二次元裏@ふたば

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179745 B21/09/11(土)00:01:57No.844696975+ 01:02頃消えます
「一目惚れ、かな。凄く綺麗なウマ娘の子がいてさ」
「ほう、意外だな。君にそのような相手がいたとは」

雨の日のトレーナー室で。
君は何故トレーナーを志したのか──ルドルフに聞かれて思い浮かぶのは、色褪せないあの日の記憶。恥ずかしいから皆には内緒にしてくれよ、と前置き、一つ咳払いをする。

「もう何年前だったかも覚えてないし、あの頃は俺もまだまだ子どもだったんだけど……あの子の笑顔が見たくて、俺はトレーナーになったんだ」
「君にそこまで言わせる相手とは。些か嫉妬してしまうな……その、彼女とは今も交流を?」
「いや。俺が一方的に見惚れただけだし、すれ違い様に顔を見ただけだったから……確か、あの子は……親御さんから、『ルナ』って呼ばれていたっけ」

その瞬間。ルドルフの手からマグカップが滑り落ち──そうになったので慌てて支える。
間一髪間に合ったことにより、卓上の書類とルドルフのスカートが珈琲に染まることは回避出来た。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/09/11(土)00:02:25No.844697124+
「あ……す、すまない」
「急にどうした? もしかして、ルナについて何か?」
「ああ……その、ルナ……だが……」

ゴホン、と咳払いをしてルドルフはマグカップを卓上に置いた。その頬は朱に染まり、額は僅かに汗ばんでいるように見える。あのルドルフが緊張している。八冠に挑む前ですら、このような素振りは見せなかったというのに。

「三日月のような……一房の白い前髪が特徴的ではなかったかな?」
「言われてみれば……そうか、ルナってお月様のことだったのか」
「ああ……そして」

ルドルフは、自分の前髪を指差して。

「それは、このような形をしていなかったかな?」
「ああ、そういえば確かに──たし、かに……?」
221/09/11(土)00:02:47No.844697260+
記憶の中のルナと、目の前のルドルフが重なる。いやいや、そんなまさか──と否定の言葉が喉元まで出掛けて、呑み込まれる。あの俺が一目惚れしたウマ娘と、今目の前にいるルドルフ。その気高さと美しさは、変わらない。

「……ルナ?」
「邂逅相遇……君は既に、その少女を笑顔に導いていた、というわけだ」

そう、だったのか──驚きよりも、納得が上回り。そしてそれ以上にとても恥ずかしい。俺の初恋の人はあなたで、あなたの為にトレーナーになりました──俺はそう告げたわけだ。当の本人に。

「……皆には、内緒にしてくれよ?」
「ふふ、どうかな? 今の私は幸福で口がとても軽くてね。心の内が抑えられそうにない」

ルドルフが一歩、二歩と俺へと歩み寄る。手が届かぬと思っていたお月様が、あっという間に目の前に。

「だから、こんな事まで口にしてしまう。トレーナー君、我々はお互いに初恋同士だった、というわけだ」
「え、それって」
「そして、私の初恋はまだ続いているが──トレーナー君。君は、どうかな?」
321/09/11(土)00:03:15No.844697400+
「……というわけで。俺とルドルフはお付き合いする事になりました」
「おお! おめでとう、ルドルフ! トレーナー!」
「ふふ、ありがとう」

……と。これまでの経緯を、食堂で遭遇したオグリに話した。俺としてはもう少し皆に内緒にした方が良いのではないかとも考えたのだが、ルドルフが言った通り今の彼女の口はとても軽い。そして目は口程に物を言う。
俺に喜色満面の様子で寄り添うルドルフを前に、オグリも即座に何かがあった事を見抜いた。こうなれば誤魔化す意味もないので、いっそ堂々とすべきだろうと思ったのだ。

「しかし二人とも初恋だったのか……凄い偶然だな」

相変わらず、凄まじい量の食事を口に運ぶオグリ。しかし初恋という事で過去の話をしたからか、ふと昔笠松で出会ったとあるウマ娘の子を思い出した。

「……そういえば、あの子は元気にしてるかなぁ」
「あの子?」
「うん。昔、か──んぐっ!?」
421/09/11(土)00:03:34No.844697501+
昔、親の都合で笠松で暮らしていた頃によく遊んでいた女の子、『ハッちゃん』の話をしようとした瞬間に声が詰まった。遅れて口の中に広がる肉の味。少し遅れて、ルドルフが俺の口にハンバーグの切れ端を突っ込んだのだと気付いた。

「すまない、舞い上がっていてね。恋人らしいことをしてみたくなったんだ」
「ん、ん……んぐっ、……そ、そうか……」

所謂、『あ〜ん』というやつだろうか。なら、こちらもお返しをしてやろう。

「はい、ルドルフ。あ〜ん」

こちらもステーキの一切れをルドルフに差し出す。しかしルドルフから求めた行為にも関わらず、彼女は僅かに目を開いて仄かに驚くような素振りを見せた。

「お、おお……あ〜ん」

微かに羞恥の色に染まる頬を見せて、雛鳥のように口を開けるルドルフ。「なるほど……」と何やら納得した様子で頷くオグリ。
そんな事をやっている内に、『ハッちゃん』の事はいつの間にか頭から抜けていった。
521/09/11(土)00:03:50No.844697603+
昼休みの後はチームの為の備品の買い出しだ。俺一人で十分事足りる用事なのだが、ルドルフも同行してくれることになった。
消耗が激しい備品の補充をしていると、ここでもまたチームメイトの一人と遭遇した。

「アンタも買い出しか」

声を掛けてきたブライアンに頷く。彼女の片手には鼻テープのパッケージ。そして脳裏に蘇った過去の思い出。そう言えば──と、今日はよく昔のことを思い出す日だ。

「あの子、」
「トレーナー君。そういえば珈琲と紅茶もそろそろ底を着いてもおかしくなかった筈だ。嗜好品とはいえ、チームの士気に関わるからな」
「お……そうだね」

昔、絆創膏を失くして泣いていたウマ娘の子──についての話をする前に、ルドルフが俺の手を引いた。
またな、とだけ言葉を交わしてブライアンとはその場で別れた。
621/09/11(土)00:04:13No.844697733+
そしてトレーナー室で備品の補充。
途中、うっかり棚を崩しそうになったがルドルフのサポートのお陰で事なきを得た。
しかし、懐かしい。昔こうやって泣いているウマ娘の子を助けたことがあるような──

「トレーナー君、少し早いがお茶を淹れてくれるかな? どうやら幸福で浮き足立っていてね」
「分かった。ちょっと待ってて」

──そんな過去よりも、今はルドルフのリクエストが優先だ。彼女のトレーナーとして励んでいるうちに覚えた美味しいお茶の淹れ方を思い出し、先程補充した茶菓子の用意をした。
少し後でエアグルーヴもトレーナー室にやって来たので、彼女にも振舞った。
やるではないか、とお褒めの言葉を頂いたのでちょっと自信が付いた。
721/09/11(土)00:04:46No.844697930+
「ふふ……ここは、素晴らしい特等席だな」

ある晴れた休みの日。
ルドルフを後ろに乗せ、バイクでドライブと洒落込む。マルゼンスキーのようなスピードは出せないが、穏やかな日差しと涼しげな風はリフレッシュにもってこいだろう。
ここ数日のルドルフは何処か疲れているようだったので、気分転換へと連れてきたのだが正解だったようだ。

「恋人の背中を独占し、風を切る……思っていたよりも心躍る物だな」
「俺も、まさか今になってウマ娘の子を後ろに乗せるとは思わなかったけど……喜んでくれて何よりだ」
「……一つ、約束してもらいたい。今後は、私以外の女性を後ろに乗せないでもらいたい……面倒に思うか?」
「いいや? 光栄じゃないか、皇帝専属のドライバーだなんて」
「ああ……やはり、ここは最高の特等席だな」
821/09/11(土)00:05:02No.844698034+
そして、ルドルフと共に過ごす日々は巡り再び春がやって来た。舞い散る桜と、トレセン学園に訪れる沢山の才能に溢れた新入生たち。

「さて、今年はどんなドラマが見られるかな」
「おや、まるで傍観者のようじゃないか。私達も、まだまだこれからだろう?」
「違いない」

ルドルフと微笑みを交わしながら、新入生たちの顔を眺めていると──

「お兄さん!」

俺に向けられた、鈴を転がすような声。
振り向く前に、甘い香りが鼻腔を擽り柔らかな感触が身体を包む。
921/09/11(土)00:05:56No.844698316+
「お、ダイヤか」
「はい! ついに私も、です!」
「トレーナー君。彼女は?」

抱き着いてきたダイヤを離し、ルドルフに向き直る。ダイヤは不満気に頬を膨らませている。甘えたがりなところは直っていないらしい。

「彼女はサトノダイヤモンド。俺がライセンスを得てトレセンに赴任する少し前に知り合ったんだ」
「そうか。ならば私の後輩ということになるわけだな」
「はい!……それで、お兄さん……その……」
「ああ、約束だろ? 勿論、覚えてるよ」
「……約束?」

怪訝な表情を浮かべるルドルフと、対照的に花開く笑みを浮かべるダイヤ。

「彼女がデビューしたら、俺がトレーナーになるって」
1021/09/11(土)00:06:15No.844698413+
もう一度抱き着こうとしてきたダイヤを何とか宥め、彼女が迷子にならないよう教室へと案内する。
背後でルドルフが吐いた溜息は──春の微風に紛れて、俺の耳へ届く事は無かった。
1121/09/11(土)00:06:49No.844698604そうだねx5
ちょっと前に投下した幼馴染概念のルドルフルートです
このルドルフは大局観を習得しています
1221/09/11(土)00:07:17No.844698784+
皇帝なんとかしろ!した!
1321/09/11(土)00:08:00No.844699042+
悪化してるじゃねーか!
1421/09/11(土)00:08:28No.844699221+
独占欲も習得してませんか?
1521/09/11(土)00:09:31No.844699578そうだねx3
ルドルフがいくら過去をバラバラにしても現在進行形で初恋が生えてくる
1621/09/11(土)00:10:04No.844699767+
いい…
だけどこれから全ルートやるの…?
1721/09/11(土)00:10:58No.844700081+
増えてる!
1821/09/11(土)00:11:41No.844700299+
落とすのを防いだらルートに入ったサインか
1921/09/11(土)00:13:22No.844700890+
キタちゃんとも何かやってそう
2021/09/11(土)00:14:47No.844701402+
12人の幼馴染がいそうだなこのトレーナー…
2121/09/11(土)00:15:50No.844701782+
書き込みをした人によって削除されました
2221/09/11(土)00:15:58No.844701827+
最近ルドルフが疲れているみたいだからたづなさんに相談しよう
2321/09/11(土)00:17:16No.844702243+
>12人の幼馴染がいそうだなこのトレーナー…
現時点で会長オグリウライアン女帝マルゼンダイヤだからあと半分か……
2421/09/11(土)00:18:02No.844702492+
私の性癖には合っていますね
2521/09/11(土)00:19:12No.844702925+
最悪な奴やめろや!!!
2621/09/11(土)00:25:27No.844705163+
>だけどこれから全ルートやるの…?
全員分的な意味でハーレムルートは出来るかもしれない
2721/09/11(土)00:28:39No.844706199+
ミッション:√確定までトレーナーを死守せよ
2821/09/11(土)00:29:23No.844706437+
三人抜いたから神威発動してるぞこの会長
2921/09/11(土)00:29:56No.844706629+
遅い来るウマの手からトレーナー君を守らねば
3021/09/11(土)00:32:37No.844707511+
会長
2周目ですか?
3121/09/11(土)00:32:49No.844707573+
全員とのフラグが立たなかった場合つまらなさそうな顔してんな!ってゴルシに攫われてルートに入る
3221/09/11(土)00:34:28No.844708093+
>会長
>2周目ですか?
大局観で視野が広いので何か危なそうな気配を感じたらスっと差し込めるんだ
3321/09/11(土)00:36:10No.844708695+
会長を連れた状態で3人かわしたらルートに入るんだね…
3421/09/11(土)00:37:04No.844709019+
レース関係者の息子かな?って言うくらいウマ娘縁のあるトレーナーだな…
3521/09/11(土)00:47:52No.844712589+
絶対たづなさんとのルートもあるんだろうなこの女訝し…
3621/09/11(土)00:50:17No.844713378+
過去というものはバラバラにしてもすぎる…
3721/09/11(土)00:52:25No.844714058+
たぶんどのルートにはいってもエンディングは一つに収束する
3821/09/11(土)00:54:53No.844714849+
誰かに刺されるバッドエンド
3921/09/11(土)00:56:09No.844715275+
ウマ娘に好かれるフェロモンが出てるとしか思えない
4021/09/11(土)00:57:05No.844715563+
桐生院みたいなトレーナー側の名家とかだったら関わり多そう


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