二次元裏@ふたば

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161582 B24/06/30(日)21:36:16No.1206199726そうだねx1 22:36頃消えます
「えっと、この店でよかったんだよな………」

看板を見ながら、携帯のメモ帳アプリで確認する
店名も位置も間違って無さそうだ。とりあえず問題はないだろう

「それにしても、こんなところに喫茶店があったんだな」

普段利用している商店街、その一本わき道に入った場所にそこはあった
如何にも個人経営といった店構えで、一人でいきなり入るには少し気後れする
でも今日はここに用事がってきたわけで。入らない、という訳にはいかないだろう

「えっと、グアテマラ産400gとインドネシア産500g………でいいんだよね」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/06/30(日)21:36:26No.1206199819+
そう、今日の目的地は喫茶店。そこでのコーヒー豆の調達こそがミッションだ
うちのチームはコーヒーの消費量が多い。加えて先輩方が味にこだわるのもあって、安いインスタントとかではなくこうして専門店で購入するのがお約束になっている
で、今回本来であればいつものように先輩が買いに来るはずだったんだけど……その先輩に急用がはいってしまったせいで私が頼まれたというわけだ
行きつけの喫茶店というこの店を紹介されて、たどり着いたのが今さっきのこと
普段自分も飲んでるコーヒーだし、こういうおつかいなら全然かまわないのだけど

「さて、早く済ませてゆっくりしよう」

今回、コーヒー豆の予算の他に少し多めに預かってきている
なんでもこの店、コーヒーだけじゃなくてレモンケーキとかも美味しいらしくて、おつかいのお駄賃じゃないけど少しゆっくりしてきてということだ
そういうことならとありがたくいただいたのだが、初めて入る店と言うのは中々に緊張する
メイケイエールとか連れてこられれば良かったんだけど、あいつもあいつで今日は忙しかったらしいし
と、考えるのはここまで。まずは入店しない事には話にならない
224/06/30(日)21:36:36No.1206199885+
「失礼します………」

ドアを開けると、カランカランとドアベルの鳴る音
ふわっと香ってきたのはコーヒーの香り。まるでドア一枚隔てて別の空間にでも入ったかのような錯覚
木造インテリアの店内は落ち着いた雰囲気で、流れる音楽も合わさってちょっと自分が場違いに感じてしまいそうになる

「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ」
「あ、は、はい」

若干店内の雰囲気に吞まれそうになるものの、とりあえず空いていたカウンター席に………

「あれ?ソング?」

座ろうとした時、そんな声
不意に名前を呼ばれてそちらを見てみると、見知った顔がカウンター席に座っていた
324/06/30(日)21:36:46No.1206199973+
「タイム。なんだ、お前もここに来てたのか」
「それはこっちの台詞だよ。ソングもこのお店知ってたんだ」

タイムトゥヘヴン。同じトレセンのウマ娘にして、同室の相方
そんな彼女がここにいるとは全く想像してなかった。とりあえず、隣の席に失礼させてもらって、と

「私は先輩に頼まれて買い物に来たついでにお茶しようと思ったんだけど……」
「僕はもともとこのお店が好きで通ってたんだよ。そっか、そっちのチームの御用達だったんだ」
「そんな感じ。今来たところか?」
「うん、今注文したところ」

タイムがコーヒーを飲むのは知ってたけど、喫茶店に通うほど好きだとは知らなかった
普段やたら眠そうにしてたり寝坊助なイメージばかりあったけど、こんな趣味もあったなんて
424/06/30(日)21:36:57No.1206200047+
「ご注文、お決まりでしたらお伺いします」
「あ、えと。ホットコーヒー一つとレモンケーキ一つ。それと、持ち帰り用に豆を買いたいんですが」
「お持ち帰りですね。豆は挽きましょうか?」
「いえ、そのままで大丈夫です。銘柄は、グアテマラ産400gとインドネシア産500gで。ホットコーヒーもグアテマラ産のでお願いします」

かしこまりました、と。店主は注文を受けて仕事に戻る

「今日エールたちは?」
「時間が合わなかった。本当ならいつも先輩が買い付けに来てるんだけど、今日は用事でな。それで私が来た」
「そっか。ここはどのメニューも美味しいから、ゆっくりしていけると思うよ」

すると、タイムの目の前にコーヒーと、なにやら黒いケーキが差し出された

「お待たせしました。ベトナム産コーヒーと、チョコブラウニーです」
「ありがとうございます」
524/06/30(日)21:37:14No.1206200199+
なるほど、あの黒いケーキはブラウニーか。前に先輩が作ったのを食べたことがある
確かにほどほどに甘いあのケーキなら、コーヒーのお供には最適かもしれない

「これ、僕のおススメの組みあわせ。今度来たら頼んでみてよ」

そう言って、コーヒーを火傷しないように気を付けながらブラックのまま啜る
なんだろう。普段むにゃむにゃアワアワしてるタイムを見慣れてる身としては凄く違和感があるというか
若干優雅なようにも見えてしまうのはなぜなのか
そのままブラウニーにフォークを入れて、一口。そしてまたコーヒーを口にする

「うん、やっぱり美味しい」

ほう、と息をつくタイム
………もう一回この店に来よう。その時はブラウニー頼んでみよう
624/06/30(日)21:37:31No.1206200360+
「お待たせしました。グアテマラ産のコーヒーとレモンケーキです」
「あ、はい。ありがとうございます」

そう言って差し出されたコーヒーとケーキを受け取る
あ、レモンの形してるんだこのケーキ。上にかかってるのは砂糖かな?
とりあえず、自分も冷めないうちにコーヒーをいただくことにする

「………あ、美味しい」

先輩から頼まれた豆と同じということは、いつも飲んでいるコーヒーと物自体は同じ、はずなんだけど
なんだろう。コーヒーというのは淹れる人によってこうも味が変わるのか。それとも雰囲気も合わさってのことなのか
どっちがいい、ということは無くてどっちも美味しいんだけど、ちょっとびっくりだった

「レモンケーキは………」
724/06/30(日)21:37:41No.1206200441+
フォークを入れると、すこし固め
そこまでレモンの香りが強くはないけど……とりあえず口に入れてみる

「………っ」

すごい。その一言しか、絞り出せる言葉が無かった
口に入れた途端にふわっと立つレモンの香り。それに酸味としっとりとした舌触り
これは、苦いコーヒーとの相性は抜群だ。そのままのレモンよりだいぶマイルドになった酸味と相性が良すぎる
なるほど、これは先輩がおススメしたのもよくわかる。砂糖の甘みもよく調和してる

「ふふっ、気に入ったみたいだねソング」

そう言ってコーヒー片手に笑うタイム
何故だろう、この場においては彼女の方が大人に見えてしまう
………普段からカフェイン与えてればこうなるのかな
824/06/30(日)21:37:54No.1206200542+
「うん、これは凄く美味しい」
「多分エールとかも気に入るんじゃないかな」
「そうだな。今度、連れて来てみよう」
「ソダシちゃんも誘ってみようか。あの子はカフェラテとかの方がいいかな」

話しながらもう一口コーヒーを口に運ぶ
ちょっと想像以上の美味しさに面食らってしまったけど、落ち着いて食べないと損すると思って気分を持ち直す
特にレモンケーキ。これは、これを食べに通ってもいいくらい気に入ってしまった
テイクアウトはやってないみたいなんだけど……そこがちょっと残念
そう思いつつ食べ進め飲み進めていくと、ケーキは無くなってコーヒーがあと少しになった
そうだ、いいことを思いついた

「タイム、この後って時間空いてるか?」
「ん?うん、今日は一日オフだから………」
「じゃあ、帰り道に少し寄り道しよう。いいところがあるんだ」
924/06/30(日)21:38:06No.1206200661+
頭に?を浮かべてるタイムだけど、多分喜んでくれるはず
まあ今はこのケーキとコーヒーを堪能するとしよう
と、思っていたら。すっと差し出された皿があった

「え、あれ。これって」

マスターに顔をあげると、にっこり笑って

「ブラウニーです。興味がありそうでしたので、小さ目ではありますが試食ということでサービスになります」

………そこまで顔に出てしまっていたのか
なんか、申し訳ないしちょっと恥ずかしいけど

「ありがとうございます」
1024/06/30(日)21:38:22No.1206200793+
ありがたくいただくことにして、皿を手に取る
ホイップクリームが添えられた小さめのブラウニーは、何処か香ばしくも甘い香りをふわりと立たせて鼻をくすぐってくる
さて、せっかくなのでいただこう。フォークを入れて、クリームを少し付けてから口へと運んで…

「――――――――――――っ」

香りと甘味が爆発するかのようだった
上品な舌触りとは裏腹に濃厚なチョコレートの風味が、口いっぱいに広がって鼻に抜けていく
それをホイップクリームがマイルドに取り纏めていて、コーヒーの苦みとの相性はもう言うこと無しだ

「ふふっ。ソング、凄く顔に出てる。気に入ったんだね」

タイムはこっちを見てクスクスと笑っている
なんか、ちょっと気恥しい。だけどこんなに美味しいものを食べて無表情でいるって方が無理だ
1124/06/30(日)21:38:39No.1206200943+
「凄く美味しい。次に来たときは、私もこれにしてみよう」
「追加料金でホイップクリーム追加もできるよ」
「あ、それ嬉しいな。今度やってみよう」

そうしたらコーヒーの銘柄も変えた方がいいのかな。あとでタイムに聞くか、タイムと同じベトナム産にしてみようか

「ああ、なんていうか」

窓の外から差し込む日差し、落ち着いた音楽、コーヒーの香り。マスターがカップを磨く音。喫茶店って、そんなに馴染みがあるものじゃなかったけど………

「落ち着くなぁ」
「だねぇ」

この二人揃って、ゆっくり過ごすなんて久々で
私は何ともこの空間、この時間が気に入ってしまったらしい
1224/06/30(日)21:38:55No.1206201080+


「ああ、本当に美味しかった」

店を出て5分ほど。商店街をタイムと並んで歩きながらあの幸せな時間を反芻する

「ね?僕のお気に入りになるわけがわかったでしょ?」
「だな。先輩方にもお礼言っておかなきゃ」

今度はメイケイエール達も誘っていくのもいいし、文庫本でも持っていくのもありかなとか考えつつ
軽食も豊富そうだったしお昼時に行くのもいいかもしれない。アサリのパスタが今のところ一番気になってるところ
ブルスケッタとかもあったな……結構がっつり目にも食べられそう
1324/06/30(日)21:39:14No.1206201238+
「そういえばこの後何処に行くの?さっき言ってたけど………」
「ああ、この先だからまっすぐ歩いていけば大丈夫」
「そ、そう?」

せっかく美味しいものを教えてもらったんだし、お礼にちょっとくらいご馳走してもいいだろう。もちろん、ポケットマネーで

「ついたついた。ここだよ」
「これは……たい焼き屋さん?」

そう、目の前に見えてきたのはたい焼き屋さん
この店もまた、うちのチームの御用達。私達も何度も通っては堪能している
というか商店街を通るたびに通ってる気がする。この近辺では一番美味しい気がするし
トレーナーさんからハギノモーリスちゃんたちまでお気に入りの逸品だ。タイムも気に入ってくれるはず
1424/06/30(日)21:39:28No.1206201354+
「タイム、何にする?」
「え、えと。じゃあ抹茶餡で」
「わかった。すみません、抹茶餡と白玉餡、一つずつください」
「はいなのー」

お財布を取り出そうとするタイムを制止して、お金を払う

「え、いや悪いよ」
「いいんだって。美味しいブラウニー教えてくれたお礼だ」

申し訳なさそうにしてるタイム。うん、いつものタイムだ
さっきまでの若干優雅そうにも見える雰囲気はどこへやら。やっぱりタイムはこうなのが一番落ち着く……けど本人には言わないでおこう
1524/06/30(日)21:39:40No.1206201445+
「お待たせしましたなのー。抹茶餡と白玉餡なの」
「どうもー。さ、そこのベンチに座って食べよう」
「う、うん。いただきます」

たい焼きを受け取って、最寄りのベンチへ。………この店員さん、前にもどっかで見たような気が。気のせいか
ほかほかの焼き立てのたい焼きって何でこうも食欲をそそるんだろ。それは他の料理でも同じではあるんだけど

「いただきまーす」
「いただきます」

口いっぱいに頬張れば、まず感じるのは香ばしい生地の食感とほのかな甘み
その後に餡子が、そしてモチモチの白玉が追いかけてくる
白玉が餡の強い甘さを程よく受け止めて中和してくれて、食感がまた楽しい
これも元々は先輩方から教えてもらったんだけどね
1624/06/30(日)21:39:51No.1206201548+
「あ、美味しい………」

タイムも思わず顔をほころばせて口を押えている
よかった、思惑通りしっかり気に入ってくれたらしい。抹茶餡………私も今度食べてみようかな

「な?ここもいい場所だろ?」
「うん。今度、ここにおやつ買いに来ようかな」
「気を付けろ?美味しくて食べ過ぎるとあっという間にカロリーオーバーだ」
「あうぅ」

メイケイエールと並んで体重計の前で呆然とした思い出が蘇る
だけど仕方ないじゃないか。食べ盛りなんだから
いや気を付けるに越したことは無いしむしろそうしないといけないのはわかってはいるんだけど………
1724/06/30(日)21:40:08No.1206201725+
「今度、ここもみんなで来ようよ。ソダシちゃんも気に入りそうだし」
「だな。じゃあ今度はみんなであの店に行って、その帰りにここか」
「………走り込み、増やさないとだけどね」
「あ、あはは………」

言うな、今は言わないでくれ

「そういえばこの商店街だと他にもタコ焼きの美味しい店もあるんだぞ」
「あ、それもしかして北の端っこにあるお店?」
「そうそう、知ってたか」
「んーん。行ったことは無いけど気になってたんだよね。今度行ってみようっと」
1824/06/30(日)21:40:19No.1206201803+
甘いものを食べながらのトークは弾んでいく
今食べ物を食べているというのにもう次の食べ物の話をしているあたり色々とアレかもしれないけど、美味しいものが多いんだから仕方ない
それに、なんだかんだメイケイエールとはやたらいつも一緒にいるイメージがあるけど同室のタイムと部屋以外でこんなに二人ゆっくりするのは久しぶりな気がしてちょっと新鮮なのもあった
これからはもう少しこういう時間取ってもいいかもしれない。幸いなことに、話の種は尽きないのだから

「ごちそうさま。さ、そろそろ帰ろうか」
「うん。ごちそうさまでした」

二人並んで帰路に就く
帰ったら少し走ろうかな……とか話しながら、別に急ぐわけでもなくゆっくりと
思わぬ遭遇からのちょっと嬉しい時間に感謝しつつ、のんびりのんびりと

「ね、今度はさ………」
「いいな。じゃあ私のおススメも………」
1924/06/30(日)21:40:33No.1206201935そうだねx2
私達、華の女子学生
楽しい時間はいくらあっても困ることは無いんだから
2024/06/30(日)21:40:55No.1206202127そうだねx3
以上。喫茶店でのんびりしたので酒飲んでソンタイした
2124/06/30(日)21:44:33No.1206203855そうだねx1
タイムがメインの怪文書珍しい
2224/06/30(日)21:49:13No.1206206336そうだねx2
ikze会に激震が走りましたね…ドリジャ…聖剣…
2324/06/30(日)21:50:25No.1206206962+
>ikze会に激震が走りましたね…ドリジャ…聖剣…
ドリジャは速攻引きました
今後真ドリジャの怪文書も書いてみたいですね
2424/06/30(日)21:52:00No.1206207749+
どんどん先輩方が真の姿を現していくな…
というかレギュラーはもうほぼ全員か…?
2524/06/30(日)21:54:16No.1206208869そうだねx1
>どんどん先輩方が真の姿を現していくな…
>というかレギュラーはもうほぼ全員か…?
私の書いてたメンバーだと残りはエールちゃんソングちゃんハギノモーリスちゃんだけですね
2624/06/30(日)22:30:33No.1206228133そうだねx2
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137505 B
タイムちゃんとコーヒー飲みたいですね
2724/06/30(日)22:31:27No.1206228587+
あらかわいい
2824/06/30(日)22:31:49No.1206228746+
>タイムちゃんとコーヒー飲みたいですね
いいですね
ゆったりとした時間過ごしたいです


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