戦車が治療されているか、それともバラされてジャンクにでもされそうになっているのか。
この工場がどういう目的で運用されているか断定はできないが、
究極体なんて物騒なもの用意されているからには恐らく後者なのだろう。
ひとまずあの女の動向を窺うために、物陰に隠れる。
この人気のない建物の中で貴重な手がかりだ。
女は扉を開け、外へとムゲンドラモンを連れ出していく。
背中のキャノン砲が通常個体より大きく、工場から大小様々の管や線が接続されていた。
固定砲台のように運用しているのだろうか？
女がコンソールをいじると、名前もわからぬ機械類が唸り声を上げる。

「二号機。目標は時空転移ゲート。収束ムゲンキャノン充填開始。発射10秒前…9…8…」
ああ…もう考える必要もないな。置いてあった配管を手に取って駆け出し、背後から女の頭を砕いた。
制御系と思しきコードを引き千切り、コンソールも叩き壊しておく。
ムゲンドラモンはこの狼藉に反応もせず、無言で空を見上げていた。
指示がなければ動けないらしい。

生かして色々聞いたほうがよかったか？
いや、抵抗されて発射された場合を考えるとあれでいいな。
ともあれろくでもない施設であることはよくわかった。
戦車を早く探し出さなければならない。

「びっくりするなー…もう」
立ち去ろうとした背中から、不意に声が聞こえた。総毛立ち反射的に振り向いて配管を構える。
「私が人間じゃなかったら犯罪だよ。や、この世界に法律は無いか」

「…なにもんだてめェ、戦車はどこだ」
「名前はないし、別にあっても言う必要はないかな。処理させてもらうしね。
　こっちは言っておこうか。
　君のパートナーのタンクドラモンは、死にかけてたから改造させてもらったよ。ほらそこの二号機」

信じがたいことだったが、バイタルブレスの微かな震えが、それが真実であると告げていた。
目を見開き、ムゲンドラモンの顔を見上げる。俺を前にしても、戦車だったそれは微動だにしなかった。

「君がもうちょっと優秀なテイマーならオニスモン倒せただろうし、こんな姿になることもなかったのにねー。
　まっ、私としてはありがたいけどねー。…そこの人間を殺して、二号機」

「待て！戦車ァ！」
振り下ろされる鋼鉄の爪を、俺は跳ねるように避ける。
床が綺麗にえぐり取られた。究極体ともなれば一挙一動が容易にこちらを殺傷しうる。
しかし、避けられないわけじゃない。ひどく動きが緩慢だ。
「えーなにーいつもならもっと早いじゃーん。
　もしかして躊躇してるー？まだちょっと心残ってるのー？面倒くさいなー」
女が腹立たしそうに携帯端末を操作すると、通路から数体の白いデジモンが姿を表した。
「イオリルキメラモン、片付けちゃって。
　選ばれし子供がゲート通ってる間にぶっ壊さなきゃダメなんだから、早くしないとー」
「やっぱりそういう腹かこのビチグソ野郎…！」

イオリルと呼ばれたデジモンがこちらに襲いかかってくる。
爪牙を数回避けたまではいいものの、尾の一振りで身体が宙に浮き、壁に叩きつけられる。
肺の中の空気がすべて絞り出され倒れ込むが、どうにかすぐ立ち上がることができた。
防御に使った鉄管がひしゃげている。次はないだろう。

逃げるか？こちらはただの子供がひとり、相手は成熟期が複数。
人間相手なら攻撃をかいくぐって仕留めるのは不可能じゃないかもしれないが、
頭を砕いて生きてる存在を俺が殺せるのか？
それにあいつは戦車のことを二号機と呼んでいた。
つまり、戦車がこちらに襲ってこないと仮定しても、究極体がこの後ろに控えているのだろう。
勝てるわけがない。
ここで逃げたら、きっとゲートは破壊されて彼女らは死ぬのだろう。
しかしあがいても力の差は歴然としている。無謀というものだ。
勝てるわけがないんだ。

----------数年前、某国----------
物心ついた頃には親はいなかった。
孤児が集まった窃盗グループに拾われ育てられた。
幸運だった。少年兵の需要は高いし幼児の●●●●は高く売れるから、命があるのは奇跡と言っていい。
彼らはとても優しくて、役に立たない俺に飯と寝床を用意してくれた。
リーダーは快活で気のいい奴だった。
頭の回転も早くて、あいつの計画や指示に従うとだいたい上手くいった。
暇なときは遊んでくれたり、将来のためにとか言って、本を拾ってきて俺に読み聞かせてくれた。

みんな死んだ。
戦争で疲弊しているところに干ばつが起きた。
食い物は瞬く間に無くなり、口に入るものなら何でも食べ始めた。
やがてひとりふたりと倒れ、最後に俺だけになった。
骨と皮だけになったリーダーを食い終わったその日に、二ヶ月ぶりの雨が降った。

少しだけ食料も出回りはじめたころ、ひとりの行倒れを見つけた。
共倒れなんてごめんだと、素通りしようとしたのに、無意識に手が動いてしまった。
気づくと周りにはたくさんの子供がいた。
生活の術、知識。
この理不尽な世界で生きていくために、
リーダーの教えてくれたことはどれも役に立った。
あいつを真似して多くのことをみんなに話した。
もしもいつか俺がいなくなっても平気なように。

ある日砲弾が飛んできて、俺達の住処を吹き飛ばした。
みんな建物の下敷きになった。
俺だけが爆風で投げ出され、地面に転がっていた。
あいつららがいったい何をしたんだ。地獄に突き落とされる理由があるのか。

そんなものはない。
世界は良くも悪くも理不尽というだけだ。
たとえ俺がどれほどの努力を重ね、なにを願おうとも世界は変わらない。
個人があがいたところで、社会や国はゆるぎもしない。

生き残りを探そうと手足に力を入れようとするが、
強く打ち付けた身体は動かなかった。
何もできないままに意識が遠のいていき、やがて消えた。

目を開くと天国にいた。
緑が生い茂り、澄んだ清流の流れる森。
陽射しは優しく、穏やかな風が吹いていた。
果物や肉があちこちに生い茂って、食うに困ることはなかった。

戦車と出会ってしばらくしたころ、人間の子どもと出会った。
久しぶりに人間と出会えたのが嬉しくて、しばらく話し込んでしまった。
日本という裕福な国の出身らしい。身体に傷跡はなく、服装も身ぎれいだった。
はたしてこんなやつがこの世界で生きていけるのだろうか？
心配になったわけじゃないが、楽しかったのでついていくことにした。
それから多くの人間と出会った。
死なないようにこの世界での生き方を教えてやった。

そうやってあちらこちらに顔を出して離れている間に、、
仲間のノノが彼女の友人を助けようとして腕を失った。
着弾点が微かにずれていたら命は無かっただろう。
もしも救出作戦の話を聞いていたなら、絶対に俺は彼女を引き止めた。
究極体の集団に飛び込むなんて、地雷原で踊るようなものだ。
しかし、それでも俺は彼女を止められなかっただろう。あいつは俺よりもずっと強いから。
そんな彼女があっさりと負けた。力の差は残酷だ。
この世には個人では到底抗えない暴力が無数に存在する。
俺達は、多少力を身につけたとしても、脅威は避けるべきなんだ。

穏やかで楽しい時間が流れていたが、それも終わりらしい
世界は理不尽なものだ。
巨大な力、意味もない悪意、ただの不運。
それらにずっと俺達は轢き潰されていく。
諦めて
隠れて
逃げて

いやだ！

いやだ！！

いやだ！！！

いやだ！！！！！

戦車ァ…おまえ言ってたよなァ…
群れを守る戦士がどうとか…誇りがなんだとよォ…
俺は…

みんなを守りたいんだ！
ゲートは壊させない！
だから…だから…

「一緒に戦ってくれ…お願いだ…目ェさませよォ…ひとりじゃ無理だよぉ…」

「マ…モ…」
長い間、暗く冷たい世界の中で漂っていた。
そんな闇を切り裂くように、温かく安らぎを覚える光が流れ込んできた。
眩しさに目を開くと、マモが泣いていた。
バイタルブレスが煌々と光り輝いている。
「泣くな…そんな顔は見たくない…」
体がひどく重い。思うように動かない。しかしそれでも彼女をそっと抱き寄せた。
「戦車ぁ…ぜんじゃぁ…？」

金髪の女は頭をかきむしる。
「…デジヴァイスシステムでデジコアを修復した…？それともバイタルブレスにバックアップが残ってた…？
　いや原因の究明は置いとこう…ほんと面倒くさいな人間は…いままで起動もできなかったくせにどうしてこんな…
　…ここまで来たら工場ぶっ壊れてもいいよね…おいで一号機、久々に開放してあげる」
隔壁が開くと中にはムゲンドラモンが立っていた。全身につけられた拘束具が火花をちらして解除されていく。
「適当に暴れて、更地にしちゃって。その間にキメラモン取ってくるからさー」

「マモ、俺は気付いていなかった。ただお前を素行のなっていない餓鬼だと。
　しかしやっとわかった。お前もまた、群れを守る戦士だったんだな。ずっと戦っていたんだな。
　今なら心から言える」

「共に戦おう」
https://www.youtube.com/watch?v=53SE5Kfv0E8

無彩の鉄塊が鼓動と熱情に満ちた真紅に染まる。
光学センサの開孔が眼孔に変わり、
モノクロの世界が朱く鮮やかに色づいていく。

「なるほど…デジヴァイスの力とはこういうものか。道理であいつらが強いわけだ」

「お前は戦士だマモ。いつまでもべそかいてるんじゃない。指示をだせ」
少女が慌てて外套で涙を鼻水でくしゃくしゃになった顔を拭うと、いつもの調子で声を張り上げた。
「うるぜェぞ戦車ァ！
　目標ゲート閉門までの防衛！敵はこのあたりにいるやつ全部！
　雑魚は余波で蹴散らしちまえ！あのムゲンドラモンを片付けるぞ！」
「おう！！」

以上です！！！
この話だけはやらないとマモのキャラが成立しないから絶対出さねばと考えてたけど
森を再生したりウェディングドレス描いたりクッキー焼いたりVS琥白ちゃん書いたり
なんだかんだでとても出すのが遅れました
三ヶ月くらいオナ禁して一ヶ月シコシコつくったやつを吐き出せていまはとてもすっきりしている

>道は開いた…　あとだれかつ　つづ　つづいさん！
これが俺達の応えだああああああ！！！！！！

3Dモデルだと…！？

お姉さんこわいな？

いいねえ…これまでのスチルが出てくる演出は涙腺にくるわぁ…

動画勢！？

わぁバンクだぁ！？

CG勢まで現れちゃった…

３D動画…ダトォ！！？

すげぇ…

スレ文でマモちゃんはなるほど確かにSurvivorだなぁ…と思っていたら進化バンク流れ出した…

自前進化バンクまで出てくるとか凄すぎるぞ…

どうなっているんだ…

>いいねえ…これまでのスチルが出てくる演出は涙腺にくるわぁ…
手書きならいけるな…と思ったけど
アルバム一回吹っ飛んだせいでテルコちゃんのスチルをブライダルイベをもとに新造したのはないしょ

>>いいねえ…これまでのスチルが出てくる演出は涙腺にくるわぁ…
>手書きならいけるな…と思ったけど
>アルバム一回吹っ飛んだせいでテルコちゃんのスチルをブライダルイベをもとに新造したのはないしょ
おお…

力作すぎる…と思ってたらなんかバンクまで出てきた…

すげえ！
おもしろ…って読んでたらバンクまで来た

マモちゃんすげえぜ…！！そしてノノちゃんの後ろ姿がかっこよくもあり哀愁…

マモは凄惨な体験をしたうえで超ストロングメンタルなので楽しく生きてます
人懐っこい性格なので他人と関わりたがる一方で
失うことが怖くて深い関係になるのを嫌がっています
でもやっぱ楽しいので弱いやつ（主観）を守ってあげてるだけという言い訳を自分の中でしてます

なんでこの祭りこんな気合はいった動画たくさん出てくるの…

>スレ文でマモちゃんはなるほど確かにSurvivorだなぁ…と思っていたら進化バンク流れ出した…
MAKUAKEにしようか悩んだけど
鉄血の話と似通ってる都合でびっくりするくらい歌詞があったからせっかくオリジナルだし…！！

今までの旅のお手描きの回想がすごく綺麗で進化バンクもとても面白かったです
カオスドラモンめっちゃかっこいい…
改めてテルコと仲良くしてくれてありがとうございます！いっぱい泣いちゃった

今までの思い出と進化バンクにちょっと泣いた

>3Dモデルだと…！？
ははははイラスト描いたりキャラのクッキー焼いたり美少女プラモ塗装して布服着せたり簡易ドールハウス作ってるやつが3Dに手を出していないといつから錯覚していた

うお…すげぇ進化バンク…

>>3Dモデルだと…！？
>ははははイラスト描いたりキャラのクッキー焼いたり美少女プラモ塗装して布服着せたり簡易ドールハウス作ってるやつが3Dに手を出していないといつから錯覚していた
まいったな
はんろんできねぇや

>今までの旅のお手描きの回想がすごく綺麗で進化バンクもとても面白かったです
>カオスドラモンめっちゃかっこいい…
>改めてテルコと仲良くしてくれてありがとうございます！いっぱい泣いちゃった
いままで付き合ってくれてありがとうね！
一緒にバカやってくれる子がいてくれて本当に良かったと思っている

個人的にはカオスドラモン好きな要素おおくて好きなんだけど
やはりムゲンドラモンのまとまった機械の竜というコンセプトや
完全体の最強の部位を集めたことによる作中唯一の究極体という文脈には叶わないところがあると思ってて
なにせマシーン型なのにワイヤーフレームの生身ボディがあったり目があったり
牙や口内も生物そのもので悪く言うと中途半端なところがあると思うんだよね
色やデザインが派手になって強化型ということがわかりやすいんだけれども
コンセプト自体が異なるからそれを納得させることは難しい
であるならばなぜカオスドラモンがこの形態をとることになったかを想像してみたんだけど
血の通わない機械に血が通うことで身体が赤くなり肉体を得るということで
善落ち形態なんじゃねえか？と思ったんですよ
そうすればドラマチックだし受け入れやすいんじゃないかと

「日食が終わった…少々時間をかけすぎたかな。
　いや、大きな問題はないか。この姿になってしまえばゲートを開けて追うことは難しくないし」
廃墟になった工場の瓦礫の上で怪物がひとりごちた。

おい、目標は達成した。一応聞いておくが、逃げられるか」
「無理だな。おめェ足遅いし。俺も腕がこれじゃな」
「だろうな、だったら」
「どうせ死ぬなら、俺達の仲間に舐めたマネしたあの薄汚え面にブチかましてからだよなァ！！」

不穏なCパートで終わらないで！？

ミレニアモンになってるのお姉さんなの…？

>ミレニアモンになってるのお姉さんなの…？
ミレニアモンのコアだぜー！

いいもん見たと思ったらピンチ！

>不穏なCパートで終わらないで！？
だって勝手によそのこを防衛対象するなんて暴挙かましてるんだから他の子の活躍の場用意しなきゃダメだよなあ！
おねえさんと因縁のある璃奈ちゃんの活躍もほしいから腕もふっ飛ばしておくね！

大作お疲れ様でした！
すげぇ密度…

待ってまだ帰れてないの
きちんと見たいので帰るまで開かないけど
なんかスレの反応だけでいっぱいいっぱいなんですが