二次元裏@ふたば

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300836 B21/09/05(日)22:59:24No.843047865そうだねx5 23:59頃消えます
「失礼デジタル君、相席しても宜しいかな?」
「ほえっ?」
昼時、食堂、窓辺にて。食事もそぞろに喧騒に耳を傾けては尊みを摂取している自分にそんな声がかけられた。
「タキオンさん!?どぞどぞ!お座りくださいなっ」
見上げれば胡乱げな表情のルームメイトの姿。珍しいなと思うより先に返事が口から出ていった
「感謝するよデジタル君。席が空いてなくてね…にしても相変わらずここは騒がしいね…実にいい。」
席につき、手に持った包みを大切そうにテーブルに置きながら彼女はそんな事を言う。
「いい…ですか?」
「ああ、そうだとも。ウマ娘達の繰り広げる何気ない会話、そこに飛び交う感情の数々、これほど素晴らしいデータの採取場所は中々無いだろうからね。」
「…わかりますわかります!!!いいですよねウマ娘ちゃん達のお昼時の会話!なんというかもう尊みが飛び交っていて!」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/09/05(日)23:00:23No.843048354そうだねx5
「尊み…か、それもまた興味深い感情の一つだねデジタル君。キミの着眼点に私との齟齬はあれどもその差もまた重要視するべきなのかもしれないね。」
難しいことを言いながらそっと布にくるまれた弁当箱を取り出し、箸を割る。三段に別れた弁当箱には主食副菜が彩りも含めバランス良く配置されており、作り手のこだわりを感じずにはいられない。
「タキオンさん…そのお弁当って…。」
「なんだいデジタル君!これは一口たりともあげることは罷り通らないよ!」
急に警戒されてしまった。しかしそこに驚きよりも尊みが勝り私の魂が口から9割ほどはみ出たとき、食堂の喧騒の色が変わった。
(あの二人は…トレーナー?)(どちら様…?)(新人さん?かっこいい…)(なんか近くないですか…?)
食堂に入ってきた二人の男性。一方は肩で風を切るように歩き、瞳は蠱惑的な濁りを見せ、もう一方は綺麗な黒の長髪を背で一本に束ねて揺らし、その目は物憂げに細められている。どちらも顔立ちが整っており紛うことなきイケメンであった。何食べたらああなるんだろう。
221/09/05(日)23:00:42No.843048527そうだねx5
その二人が並んで受付へと向かって進んでいるが、長髪の男性の歩き方が若干危なげである。そう思った矢先に彼がよろけ、もう一方の男性がそっと手を添えて支える。
「おっと、大丈夫ですか?」
「…忝ない。」
「いえいえ、私の撒いた種ですから。それで、食事は何にします?」
「…あなたと同じもので。」
黄色い悲鳴があちこちで聞こえる。そりゃそうだイケメンとイケメンがいちゃつきながらお揃いのランチですって?
ここはいつから乙女ゲーのシーン回想エリアになったんですかと普段と毛色の違う尊みを摂取していると、隣から声が聞こえた。
「…モルモット君じゃないか。」
「「「はァ!?」」」
私と近くにいたウマ娘ちゃん達の悲鳴が爆ぜた。何人かは物理的に爆ぜたかもしれない。
321/09/05(日)23:01:03No.843048691そうだねx3
言われてみれば先導する男性のシルエットには見覚えがある…ような気がする。そもそも私含め大多数の者は彼の顔をまともに見たことが無いだろう。大体どこかが光っててそっちばかり見てたし。
彼らはお揃いのランチを受け取り、少し遠くの席――なぜかウマ娘ちゃん達が譲ってあげていた――に座り、タキオンさんのトレーナーさんがお箸を二人分持ってきてもう片方の長髪イケメンに渡していた。
「…ふぅん?モルモット君は今日は休みだと聞いていたんだがねぇ?」
「つまり休日にあの人と…っ!?」
気がつけば私もタキオンさんもウマ耳をそちらに傾けていた。私達の耳は割と自由が効くのだ。
「今日は私のオゴリって事で、一緒に帰りましょうか。」
タキオンさんのトレーナーさんが澄んだ声でそんな事を言う。何なのあの二人デキてんの?どす黒いオーラが感じられて正面が見れないんですけど。
「いやいや、そこまでして頂くわけには参りませんぞ!拙者の不手際でもあった故どうかお気になさらず!」
長髪の男性が申し訳無さそうにそんな事を言う。ハキハキと滑舌のいい声…いやこの口調と声は…。
421/09/05(日)23:01:24No.843048843そうだねx3
「私のトレーナーさんじゃん…。」
「「「えぇ!?」」」
周囲のウマ娘ちゃんがまた爆ぜた。タキオンさんが見たこともない表情をしている。写真撮りてぇ。
どういうことだいデジタル君という抗議を抑え、会話に耳を傾け続ける。私だってどういう事か知りたいのだ。
「風で飛んだメガネがたまたま貴公の足の着地点に落ちただけの事!全く気にしなくて良いのでござる!」
「いや、それは無理ってもんですよ…。弁償はさせてもらいますからね絶対に。」
「ははぁ!かたじけのうござる!にしてもトレーナー殿で良かった!お陰で無事トレセンまで戻れましたからな!」
「バス停が近い本屋で良かったですよ…お昼が終わったら寮まではお連れしますからね。予備の眼鏡があるようで良かったです。」
タキオンさんのトレーナーさんがたまたま私のトレーナーさんのメガネを踏んで壊してしまった、という事なのだろう。
正面に座るタキオンさんもなるほどねと言いながらお弁当をつつきはじめた。興味が失せたのだろうオーラも減った
521/09/05(日)23:01:37No.843048948そうだねx5
「ところでトレーナー殿、我々、偶然本屋で邂逅致しましたが一体どんな本をお探しになっていたので?」
「私は…ふふ、料理の本さ」
「料理でござるか…自炊でもなさるおつもりでいらっしゃる?」
「いや、これはお弁当の本だね。お弁当向けに冷めても美味しいレシピとかが書かれているよ。ネットで調べるよりもこういった文献の方が実用的なようでね。」
「お弁当!貴公のお弁当といえばアグネスタキオン殿がいつも食べているあれでござるな!愛妻弁当と専らの噂の!」
正面でタキオンさんがむせている。周囲のウマ娘ちゃん達がこっち見てますよ。
「あぁ、いつも彼女にせがまれてね。日々精進しているつもりだがそれでも注文が多いから困ってしまう…だが毎日一粒残さず食べてくれる彼女の期待に応えないわけにはいかないからね!」
「それに応えるために本を探されていたのですな…いやぁ拙者感服致しました!素晴らしき愛でござるな!」
「愛か…たしかに愛かもしれないな…少しでも彼女に届いてくれていればいいんだが。」
正面のタキオンさんが顔を抱えている。勝負服じゃなくて半袖の制服だから全然真っ赤な顔が隠れてませんよ。
621/09/05(日)23:01:50No.843049056そうだねx4
「それで…あなたは一体どんな本を買われたんですか?」
「デュフフ…よくぞ聞いてくださいました。これです!」
トレーナーさんも紙袋から何か取り出してタキオンさんのトレーナーさんに手渡す。
「…トレーナーの教本じゃないですか。懐かしいですね…最新版ですか。」
「左様!いやぁ久々に読み返すと初心に帰る気分でござるよ!」
「成程…確かアグネスデジタルさんはトレーナーも志望していると耳に挟んだことがあります。」
「おぉ!御存知でござったか!デジたんはウマ娘が大好きでしてな…時折トレーナー資格について勉強をしておりまして。拙者も一応トレーナーでござるし力添え出来ればと思いましてな。」
「レース引退後の将来も視野に入れて彼女を支えていこうと…素晴らしい…これもまた愛なのですね…。」
「愛でござるか…そう言われてしまうと面映ゆいでござるがそのとおりかもしれませぬな…拙者の愛で彼女が輝くのでしたら出し惜しみなぞ不要!」
開いた口が塞がらない…全自動で口から漏れるヒョエエエが止まらない。タキオンさんはこちらをみてニコニコとメモを取っている。
721/09/05(日)23:02:03No.843049147そうだねx3
「タキオン殿の方もトレーニングもそぞろに何やらいろいろな研究をされているご様子。あれが彼女の走りにつながっているのでござるか?」
「ええ…彼女はどちらかと言うと頭で走るタイプでしてね。脚に不安もあったがそれも乗り越えられたのは本当に良かった…好奇心旺盛が過ぎて困ることはあってももう暴走することは無いだろうと思います。あの年齢であの学力、末は博士か大臣か…彼女なら何にでもなれると信じています。」
タキオンさんが私と同じ様な表情をしている。誰かカメラ持ってねぇ?私はそろそろ死ぬから代わりに撮っておいて?
「…素晴らしい信頼でござるなぁ」
「あなたの方こそ…しかし、だからこそいつか来る別れが寂しくも感じますね。」
「それは言わない約束でござるよトレーナー殿!!」
「おっと…すまない。そうだね。」
821/09/05(日)23:02:24No.843049302そうだねx3
「拙者…デジたんを送り出す日のことを考えて何度枕を濡らしたか…っ!」
「私もさ…タキオンがいつか此処を羽ばたいていくときのことを考えると胸が締め付けられ脚が光り出すんだ…。」
「貴公もでござったか…トレセン学園とは罪な存在でござるな…適切な距離感等と言われても日々成長する彼女たちを見て入れ込むなという方が無理と言うものでござる…!しかしデジたんは見目麗しい美少女でござるから将来は立派なトレーナーとなり素敵な夫を迎え…ゴフゥ!非モテの拙者にはこれ以上の発言は死を招きかねない…!」
「タキオンだってそうさ!彼女の知的な仕草全てに心奪われる…!だが私はしがないモルモットに過ぎない。いつか彼女の横を歩くであろう存在に笑顔で花束を渡せる勇気は…くっ!駄目だ光るな私の左脚…!」
抜けかけた魂が身体に戻り、ムカムカが抑えられなくなってきた。正面を見ると笑ってるタキオンさんと目が合う目ェ怖ッ。
921/09/05(日)23:02:39No.843049404そうだねx5
「…タキオンさん。私ちょっと行ってきていいですかね?」
「…奇遇だねデジタル君実に奇遇だ。私も同行しよう。」
お揃いのスマイルで二人は二人の元へ向かう。目が合うウマ娘ちゃん達がちょっと驚いて道を開けてくれる。ありがとう☆

食堂で何話してるんだという月並みなツッコミとお説教。そして二人は二人を連れ帰った。
変わらないと思っていた日々もいつか終わりが来る。その終わりの先を少しだけ考えるキッカケが出来た。
この日以降、同部屋の二人の会話は少し増え、互いのトレーナーとの距離は気付かれない程度に近くなった。
1021/09/05(日)23:02:58No.843049552そうだねx15
俺は闇のトレーナー
同部屋なのに接点無い二人が互いのトレーナーをキッカケに仲良くなるイベントが見たいんだが誰か書いてくんない?
普段短めのばかり書いていたので加減が分からず長くなってしまった距離適性が無いようなので失礼する
1121/09/05(日)23:04:31No.843050216+
確かにタキトレは光ってないと印象薄そうである
1221/09/05(日)23:04:57No.843050442そうだねx15
おい待てェ
失礼すんじゃねえ
距離適性バッチしで読みやすかったってつたえないとならないだろうが
ありがとう
1321/09/05(日)23:05:02No.843050484そうだねx2
書いとるやろがい!
1421/09/05(日)23:06:32No.843051190そうだねx11
>「タキオンだってそうさ!彼女の知的な仕草全てに心奪われる…!だが私はしがないモルモットに過ぎない。いつか彼女の横を歩くであろう存在に笑顔で花束を渡せる勇気は…くっ!駄目だ光るな私の左脚…!」
お前は何を言っているんだ
1521/09/05(日)23:06:37No.843051224そうだねx6
アグネスきた!ありがたい…ありがたい
1621/09/05(日)23:07:31No.843051612+
お前が書け!
…もう書いてる!
1721/09/05(日)23:08:08No.843051911+
このシリーズすごく好き
1821/09/05(日)23:09:01No.843052297+
読みやすくてすき
1921/09/05(日)23:09:22No.843052473そうだねx4
このウマ娘にしてこのトレーナーありって感じのキャラの濃さ
2021/09/05(日)23:09:44No.843052623そうだねx10
>抜けかけた魂が身体に戻り、ムカムカが抑えられなくなってきた。正面を見ると笑ってるタキオンさんと目が合う目ェ怖ッ。
キミも似たような目をしてるんだぞデジたん
2121/09/05(日)23:14:32No.843054790そうだねx4
ヤバい方のアグネスの口調がヤバい方のトレーナーとヤバい方のアグネスの体がヤバい方のトレーナー
2221/09/05(日)23:14:33No.843054796+
クソボケセットすぎる…
2321/09/05(日)23:14:46No.843054895そうだねx6
いつも光ってるから顔が認知されてないタキトレでダメだった
2421/09/05(日)23:15:41No.843055289そうだねx1
>ヤバい方のアグネスの顔がヤバい方のトレーナー
2521/09/05(日)23:20:38No.843057449そうだねx1
やばい方のアグネスにもこんな乙女な面があるなんてね…いい…
2621/09/05(日)23:20:53No.843057562そうだねx2
惚気合いでしか得られない栄養素がある…
2721/09/05(日)23:23:09No.843058549そうだねx6
>>ヤバい方のアグネスの顔がヤバい方のトレーナー
(どっちのどっちだ…?)
2821/09/05(日)23:25:43No.843059574+
現実アグネスの馬はやばい味付けしかされてない…
2921/09/05(日)23:28:24No.843060707+
両方のトレーナーが隠れイケメンなのか...
3021/09/05(日)23:28:27No.843060734+
とりあえずウマ娘ちゃんたちがいっぱいいる時間にその顔とその距離感でその話題は脳を破壊しすぎるからやめよう
3121/09/05(日)23:29:22No.843061097+
クソボケトレーナー多いな…みんなもっとフラトレくらい距離感詰めてもいいのでは?
3221/09/05(日)23:30:26No.843061505+
お兄ちゃんはそう思いませ…うぅ…カワイイ…
3321/09/05(日)23:30:32No.843061547+
(フライト…ワールド…頼むからヤバくない感じで来てくれ…)
3421/09/05(日)23:31:04No.843061756+
>胸が締め付けられ脚が光り出すんだ…。」
こわい…
3521/09/05(日)23:31:11No.843061800+
まあタキオンのお姉ちゃんはまともな子でくるだろ…
3621/09/05(日)23:32:49No.843062478+
ちょくちょく色んな怪文書のネタ挟まってて面白い
3721/09/05(日)23:33:30No.843062731そうだねx2
ああこれデジトレは眼鏡外したらイケメンっていうことか
3821/09/05(日)23:33:52No.843062865+
ここまで突き抜けた古のオタク久しぶりに見たな…
3921/09/05(日)23:36:03No.843063689+
デジたんみたいな子が乙女してるのは私の性癖にあっていますよ
4021/09/05(日)23:36:22No.843063805+
普段は瓶底ぐるぐるメガネの古のオタクファッションだからなこのデジトレ
4121/09/05(日)23:38:18No.843064535+
あああああああ尊いよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
4221/09/05(日)23:38:50No.843064727+
>あの年齢であの学力、末は博士か大臣か…
モルモット君が変なこと言ってる!
4321/09/05(日)23:39:50No.843065128+
どっちもきっと素晴らしい旦那さんを迎えて二人は幸せになってくれるって信じてくれてる
未成年の学生を指導する大人と立場としてはこれ以上ない適切な距離感だったのにどうして
やばい方のアグネスは怒ってるんですか?
4421/09/05(日)23:48:49No.843068595+
末は博士か大臣ですねぇ!
4521/09/05(日)23:52:05No.843069839+
末はお嫁さんだねぇ!!!1!!
4621/09/05(日)23:52:45No.843070063+
光ってなければイケメンとちゃんとした格好すればイケメン…
4721/09/05(日)23:52:54No.843070123+
末は博士か大臣かというものは末は博士か大臣かと言われる覚悟があるものだけだ
4821/09/05(日)23:53:44No.843070445+
やべぇアグネスのトレーナーがイケメンと認識したモブウマ娘の脳が破壊される…
4921/09/05(日)23:55:17No.843071004+
>(フライト…ワールド…頼むからヤバくない感じで来てくれ…)
前者はともかく直線番長がね…


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