「せいっ」パカン 手にした杖を軽く振るとまた一人小鬼がひっくり返る。パカン。ころり。ぱかん。ころり。 「ふう、もう少し進んでみましょうか……」 そう独り言ちると、足元のランタンを拾い上げ、彼女は洞窟の奥へと進んでいった。 ここはウマネスト大陸、剣と魔法のファンタジー世界。 魔王を昇天させたことで一躍有名となったグラス、エルのコンビの下には連日誘いや依頼が届いていた。 今日の依頼もその一つ。なんでも小鬼が大量発生して気持ちが悪いので討伐してほしい、とのこと。 「そんな雑魚狩りつまんないに決まってます。エルは西側に発生したらしい龍王の討伐に向かうデース!」 と一人で飛び出してしまった相方に代わり、一人この洞窟に赴いたのだった。 「一人で飛び出して……私無しでまた倒れてないといいんですけど……」 そんな感じで遠くの相方の心配ができるくらいにここの小鬼は弱かった。魔法はおろか、虫でも叩くくらいの力を籠めればあっさり死んでしまう。 数は多いが杖を振り回せば大体片付くので危機感もなく、もはや気分は洞窟の見学である。 「この規模の群れなら必ず首魁がいるはず…それさえ叩けばきっと」 とはいえ緊張感を忘れてはいけない。搦手に引っかかっては元も子もないのだから。 そうして進んでいると、 「足元に張ったロープ……罠、のつもりでしょうか」 ランタンの光で照らす先には古びたロープが足首の高さに張ってある。貰ったナイフで切ってお終いの粗末な罠だ。 「なんだったんで……きゃあっ!」 しかし、彼女の注意を引くには十分だった。本命は、その一歩奥に掘られた落とし穴。 さぶんと彼女に体が音を立てて落ちる。 「がぶっ……ごぼ……」 (水……じゃない!) 人一人がすっぽり入って頭が出るかどうか程度の深さ。少々多めに何かを飲んでしまったくらいですぐに体を起こす。 「ゴホッ、ゴホッ……はぁ……」 しかし 「くらり…くるり……あ、あらぁ……?」 足取りが覚束ない。視界がふらつき、思考がまとまらない。 落とし穴に貯めてあったのは酒だった。いくら毒に強いとはいえ、それは酩酊に耐性があることと同義ではなかったらしい。 「はふ……あぁ……」 (まずいですね……毒回復を……) システムが作動し、毒回復が発動する。しかし 「ふわ……あれぇ……」 心地のよい陶酔は全く抜けない。どうやら酩酊状態は状態回復の対象外であるようだ。 そうしている内に、足音が奥の方から聞こえる。重く、大きい、明らかに狙っていた首魁のものである。 (大きい……) 暗闇から大鬼が姿を現した。その身の丈は2mに届こうかというくらいである。 千鳥足ながらにも戦闘態勢をとる。彼女の闘志はまだ燃えていた。 「え、えんじぇふぉ……」 舌がもつれる。相当強い酒だったのか、時間を追うごとに思考の混乱に拍車がかかる。 「……」 そんな目の前でふらふらしているだけの彼女に向かって、大鬼は手に持っていた瓢箪の酒をぶちまけた。 高濃度のアルコールはすぐに彼女の全身に回り、その意識をノックアウトした。 (ここは……) ぼやつく頭に少しずつ意識が戻る。寝かされているところは柔らかい草が敷き詰めてあり、どうやら奴らの生活拠点であるようだった。 「へっ……へぁ…」 (まだ、うまく動けない……」 未だ酩酊中の彼女に、先ほどの大鬼が再び現れた。手にはやはり瓢箪があり、このままでは生存は絶望的だろう。 (ですが、それでもかまいません……私が戻らなかった時には、彼女が……) 彼女は死を覚悟した。しかしそれは自棄になったわけでは無い。自分の最高の相棒が、世界最強の格闘家が、必ずこいつらを討つと信じているから。 (殺すなら、殺しなさい……!) その時は訪れた。彼女の想定とは違う形ではあったが。 「へ?ひゃ……!」 大鬼は急に這いつくばったかと思うと、何とか座り込んでいた彼女のまたぐらに鼻を突っ込んだ。 「な、にあ、なにを……!?」 逃げようとする足をがっちりつかまれ、ぼやけた頭では逃走もままならない。 先ほどから赤い顔を更に赤くして抵抗しても、かまわずに秘部の匂いを嗅がれ続ける。 「こっ……このぉ……やっ!?」 ぬるり、と生暖かい感触が布越しに這う。嫌悪感が全身の毛を逆立て、目の前の怪物への憎悪が膨らんでいく。 びり、と何かが割ける音がして、その感触が直に肌に伝わる。下着が食い破られ、大鬼の舌が彼女の膣へと侵入していく。 「ふーっ……ふーっ……」 意識は完全に覚醒したが、体は相変わらず寝ぼけ眼で思うような抵抗ができない。下からはぴしゃぴしゃと粘膜をねぶる音と感触が伝わり続けている。 今は耐えるしかない。この嫌悪感も、経験したことのない未知の痺れも、この体からアルコールが抜けきった暁には切り捨てたこいつごと忘却の彼方へ葬ればよいのだ。 明かりの乏しい洞窟に、水音とくぐもった息遣いだけが響く。その静寂すら彼女の精神を蝕んでいった。 永遠にもわたる愛撫の終わりが、スカートから抜け出てきた大鬼の頭によって告げられた。 彼女はというと、ずっと気を這っていたことと、未知の感覚への抵抗ですっかり憔悴し、ぐったりと壁に寄りかかっていた。 大鬼は彼女を一瞥すると瓢箪の栓をあけ、中の酒を彼女の口に注ぎ込んだ。抜けかけた酒器が再び彼女を満たし、もはや彼女の逆転は絶望的となった。 焦点の合わない彼女を仰向けに横たえ、大鬼も腰布を解いた。光を浴びれば黒々と照るだろうそれは彼女の細い腕ほどに膨張し、その根元で種汁をぐつぐつと煮立たせていた。 大きめの骨盤をしっかり捕まえ、下腹部にそれをあてがう。みぞおちにも届くそれがゆっくりと彼女の純潔に突き立てられた。 「う…ぎっ……かはっ……」 文字通り体を割く痛みが全身を走り、酩酊と憔悴にあえいでいた意識を残酷な現実に引き戻した。 「あ…あ……なんで……」 暗がりにも自分が犯されている現実がありありと突き付けられる。こんな事態だというのに全身に力は入らず、膣だけが凶悪な訪問者をきゅうきゅうと締め付けで出迎えた。 「ぐ……おぇぇ……」 ゆっくりと、その剛直が引き抜かれていく。その太すぎる一物は、カリ首に絡めて内蔵全部を引きずり出すのではと錯覚させる。 と思いきや再び勢いよく中へ納められる。 「かはっ……!」 凶悪な肉竿は膣や子宮はおろか、内膜を通じて内臓までを押し上げる。横隔膜は正しい伸縮が出来ず、呼吸のリズムを強制的に乱される。 抜かれ、貫かれ。抜かれ、押し込まれ。 吸って、吐かされ。吸って、吐かされる。 ただの抽挿にすぎないそれは、体躯の差を伴って脳を嬲る暴力と化した。酩酊、呼吸困難、ダブルパンチで彼女の息は絶え絶えであった。 (も……やめ……) 懇願は空気に乗る前に掻き消え、万一声になったとしてもこいつに人語は通じない。 苦痛ばかりが与えられ、さすがの彼女も己を律する理性がボロボロではただの少女と変わりはなかった。 そうして、だんだんと、大鬼の抽挿が早くなっていく。その意味を今の彼女では理解できない。 ずっ、ずっ、すっかり滑りのよくなった膣を息を荒げて蹂躙する。脳も玉も煮え切って繁殖以外は頭にない。 (……?うごきが、はやく……?) ようやくそれを認識したときには、もう手遅れだった。 びゅぅるるるるるるるぅっっっ、どぷっ、どくんどくんどくん…… (──────!!!!!熱、あっ❤いっ────❤❤❤❤❤❤) 大鬼の子種が彼女の中に解き放たれた。と同時に、蓄積された苦痛がまとめて快楽へと転換される。 鮮烈な絶頂が弱った脳を焼き払い、母性の喜びが胸にあふれ出す。 (何っ❤これぇ❤しらない❤❤しらないぃ❤❤❤) 大鬼の繁殖専用スキルの効果で彼女が母親へとすり替わっていく。疲労困憊の体はそれにも関わらず注がれ続ける子種を必死に収集し、次代へとつなげるために卵子を排出する。 「む……っり❤……っく❤❤だ、めぇ……❤❤❤❤) かすかな理性も抵抗には至らず、成すすべなくさまよった彼女の卵は飛び込んできた大鬼の精子をあっさり受け止めた。 それと同時に彼女の体にも異変が訪れる。 まず肉付きが全体的によくなった。特にその元々大きめだった尻は、大鬼を無理なく受け入れられるぎりぎりのサイズまで急成長を遂げた。 さらに、すすけた衣装の胸のあたりに生暖かくにじむものがあった。 大鬼が上半身を器用に脱がせると、そこには控えめな乳房と、その先端から滾々と滲み続ける乳白色の液体があった。 バストの割に大きめな乳輪に大鬼が吸いつくと、それがたまらなく愛おしく感じて、自然と頭を抱えて撫でる自分に驚いていた。 「よーしよし……❤いいこですから……❤赤ちゃんの分も残してくださいね……❤❤❤」 大きく背を丸めて乳に吸いつきながらも性器は密着して遺伝子の交換を続ける。結びついた卵がゆっくりと彼女に根付くまでその蜜月は続いた。 彼女が戻らなくなってから、その洞窟には大鬼に喰われた回復師の怨霊が出ると噂され、よなよな女のうめき声が聞こえるホラースポットとして有名になった。