介類。あれだけデカい口叩いたんだ。力貸せよ。」
「ふん。恩知らずの気ぶり蜥蜴が。」
「僕達も行こう鉄…」
間髪入れずマスティモンから砲撃が飛んでくる。
「ちょっとどうなってんの！？普通こういうの待つもんでしょ！？」
「りんね！進化！早く進化！死んじゃう！進化はなくて昇天しちゃう！」
「待ってよ！こんなんじゃ集中できないわよ！」

「おい蜥蜴！しっかり守れよ！絶対そこ動くなよ！」
「ふざるな！なんとかガイオウモンになれたがこっちも中途半端で！」
「なんて威力と連射だ！パルス・ヴェールが何重にも重ね続けないとなんて。」
「エンジェウーモンどのくらい出せますか！？」
「ここで決着付けるならお姉様が望むだけ！私が干からびるまで！」
「ふむ。私に考えがあるみんな付き合ってくれないかい？」
「この状況で随分冷静ですね！！！？」
「鉄華君ちょっと耳を拝借。」
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�R「うおら！！」
全面が爆炎に包まれている隙を突きヨロイダゴモンがマスティモンに切りかかる。
が、視線を写さずレディーデビモンに受け止められる。
「ぬっ！？」
すかさず正面からもガイオウモンが斬りかかるがエンジェウーモンに止められる。
「こら！！助平魚介類！なんで完全体なんだ！？やる気あるのか！？」
「阿呆が！どっかの馬鹿蜥蜴を助けた後であの状況でここまで進化するだけでも精一杯だ阿呆！馬鹿蜥蜴！」
「喧嘩しない…で！テンペスト・スラッシュ！！」
「カオスディグレイド！！！！！」
サイバー・ウォーグレイモンが着切りかかる直前にマスティモンはゲートを作り出し周りの物がゲートへ引き込まれていく。
「今…だ…！…あっクソ…！」
サイバーウォーグレイモンから光線が放たれ一体が光に包まれる。
「あああ！！！」
サイバーウォーグレイモン達がゲートに吸い込まれゲートが閉じる。

「はぁはぁ…さて、勝負…ありましたね。残念ですが人間だけと…子どもばかりといっても逃がす訳にはいきません。ここで死んでもらいます。」
「そちらこそ随分と息が上がってるじゃないか。」
「人間とデジモンでは疲労は同じでも力は等価ではありません。技が撃てなくても切り裂く事ぐらい容易ですよ。」
「分からないね…あんな男にそこまで尽くすなんてね。」
「私から見ればあなたも…お互い様ですよ。あの人の何を知っているのですか。」
「帰る場所って言ってたね…お互い突っかかるのは似たもの同士なのかもね…ただ、私と君とじゃ履いている靴が違うよ。鉄華君！」

瞬間風景が歪みそこからサイバーウォーグレイモン達が現れた。
「馬鹿な！？確かにゲートへ！？」
「2つだ…デジモンになる事で弱点であるハッキングを受けるリスクも背負う。しかも慣れてない人間なら尚の事侵入された事に気付かない。君の眼はとっくに盗まれてたのさ。」
「いくよ！サイバーウォーグレイモン！テンペスト・ショット！」
「そして２つ死ぬ気だからそうだけどバカスカ打ちすぎだよ。」
「くそ！！！！」
サイバーウォーグレイモンから放たれた光線をマスティモンが防ごうとするが先程までの威力はなくそのまま光線に呑まれた。
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�S泣かないで玄ちゃん…お母さんもお父さんもいなくても私がいるよ。
玄ちゃんは先代の天山の愛人のの子であった。側室でもない教団の人間でもない人間との子供。
天山の種の問題なのか出来た子供は玄ちゃんだけであった。
母親は玄ちゃんを引き渡す為の金を受け取って親権を手放し消えた。
私は秘書である第４夫人と別の男との間…とはいっても天山に黙っての関係。正直、私自身天山の…玄ちゃんとの腹違いの兄弟なのかもしれない。
世継ぎに男を欲しがった天山は玄ちゃんを後継とし、私は同年代のお世話係になった。
誰もが玄ちゃんを世継ぎとしか見ていない。天山自体も世継ぎとしか玄ちゃんを見ておらず放っておかれていた。
私はなんとか唯一の肉親の気を引こうと頑張る姿と寂しそうにしている玄ちゃんの姿しか知らない…
例えこれが間違った事でも…私達が生きた…私が生きた世界にはふたりしかない。だから私は…

「生きてる…」
「あぁ…鉄華君に感謝したまえ。絶妙なパワーバランスだったよ。」
「伽夜子さんが頼んだんでしょ。」
「本当に大丈夫なんでしょうね。そいつ。」
「エンジェウーモンは…」
伽夜子は顔で示す。そこにはデジタマがあった。
「…ごめんなさいね。」
「いい子だよ。最後までパートナーを庇ったんだお前さんこいつに感謝しな。」
「…なんで殺さなかったの。」
「言ったろ似たもの同士だって…私も帰りたかった…帰る場所が欲しいと思ったんだ…
すまないが多分我々は天玄を殺す。手加減できる要素もないし、天玄だって引かないだろ。」
「じゃ…あ…」
「運がよければ…せめて…最後くらいね…。」
「…」

結局どんなに強がっても最後に感じたのは…顔を見たい…また…あの頃みたいに…。
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スレ落ちたら後編上げるね

うお…すげ…かっけぇ…

相変わらずいいモン描くなぁ
好きだぜ

すげぇ…前半部分のこの世の終わり感が半端じゃなく怖い！

いいですよね
モブの命が軽い世界観

イソノインナナヨ百鬼夜行すげえ…

わあいかっこいいおっちゃん
かっこいいおっちゃん大好き

イソノイン伽夜子といいメギドナーガモンといい異形化はシコい

被害が劇場版クラスの大惨事過ぎる…！

虚空蔵公式ですがあんな滑り込みなのにしっかり出していただき誠にありがとうございます！

すいません誤爆しました…

りん鉄コンビすき

>すいません誤爆しました…
いいのよ「」ルモン！

あいにきてくれてありがとうございます
つきがきれいですね

りん鉄は子供と近所の姉ちゃんって感じでかわいい