二次元裏@ふたば

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708519 B24/08/02(金)22:12:04No.1217721735そうだねx6 23:22頃消えます
イモゲンチャーの自キャラ怪文書を書きました!
ホーリーエンジェモンと元サッカー少年のバディものです

第2話になってます!例によって楽しすぎて文章多めになってます!
時間のある時にでも読んでもらえると嬉しいです!!

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自キャラ
長峰草太&ホーリーエンジェモン(No.349)
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パンドラモン240521版 (No.171)
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/08/02(金)22:13:17No.1217722241+
1話(前後編)はこちらとなります

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以下、2話の冒頭を10レスほど貼っていきます
224/08/02(金)22:14:44No.1217722841+
0.
薄暗い雑居ビルに人影が一つ。直立不動のまま、身じろぎ一つしない。
見れば全身に真っ黒に染まっている。もし近くでその姿を見たならば、黒いタトゥーが幾重にもその肌に刻まれいることが分かるだろう。時々、黒いタトゥーは表皮を蠢いている様子に気づくこともできる。
人影の傍らに小さな小箱が置かれている。手のひらほどのサイズで、6面全てに口や目が描かれていて、ぎょろりと目があたりを眺めまわしている。
この小箱こそが、人影を操る主であり、この街へ今なお災いを振りまき続ける災厄の化身、パンドラモンだ。
人影からは黒い靄がしみだしている。タトゥーが蠢くたびに、人影からもうめき声が上がり、その苦悶の響きが靄を生み出している。靄は風になびく様子もなく静かに漂い、パンドモンへと吸い込まれていく。そのたびに、パンドラモンが嬉しげに目を細める。
324/08/02(金)22:15:57No.1217723337+
人の苦しみを糧とする邪悪なデジモン。かつてデジタルワールドの聖なる天使型デジモンたちに封印されていた最悪のデジモンが、封印を抜け出しリアルワールドに現出している。
パンドラモンに囚われた人影──哀れな少女に出来ることはなにもない。苦しみも恐怖も、何もかもがパンドラモンの餌として奪われていく。
終わりのない苦しみに身を焼かれる少女の絶望はパンドラモンにとっては甘露そのものだ。

救いの光は届かない。ただただ少女の嘆きが暗闇に溶けていく。
424/08/02(金)22:17:09No.1217723848+
1.
明るい日差しがカーテンを照らすお昼時。長峰家にもお昼ご飯が食卓へ並ベられていた。
つやつやのご飯にお味噌汁──今日は大根と豆腐、アジの塩焼きに漬物がいくつか。どれも出来上がったばかりで、いい香りが部屋に広がっている。
その食卓を囲むのは三人。家主である長峰草太と、その契約者であるホーリーエンジェモン、そしてパンドラモン捜索を行っているテイルモンだ。
草太がホーリーエンジェモンの厳しくも鬱陶しい指導の元に作り上げた料理は、盛り付けにまで気を使っており見栄えもいい。ホーリーエンジェモンからすると落第ギリギリの手際ではあるが、それでもインスタントとレトルトに頼り切っていた当初からすると中々の上達振りである。

普段は草太とホーリーエンジェモンだけの食卓だが、今日はテイルモンを招いての食事会だ。パンドラモン捜索に向けて、作戦会議を兼ねて草太がテイルモンを食事に誘ったのである。
かなしいかな、テイルモンは一般的なテーブルでは手足が届かないため、椅子に座布団を重ねて即席で作った子供席に座っての食事である。
524/08/02(金)22:19:06No.1217724615+
いただきますの声も揃って、早速食べ始める。
草太は初めに味噌汁を一口。出汁の取り方も手慣れたものだ。味噌の具合も丁度よい。手前みそながら上出来なのではなかろうか。内心これなら文句も出るまいと考えている。
が、なかなかうまくいかないのが料理初心者というものである。
早速テイルモンから声が上がる。

「あら、このお漬物がってしまっていますね。」

猫パンチくらいしかできなそうな手ではあるが、テイルモンは器用に箸を使いこなす。天使型デジモンの一端たるもの、テーブルマナーも心得ているようだ。薄切りにしたはずのきゅうりが、見事に繋がったままテイルモンの箸にぶら下がっている。

「…ちょっと包丁の入れ方が浅かったな。まあちぎって食べてくれ。」
「貴様はいつになったら包丁の使い方を覚えるんだ?」
「うるさいな、味に変わりはないんだから我慢しろよ。」

気心もしれたテイルモンであっても客は客だ。内心上々と思っていただけに、ホーリーエンジェモンの指摘がグサリと刺さる。
ため息をつくホーリーエンジェモンを尻目に、上手に箸で漬物を取り分けて口に運ぶテイルモンはこの上なく楽しげであった。
624/08/02(金)22:20:17No.1217725109+
***

元サッカー少年と傲慢天使に猫もどき。
口を開けば売り言葉に買い言葉、罵倒が出ない日はない草太とホーリーエンジェモン。どこにでも入り込んで情報収集に勤しみながらも、主婦の噂話が気になるテイルモン。どうにも締まりのない三人であるが、この街をパンドラモンの脅威から救い続けている三人でもあった。

***
724/08/02(金)22:21:17No.1217725560+
食卓は静かに進む。基本的に草太とホーリーエンジェモンは仲良く話をする間柄ではないので、お互いの失点が目につかなければこんなものである。
きれいにアジの塩焼きを骨だけにしていくホーリーエンジェモン。その雰囲気は普段のだらけた姿とは比較にならない真剣さである。
食感が気に入ったのか、延々ときゅうりの漬物を食べ続けるテイルモン。立ち振舞も言葉遣いもたおやかさのあるテイルモンではあるが、美味しい美味しいと同じものを食べ続ける様は見た目相応だ。
食事のさなかではあるが、草太が本題を切り出す。

「食べながらでもいいから聞いてくれ。最近の状況についてだ。」

箸を止めることこそないが、二人の注意が草太に向く。

「多分だけど、パンドラモンは俺たちを探っている。実際に動ける戦力と行動範囲、対応能力をだ。」
「先に根拠を言え。」
「ここ最近出てきたデジモンを考えてみろ。」

一口味噌汁で喉を湿らせる。
824/08/02(金)22:22:18No.1217725990+
「ちょっと前にデカい木のドラゴンが出てきただろ。あいつは確か完全体だって言ってたよな?」
「そうですね。エントモンです。ホーリーエンジェモンと同格、いえ、同じ完全体でも上位のデジモンですね。」
「私の敵ではなかったがな。」
「それはパンドラモンに操られていたからでしょう?」

無駄にマウントを取りに行くホーリーエンジェモンをテイルモンがたしなめる。この大天使は大体誰に対しても対抗心をむき出しにするので、まともに取り合うだけ時間の無駄だ。

「そこはどうでもいい。要は、用意することのできる中で、ほとんど最上位のデジモンを出してきたってことだ、大事なのは。
でもその力押しはホーリーエンジェモンに押し返されている。ただでさえ今までさんざん邪魔してきたのが俺たちだ。そのために虎の子まで出しても排除できなかったわけだろ。じゃあ次はどうするかって話になる。」
「確かにな。普通ならそうなる。だがパンドラモンの脳みそはそこまで上等に出来てるか?」
924/08/02(金)22:23:30No.1217726468+
「それは知らん。テイルモン、確認するけど、その完全体より強いやつ、究極体?が出てくることはないとみていいんだな?」
「それは間違いありません。パンドラモンが脅威であることは確かですが、ゾンビタトゥーは完全体以上に対しては強制力がかなり落ちます。動かない相手にひたすらゾンビタトゥーを打ち込み続けるような条件でもない限りは、究極体が操られることはあり得ないでしょうね。」
「そうだといいがな。言っておくが、完全体のエントモンですらあのざまだぞ?」
「エントモンは究極体ではありませんよね?」
「分かった分かった。可能性としてはかなり薄いってことで理解しておく。」

ここまででようやく前提である。いちいち混ぜっかえされるせいでなかなか話が進まない。
まして食事中でもある。自然と話が途切れ、味噌汁をすする音、漬物を楽しむもの、おかわりをしに行くものとそれぞれに食事を進めていく。
1024/08/02(金)22:24:33No.1217726926+
「今まではデジモンの数を増やしたり、エントモンとかそういうでかいデジモンを使ってきてたよな。でも昨日はやたらと小さいデジモンばかりで、おまけに逃げながらちまちま攻撃してきてた。明らかにこれまでとは毛色が違ってる。
俺たちより弱いやつを数だけ用意する意図はなんだ?今までの戦いからしても敵わないことは分かってたはずだ。
もし考えなしの行動でないのなら、これは試しだ。モルモットよろしくいろんなタイプのデジモンを嗾けて、俺たちがどこまでなら対処できるのかを調べている。俺はそう考えてる。」

パンドラモン自体のことを草太はあまり良く知らない。その実力や悪意については、ホーリーエンジェモンとテイルモンからの伝聞である。長く封印されていたデジモンであり、それなりに弱っている可能性だってある。
だが、弱く見積もるのが悪手であることは言うまでもない。ホーリーエンジェモンとテイルモンの判断次第になるが、改めて草太は戦うべき相手のことを知る必要があると感じていた。
1124/08/02(金)22:25:35No.1217727409+
これまで通りの、戦えるから戦うなどというスタンスでは致命的なミスが起きる。
元とはいえ、将来を期待されるサッカー少年だったのだ。格上相手にガチガチの対策を決めて大金星を上げたことも、格下だと舐めてかかって無様に負けた経験だってある。だからこそ自身と相手の評価を正しく行う必要がある。

「弱いデジモン相手ならテイルモンも戦えるし、問題なかった。力押しもダメ、数で押すのもダメ。なら次はどんな手で来る?
パンドラモンは俺たちの弱点を探してる。だから少しでも対策を考える必要がある。違うか?」
「まずもって、貴様自身が最も大きな弱点だということを思い出すことだな。」

ホーリーエンジェモンが立ち上がり、食器をまとめて流しに持っていく。

「そこを私たちがフォローするんですよ、ホーリーエンジェモン。草太さん、なるべくホーリーエンジェモンか私から離れないようにしてくださいね。」
1224/08/02(金)22:26:47No.1217727943+
食器を重ねようとするテイルモンを制して草太が立ち上がる。さすがに客人に片付けなどさせられない。ソファーで待っててくれと言って片付けに入る。テイルモンはおとなしくソファーに向かい、上品な仕草で腰をおろす。柔らかさが気に入ったのか、肘掛けに手を当てて反発を楽しんでいるようだ。

「爪研ぎはするなよ。」
「しませんよ!私をなんだと思っているんですか!」
1324/08/02(金)22:28:35No.1217728741そうだねx2
導入は以上です!
残りはテキストから読んでいただけるととても嬉しくて嬉しいです!

ちなみにあと1話か2話位で完結の見込みです
誰得というか俺得な怪文書ですが、お付き合い頂ければと思います!!
1424/08/02(金)22:37:57No.1217733033+
相変わらずすげえ分量だな!
1524/08/02(金)22:47:07No.1217737143+
あぐらホーリーエンジェモン好き
1624/08/02(金)22:49:19No.1217738235そうだねx2
校正とかするたびに何故か増えていくんですよね
はじめに出来上がった時は1.5万字くらいでした!
1724/08/02(金)22:54:00No.1217740222+
まだ読んでる途中だけどいつも飯の描写がうまそうだな…
1824/08/02(金)22:58:32No.1217742180+
>校正とかするたびに何故か増えていくんですよね
>はじめに出来上がった時は1.5万字くらいでした!
伸びるよね
不思議なことに


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