「──ん? おお。目ェ覚ましたか。ひとまず、よかったぜ」  縞模様の奇妙な服を着た牛獣人型の宇宙人──オブシディウス(長いから僕はオブさんと呼んでいる)が、僕の目を見つめながらそう言ってきた。 「ここはどこ…?」  頭がズキズキと痛んで、思考が定まらない。 「どこって、お前……。あんだけのことがあったのに、覚えてねえってのか? まぁ、さっき思いっきり頭を打っちまってたからなぁ……。混乱しちまうのも無理はねぇ」  オブさんと同じように、僕も縞模様が入った服を着ている。こんな服を、自分で着た覚えはない。 「オブさん。これ、一体どういう状況ですか?」 「……そうだな。まだ混乱してるみてぇだし認識を合わせるところから始めるか」  そう言って、オブさんは僕にゆっくりと近づいてきた。何をするんだろうと思った次の瞬間、僕は近くにあったベッドに仰向けで倒れ込んでしまう。  オブさんに、押し倒された。僕がそれを理解するのと、彼が口付けしてくるのはほぼ同時だった。 「ん、んぅーっ!? ……ぷはっ! オブさん! な、何をするんですか!?」 「何って……俺達がここに来たのは、健康になるためだろ?」  オブさんが、目を丸くしている。まるで僕がおかしな事を言ったみたいな反応だ。 「知ってるか? 射精した時には脳でオキシトシンってホルモンが分泌されて、ストレスを軽減してくれるんだ。特に、セックスの時に多く分泌されるらしいぜ」 「オ、オブさん……?」 「つまり、俺達が心身ともに健康になるためにはセックスして射精する必要があるって訳だ。理解できたか?」  オブさんが、僕の肩に優しく手を置く。  ──彼の首には、赤く輝く首輪が装着されていた。 「や、やめて、オブさん……」  オブさんが、僕のズボンに手をかける。抵抗しようとしたが、筋骨隆々な彼に敵うはずもなかった。下着ごとあっけなく脱がされてしまう。 「ほう。皮を被ってるんだな。どれ……」 「ひっ!?」  オブさんが親指と人差し指で僕のちんちんを摘み、ゆっくりと下に動かした。皮が剥け、先端に風が当たる。その風の正体は、オブさんの鼻息のようだ。 「一応洗ってはいるみてぇだが、不十分だな。少しカスが付いていやがる。下手すりゃ、炎症を起こしちまう。……俺が掃除しねえとな」  下に視線を向けると、オブさんが長い舌を出しているのが見えた。その舌を僕のちんちんの先端、いわゆる亀頭溝に近づけて──。 「うあっ! オブ、さん……!」  オブさんが、ぴちゃぴちゃと音を立てながら、舌先で亀頭溝をなぞってきた。温かくて、少しくすぐったい。 「おっ、硬くなってきたな。勃起障害は無さそうで安心したぜ」  こんなこといけない。明らかに異常なオブさんを、止めないと。……そう思っているのに、身体は反応してしまう。長らく性処理をしていなかったのもある。けれど、それだけが原因じゃないのが自分でも良く分かってしまう。  僕は、前々からオブさんに好意を寄せていた。彼を思いながら自らを慰めたことが、何度もある。だから、この状況に興奮しないわけがない。  どうせ抵抗したって、彼の力には敵わないだろう。なら、このまま彼に身を委ねてしまった方がいいのかもしれない。  頭の中が、真っ白になっていく。 「我慢は健康に良くないからな。出したい時は遠慮なく出せよ」  オブさんはそう言った後、怒張した僕のちんちんを大きな口でぱくりと咥え、じゅぽじゅぽと音を鳴らしながら頭を上下に動かし始めた。 「んあっ! あ、ん、ううっ!!」  気持ち良すぎて、全身がガクガクと震えてしまう。 「だ、ダメ、で、出ちゃう……! オブさん、口を離して!」  オブさんは、僕の頼みを聞き入れてくれなかった。それどころか、僕のちんちんを強く吸ってさらなる刺激を与えてきた。 「あっ、で、出る……ぅっ!!」  オブさんの口の中で、何度もちんちんが跳ねる。  僕は我慢できず、精子をオブさんの口の中に放ってしまったようだ。 「へへっ、濃いのが出たな」  オブさんは、白濁液まみれの舌を出して僕に見せつけてきた。  恥ずかしさと、興奮と、充足感と……。様々な思いがないまぜになって頭がおかしくなりそうだ。 「なあ。まだまだイけるだろ? 今度は、俺と一緒に気持ちよくなろうぜ」 「一緒に……?」  僕が放心している内にオブさんは自身の服を脱いだようで、一糸纏わぬ姿になっていた。  よく鍛えられた、筋肉質な体。そして、硬くなって上向きになった巨根。それらを惜しげもなく晒している。 「俺にぶち込まれたいか? それとも、俺にぶち込みてぇか? 好きな方を選んでいいぜ」  射精を終えてもなお硬い僕のモノに巨根を擦り付けながら、オブさんはそう尋ねてきた。  僕は──。 【※分岐点】 「僕はオブさんに、入れたいです」 「おう、分かった。解すから、ちょっと待ってな」  ベッドの隅に、透明な液体が入ったプラスチックの細長い容器がある。オブさんはそれを手に取り、中に入っていた粘り気がある透明な液体を大きな指に纏わせた。 「ほれ、今からここにお前のちんぽが入るんだぜ」  オブさんは僕の頭の上でしゃがみ込み、透明な液体を纏った指をお尻の穴に当てがった。 「すごい……」  オブさんのお尻の穴に、太い指がずぶずぶと飲み込まれていく。その光景がとてもいやらしくて、思わず僕の喉が鳴る。それに気づいたようで、オブさんは僕をさらに煽るかのように、左右の手でお尻の穴を広げて見せつけてきた。  ピンクで、ぬめぬめとした肉襞。こんなのを見せられたら、早くオブさんの中に入れたいという考えに頭が支配されてしまう。 「もう我慢できねぇって顔をしてんな」 「うん……。早く、オブさんと繋がりたい」 「嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか。それじゃ、望みを叶えてやらねぇとな」  オブさんが下へと移動し、僕の硬くなったちんちんの上に跨る。そして、先端をお尻の穴にぴたりと当てた状態で、ゆっくりと腰を下ろしていった。 「あっ、ああっ……!」  僕のちんちんが、オブさんの中にずぶずぶと沈んでいく。熱い肉壁に包まれ、擦れて、言葉で表せない程に気持ちいい。  ああ。とうとう、僕はオブさんと繋がったんだ。 「お前のちんぽ、良いとこに当たりやがる……っ!」  オブさんが恍惚とした表情を浮かべる。どうやら、彼も気持ちいいと思っているようだ。良かった。 「動くぞ……」  オブさんはベッドの上に両手をつき、やや仰け反った姿勢で腰を振り始めた。  ぐちゅ、ぬちっ、ぐち。オブさんが腰を振る度に、湿った音が響く。  彼が仰け反るような姿勢を取っているため、結合部が丸見えだ。  オブさんが腰を上げるとピンクの肉襞が捲れ、腰を下ろすとちんちんが根本まで飲み込まれるのが見える。 「すっげぇ……、俺、お前と繋がれて、幸せだ……」 「僕も、幸せだよ……」  なんでこうなったのかは、よく分からない。でももうどうでもいいや。オブさんと繋がれて、気持ち良くて幸せ。それ以外、考えなくていい。 「ああっ、好きだ、好きだ……っ! 俺、お前のことが好きでたまらねぇ……!」  体重をかけてちんちんを根本まで咥えた状態で、オブさんは腰を小さく前後に動かし始めた。  彼はこの動きが気持ちいいようで、肉壁がきゅうきゅうと締まるのを感じる。きっと、良いところに当たっているんだ。 「オブさん、僕も、オブさんが好き……。大好きだよ……っ!」  僕が両手を伸ばすと、オブさんも両手で強く握り返してくれた。胸の中が、幸福感で満たされていく。  彼はさっき、セックスをすれば心身ともに健康になるって言ったけれど、それは本当なんだって実感している。 「オブさん、僕、また出そう……」 「いいぜ。俺の中に、思いっきりぶっ放せ!」 「っ、イく……っ!!」  僕はオブさんの両手を強く握りながら、二度目の絶頂を迎えた。 「が……っ! あちぃのが、腹ん中に……! やべっ、俺もイくっ……がああああぁっ!!」  咆哮して全身をびくびくと震わせながら、オブさんも絶頂を迎える。  巨根から放たれた大量の精液が、僕の体に降り注いでいった。 「んう……」  どろりと濃くて、強い雄の匂いを放つオブさんの精液。思わず僕は、指ですくって舐めてしまう。  苦いけど、ほんの少し甘さもあって──興奮する味だ。 「……お前のちんぽは、まだまだ元気そうだな。こうなったら、満足するまで射精しようぜ。お互いにな」 「うん。いっぱい、射精しよう。それで、いっぱい健康になろうね……」 「おっ。セックスが身体に良いってのがよく分かったみたいだな。偉いぞ」  オブさんが、僕の頭を優しく撫でてくれた。嬉しいな。 「これからずっと、セックスしような」  オブさんはそう言って、僕の目をしっかりと見つめてきた。  元から赤い彼の目が、より赤く輝いている。  ──より赤く輝いているように見えるのは、僕に装着された首輪のせいだ。赤く輝く首輪の色が、彼の瞳に映り込んでいるみたい。  えへへ。僕の首輪も、オブさんが着けている首輪や瞳の色とお揃い。嬉しいな。  何か忘れている気がするけれど、どうでもいいよね。オブさんといっぱいセックスして、いっぱい健康になること以上に大切なことなんて無いから。  だから、これでいいんだ。きっと──。 【了】