二次元裏@ふたば

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161582 B24/06/17(月)23:05:06No.1201489595そうだねx1 00:31頃消えます
「道具も使わないと腐るばっかりだからなぁ」

カチャカチャと道具一式を取り出しながらぼやく。実際これ最後に使ったのは何時の事だったっけかと
もう薄ぼんやりしてる記憶を辿って『それ』を組み立てる。確かこれで………うん、問題はなさそうだ

「久しぶりの海ですね!!!!!!!!!!!!!!!」

同じように道具を組み立てているのは、私と同じように救命胴衣を着こんだメイケイエール
……その、一部が張り出してて窮屈そうだ。おのれメイケイエール

「ふふ……実際にやるのは初めてだし」
「あれ?これ糸通し忘れ……あ、あわわ」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/06/17(月)23:05:21No.1201489700+
そして、その隣にはソダシちゃんとタイムの姿
流石にいつものふりふりの服はやめてジャージ姿に救命胴衣を着用したソダシちゃんは大きな麦わら帽子をかぶっていて、これはこれでなかなか似合ってる気がする
タイムは……道具の組み立てに手間取ってるようだ。まあ初めてだし仕方ない。少し手伝うとしよう

「それにしてもいい天気だし」
「本当ですね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!てるてる坊主吊るした甲斐がありました!!!!!!!!!!!!!」
「本格的な夏になったらうだっちゃうしね。このくらいが一番過ごしやすいかな」

確かに、タイムの言う通りだ。このくらいの気候なら外で長時間いても苦にならない
だけど日焼け止め対策はしっかりと。じゃないと後で後悔するからね

「それじゃ、準備はいいか?」
224/06/17(月)23:05:35No.1201489790+
場所は、学園から少し離れたところにある静かな港
私はそれを…『釣り竿』をしっかり手に握って

「釣りを始めるぞ」

今日のメインイベント、港での海釣りの開催を宣言した
324/06/17(月)23:05:57No.1201489935+


「先輩方と予定が合わなかったのは残念だったな」

道具箱を漁りながらそんなぼやき
今回、メイケイエールとオフが重なったこともあって久々に釣りでも行こうかという話になったのだが、残念ながらプレハブ小屋のチームメンバーの方々とは予定が合わなかった
二人で行くか?と話していたところにソダシちゃんとタイムがオフだと聞いて声をかけたのが今回の発端
結果、最近お決まりになりつつあるこのメンバーでの釣行と相成ったのだ

「えっと、僕のはこれ真下に落とせばいいんだっけ」
「そうだな、そんなに遠投する必要はないぞ。結構手前で大丈夫だ」
「それじゃ、お先に始めさせてもらうし」
424/06/17(月)23:06:21No.1201490081+
実は今回、釣り方を二つに分けることにしたのだ
ソダシちゃんとタイムは、いわゆるウキ釣りだ。エサとウキとつけて海面を漂わせて、そこに寄せエサを撒いて魚を集めて釣るというシンプルなもの
ちなみに今回のコマセ、つまり寄せエサは市販のアミエビというものに集魚剤だという粉末を混ぜ込んだもの
……いつだったか、先輩方と釣りに来た時に使った特製コマセを思い出す。あれは、確かにすごくよく釣れたんだけどあの後夢に見るレベルで酷い臭いだったからな
仕掛けを海に投入し、コマセを柄杓でぺいぺい投げてるのを確認して、と

「メイケイエール、私たちは予定通りに始めるぞ」
「はい!!!!!!!!!!!!!!!私はこれにしますね!!!!!!!!!!!!!!!!」
524/06/17(月)23:06:42No.1201490210+
私たちの手には、小魚を模した金属のそれ。所謂ルアーとかいうやつ。金属製のこれはメタルジグ、っていうんだっけ
今回、私とメイケイエールの担当はルアーフィッシング。とはいえ、そんな大物は釣れないだろうから使うのも小型のものだけど
某黄金世代の芦毛のウマ娘曰く、この辺は魚影が濃いからこの時期ならこれで十分釣れるということだ。……本当にあの方には頭が上がらないなぁ
ちなみに百円ショップで購入したものを使うことに。できるだけ出費は抑えたいからね
それにこれで釣れるんだったら餌代かからないし今後も楽しめそう、という打算もあったりして

「それじゃ、投げ方は覚えてるなメイケイエール」
「はい!!!!!!!!!!!!!後方確認もしっかりとですね!!!!!!!!!!!!!」

そうそう。こうやって投げる時には周囲の安全をしっかり確認してから
救命胴衣の着用と同じくらい、釣りの基本マナーだ。いや私も精通してるわけじゃないんだけどね

「後ろ確認して………それ!!!」
「ホームランです!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
624/06/17(月)23:07:11No.1201490382+
それぞれ絡まないように別方向へ、思いっきり投げる
……これ、飛んでるのかな。慣れるともっと飛ばせるようになるんだろうか

「えっと、そしたら沈めて………」

今回使っているのは金属製のルアーなので、放置すればどんどん海の底に向かって沈んでいく
そうしてわざとルアーを底まで沈めていく。そして、しっかり沈み切ったのを確認したら

「それ!!」

くんっと、竿を立てて底から跳ねさせる
これを繰り返していくことで小魚が泳ぐ様子を演出するらしい。長々やってると疲れそうだなこれ
とはいえ、私もメイケイエールもルアーは初心者だ。基本をやっていくしかない

「あ、あれ?なんかウキが沈んで…」
724/06/17(月)23:07:26No.1201490476+
すると、タイムの方から異変を知らせる声
見ればウキがすっと沈んでる。ていうことは、これ

「た、タイム!!竿立てて!!」
「わわっ!?」

その声に反応して、タイムが慌てて釣竿を天高く突き上げる
竿先はぎゅんと曲がり、糸の先は明らかにタイムが意図しない方向に走り出している
仕掛けを巻き取って急いで駆けつけるが、当のタイムは慌てふためくばかりだ

「リール!!!リール巻いて!!!」
「え、えと、こっち!?」
824/06/17(月)23:07:39No.1201490572+
いきなりのことで気が動転しているタイムに指示を飛ばし、念のため持ってきておいたタモ網を手にもっておく
すると、水面近くに何かが見えてくる
それは間違いなく糸の先につながっていて。でも、この大きさなら

「そのままあげちゃって!!」
「え、ええい!!!」

網を使うほどではない、と判断して最後の指示
その指示に従って竿先を大きく上げたタイム。そして、それがついに陸に飛び出すようにして釣り上げられた

「一番槍ですね!!!!!!!!!!!!!おめでとうございます!!!!!!!!!!!!!!」
「あ、ありがとう。いきなり引くからびっくりしちゃった………」
「綺麗な魚だし。でもこれ、なんていう魚だし?」
924/06/17(月)23:07:54No.1201490668+
みんな集まってきての初釣果確認
そこには、黄色と黒の縞々の魚体。一見すると熱帯魚にも見えないこともない
でも、なんだろう。名前はド忘れしちゃったけど前に先輩方と釣りに出た時に見た記憶が………
こういう時は文明の利器に頼るのが一番だ。携帯を取り出して検索を始める
すると1分もしないあたりでお目当ての魚が出てきた。文明の利器、バンザイ

「カゴカキダイ、だって。塩焼きとかでおいしい魚だってさ」
「食べられるんだ……見た目、観賞用の魚みたいにも見えるけど」
「食材確保ですね!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「負けてられないし。こっちも釣るし」

ともあれ、めでたくタイムが先陣を切って魚を釣り上げたのをひとしきり祝ってから自分たちの釣りに戻る
なんとかしてタイムに続きたいものだけど、慣れない釣り方というのもあっていまいち自信もない
とりあえずルアーを投げて、基本の動作を繰り返していく
1024/06/17(月)23:08:15No.1201490797+
「魚は寄ってくるけどなかなか食い付いてくれないし」

ぼやくソダシちゃんだけど、魚の姿が見えているだけまだましだろう
こちとら、手探りもいいところなのだ。本当にこれで釣れるのか、という疑念も晴れてない
軽快にルアーを飛ばしていくメイケイエールだが、やはり焦れているのか落ち着きがない

「………あれ?」

すると、ふと
竿先が……というか先ほどまで感じていたルアーの感覚が、手ごたえが消えた
まさかほどけたか?と思った瞬間

「………わぁ!?」

突然竿先がひん曲がったかと思えば、先ほどのタイムの時とは比べ物にならない勢いで糸先が走り出した
1124/06/17(月)23:08:30No.1201490902+
「かかっ、たぁ!!!!」
「こっちもきました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

突然ひったくるかのようなアタリがあったと思えば、隣のメイケイエールも同じだったようだ
いや待て。同時?ていうことは、これ
あ、まずいやつだ

「め、メイケイエール!!多少強引にでも一気に寄せろ!!こいつすごく走るから最悪絡まるぞ!!」
「キャーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

そうだ。この状況は非常にまずい
今かかった魚は、どちらの方もよく左右に走り回るやつだ。このままもたもたしていたらメイケイエールの釣り糸と絡まって大惨事になってしまう
釣竿を立てて、多少無理やりにでも魚の進路を変えてやる。そうでもしないと制御できない
糸が切れないことを願いながら必死にリールを巻いてきて、魚が上がったのはほぼ同時のことだった
1224/06/17(月)23:08:40No.1201490969+
「サバです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「こっちもだ!!!」

二人そろって、全く同じ魚
サバ。説明不要、この国の食卓を支える大衆魚だ
よく走り回るのも納得。打ち上げられてもびびびびびっと跳ねてるし。そういえば、以前先輩方と来た時もサバはたくさん釣ったものだ

「えっと、確かサバは釣ったら……メイケイエール、バケツに水は汲んであるよな?」
「準備してあります!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

よかった。サバは鮮度第一だからな

「ん?二人とも、何して………」
1324/06/17(月)23:08:51No.1201491032+
様子を見に来たタイムの声が聞こえるが、まずはやることやらないと
えいや、と

「ひぃ!?」

タイムが変な声を出してるけど……ああ、なるほど。これは確かに、ちょっと刺激が強い映像だったかもしれない

「サバは釣れたらこうやって首を折って、絞めて血抜きするとおいしくなるんだよ」

バケツの中の水は真っ赤に染まっている
サバ、というか青魚はかわいそうだけどできるかぎり早めに即死させて血抜きしないと臭みの原因にもなる
この辺も先輩が教えてくれたことだった。最初の時は服に血がはねて大騒ぎしたなぁ……慣れるものだ

「これで2匹追加ですね!!!!!!!!!!!!!!!!煮つけにしましょうか!!!!!!!!!!!!!」
「脂がのってそうだし塩焼きもいいかもな。帰ってからのお楽しみだし、これからの釣果次第かな」
1424/06/17(月)23:09:08No.1201491133+
すると、マイペースに釣り糸を垂らしていたソダシちゃんが立ち上がって

「こっちも釣れたし」

見れば確かに曲がった竿。あまり大きくはなさそうだけどしっかり走り回ってる
小さめのサバでもかけたのだろうか。見に行ってみると、その疑問はすぐに解消された

「アジだ!!」

アジ。知らぬ人はいないだろう、それこそ大衆魚の中の大衆魚
生で食べてよし、焼いてよし、干してよし、揚げてよし。どんな食べ方をしても美味しいという庶民の味方
だけど、その姿は何か違和感がある。そう、スーパーとかで見るのと比べて、こう……
1524/06/17(月)23:09:18No.1201491210+
「お、大きくないか?」
「明らかに大きいです!!!!!!!!!!!!!!25センチ以上あります!!!!!!!!!!!!!」
「ふふん。もう少しで30センチいきそうだし」

どや顔で自慢げなソダシちゃんだが、その気持ちも分かってしまうほどにその魚体は立派だった
ビチビチ暴れるアジをフィッシュグリップで掴んで余韻に浸ってるソダシちゃん
だけど、これはうかうかしてられなくなった

「負けてられないぞメイケイエール!!こっちもどんどん釣るぞ!!!!」
「はい!!!!!!!!!!!!!!そーれ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ぼ、僕だって!!」

それぞれがそれぞれに釣りに戻っていく
いや、別に勝負じゃないんだけどね。でもなんかこう、負けてられないって気持ちがね?
ウマ娘は基本的に勝負ごとに熱くなりがちだし
1624/06/17(月)23:09:34No.1201491308+
「きました!!!!!!!!!!!!!!!またサバっぽいです!!!!!!!!!!!!!!!!!」

メイケイエールが再び竿先を曲げてファイトを始める
となると、こっちは一回仕掛けを回収したほうがいいか。また絡みそうになっても危ないし
そう思ってリールを早めに巻き始めた
その時だった

「………え、うわ!!!」

突然、リールがジジジジっと音を立てて糸を放出し始める
聞いたことはある。なんでも、突然大物がかかったりしたときに糸に急激な力がかかって切れたりするのを防ぐため、一定以上の力が加わると自動で糸が放出される機能があるとか
と、いうことはだ。今かかっているのは、その一定以上の力をかけられるほどの大物というわけで
1724/06/17(月)23:09:46No.1201491376+
「め、メイケイエールごめん!!!これ大物だ!!そっち回収まかせた!!!」
「わかりました!!!!!!!!!!!!!!!すぐに上げます!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

サバとはまた少し違うけど、今かかってる魚も左右に走り回って危ないことこの上ない
メイケイエールが半ば力づくでサバを回収してくれたのを見て、竿先の動きに集中する
巻いても巻いても糸を出される。これ、本当に今の道具で釣ってよかったやつなんだろうか

「う、ぐぐぐ……!!!」

人が少なくてよかった。これ隣に人がいたら完全に巻き込んでたやつだ

「あ、網持ってきたよ!!」
「少しずつこっち来てるし。巻けるときに一気に巻くし」
「ファイトですよソングラインちゃん!!!」
1824/06/17(月)23:10:01No.1201491445+
みんなが集まってきて声援を送ってくれる
だけど、これそのうち糸が切れるんじゃないか。それとも寄せきって勝てるのか。それすらわからなくなってきた

「んぎぎぎぎ……も、もう少しぃ……!!!!」
「姿が見えてきました!!!」
「って、あれって………」

やっと姿が見えてきたそれをはっきり視界にとらえた
しかし、その姿は……ちょっとにわかには信じられないもので

「ぶ………」
1924/06/17(月)23:10:12No.1201491514+
だけど、間違いないのは
この長丁場の戦いに私は………

「「「「ブリーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!?」」」」

辛くも勝利した、ということだ
2024/06/17(月)23:10:23No.1201491590+


「まさか、あんな魚が釣れるなんてなぁ………」

帰りの電車の中で、いまだ手の中に残る感触を思い出して呟く
クーラーボックスの中の魚を釣り上げた事実が今でも信じられない

「今日の一番手柄ですね!!!!!!!!!!!」
「イナダ、だっけ。あんな魚まで港に入ってきてるんだなぁ」

見た目で思わずブリ、と言ってしまったけど。あの後、真相が判明した
いつも釣りについてお世話になってる黄金世代の某釣り好きウマ娘に連絡して写真を見てもらったところ、あの魚はイナダという名前だという
別にブリというのが間違ってたというわけではなく、ブリは出世魚で、イナダはその35〜60センチまでの大きさのものをいうらしい
今回釣り上げたサイズは41センチ。問題なくイナダを名乗れるだろう
それになにより、美味しく頂けるというのだからうれしいことこの上ない
2124/06/17(月)23:10:34No.1201491673+
「数はソダシちゃん、大きさはソングかぁ」
「ふふ。いいサイズのアジがたくさん釣れたし。食べるのが今から楽しみだし」

そう、大きさは間違いなく私が一番だったのだけど、数はソダシちゃんの圧勝だった
あの後ポンポンと型のいいアジを釣り上げた彼女は、帰り道もどこか自慢げだ
ちなみに二番手はメイケイエール。タイムは、かけたはいいけど逃がしちゃうことが多かったらしい。残念

「でもこれ、帰ったら全部捌かないといけないんだよなぁ」
「うぅ、魚料理とかしたことないよぉ」
「みんなでやればすぐですよ!!!!!!!!!!!!!」
「とりあえず、イナダはソングラインちゃんに任せるし」

やっぱそうなるよなぁ。動画見ながら頑張ってやるしかないか。こんな大きさの魚、捌くの初めてだし
2224/06/17(月)23:10:49No.1201491764+
「ま、とりあえずみんなケガもなく成果もあげられたしよかった、かな」
「そうですね!!!!!!!!!!!!この後は成果物をおいしく堪能できますし!!!!!!!!!!!!!!!」

窓の外を流れていく景色を眺めながら一息つく
この後は少しばかりの苦労が待ってるけど、それさえ乗り越えれば美味しく楽しい時間だ
あとひと踏ん張り、頑張るとしましょうか

「とりあえずお刺身もいいけどアジフライ食べたいし」
「あ、カゴカキダイの塩焼きはもらっていいかな」
「サバはやはりまず味噌煮ですね!!!!!!!!!!!!!!!」
2324/06/17(月)23:11:00No.1201491826そうだねx2
みんなそれぞれこの後の事に思いを馳せて電車に揺られて
先輩方にも連絡しないとな、お刺身だけで結構作れそうだな、とかこの後の予定を頭の片隅で考えながらも

「楽しかったなぁ」

そんな言葉が、思わずこぼれる程度には
今日という休み一日は、満足いくものだったんだろうと。自分の中で納得した
2424/06/17(月)23:11:17No.1201491942そうだねx6
以上。久々に釣りで爆釣したのでメイソンした
2524/06/17(月)23:11:45No.1201492131そうだねx3
メイソン久しぶりにありがたい…
2624/06/17(月)23:12:47No.1201492513+
久しぶりに見た
安定感があるなぁ
2724/06/17(月)23:15:39No.1201493645そうだねx4
セイちゃんお役に立ちますね
2824/06/17(月)23:25:53No.1201497627そうだねx3
メイソンというかこの四人いいわ
2924/06/17(月)23:59:25No.1201509353そうだねx3
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キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!


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